東京都美術館の『ゴッホとゴーギャン(Van Gogh & Gauguin : Reality & Imagination)』で
さらに気になった作品はゴッホの『タマネギの皿のある静物(Still Life with a Plane of Onions)』
(1889年)で、とは言っても作風ということではなく、作品内に描かれている本が気になった
のである。
調べてみるとこの本はフランソワ・ヴァンサン・ラスパイユ(François-Vincent Raspail)という
人物が書いた『健康に関する年鑑マニュアル(Manuel annuaire de la santé)』で、リーダーズ
英和辞典によると「フランスの化学者、政治家;共和派の闘士として、七月王政下に活躍;
1848年には『L'Ami du peuple(民衆の友)』紙を創刊;共和国大統領選に社会主義派の
候補としても立つも敗れる;のち第三共和制政府で議員をつとめる」とある。ゴッホは何故か
「Manuel」という文字を省略して描いているのであるが、これ以上のことはよく分からない。