英題:『A Grandson From America』
監督:チュー・ジャンタオ
脚本:チュー・ジャンタオ
撮影:チェン・チャン
出演:ディン・ジャーミン/ルオ・ジンミン/リュウ・ティエンズオ
2012年/中国
(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2013)
「赤」のメタファーについて
主人公のヤンがテレビで映画『スパイダーマン』を見ている時に、久しぶりに帰ってきた息子はアメリカ人の婚約者と彼女の連れ子のブルックスという名の男の子を伴っていた。しばらく一緒に暮らすことになるのであるが、息子と婚約者は友人を助けに出かけてしまい、ヤンはブルックスと2人きりで暮らすことになる。ブルックスは中国語は理解できるが、ヤンとはそりが合わない。ヤンはブルックスが大切にしていたスパイダーマンの人形を踏んづけて壊してしまい、影絵師だったヤンは代わりにスパイダーマンの影絵人形を作り、それをきっかけにブルックスと仲が良くなるのであるが、ようやく帰ってきた息子と婚約者は婚約を解消することになり、婚約者とブルックスはアメリカに帰国することになる。
ブルックスの出現をきっかけに隠居していたヤンは影絵人形を作ることを生徒に教えるようになる。ブルックスはスパイダーマンの衣装を身につけており、それはもちろん赤いのであるが、もうひとり赤いジャケットを着ている人物が登場している。それはヤンの息子なのである。おそらく出来損ないの息子を育て直すかのようにヤンはブルックスと関わることを通じて再び現役に復帰したように見える。だからラストシーンにおいて半年後に再び婚約者と縒りを戻して帰ってくる赤い服を来た息子が連れてきたブルックスは、何故か青い服を着ており、唐突に現れる「青」の意味が不明で、ハッピーエンドにしたかったのであろうが、余計な付け足しに見えてしまうのである。