百醜千拙草

何とかやっています

愚痴は言うまい

2017-10-31 | Weblog
論文のリバイス、あてにしていた筆頭著者の人が戦力外となり、必要な実験をできる人がいなくなり、結局、自分がやる羽目になりました。しかも、ようやく出た実験結果は予測されたものと異なり、実験計画の変更とそれにともなう作業の遅延が起こりそうです。それで念のため編集室に連絡しました。この雑誌、去年もリバイス実験が長期化したので編集室に連絡したのですが、去年の時点ではリバイスの期限はなかったのに、今回は3ヶ月を大幅に過ぎれば、リバイスではなく新規投稿扱いにするというように方針が変わっていました。最初はそれに気がつかずのんびり構えていたので、焦りました。ここまできて一からやり直しは御免です。一応、期限の延長には応じてくれました。

この一年あまりは、いろいろ辛い目に会いました。研究も進まず、グラントも当たらず、人もあてにできずで、ひたすら耐えてきましたが、まだまだ夜明けの兆しが見えません。おかげでこの一年、論文も出ていません。さすがにこの業界でも、一年論文を出さないと、いなくなった人と見做されるようで、雑用の依頼がずいぶん減りました。ま、こういう状態なので雑用がないのは歓迎です。今年は11月のシンポジウム以外は、あとは予定なし。運気の低迷期にある時はじっと身を低くしてムリをせず鋭気を養うことだと言い聞かせています。

また、愚痴っぽくなりましたが、愚痴を言うのはもうやめるようにします。同じ事情で、床屋政談もなるべくしないようにしようと思います。日本の政治の腐敗が絶望的で手の施しようのない状態であるのはこの10年でイヤと言うほどわかりました。例えて言うなら福島原発です。根本的に状況を改善することは不可能であるのは明らかなのですが、何もしないわけにいかないので、できることをやっているという状況です。無論、汚染水のタンクなどとっくの昔に飽和しており、どうしようもないので、放射能は海に垂れ流し。それも「アンダー コントロール」のうち。 ちょっと前には、廃炉への工程表がこっそりと書き換えらえて、燃料取り出しは3年後に延長になっています。ま、3年たったらまた3年延長するのでしょうな。手の出しようがないのだから、工程表など茶番もいいところです。大局をみずに目先の小事にとらわれることを「タイタニック号の甲板の椅子をならべかえる」と喩えたりしますが、沈没はどうやっても避けられなら、椅子を並べ替えたりして忙しくして気を紛らわすのも意味があるのかもしれません。

話がずれました。日本の政治も似たり寄ったりです。アメリカの属国であるという原因を見ないようにして、表面ばかり独立国であるかのように振る舞うことで、権力を保持しているのが自民党とその補完勢力でしょう。日本の政治ゴッコはそれこそタイタニックの上での椅子取りゲーム(権力争い)と変わりません。ま、しかし、それを国民が選んだのですから、仕方がありません。恨むなら己が不明を恨むべしです。

だからといって、社会や政治にことにアパシックになるというのではないです。汚いものを見て単に目を背けるのではなく、そういう現実を客観的に受け止めた上で、それに関して愚痴を言うのはやめる努力をしたいと思うようになりました。言うは易しですけど。
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新マウスプロジェクト

2017-10-27 | Weblog
先立つものは相変わらず心もとないのですが、新しいプロジェクト始めることにしました。まずはツール作りです。いろいろ考えた結果、結局マウスを作るのが最も簡単だろうという結論に達しました。
この結論に至った時は、ちょっと我ながらビックリしました。一昔は、マウスを作るだけで年単位かかるプロジェクトで、作りさえすれば出版が保証されるという時代もあったからです。それが、今や、マウスを作るのがツール作りの中では最も簡単、という時代になりました。感慨深いです。

しかも、試薬会社がそれに必要なものを作ってくれるのです。2年前に初めてCas9を使って変異マウスを作った時も、マウス作りもこんなに簡単になったのだなあ、と感心したものですが、それでも打ち込むsgRNAは自分でコンストラクトを作って、予備実験をした上で、in vitro transcriptionを行い、精製するというぐらいのことはやりました。今や、Cas9蛋白/mRNAとtracrRNAはすでにストックされており、リペアのssDNAとcrRNAはシークエンスを指定して注文するだけです。ベンチでの作業はゼロ。

少なくともツールを作るという点においてマウス作りに大したクレジットが与えられることは無くなりました。ESの時代はコンストラクト作り、ES細胞の培養、クローニングとスクリーニングで、毎日気を使う作業が長期間に続き、そのあとはマイクロマニピュレーターを使ったキメラマウス作り、キメラができたあとは、無事に生殖細胞へ落ちるかどうかとやきもきし、落ちなければ一からやり直し、かつては、マウスを作るのは時間的にも労力的にも大変なものでした。

マウスはまだ多少高価な実験ですが、細胞株でin vitroで再構築系を作ってアッセイするような実験でも別にそう安いわけでも早いわけでもはありません。マウスが発生段階で数日でやってしまうようなことが培養系の細胞では数週間かかります。また、マウスが無事できればその遺伝子の形質に対する作用の解析、細胞を使っての解析、などなどと培養細胞で再構築するよりもメリットが大きい部分も多いですし。

今回もCas9を使ってマウスゲノムに微小変位を入れようと考えています。Cas9を使った遺伝子改変は小さな変異は得意なのですが、まだ長いものを挿入するのは効率が悪く、その点が難点でした。しかし、それもlong ssDNA(一本鎖DNA)を使うことでかなり効率が上がるようになったようです。この技術の開発でfloxed mouseの作成など、複数の変異を長い距離にわたって入れないといけない場合などの問題も解決できそうです。ただ、長いssDNAを調整するために、一旦、in vitro transcriptionでdsDNAをRNAに転写して、そのRNAを逆転写してDNAの戻すという手順を踏むのが面倒です。

