ヨソの国のことを心配しているような余裕はないのが今の日本ですけども、この週末のニュースと言えばロシア。
世の中は無常であり、驕れるものは必ず衰え、因果は巡り、夏が終わればやがて冬になる、この法則は全ての人間や社会や国に当てはまることを私は一片の疑いなく信じております。いずれ自民党にも終わりが来る時が来ますし、日本という国も遠からず終わるかも知れません。終わりの予感は段々と人々の間に共有されて、ある日、ちょっとしたことをきっかけに、崩壊に至るのだろうと思います。
昨年は安倍氏が殺害されたことで日本も変わるのではないかと思いましたが、結局は、日本を八年にわたって壊し続けてきた自民党の総裁がいなくなっても、何も変わりませんでした。彼も戦後連綿と続いてきた国民間接支配のための神輿の飾りの一つに過ぎなかったということでしょう。統一教会はあれだけ叩かれても解散命令一つ出ないし、統一教会との濃い関係で叩かれた山際氏は何事もなかったかのように次の国政選挙の公認候補となって出てきます。史上最大の原発事故を起こし、12年たっても1グラムのデブリでさえ取り出せていないのに、規定を歪めてまでも危険な原発施設の運用を継続する。嘘がバレて辞めると大見得を切った大臣がのうのうと居座る。自民党というのは結局はただの操り人形なのです。今のキシダ政権を見ればそれは明らかです。大志もビジョンもなにもなく、単に首相になることだけが目的だった男です。その地位さえ守れるなら、民主主義も国民も日本でさえどうでもよく、バイデンに言われるがままに防衛費の巨額の増額を決め、統一教会に言われるがままに子供家庭庁を作り、LGBT差別法案を通し、経団連に言われるがままにインボイス制度によって小規模事業者を潰して消費税を増税、事業受注するゼネコンに言われるがままに海外のインフラ援助だ何だのと外国支援に何兆円もばら撒く。大志も大義も正義も思いやりも何もない自己保身だけが全て、そんな人間がずっと日本の首相でした。情けないと思わないのでしょうか。ま、甘い汁というのは中毒性があるのでしょうな。
安倍氏が神輿の飾りであり続けることができたのは、どうやら韓国のカルト宗教団体の票を握っていたおかげであったらしいという話になって、なるほど一人のキングメーカーと呼ばれる男が死んだところで、自民党が変わるはずもないと納得しました。韓国カルトは安倍派に全額を賭けていたわけではなく、例えば維新という野党モドキをも通じてより狡猾に政治をコントロールしようとしていたわけで、思惑通り自民に見切りをつけた有権者票が維新にながれています。
話がいきなり逸れましたが、今週末、盛者必滅の理を感じたのは、自民党よりもプーチンです。一年半前、ウクライナ侵攻を決めた時、プーチンは今日という日を全く予測していなかったでしょう。しかし振り返れば、その時がプーチン株の売りどきでした。プーチンもその時に引退しておけば安らかな老後が送れたかもしれません。思うに、その時の彼の頭の中は、キエフを1日で陥落させた後、その後、どのようにウクライナ支配を維持し、そして西側諸国との関係のバランスをどう取っていくかということを考えていたに違いありません。ところが、「あてごとと褌は前から外れる」の喩えの通り、キエフ陥落に失敗した後は、立ち往生し、行くに進めず帰るに引けず、泥沼の戦争を続けざるを得なくなりました。国民の命や国の荒廃を引き換えにしても、何としてでもロシアとの戦争に勝って、EUに入り、やがてはNATOのメンバーとなって、ロシアから自由になり、歴史的英雄としてウクライナ史に名を残すのだという血の気の多い大統領のおかげで、ウクライナも自国の多大な犠牲と引き換えに、それ以上のダメージをプーチンに与えたのは間違い無いでしょう。プーチンもプーチンだが、ゼレンスキーもゼレンスキー、河野太郎も真っ青の引くに引けないエゴの張り合い、ですかね。
しかし落ち目の時は、潮が引くかのように運は逃げていくもので、この週末に起こったロシア民間軍事会社ワグネルの反乱は、プーチンの終わりを示唆するに十分なインパクトがありました。プーチンの料理人として政権に取り入り、やがて囚人らを組織して傭兵組織の長となった男、プリゴジン。プーチンの落ち目とこの泥沼の戦争の帰趨を感じ取ったのでしょう、ロシア国防省と対立。一時は軍事拠点を占拠し、その後、武装蜂起を宣言し部隊はモスクワに向けて北上。プーチンは例によって「反乱は許さない」と強い口調で声明を流したものの、そもそもこのような事件が起こること自体、最高司令官が命令系統を制御できていないということであって、プーチン政権の弱体化の証拠を晒した事になりました。戦の最中のならず者一家のお家騒動といったところでしょうか。ベラルース大統領との会談を通じてロシア軍とワグネルの衝突は回避され、お互いに矛先を収めたものの、この事件のプーチン体制への影響は甚大でしょう。そして、その同盟国であるはずのベラルースとカザフスタンはプーチンを支援しないと表明。陳腐な表現をすれば、プーチン体制崩壊への序曲が響き始めました。
支持率3割でも選挙で勝てると踏んで解散を口にするような首相がいる平和な国と違って、普通の国では力を失った独裁者の末路は惨めなものです。想像するに、かなり壮絶な形でプーチン体制は終わる事になりそうな気がします。いずれにしても長くは持ちますまい。これも因果応報、一円を笑うものは一円に泣き、謀略に生きるものは謀略に死す。プーチン無き後の弱体化したロシアは東ヨーロッパの孤立した国々の一つとなって行き、中国が東ユーラシアの中心となるのでしょう。そうなればウクライナは西側のメンバーとなり、バイデンの中国包囲網が完成する事になる。
その後、アメリカがどこで戦争を仕掛けようとするでしょう。中国にちょっかいを出すわけにはいかないし、中国も他所にはなかなか出てこない、となると、また中東に戻るのでしょうね。