原題:『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』
監督:三木孝浩
脚本:吉田智子
撮影:山田康介
出演:福士蒼汰/小松菜奈/東出昌大/山田裕貴/清原果耶/大鷹明良/宮崎美子
2016年/日本
理屈で把握しようとすると魅力を失う作品について
甘いラブストーリーだと思って観ていたら、本格的なSF作品だったことに驚いた。2017年3月の一カ月間で起こる物語をここで説明することは敢えて差し控えておくが、村上春樹の小説のファンならば観て十分に楽しめるのだろうか。しかし個人的には主人公の南山高寿の気持ちは理解できるものの、彼の恋人となる福寿愛美の気持ちが理解しにくかったのは、上映から40分過ぎた頃にようやくメインタイトルが出るように時空が逆転しており、どうしても愛美の時系列が上手く捉えきれないからであるのだが、このような物語を感覚ではなく理屈で捉えようとすると、例えば、何よりも最も大切にしなければならない「ノート」を何故愛美が高寿の部屋に置き忘れてしまったのかとか、そもそも2人の寿命は何年に設定されているのかと余計なことを考えてしまい、結果、作品そのものをつまらなくしてしまうのである。しかしいずれにしてもここまで複雑なストーリーを無難にまとめた三木孝浩監督の手腕は相変わらず素晴らしい。
『溺れるナイフ』(山戸結希監督 2016年)に続いて、本作においても主演を務めた小松菜奈が全身びしゃびしゃに濡れていたシーンがあったところは笑えた。