この方法を知った時、京都の大名炊き(贅沢煮)という料理を思い出しました。贅沢煮といっても原材料は沢庵などの漬物です。そのままでも食べられる古漬けの漬物を、わざわざ一旦、塩抜きして味をつけて炊きなおすという「手間」のかかることをするのが贅沢であるというのが名前の由来のようです。こういうムダな贅沢に見えるようなことをするのを合理主義の京都の人は「冥加に悪い」などと形容します。

ssDNAにするために、せっかく作ったdsDNAコンストラクトをわざわざ一旦、RNAにして、逆転写でDNAに戻すのは冥加に悪いように感じますけど、私はこういう工夫が昔ながらの分子生物の基本を利用している点で好きです。アメリカ人なら高性能のDNA合成機械を開発して合成するというストレートな方法を好むでしょうが、とりあえず使える身の回りのものを使って目的を達成する工夫を楽しむというのは日本人好みだと思います。

ssDNAといえば、大昔はプラスミドのインサートのシークエンスを決めるためにDNAを環状一本鎖にするという面倒なことをやっていた時代もあり、そのためにヘルパーファージを使っていました。稀に、M13ヘルパー ファージを使った経験のある人に出会ったりすると、妙な親近感を覚えます。(共感できる人はオヤジです)
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痛い学びの機会

2017-10-24 | Weblog
衆院選の結果には、がっかりしました。与党2/3の阻止でも達成できればと思いましたが、叶わず。
いよいよ戦争へ近づき始めました。改憲はアメリカ軍の使い走りとして極東の軍事戦略に自衛隊を使えるようにすることが第一の目的でしょう。もちろんアベと日本会議の子供じみた見栄もあるでしょうが。アベの最後の秋葉原の演説の様子を見ましたが、まさに北朝鮮。道路をほぼ封鎖状態にして、一般人や反アベ派が近づけないようにした上で、日の丸を長い竿に取り付けた親衛隊が演説場を取り囲んでいました。全く同じ仕様の日の丸と竿ですから、どう見ても一般人ではなく、組織的なものです。あー気持ち悪い。

男人形、恐怖の男、安倍氏」との30年前の記事は、操り人形の安倍氏が戦争を身近にすること、国民の困窮が起こることを予言し、日本の国のために命を捧げられるほどの人間選びをしなければ、国民は草も口にできなくなると警告しています。

そして、戦争の隠れた目的は、非常事態にかこつけて、政府が国民資産を差し押さえ、日本の借金をチャラにして、その隙に火事場泥棒を働くことではないでしょうか。日本政府としては、可能なら日本が戦場になって欲しいとさえ思っているかもしれません。アベが日本の財政立て直しを戦争に頼ろうと思っているかどうかはわかりませんが、改憲と支持率のために北朝鮮を煽っていると「瓢箪から駒」になりかねません。

今回の選挙、気の毒なのは共産党です。我が身を切ってまでも大義のために野党共闘に骨を折ってきたのに、風を読み間違って傲慢な態度に出た緑狸、それに乗せられた前原氏、彼らの判断と詰めさで、せっかくの努力が台無しにされました。面白いのが旧民進党候補者、緑狸党から出た候補者は半分が落選したのに対し、立憲民主から出た候補者は全員当選、無所属も8割当選。変節したり選挙のために主義主張を変える人間は信用できないということですな。緑狸を担ぎ損ねた小沢一郎、もうこれで限界なのでしょうか。

ま、しかし、そうは言っても、結局、自民党を支持したのは国民です。いくらアベがメディア操作をし、北朝鮮危機を煽ってアホーマンスを繰り返して印象操作をしたせいだとしても、この史上一、卑怯で無能な政権の愚かさに気がつかない者とそれを知った上で何らかの事情で与党に票を投じた国民が選んだ政権です。民主主義のルール上は止むをえません。これで自分の首を絞めることになっても自業自得というものでしょう。しかし、その選んだ政権は民主主義を「屁」とも思わず、その権力で自分たちとその関係者で国家を私物化し、北朝鮮同様の独裁国家にしようとしているのですけどね。

それにしても明らかに自らの犯罪隠しのためにやった大義のない解散で、こういう結果になった以上、アベはまたこの結果を理由に黒いものも白と言い張るのでしょうな。この選挙のために逮捕までされ、アベに犯罪者呼ばわりされた籠池氏が気の毒になります。

しばらくは成り行きを見ましょう。栄えれば滅び、平和の後は戦争になる、そういうサイクルを繰り返して、だんだん世界は良くなっていくのでしょう。戦後70年、敗戦国家の日本がアメリカの下僕となる道を選んだのと引き換えに、平和と経済成長とその後の豊かな社会を日本が享受できたのが、そもそも例外的でした。その間、他の国ではずっと侵略戦争や内戦、テロで大量の人間が殺されてきたわけですからね。アベ政権を支持した日本人、痛い目に合わないと学ばないのなら、また痛い目に合うことになるのは避けられないでしょう。
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国防の最大の脅威はアベ政権

