原題:『Vrásky z Lásky』 英題:『Oldies But Goldies』
監督:イジー・ストラフ
脚本:マレク・エプシュタイン
撮影:マルチン・シェツ
出演:イジナ・ボフダロヴァー/ラドスラフ・ブルゾボハティー/イヴァン・トローヤン
2012年/チェコ
(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2013)
現実が「足枷」となるフィクションについて
冒頭、主人公のオタがクルマを運転しているシーンから始まるのであるが、よく見ると違和感が湧いてくる。実際に、オタは運転をしているわけではなく、トラックの荷台に乗っている古い自家用車に乗っているのであり、息子に促されてスクラップ工場に運ばれている途中なのであるが、最後の抵抗のようにして乗っているのである。いまだにテープレコーダーが装備されているそのクルマは老人の目の前でクレーン車によって粉砕される。物語はこの愛車の‘仇討ち’を果たすような展開を見せるのであるが、やがて現れる老いた‘女優’ヤナ・フルタコバが作り出すフィクションが上手く機能していないように思う。しかし実生活における主演の2人の関係性を把握していれば見方も変わるのかもしれない。