某雑誌に投稿して二週間、Editorial rejectionのメールが来ました。この雑誌は過去4回挑戦しましたが、Editorial reviewをパスしたことが一度もありません。論文は遺伝子発現を広く調節するコンプレックスの役割を調べたもので、その作用は二つのシグナル伝達経路に収束するということをin vivo で示したのですけど、エディターはメカニズムで「遺伝子」を特定していないのが弱いというようなコメントでした。この雑誌に限りませんが、このレベルの雑誌のエディターの「遺伝子中心主義」とでもいうべき評価基準は根深いものがあると思います。幅広く遺伝子発現を調節するような分子の働きを包括的に調べるという研究では、限られた数の遺伝子でその生理的メカニズムを説明できることはまずありえません。だからこそ異なったレベルでのメカニズムの記述が必要だろうと私は思うわけですが、エディターの方ではそうは考えてはくれないです。「単純で美しいお話」を一流紙は好むので、書く方もそういうセンに沿っての選択圧がかかるのでしょう。それでますます、シンプルで美しいお話ばかりが一流紙に載り、メカニズムの部分が想定されるような形で提示されていないような論文は嫌われるということになるのでしょう。
ま、この単純で美しい話を好むというのは、もちろん、エディターに限ったことではなくレビューアもある程度、同じメンタリティを共有していると思いますから、仮にエディトリアル レビューをパスしたところで、レビューアから同じようなコメントが来てリジェクトされる可能性はあります。ただし、レビューアは必ずしもイデオロギーに沿ってではなく、サイエンスの中身を専門家として見てくれると思うので、エディトリアル レビューを通ればチャンスはまずまずあっただろうと考えていたので残念です。それに、同じ分子の研究を別の組織で行った研究がちょっと前にこの雑誌の姉妹紙でもっとインパクトファクターの高いジャーナルにでており、メカニズムという点では私の論文の方が良く詰めれていると思っていたので、レビューぐらには回ってもよかったのになあ、と思いました。ただ、その論文は超一流ラボから出ており、私のような無名の超零細ラボからのというわけではありませんから、エディターの心覚えももちろん違ったであろうとは思います。結局、同じフォーマットで出せるところに翌日、再投稿しました。
さて、世の中のニュースを二、三。
川内原発の再稼動に関して、Natureが「News in Focus」のコーナーでトップ記事にしています。
「Japan ends nuclear hiatus」(プリント板とオンライン板でメインタイトルが違います)
この中で、ヨーロッパなどではかなりの率を占めるようになった風力発電などの代替エネルギーが日本でなかなか一般化していかないのを、地域電力会社の電力関係サービスの独占支配が原因の一つと指摘しています。これは日本でも、もちろんずっと指摘されてきたことで、発電事業と送電事業が分離していないので、小規模の代替エネルギーによる発電を広く分配、供給することができないというエネルギーの無駄が起きているということです。資本主義ではカネのために大量の無駄を作り出しますが、これもその一例です。いずれにせよ、原発のリスクと利益をはかりにかければ、原発は小学生でも割に合わないことがわかります。この記事の最後にコロラドのエネルギー関係のシンクタンクのアモリー ロヴィンス氏は、「福島事故以降、核安全に関して日本は進歩はしてはきているものの、いまだに問題のある不透明さが残っている」と言っています。不透明さというのはほとんど、日本文化ですが、安倍内閣のように、人を騙したり、誤魔化したりするのはいけません。福島の事故を見て、事故が一旦おこれば、国も電力会社も何の責任も大した補償もできないどころか、むしろ意図的にその責任所在をたらい回しにしてウヤムヤにしてしまおうとする組織だということがよくわかりました。自分の身は自分で守るしかないのですから、国や原発の運営での透明性をもっと求めて監視していく必要があります。
SEALDs、8/23に安保法案反対の全国規模でのデモ。
本当に頼もしいです。内田樹さんが京都でのデモで連帯の挨拶。 おっしゃるとおり、運動は継続することが必要です。一過性のお祭り騒ぎではなく、持続して、生活の一部として社会に関わり、声を上げ続けていくことが大切だろうと思います。病気でも急性期よりもその後の回復期のケアの方がしばしば大変です。
それにしても、法案を提出した与党が、これだけ支離滅裂で、質疑にもマトモに答えられず、ごまかすか逃げるかしかできないような、中高校生がみても相当オカシイ法案なのに、簡単に廃案にできないのですね。少なくとも、政府がおかしいことは十分に知り渡ったのではないでしょうか。山本議員が国会で示したように、日本がいまだにアメリカの植民地で、アメリカと官僚が国の政策を決めており、与党政治家のほとんどはその利権組織を守るために国民を欺くための目くらましであることを国民の大多数が十分に認識すれば、変わるはずです。霞が関官僚も数では少数派ですから、国民全身が連帯すれば、いくら彼らが(ずる)賢くてもこれまでのようなやりたい放題はできなくなるはずです。