2017-10-20 | Weblog
転載します。

伊勢崎賢治氏(東京外語大学大学院平和構築学教授)、山尾しおり応援演説 (小原美由紀さんのサイトから)から。

「今、日本の国防の最大の脅威は、安倍政権です。これは、リベラルな立場で言っているんではなくて、極めて専門的な立場で申し上げています。その理由をおはなしします。」
=========
今、僕の紹介にありましたが、NGO職員とか、国連の職員。
僕もたぶん、護憲派で、リベラルで、平和主義者、みなさんと同じ・・(拍手)
・・だという印象をもたれているかもしれませんが・・、(笑い)
実は違った側面もありまして、 実は、僕は防衛省の自衛隊の先生です。もう10年やってます。ただの自衛隊ではありません。東京の目黒に統合幕僚幹部学校というのがあるんですね。陸海空の精鋭を育てる、高級過程というところで、幹部と候補生を10年教えてます。
なにを教えているか。戦争の勝ち方です。それを教える人がいないんです、日本には。なぜかというと、戦争にどう勝つかは、アメリカが考えるんです。自衛隊ってのは、非常にいいにくいんですけど、アメリカの二軍なんです。アメリカが考える戦略にどう従うか、ということだけをずーっと戦後70年考えてきた。
「もしかしたら戦争が回避できるかもしれない」
そういうことを主体的に考えたことが、日本はないんです。70年間。これはほんとなんです。自衛隊のカリキュラム、幹部候補生を教えるカリキュラムがそういうふうにできちゃってるんですね。
ボクはあまりテレビは観ないんですけど、今日の朝、たまたまみたら
朝からですね、自民党の安倍さんが出ているんですねCMに。
「この国を守る!」・・筆頭に出てくるのが、北朝鮮の脅威なんですよ。
僕は自衛隊の先生でありますし、国立大学の教員でもありますし、教えてる自衛隊の最高司令官は、安倍首相です。 その立場で非常に言いにくいんですけども。
今、日本の国防の最大の脅威は、安倍政権です。(笑い、拍手)
これは、リベラルな立場で言っているんではなくて、極めて専門的な立場で申し上げています。その理由をおはなしします。
実は、先月、今から3週間前 ぼくはソウルにいました。トランプ政権がこれから戦争やるやる、って言ってる ソウルって、北朝鮮の国境から、50キロちょっとしか離れてないんですよ。
ここから名古屋駅のちょっと先ぐらいです。そこに敵がいるんです。大砲向けてるんです。そこに呼ばれたんです。 
だれが僕を呼んだんでしょう。
アメリカ軍、陸軍の太平洋地区 最高司令官のロバート・ブラウン大将です。いちばんえらい人です。
ソウルでこの時期に太平洋地区の32カ国の、陸軍の最高司令官だけを呼んだ会議を開くから、そこで講演してほしいと依頼されました。アメリカに呼ばれたんです。
なんで、この時期に、アメリカの陸軍がそういう会議を開くか。
それもソウルですよ、ソウル。
アメリカは、一枚岩じゃないんです。
アメリカには大統領府がある。イケイケどんどんですね。安倍さんみたいに。
アメリカには、国務省があるわけです。外務省にあたる。
国防総省があるんです。軍があるわけです。軍の中でも、陸、海、空とある訳です。その中の陸軍です。戦争回避したいんです。彼らは。
なぜかというと、戦争が始まっていちばんおはちを食うのは、陸軍なんです。
それは、空軍であれば、基地を飛び立って、爆弾落として帰ってくるだけ。それだけですよ。爆弾落として、そのあとどうするんですか?
敵を倒すのは政権を倒すのは簡単なんです。アメリカの技術をもってすれば。
金正恩なんて、すぐ殺せます。
なぜ、それをしないのか。 リスクを考えているからですよ。
戦争というのは、敵国の政権を倒すだけで終わりじゃないんです。
その後に、人民がいるんですよ。
その人たちを統治しないといけないんです。そこではじめて、戦争に勝ったというんです。

日本人わかんないでしょ、この難しさ。だって、我々はうまく統治されたわけですよ。私たちは唯一の成功例なんです。我々が。
ところが戦後、アメリカはアフガニスタンで失敗した。だから私が呼ばれたんです。その前はベトナム。イラク。すべて、敵は倒したけど、そのあとの占領統治で失敗した。つまり、戦争に失敗してるんです。
だから、「開戦した場合のコストとリスクを将軍たちに教えてくれ」、という依頼でした。
これも、アメリカなんです。
大統領は、やれやれ言ってますけど。そこを考えて、じゃぁ日本政府はどうするか、って考えなきゃいけないんですよ。
ところがどうしたわけか、トランプ政権の足元で、きゃんきゃん、きゃんきゃん、小型犬みたいにきゃんきゃん吠えてる国があるわけです。これが残念ながら、我が国の首相なんです。
もし、開戦したらどうなるか。ソウルが火の海になる。50キロしか離れてない。
米軍を胎内に置く我々も狙われるかもしれない。たぶん、そこまでだったら、アメリカは総力をかけてあの政権を倒すでしょう。 倒した後が、問題なんですよ。
だって、200万人いるんですよ。あっちの軍が。
トップの首を落としたら、簡単に投降すると思いますか? しないんです。
そっからが大変なんです。内戦になります。

アメリカはいつでも、手を洗って、自分のとこに帰ってきます。
戦場となるのは、朝鮮半島かもしれない。ソウルかもしれない。もしかしたら日本かもしれない。
これが日本や韓国、こうした立場に置かれた国を「緩衝国家」といいます。
つまり、大国の戦争の狭間にある。戦場となるのは、我々なんです。
アメリカ本土じゃないんです。それも、通常戦力でできるわけです。何万人も死にます。試算が出てます。
だから、気をつけてほしいわけです。だって、アメリカの陸軍の軍人たちが、自分たちの代表に、気をつけさせるために、こういう会議を開いてるんですよ?
なーんで、日本の首相が煽ってるんですか?  ・・でしょ?
今、会場にお子さんたちがいらっしゃいますが、今ある平和がお子さんたちの代に、もし、なかったとしたら、それをそういうふうにさせる、最大の脅威は、
大変申し訳ないけど、安倍政権です。 安倍政権です。
ぜひ、これは、ほんとに ご近所の方に、ここに来られているみなさん、伝えて下さい。このままにしていたら大変なことになります。 ぼくだけじゃないんですよ、実は言ってるのは。自衛隊のOBたち、それも幹部経験者の一部の方はキャンペーンをはじめました、実は。粛々と。
反政府運動はできないけども、立場としてね。安倍さんのあのやり方は、まずい。日本の国防を脅かす。
国防をだれよりも知ってる方が、そういってるんですよ。

