原題:『南方小羊牧場』 英題:『When a Wolf Falls in Love with a Sheep』
監督:ホウ・チーラン
脚本:ホウ・チーラン/ケリー・Y・L・ヤン/ホー・シンミン/オウタムン・チェン
撮影:パトリック・チョウ
出演:クー・カイ(クー・チェンドン)/ジエン・マンシュー/グォ・シューヤオ
2012年/台湾
(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2013)
「コピー」に関する考察
大学の予備校が林立するエリアが舞台設定となっている本作は当然のことながら「100」という数字がキーワードとなるのであるが、それは必ずしも満点を意味するだけではない。主人公のシャオヤン(小羊)が母親に、眠っている時には100まで数えて起こしてと言われており、100まで数えて起こしていたのであるが、ある日、100まで数えても母親が目覚めなかったことをきっかけにシャオヤンは永遠に続くものはないのだと悟る。
一方で、コピーサービスのバイトをしているもうひとりの主人公のタンは、「塾に行ってくる」というメモを残してそのまま去ってしまったガールフレンドを探し続けていた。このいつまでも変わらないガールフレンドが残したメモと、シャオヤンがテスト用紙に描いている子羊のイラストが交互に映されるのであるが、一見するならば同じような子羊のイラストには数字が隠されていたのである。おこわ屋の女将が行方不明になっている犬を探しながら、新たに猫を拾って育てているように、変わるものと変わらないものを同時に孕む「コピー」という概念がポップに表現されている。