先日の内田樹の研究室で、野田内閣の支持率の急激な低下の理由がわからない、とありました。劇的な支持率低下を見たいという国民の心理が支持率の低下をもたらした、とう仮説だそうですが、これはちょっと的ハズレではないでしょうか。
ドジョウの支持率の低下の理由は明快です。まずは、最初の支持率が高すぎたこと。ご祝儀点に加え、空きカンのような露骨な人事ではなく、組閣が派閥ではなく能力によって人材を配置したかのように見えたので、それを見た国民の期待が多少上がったという理由があると思います。その期待を裏切るのに大して時間はかかりませんでした。ドジョウが、腰を屈めてひたすら波風を立てないようにすることしか考えていない保身第一の無能男であったことがすぐにわかりました。加えて、財務省の操り人形である本性をあらわにして、APECに合わせてTPP交渉参加を表明し、さらに、消費税増税を「捨て石になってやりとげる」と言って、国民の神経を逆撫でました。ここまでやられたら、いくら大人しい日本国民もキレるでしょう。要するに、何か良いことをやってくれるかもしれない、という当初の期待を裏切ったばかりか、やって欲しくないこと、そしてやらないと約束したことをやろうとしている、という明らかな背徳によって支持率が落ちているのだと思います。国民は、もはや「劇的」な何かを見たい、とかいうようなノンビリしたことを言っている余裕はない、というのが現状ではないでしょうか。各地で行われている市民デモがそれを示しています。国民はすでに衆愚ではなく、理性的にこのドジョウを評価しており、そのドジョウではダメだという結論が、如実に支持率に反映されているということでしょう。このドジョウの支持率が今だに三割もあるほうが私はよっぽどおどろきです。
ところで、またまた、東京地検特捜があやしげなことをしているようです。今度は民主党の辻恵議員です。
民主党・辻恵衆議院議員が、弁護士として代理人を務める不動産会社への融資をめぐり、融資をした会社から損害賠償を求められていることがわかった。このトラブルをめぐっては、東京地検特捜部が関係者から任意で事情を聴いているが、辻議員は27日の会見で、「担保設定の契約もしておらず、事実無根だ」と反論した。
辻恵議員と言えば、本人も弁護士で、小沢氏の陸山会事件で検察、司法を批判して、「司法のあり方を検証 提言する議員連盟」の事務局長をつとめており、小沢氏強制起訴になった「正体不明」の検察審査会事務局に説明要求したこともある、検察と司法の腐敗に厳しい目を向けている議員の一人です。この事件は、小沢氏の陸山会事件でのデタラメが暴露されて、すっかり犯罪組織であることが明らかになった地検特捜の、小沢裁判での失態を誤摩化そうとする目くらましではないのか、と思わされます。現職与党議員、しかも検察にとって都合の悪い人間を、特捜が税金を使って調査することは、異常なことであり、特捜がまた悪だくらみを企てている、と思わない人の方が今や少ないのではないでしょうか。事実、岩上さんの辻議員へのインタビューでも、
辻議員は一昨年の資金トラブルはむしろ自身が被害者であり、また既に清算済みの案件であるにもかかわらず、今になって特捜が動いているのは不可解であると指摘。また、検察のリークにより誤情報を流すマスコミの姿勢にも疑義を呈した。
そうです。
陸山会事件もそうでした。もし犯罪であっても時効となる寸前の5年も前の帳簿の書き方にイチャモンをつけて、現職与党の最大実力者をハメようとしました。辻議員の場合も、二年も前の話で決着のついている案件に対して、今頃になって、特捜が動いています。正直、特捜、そして行政官僚につける薬はありません。こういう怪しげなことを繰り返すとどういう結末になるかを想像するだけの知能がないのでしょう。
検察も含めた官僚組織だけに限りませんが、己とその身内の利益を最大優先するというのは、組織の本能だと思います。だから、役人や官僚組織に自浄作用を望むというのは、多分、無理な相談なのでしょう。理屈では、その腐敗を防ぐために三権が分立し、お互いを監視しあうはずなのですが、実際は選挙ごとにメンバーがかわる立法も司法も行政官僚に丸め込まれて、分立どころか連立して、官僚の国民搾取スキームに加担しているのが日本の現状です。ならば、このシステムを変えるには、三権連立以上の力を組織して、闘うしかないと思います。民主主義社会で、なぜ戦うことが必要なのか、昨日覗いた、阿久根市竹原前市長のブログ、「住民至上主義」にあった、しばらく前の東京FMでの対談の様子を一部転載します。
そもそも国家などというものは国民の総意で作るものではなくて、強盗して人殺しをして、結局たくさん人殺しをした人間たちが国を作り上げる。そしてその支配者たちが国民全体から自分たちを守るために公務員を組織する。そういうものなんですよ。その国家というものの基本的な当たり前の構造に対して、民主主義というのは異物なんですね。
岸:つまりは民主主義は合わないと。
竹原:合わないのではなくて、自然状態に対する挑戦なんです民主主義というのは。だから、国民全体の幸せを願おうとする社会にするためには、それに対して戦わなければいけないわけですよ。本来は民主主義だというのではなくて、人間、生き物のあり方として真っ向から反するありかたが実は民主主義なんです。