絶対、安倍政権は倒さなきゃいけない。
山尾さんの話をします。
山尾さんが勝たなきゃならない理由はふたつあります。
一つは、もちろん、ここの自民党に負けるわけにはいかない。あったり前です、こりゃ。 絶対に勝たせてあげて下さい!
もう一つは、たとえ山尾さんがここで勝っても、たぶん、自公の力は弱まらない。つまり、ここで山尾さん勝っても、自公に勝てるわけじゃない。
それに対抗するには、それに反する勢力が、まとまらなきゃいけない。
まとまってますか?いま。 まとめる力が必要なんです。
それを期待しているんです。 (大きな拍手)
今回、幸か不幸か 無所属になったのは、ボクは結構うれしいんですね。逆に。
だからこそ、彼女のしがらみのない発言とか、指導力が、逆に発揮できる。
で、並み居る政党が、逆に彼女の元に集う。
その力を見初めたから、僕は彼女を応援しているんです。(大きな拍手)
野党をまとめるために、山尾しおりが必要です。
それだけじゃないんですね。僕が彼女に期待するのは。
戦後、世界のモラルに影響を及ぼすような、リードするような、日本の指導者、現われましたか?
たとえば、今のカナダの首相、トルドーさん。かっこいいですよ!難民とか、イスラムとの戦いについても、米国にはない新しい価値観。 忘れちゃいけない、ドイツのメルケルさん。また政権を維持しました。ああいう、一国のリーダーだけじゃなく、それ以上のものに。
その力を 彼女に、ボクはみたんです! (大きな拍手、歓声)
絶対、彼女はやるでしょう!  ね。
ボクは、ついて行きますよ(笑)ホントに。 あの、側近として。こき使って結構ですから。(拍手)
そういうわけで、今日の僕のメッセージは二つです。
絶対勝たせなきゃいけない理由は、この地元です。
もう一つは、彼女は、日本を率いるリーダーです。
世界のモラルをリードする人間です。 そこです。
ほんとにほんとに、僕は、なにもしょってません。一研究者ですから。
安全保障専門家を自負しています。
今の自衛隊の幹部すべて、幸か不幸か どんなにえらい自衛隊の幹部でも、戦ったことないんです。それはよかったかもしれない。
ボクは逆に戦う現場にいました。国連の多国籍軍を率いる立場にありました。アメリカ兵とも行動を共にしました。 実際 僕の命令で、人が亡くなっています。
その立場の人間として申し上げます。
今一度、申し上げます。
安倍政権をこのままにしておいたら、我々の子ども、孫、今ある平和は続きません。
最大の 国防の脅威は、安倍政権です。これを、僕の立場で、申し上げます。
ありがとうございました。  (大きな拍手)
 
~~10月17日 愛知7区 山尾しおり 瀬戸つばきホール
      「立ち向かう集会」にて
伊勢崎賢治さん(東京外語大学大学院平和構築学教授)の応援演説でした!
        
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ピンチはチャンス?

2017-10-20 | Weblog
グラントのスコアが思ったほど伸びず、採択ラインに僅差で届かず。このネタは前回も僅差で落ちました。弱点を強化して共同研究者をリクルートし厚みと力強さを補強して再挑戦したものですが、前回とほぼ同様の評価でがっかり。かなりパワーアップしているのにその点が評価されていないようで、これではどうしようないです。このグラントはまず大丈夫だろうと、取らぬ狸で、新しい研究も始めたところだったので、今後どう対応すべきかと頭を抱えています。費用を細かく計算しながら切り詰め生活、乗り切れるのでしょうか。

しかも、今年は、これですでにグラントは3連敗。グラントに集中して費やした時間とその間に進んだかもしれない研究の遅れを思うと悲しいです。しようがないので、最近覚えたマントラ「ピンチはチャンス、ありがとう」を唱えています。ま、目の前にやるべき仕事もありますので、それにとりあえずは集中します。やることがあるだけ恵まれていると思うようにします。二週間後が締め切りのものを済ませたら、ちょっとグラントの方は休んでもっと生産的なことをしたいと思っています。一度きりの人生ですしね。
ちょっと、愚痴っぽくなってしまいました。
すみません。
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排除と寛容

2017-10-17 | Weblog
先日、イギリスで研究室を持っている大学の先輩と久しぶりに会う機会がありました。20年前から折につけいろいろお世話になっている方です。
誰でもいろいろ辛い経験をしてキャリアを積んでいくわけで、私もどうしてこうも辛いのかと嘆きたくなる経験をしながら、なんとか研究をメシの種として生きてきました。今、思えばそれだけで十分、幸運なことで、辛い経験を嘆いてはバチが当たるとういうものです。
その先輩、いろいろな障害や困難の多い研究人生で、大変な苦労人なのですが、永久職であるはずの現在の大学で、しばらく前から再び新たな困難に見舞われているという話を聞きました。
どこでもある話のようですが、学問を追求する場である大学も、そこに関わる人間の中には、真の目的は、カネであったりパワーゲームに勝つことであったり、という場合が多々あります。経営者にとってはカネ、それから理想、大学の名誉、などなど、学問以上に大切なものがあります。
近年、研究資金配分や大学経営がネオリベ的競争原理とマーケットの論理に翻弄されるようになってきたことが、嘆かれていますが、何処も同じで、地獄の沙汰もカネ次第、長期の繁栄やヒューマニティーの促進、大学の使命、そんなことよりも、目先のカネが大学の教育も研究も運営も決めるようになってきているようです。
その先輩の所属する大学でも、どうも大学側が、コスト削減のために教員を減らそうとしているらしく、外国人、特に東洋系がターゲットにされているとのこと。すでに数人は他大学や他の施設に移ったりしている様子。その方は複数のグラントを保持してアクティブな活動をしているにもかかわらず、ターゲットにされているようで、大学側は、将来性の少ない研究分野を廃止すると言う名目で研究室潰しを進めようとしているらしいですが、フタを開けてみれば、それはことごとく外国人PIの研究室だったという露骨な人種、民族差別。グラントを複数獲得し間接経費で大学にも貢献している人を追い出すためにグラントを返却さえ迫る大学というのはかなり狂っています。労働組合が支援してくれているのはいいが、矢面に立たされて、大学との対立は深まる一方らしく、研究に専念するのも容易ではないという気の毒な話。これには、本当に同情しました。ただでさえ日々、研究に専念していないと生き残っていけないような業界なのに、本来、研究者を守るべき大学や研究施設が逆に対立してきて貴重な時間を奪われるというのは研究者にとっては死活の問題です。もちろん、私はそんな大学はさっさとやめて、別の場所に移るべきだと言いましたが、言うは易し行うは難しなのは私もわかっているわけで、複雑な気分。ポジションを探してまた一から研究室を立ち上げて軌道に乗せるまで、多分1年以上のロスが出ます。このご時世、グラントを持っていてもポジションが見つかるかどうかもわかりません。これが私のような超弱小研究室であればこの時間のロスは十分、致命傷になりえます。加えて、それまで長年の生活の基盤をいろいろな意味で失うことになるわけですからね。

