原題:『Rock Ba-Casba』 英題:『Rock the Casbah』
監督:ヤリブ・ホロヴィッツ
脚本:ヤリブ・ホロヴィッツ/ガイ・メイルソン
撮影:アムノン・ザライト
出演:ヨマ・トマルキン/ヨタム・イシャイ/アンジェル・ボナンニ/ロイ・ニック
2012年/イスラエル・フランス
(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2013 監督賞)
既視感の果ての幻想について
1989年のパレスチナのガザ地区の若いイスラエル兵士と地元住民たちとの葛藤をリアルに描く本作のラストにおいて主人公の若いイスラエル兵士が仲間のイリヤを殺した犯人を追い詰めた際に、一度は人ごみに紛れて逃げ切った犯人が再び主人公の目の前に現れ、おとなしく主人公に射殺されるという不自然な演出にはいささか戸惑うかもしれないが、既にかなり精神のバランスを崩しており、犯人の死体が映されないところを見ると、主人公の願望が幻想として現れたと考えられるであろう。しかしロックバンド「ザ・クラッシュ(The Clash)」の同名曲「ロック・ザ・カスバ(Rock the Casbah)」のようなアイロニーを期待してはいけない。