岸:はい、じゃあ具体的にどんな
竹原:だから戦う意識を持たなきゃいけない。その仕組みを知らなきゃいけないという事。それから、政治家というものは、役人と手をつなぐのではなく、役人組織を押さえるのが仕事なんだと、そういう認識を持ってもらう必要があります。
日本人は戦うことを避けようとしますが、戦うべき時には戦わねばならない、と私は最近、強く思うようになりました。若い時は、戦うことは良くないことだと思っていました。自分が突き回される時は、自分も知らないうちに人の権利を侵しているかも知れないのだから、じっと耐えるのが正しいのだ、と思っていました。きれいごとのようですが、仏教でも「忍辱」という言葉があります。マルクスは、資本主義社会は動物的な人間が支配する必然的社会であり、社会主義は、理性的人間による自由な社会を目指す試みだと言ったそうです。残念ながら、人間は、動物的なものを処理できずに、理性的で自由な社会を構築することに失敗しました。もちろん平和ボケしていた日本であっても、実は弱肉強食の資本主義社会でした。そして、日本の経済成長が止まって長らく経つ現代日本における強者とは、官僚組織という互助システムを作って、一般国民を搾取し続ける役人たちでしょう。富を創出せず、国民から富を吸い上げるだけの組織が、自己利益の増大だけを目指して制御不可能なレベルまで強大化しているのです。これで国が滅ばないわけがありません。「人民は弱し、官吏は強し」ですが、もうコレでは遠からず日本全体が滅ぶでしょう。
どうすればよいのでしょうか。幸い、江戸時代に一揆をするのと違って、現代の日本は「民主主義の法治国家」という建前があります。その建前のもとに国民が連帯し、官僚組織と戦う意志を強く表示すればよいと思います。国民が本当の敵を認識して団結すれば、政治家はその意志にそって動くようになります。
ドジョウや空きカン、かつての自民党の政治家は、国民の代表のフリをして、その実は、官僚のおんぶに抱っこで、逆に権力保持というニンジンを鼻先にぶら下げられて、国民を裏切り、役人の税金泥棒の一端を担いできました。ちょっと前には、ドジョウが3億の広告費を使って、「消費税増税」のための新聞広告を打ちました。いい加減にしろ、と言いたいですね。その3億は税金です。税金を使って、増税のための広告を出しました。景気が悪くて政府広報の広告収入に頼っているクズ新聞どもは、官僚の牛耳る政府の言うことに逆らえません。政府からその税金がもとの広告料をもらって、国民搾取のためのプロパガンダをたれ流します。マスコミも税金泥棒の一端を担いでいるというワケです。国民が収めた税金が、国民の更なる搾取のために使われています。これではまるで国民は、自分自身の墓穴を掘らされる囚人のようなものです。
その3億円広告で、ドジョウは消費税の増税は社会保障のためと口では言いながら、内部文書では、増税分の多くは社会保障以外に使われる予定であることがわかり、広告文句はまたまたドジョウお得意の二枚舌だったようです。
内部文書でバレバレ 何が「老後の安心」だ 2011年12月9日 ゲンダイネット
「もし社会保障の財源確保が目的なら、消費税を目的税にするはず。一般会計から外して、特別会計にするのが当たり前です。目的税にしてしまえば、社会保障にしか使えませんからね。でも、財務省は絶対に認めない。目的税にしたら、自分たちの自由にならなくなるからです。消費税は税率を1%上げれば、確実に2兆6000億円の税収増になる打ち出の小槌。財務省が手放すはずがない。しかも、財務省は消費税を20%まで上げるつもりでいる。20%ならざっと52兆円の税収です」(霞が関事情通)
もうやめましょう。明るい気持ちで一年を終わりたかったのですが、結局、最後まで日本政府、役人、マスコミの悪口に終始してしまいました。二年前の政権交代の時には、日本はこれから良くなるのではないかと期待していました。逆にここまで酷い状況に落ち込むとは思いませんでした。その原因のかなりの部分が、行政官僚に責任があると思わざるを得ません。誰にでも自己保身能はあります。しかし、そのために権力を濫用し、都合の悪い人間を逮捕し、司法に介入し、民主主義法治国家の根幹を侵すようなことをするのは悪質極まりないです。これに打ち勝つには、国民が団結し、戦う意識を持つこと以外にないと思います。「絆」とかのきれいごとでなく、共通の民主主義の「敵」に対して、一般国民が、「連帯」し、「団結」することが必要なのだと思います。
再び、インターナショナルで、今年を終わりたいと思います。
立て飢えたる者よ いまぞ日は近し さめよ我が同胞 暁は来ぬ 暴虐の鎖 断つ日 旗は血に燃えて海をへだてつ 我ら腕結び行く いざ闘わん いざ奮い立て いざ インターナショナル我らがもの
追記。
「偏西風にのって」で紹介されていましたが、朝日新聞がまたゴミ記事(これが社説ですよ!)を刷り散らかしました。この新聞社は本当にクズの中のクズです。これを読んでも、まだ朝日を購読するという奇特な方がいるのでしょうか?管理人の方は笑い飛ばしていましたが、私は全然、笑えません。極めて悪質だと思います。