Brexitやトランプのアメリカファーストに見られるように、己が不幸を外国人に転嫁し、その「敵」を排除すれば、生活が向上する、と言う幼稚な心理が跋扈する近年、世界的に不況になり余裕がなくなってきている証拠だと思います。人々がまだ理性を維持できてブレーキをかけることができるのなら良いのですが、これが集団化したり権力者が声高に叫ぶと、ナチスなみに厄介なことになります。

異質なものを排除すれば、やりやすい組織や社会になる、と考えるのは幼稚すぎるというものです。本来なら、異質なもの、合わないものとなんとか折り合いをつけてやっていくことを学ぶのが人間の個人として、そして社会としての成熟であり、合わない物を「排除」する、極端には殺してしまおう、と思うこと、ましてそれを口にすると言うのは、自分が如何に幼稚であるかということを公言しているようなものです。

そして、国民の多くが幼稚であれば、それを支持してしまう。衆愚政治の恐ろしさは付和雷同する多数の未熟な人間の操作された総意の方が少数のより賢明な意見よりも優先することです。
選挙の自民党の大勝を予想するニュース結果には暗澹たる気持ちになりますが、あれほど嘘とゴマカシ、無責任、責任転嫁、大失敗の経済政策で成果ゼロ、己の犯罪の追求が怖くて衆院を解散するような党を、信任するというのは、一体、どういう病理でしょうか。ただ、「排除の論理」で一気に支持を失った緑狸党をみると、まだ国民の多くは成熟した判断力を持っているとも私は感じます。

今回の選挙は、予想外の興味深いことが起きています。保守、改憲派の漫画家である小林よりのり氏が、「自民党は保守ではなく、単なる対米隷属党だ」と言って立憲民主党の応援演説に立ちました。また、右翼の一水会の鈴木邦男氏も立憲民主党の応援演説したとのこと。

兵頭正俊 @hyodo_masatoshiツイート
一水会の鈴木邦男が立憲民主党を応援。もう状況は、右も左もない。戦争か平和かの闘いです。偽物か本物かの闘い。売国奴か愛国者かの、そして底なしのバカか、未来を想像できる利口者かの闘いになっている

つまり日本がアベによってここまでひどい状況に追い込まれてしまったことに強い危機感を持った人々が、右翼左翼、保守リベラルという軸での立ち位置を離れて、共闘する状況になっています。

10月13日の共産党の小池さんのツイート
岩手県庁前をぎっしり埋めた聴衆の皆さんに「岩手3区は小沢一郎さんを!」って呼びかけた時、ちょっとふるえました。こういう日が来るとは。感無量です。

元をだ出せば、小沢一郎はかつては自民党の若きエース。共産党が自民党出身の候補者の応援に入るという快挙。

かつての自民党は良識のある本物の保守がいましたが、今は己が保身と党利党略のために正常な判断力と良識を貫く人がいなくなってしまい、北朝鮮労働党と大差なくなってしまいました。

話がずれました。異質なものを排除するという話でした。結局、自分が一番なのは誰でも同じ、しかし、その上で自分と異なる人、利害が対立する相手にでさえ思いやりを持つこと、が社会を営む人間としての成熟に他なりません。ダライ・ラマも教える通りです。

イギリスでもアメリカでも日本でも、己の不幸を異質な者に転嫁する、これは安易な解決法でありますが、実は何の解決も生みません。他人に責任転嫁すれば、自分は努力して向上する必要がないわけですからね。そういう連中に限って逆に競争の原理を振りかざし、恣意的な基準によって己に邪魔な者を排除しようとするのだからタチが悪いです。Diverseな環境を維持していくことの有意義さは過去のアメリカの成功からも明らかです。逆にピューリタニズムが招く弊害、特に学問の分野において、はいうまでもありません。
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学位審査

2017-10-13 | Weblog
ちょっとした縁がきっかけで、他大学の博士課程学生の学位の学外審査員をやることになりました。しかも全く畑違いの蛋白化学。ただし、新しいペプチド化合物の細胞への応用を中心にした研究なので、生物学的な部分について評価して欲しいとのこと。200ページ近くある学位論文のゲラが送られてきましたが、半分ぐらいはチンプンカンプン。わかる部分だけ見て、博士候補の人にあらかじめそっと質問内容を伝えておきました。

約1時間の口頭発表は、いろいろと興味深く、結局、伝えた質問以外の質問ばかりすることになってしまい、学生さんをちょっと狼狽させてしまったようです。悪かったなあと思いましたが、口頭試験はパスになったので、結果オーライで許してくれるでしょう。
他の学内委員の人々は、学位論文の出来に不満だったようで、結局、学位論文のmajor revisionを要求することになりました。
しかし、この200ページの力作の学位論文ですが、一体、誰が読むというのでしょうか。人目に触れる重要な部分はすでに論文となっているわけですから、結局はこの大学の図書館の片隅に延々と保存されるだけのことでしょう。それをmajor revisionで書きなおさせるのは何の意義があるのだろうと疑問に思わずにおれません。確かに勉強不足の部分はありますが、この学生さんも博士をとった後はテクノロジートランスファーの部門でインターンをする予定とのことで、ベンチサイエンスからは足を洗うようなことを言っていましたし。学位論文の内容をよくしようとする過程でいろいろ学ぶこともあるでしょうから修行のうちともいえますが、研究成果を出して論文を出したのなら、それだけで学位を与えるに十分ではないかと私は思うのですけど。(と言いつつ、私の方も論文を通すためにレビューアに言われた馬鹿げた実験をやっているワケですが)