いまだにアメリカの植民地で官僚政治の日本。自分も官僚に使われる立場でありながら、史上最低の知能との人間性をもつ内閣と評される安倍政権、軍隊を持って歴史を修正すれば、戦前の「美しい国」にでもなれると本気で思っているのでしょうか。知性と人間性の問題に加えて不真面目。何十億円という税金を使って、国民の過半数が反対する安保法案を通さんがために、史上最長の国会会期延長をしたくせに、本人の国会の出席率は3割ちょっと、審議をサボってゴルフに行くというのは、普通だったら懲戒免職ものだと思うのですがね。
今週から、しばらく夏休みを取りますので、更新は不定期になる予定です。
ま、この単純で美しい話を好むというのは、もちろん、エディターに限ったことではなくレビューアもある程度、同じメンタリティを共有していると思いますから、仮にエディトリアル レビューをパスしたところで、レビューアから同じようなコメントが来てリジェクトされる可能性はあります。ただし、レビューアは必ずしもイデオロギーに沿ってではなく、サイエンスの中身を専門家として見てくれると思うので、エディトリアル レビューを通ればチャンスはまずまずあっただろうと考えていたので残念です。それに、同じ分子の研究を別の組織で行った研究がちょっと前にこの雑誌の姉妹紙でもっとインパクトファクターの高いジャーナルにでており、メカニズムという点では私の論文の方が良く詰めれていると思っていたので、レビューぐらには回ってもよかったのになあ、と思いました。ただ、その論文は超一流ラボから出ており、私のような無名の超零細ラボからのというわけではありませんから、エディターの心覚えももちろん違ったであろうとは思います。結局、同じフォーマットで出せるところに翌日、再投稿しました。
さて、世の中のニュースを二、三。
川内原発の再稼動に関して、Natureが「News in Focus」のコーナーでトップ記事にしています。
「Japan ends nuclear hiatus」(プリント板とオンライン板でメインタイトルが違います)
この中で、ヨーロッパなどではかなりの率を占めるようになった風力発電などの代替エネルギーが日本でなかなか一般化していかないのを、地域電力会社の電力関係サービスの独占支配が原因の一つと指摘しています。これは日本でも、もちろんずっと指摘されてきたことで、発電事業と送電事業が分離していないので、小規模の代替エネルギーによる発電を広く分配、供給することができないというエネルギーの無駄が起きているということです。資本主義ではカネのために大量の無駄を作り出しますが、これもその一例です。いずれにせよ、原発のリスクと利益をはかりにかければ、原発は小学生でも割に合わないことがわかります。この記事の最後にコロラドのエネルギー関係のシンクタンクのアモリー ロヴィンス氏は、「福島事故以降、核安全に関して日本は進歩はしてはきているものの、いまだに問題のある不透明さが残っている」と言っています。不透明さというのはほとんど、日本文化ですが、安倍内閣のように、人を騙したり、誤魔化したりするのはいけません。福島の事故を見て、事故が一旦おこれば、国も電力会社も何の責任も大した補償もできないどころか、むしろ意図的にその責任所在をたらい回しにしてウヤムヤにしてしまおうとする組織だということがよくわかりました。自分の身は自分で守るしかないのですから、国や原発の運営での透明性をもっと求めて監視していく必要があります。
SEALDs、8/23に安保法案反対の全国規模でのデモ。
安全保障関連法案に反対する大学生らのグループ「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動、シールズ)」が呼び掛けた「全国若者一斉行動」が二十三日、各地で行われた。シールズによると、北海道から沖縄まで、全国六十カ所以上でデモや集会があったといい、若者による連帯の広がりを印象づけた。
本当に頼もしいです。内田樹さんが京都でのデモで連帯の挨拶。 おっしゃるとおり、運動は継続することが必要です。一過性のお祭り騒ぎではなく、持続して、生活の一部として社会に関わり、声を上げ続けていくことが大切だろうと思います。病気でも急性期よりもその後の回復期のケアの方がしばしば大変です。
それにしても、法案を提出した与党が、これだけ支離滅裂で、質疑にもマトモに答えられず、ごまかすか逃げるかしかできないような、中高校生がみても相当オカシイ法案なのに、簡単に廃案にできないのですね。少なくとも、政府がおかしいことは十分に知り渡ったのではないでしょうか。山本議員が国会で示したように、日本がいまだにアメリカの植民地で、アメリカと官僚が国の政策を決めており、与党政治家のほとんどはその利権組織を守るために国民を欺くための目くらましであることを国民の大多数が十分に認識すれば、変わるはずです。霞が関官僚も数では少数派ですから、国民全身が連帯すれば、いくら彼らが(ずる)賢くてもこれまでのようなやりたい放題はできなくなるはずです。
いまだにアメリカの植民地で官僚政治の日本。自分も官僚に使われる立場でありながら、史上最低の知能との人間性をもつ内閣と評される安倍政権、軍隊を持って歴史を修正すれば、戦前の「美しい国」にでもなれると本気で思っているのでしょうか。知性と人間性の問題に加えて不真面目。何十億円という税金を使って、国民の過半数が反対する安保法案を通さんがために、史上最長の国会会期延長をしたくせに、本人の国会の出席率は3割ちょっと、審議をサボってゴルフに行くというのは、普通だったら懲戒免職ものだと思うのですがね。
今週から、しばらく夏休みを取りますので、更新は不定期になる予定です。