昔から学位など、足の裏の米粒、とよく言われました。取っても取らなくても大差はない、あるいは、取ったところでどうということもないが取らないと気持ちが悪い、という謂らしいです。ま、私なんぞが審査員をするのだから、いい加減なものであることには違いありません。最近は、ますますそういったタイトルのバカバカしさを感じることが多くなりました。

でも、たまに若い人と交流するのは楽しいです。若い人が一生懸命やっているのを見るのは眩しいですね。彼女の人生のささやかな一部に係ることができてよかったと思いました。これからの長い人生、色々あるでしょうが、頑張ってね、と心の中でつぶやきつつ、大学を後にしました。
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有権者を欺いてはいけない

2017-10-10 | Weblog
中身はカラッポ、自民の補完勢力としての本性を露わにした希望の党への期待が急激に萎んでいます。公約で12のゼロ、自ら名付けて「ユリノミクス」らしいです。ギャグでしょうか?原発ゼロ、ブラック企業ゼロ、などと耳障りの良いものから、花粉症ゼロと意味不明のものまで並べ立てていますが、この人、都知事選に出た時の公約では「7つのゼロ」を掲げましたが、今の所、何一つ達成の見込みもなく、あれだけ大騒ぎになった築地の豊洲移転の問題も棚上げにしたまま、ほぼ放置。12のゼロに付け足して「公約達成ゼロ」を公約にしたらどうでしょう。ま、折を見て全部投げ出して国政へという魂胆なのでしょうね。

東京新聞が苦言。
<衆院選>希望の党公約 政権選択と言えるのか
希望の党が衆院選の公約を発表した。政権選択選挙を掲げる割には、主要政策で自民党との違いが見えず、首相候補もいまだ明らかではない。これで政権を選べと言われても、無理な話ではないか。
 、、、原発については「二〇三〇年までにゼロを目指す」ことを掲げ、政策集で「原発ゼロを憲法に明記することを目指す」と記すが、同時に原発の再稼働も認めている。全廃期限を区切ったことは評価できても、再稼働を認めるのなら自民党とさほど変わらない。
 憲法改正も同様だ。自衛隊の明記など四項目を中心に改憲を目指す自民党に対し、希望の党は「憲法九条を含め改憲論議を進める」としている。九条に自衛隊を明記する自民党案に賛同するのなら、政権選択は無意味に帰す。
 政権選択選挙が現実味を帯びてこないのは、希望の党の首相指名候補がいまだ明確でないことと無関係ではあるまい。、、、安倍氏以外の自民党議員の首相擁立を想定しているのかもしれない。、、、政権交代を託して希望の党に投票したら、結局できたのは自民党首相政権だった。そうなれば、悲劇を通り越して喜劇ですらある。有権者を欺いてはならない


ちゅーことですな。アベが支持を失ったのは、ウソつきで信頼できないからです。国民を舐めているから騙そうとするのです。緑のたぬきがそうと呼ばれるには理由があります。立憲民主党がリベラルの受け皿としてのみならず、広い応援を得ているのは、とりあえずは最も誠実そうに見えるからではないでしょうか。

たぬきに騙されたのか、リベラル潰しのために仲間を騙したのか、地元の京都で落選運動まで始まった前原氏、「小池にはまって、さあ大変」と替え歌を歌われる始末。騙すつもりが騙されて、たぬきと一緒に泥の船、となっても自業自得です。胡散臭さが満載の希望の党に比べ、野党の共闘を主導してきた最近の共産党の好感度は上昇。こっちの小池さん(アキラ)は頑張ってほしい。結果、野党共闘、無所属を選んだ元民進党、自由党の人々は躍進しそうな感じ。希望の党は自滅、自民も相当な票を減らすでしょうから、少なくともアベの退陣は間違いないだろうと思うのですが、どうなりますか。

それにしてもアベは情けないですな。ヤジが強くて遊説場所や時間を宣伝することができず、逃げ回っているらしく、サクラ以外は誰もアベがどこで演説するのか直前までわからないらしいです。
解散の口実に言った「国難の突破」に国民がキレて、ツイッターで「#お前が国難」という言葉が急激に拡散した結果、アベの演説にも「#お前が国難」プラカードを掲げる人々が出る事態になっているそうです。「#お前が国難」以外にも、自民党党首のくせに演説のヤジから捕まらないように逃げまくるアベの行動を揶揄した検索語が増殖中。
#国難GO 、#国難を探せ 、#国難来たりてホラを吹く、 #国難をおもてなし、 #トンズラ総理、#ステルス安倍 、#会いにいける国難、などなど。

。ちなみに、「#お前が国難」プラカードの印刷はこちら。「#お前が国難」T シャツのご購入はこちらこちらなどから。
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飛行機での映画

2017-10-06 | Weblog


立憲民主党への期待の凄さ、心強いですね。結成から数日で、ツイッターフォロアーの数が自民党を追い越したとか、衆院選に100人近く擁立できるのではないかとか。一方、失速気味で本性を露わにしだした希望の党、緑のたぬきも看板にならないなら、前原氏の甘言に騙されて希望の公認を受けた民進党党員もこの際、公認を辞退して野党共闘に戻ればどうですかね。まさか、緑のたぬき衆院選不出馬が前原氏の首班指名とリンクしているということはないでしょうね。

(付け足し)ちょっと前の面白いツイートを見つけたので。
山口貴士 aka無駄に感じが悪いヤマベン @otakulawyer
あ、母さん?オレオレ。キボーの党から選挙に出るのに、供託金300万円と100万円の寄付金の振り込みしないといけないんだって、400万円ぐらい何とかならない?そう、今日3時までに振り込めって言われてるし、振り込まないと、刺客を立てられるかも知れないんだ。頼むよ。母さん。
12:12 AM - 4 Oct 2017

さて、ちょっと前に飛行機に乗ったので、映画をまとめ見しました。今日は、その感想を。
今年はハズレが多かったですが、最後に一つ当たりがありました。

1)沈黙 - Silence(2016)
遠藤周作原作。重い、救いのないところに救いを見出すという気が減入る映画。日本が舞台ということもあるのでしょうがアメリカ映画らしからぬ映画で、昔の日本映画のような感じ。なぜか、今村昌平監督の昔の映画「復讐するは我にあり」を思い出しました。小説で読む方がいいと思う。(65点) 

2)The Immortal Life of Henrietta Lacks(2017)
同名の本の映画化。何年か前に、Science紙かNatureの書評で取り上げられてたいのを覚えています。子宮頸癌からHela細胞が樹立されたヘンリエッタ ラックスとその家族の話。映画としてはドラマ性に欠け、演出もわざとらしくて、ダメでした。映画には向かない題材。Oprahの演技もちょっとどうかな、という感じ。(30点)

3)I, Daniel Blake (2016)
官僚主義的なイギリスの社会の中で、困難な生活を送る弱者を描く。これも救いの少ない映画。考えさせられるが、ジメッとした感覚が残る。日本の将来というか現在とオーバラップしますね。「沈黙」にしてもそうですが、「救い」の部分はもう少し明示的に描かれないと、見る方に暗い気分だけが残ります。(65点)

4)All we had (2016)
破産したシングルマザーと高校生の娘が、無銭飲食しようとしたダイナーで働くことになる。未熟な母と多感な娘。いまいち何を言いたいのか伝わらない映画。一杯のかけ蕎麦にチョコレートのトッピング。(40点)

5)La La Land (2016)
昔のミュージカル映画のパロディーのような映画。出だしはウエストサイドストーリー風。主演の男女が踊るシーンはアステアとロジャースのモノマネ。残念ながら、踊りも歌もアステア-ロジャースには及ばないところが悲しい。オーディションは「コーラスライン」や「フラッシュダンス」などでのクリシェな演出そのまま。主演の女の子のパリでの仕事に関する場面は、ジーンケリーの「パリのアメリカ人」を思わせるセット。ミュージカルとしても映画としても、演出もストーリーも陳腐感が強く残り、また主演の二人もイマイチてダメでした。MGM黄金期のミュージカル映画を見て育った私より2-4 世代上の人、もしくは昔のミュージカルを全く知らない若い世代の人はそれなりに楽しめるかも知れません。ただのモノマネやパロディーで終わるのではなく、何か新しいものを加えてもらわないとダメですね。音楽も同じで、陳腐。まるで、50 - 70年前の映画を見ているようで、単に昔を懐かしんで作っただけの映画のように私は感じました(が、後で、なんとアカデミー賞6部門を受賞したと聞いて驚きました)。(45点)

6)ドリーム (Hidden Figures) (2016)
これが今回、唯一、当たりの映画。米ソの宇宙開発競争の頃、アメリカでは人種隔離が行われていた時代に、NASAでの黒人女性の働きを描いた史実に基づく映画。勇気、情熱、スリル、同胞と家族愛、バランスよく詰まった感動の名作。爽やかな後味で、おすすめ。ケビンコスナーも適役でしたが、ヘアスタイルがさだまさしと同じになっていたのがちょっと悲しい。あと、邦題の「ドリーム」は変えた方がいいのでは。差別の下、NASAの宇宙計画を支えた黒人女性という、人種と性差別が重要なモチーフになっており、「ドリーム」では、原題の「差別の中で重要な役割を果たした人々」という含意が読み取れません。(85点)
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賢明な人々

2017-10-03 | Weblog
賢明な人々というのは、自分の行いがもたらす結果ではなく、行いそのものを気にかけます。懸命な人々の歩む道はとても単純でまっすぐで平坦なので、進むべき方向がわからずに途方にくれるということがないのです。こうした人々のことをヒンズーの神クリシュナは「行動の結果にこだわらず行動する人」と呼び、「行為の結果を放棄した人はこの上なく善良で賢明である」と言っています。

というジェームス アレンの本の一節を思い出しながら、今回のドタバタ政治劇場(これを政治と呼ぶにはあまりにレベルが低すぎますが)を苦々しく見ています。ここに登場するメインの役者は多くの国民も含めて、上の定義からすると「賢明な人々」ではない。ほとんどが見え見えの醜い自己保身とエゴのドロドロの欲の上に薄い砂糖のコーティングを施したような見るに耐えない醜悪な食えないケーキです。

言いたいことはいろいろありますが、特に民進党と緑のたぬき新党のドタバタ。リベラルを含めた同じ党の仲間を見捨て、選挙で己が当選するために理念を捨てるというのでは、本末転倒であり人の道に外れる、というものです。

今回の奇手は小沢一郎のアイデアだろうという推測がありますが、前回の「未来の党」のことを思い出すとそうかも知れません。奇手は一局の勝負に勝つという短期的な目標には役立っても、長期的な繁栄にはマイナスです。彼は日本に二大政党制を作りたいと言い、事実、奇手を使って二度、政権交代を起こしましたが、いずれも短命であり、その後は却って一党独裁を進める結果となりました。それは「政権交代が起こるような二大政党制」という形式な結果を得るために「正当な行い」を経ずに奇手に頼った結果ではないのか、と今回のドタバタを見て、私は批判的にならざるを得ません。そもそも形だけ二大政党制となったところで、そこにいる議員が自分の当選のことばかりを気にかけ、理念は二の次というのでは何の意味もないです。和を優先し場の流れと空気で意思決定が行われる日本で二大政党制と言うやり方がそもそも馴染まないのではないか、あるいは、政治屋の質が悪すぎて、日本は民主主義に基づく立憲政治を行うこと自体を普通にできるだけの能力がない(アベを見たらそう思わざるを得ないです)のではないかと思います。

緑のたぬき新党というポピュリズムの権化に持参金つきで身売りする民進党、「名より実をとる」と前原氏は言いましたが、この行為そのものが実を捨てているように私には見えます。つまり本末転倒と言うことです。われわれの分野でいえば、研究するために研究費を貰うという建前だが(しかし研究費がもらえないと何もできないから)実際は研究費を貰うための研究をしている、というのに似ています。本音と建前は誰にでもあります。しかしながら、建前に正直であろうと努力するからその人は信用されるので、建前を軽んじ、人の道を外れるような行為を行えば、信頼失うというものです。選挙に勝たないと意味はない、と「結果のためには手段を選ばない」ことを正当化する理屈もよく見られますが、そうした態度が長期的に賢い選択であった試しはありません。冒頭の一節にあるように賢明な人々は、結果ではなく行為そのものの正しさに注意することによって、短期的には損を出しても長期的に安定した結果を出していく、そのことは古人が繰り返し伝えるところです。

二、三、ネットで見た意見を紹介します。

選別する、全員受け入れる気はさらさらないby小池百合子 から。
今回の総選挙、前原は、どんな手を使っても安倍政権を終わらせると言っている。その考えには共鳴できるし、一見よさげに見えるが、除籍処分した人達に頭を下げて入れてください。と言うのか。そして安保法制や憲法に関しても、自分たちの信念を曲げてまでも、希望の党に沿うような姿勢を示さなければ、冷徹に切られる。
公党としてその旗の元に集うって来た党員を、代表が希望の党に合流する宣言して、身売りするような事を平気でする。しかも、持参金付きで、組織まで差し出して。。。
仲間のリベラル派議員は身ぐるみ剥がされかねないのに?信念・理念からして、合流できるわけがない。、、、、右寄りの議員が希望の党に合流するのは良いとしても、仲間をないがしろにするのは、いかがなものか。、、、


枝野氏、リベラル新党結成での記者会見で。
、、、結論として残念ながら、希望の党の理念や政策は私たちが積み重ねてきた、私たちの目指す理念や政策の方向性とは異なるものだと判断をせざるを得ない。政治家にとって、理念や政策は何物にも代え難い、譲ってはならない筋だ。そして、これまでこの総選挙を目指して、地域の中で準備を進めてきた仲間が今回、どうしても選挙に出るなら無所属での出馬、あるいは残念ながら私から見れば、理念や政策が私たちとは異なる政党からの出馬を余儀なくされている。

志位委員長。「希望の党」 本性はっきりしてきた から。
、、、(希望の党が、民進党出身の候補を公認するかどうかについて)露骨な選別を始めたわけです。その基準は安保法制と9条を含む憲法改定に賛成することです。一番要のところで自民党の補完勢力としての姿がはっきり出てきたということだと思います。、、、希望の党は維新の会との連携も言い始めました。しかし、維新の会が果たしてきた役割は文字通り自民党の補完勢力です。
、、、(今度の総選挙が「自民か希望か」の政権選択選挙といわれていることについて)「自民か希望か」といっても中身は変わりません。一番の中心点、安保法制の問題や憲法の中身は変わらない。ですからこれは偽りの対決だと思います。どっちが勝ってもいまの悪い政治が続きます
、、、いまの希望の党への合流の動きとは一線を画して、本当の共闘の道を進み、安倍政権と正面から対決する姿勢をしっかり貫こうとする方々、安保法制を廃止し、立憲主義を回復するという共闘の「1丁目1番地」の大義にたって行動しようというみなさんが新しい流れをつくるのだとすれば、私たちは歓迎です。


「大義」 "Good cause" を重んじないものは信用できません。原因 (cause) が結果を生むので、Good causeが無ければGood results は生れません。

山本太郎「小池新党の踏み絵は踏めない」から。
「原発反対」を貫いたために住み慣れた芸能界を追われた男、山本太郎。政変にあっても信念を貫くようだ。
、、、山本は「親方(小沢一郎・自由党代表)から、まだ方針が示されていないからなあ」としながらも「(小池新党の)踏み絵は踏めない」と きっぱり 答えた。「憲法、安保法制、沖縄の踏み絵は踏めない」と繰り返した。、、、山本は辺野古や高江で体を張って米軍基地建設反対を訴えている。国会では安保法制に反対の立場を貫いてきた。選挙で勝ちやすいからと言って、希望の党に行くわけにいかないのである。、、、しかし「安倍政権を倒すためには(野党は)大きくならないといけない」と苦悩の表情を浮かべた。とはいえ「毒をもって毒を制す。だけど毒が国中に回ってしまったらどうしようもない」。、、、「(もし希望の党に入ったら)トンデモ法案に賛成しなければならなくなる。自分に入れてくれた人への責任があるから、それはできない」。山本は続けた。


遠藤周作の「沈黙」では、仲間の人々の命を助けるために踏み絵を踏む宣教師が描かれます。今回の踏み絵は、逆に仲間や支持者を裏切って自分が助かるための踏み絵です。山本氏の言う通り、小池新党という「毒」でアベと言う「毒」を制すのは可能かもしれません。しかし小池新党の毒は本来、アベの毒と強い親和性を持つものです。仮にアベの毒が排除されてももっとヤバい毒が国中に回る、というのは、重大な危惧であり、そうなった時にどうするのか。また別の「毒」を探すつもりなのでしょうか?当たり前ですが「毒」には「解毒剤」を使わねばなりません。解毒剤がないのなら、そのへんの手頃な「毒」で一時しのぎするのではなく、解毒剤を開発することを考えるべきでしょう。そうで無ければ長期的な解決はありえません。

正しく見て、正しく考え、正しい信念にもとづいて正しい行いをする、当たり前のことを正直に行う、奇策を排し、正道を行うこと、ブッダも教えるとおりです。
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