百醜千拙草

何とかやっています

独裁者とオリガルヒ

2025-02-25 | Weblog
ロシア-ウクライナ戦争においてロシアの即時撤退を求めるウクライナ案の決議が先ほど国連で行われました。日本を含む93カ国が賛成、65カ国が棄権、18カ国が反対したわけですが、ロシアと共に反対に投じたうちの一つがアメリカでした。まもなく戦争は終わるでしょう。実際に戦争の中止、継続、凍結に力を持っているのはアメリカとロシアであり、ヨーロッパでもウクライナでもないわけですから。

さて、先週末のTwitterでは、ウクライナの刑務所で一年前に死亡したアメリカ人作家のGonzalo Liraのビデオクリップが流れてきました。今頃、なんだろう?と思っていたら、翌日に、トランプがゼレンスキーを支持率4%の「選挙なき独裁者」と呼んで非難したとのニュース、イーロン マスクがGonzola Liraの死亡に関してゼレンスキーを批判したというニュースを見て、ああ、これか、と納得しました。

ま、民主的な戦争というものはあり得ないので、戦時中のリーダーは事実上、独裁者なわけですが、それでも、それは憲法に従って裏付けられた立場である必要があります。ヒトラーは民主主義の手続きによって選ばれましたし、第二次世界大戦中も、アメリカでは大統領選が行われ、日本でも衆議院選挙が施行されました。トランプが批判しているのは、ゼレンスキーは、戦時中であることを口実に憲法を無視して選挙を延期し、法的裏付けのない権力を握り続けているということでしょう。ウクライナ議会議員代表代理のAnna Skorokhodによると、ゼレンスキーの支持率は、さすがに4%ではなく、6 - 9%だろうという話ですが、公称57%とは随分開きがありますね。この支持率が本当だとすると、選挙となれば落選可能性が強いわけで、それがゼレンスキーが選挙を延期している理由でしょう。

非常時を口実に独裁権力を握り続ける、何か聞き覚えがあると思う方も多いと思いますが、これは、自民党が導入しようとしている改憲案「非常事態条項」ですね。一旦、権力をとってしまえば、非常事態を宣言することで、永久に独裁権力を法的に維持できる仕組みのことです。

さて、ゼレンスキーが独裁者であるのは仕方がないですが、長い選挙戦を戦って大統領の地位を得たトランプにしてみれば、任期切れで正式な大統領ではないゼレンスキーとは話はできないと、和平交渉からのウクライナを排除することの口実にしたということなのではないでしょうか。

独裁者の目的は、自己利益の増大とリンクする権力の維持でしょう。下のLiraのビデオにある通り、現在、ゼレンスキーは大金持ちです。ゼレンスキーに負けたポロシェンコも大金持ちでしたが、彼は自身が運営するのビジネスを通じて裕福になったのです。ならば、どうやって実業家でもない俳優のゼレンスキーが大金持ちになったのでしょう?それは、下のLiraの話にあるように、ウクライナのオリガルヒとの取引があったからだと思われます。

いずれにしても、現時点で、ゼレンスキーが権力を握り続けるためには、戦争をウクライナに有利な条件で終結させるか、さもなければ戦争を継続し続けるしかないわけですが、前者は有り得ません。そして、後者はアメリカの支援がなければ無理です。

これまでも、すでにゼレンスキーはアメリカの支援と引き換えに、国有地の多くをBlack Rockに売り払ってきました。そして、今回、トランプが出してきたウクライナ支援の条件は、アメリカの継続支援と引き換えにウクライナの鉱物資源を提供することでした。このトランプのご都合主義、呆れ返るばかりですが、トランプもゼレンスキーのどちらもウクライナの国民のことなど二の次、三の次ということでしょう。下に示す先日のEU議会でのJeffrey Sachsの講演の中での発言、「トランプは、モラルとかの理由で、この戦争を終わらせたいのではない、彼は負け戦には関わりたくないだけだ」とのトランプ評は腑に落ちました。

今回の戦争は1990年代からの「NATOによってロシア包囲網を築く」というタカ派を中心としたアメリカの政策に始まっていますが、転期は2014年のクーデターによるウクライナ政権転覆でしょう。この時のオバマ政権の誠意のない行動を見て、危機感を抱いたロシアは、クリミア住民の住民投票と独立宣言を受けてクリミアの併合に動きました。その後、ウクライナからの独立を求めたウクライナ東部ドンパス地域の勢力に対してウクライナ政府は武力行使を行い、内戦となりました。2014年、2015年とウクライナ政府と独立勢力との停戦交渉が二度にわたってミンスクで行われ、結果、ウクライナ、ウクライナからの独立を宣言をしたルガンスクとドネツク、ロシア、ドイツ、フランスが二度目の合意書にはサインをしました。しかし、この合意は守られることなくウクライナ政府はドンパスへの攻撃を継続し、最終的にロシアに庇護を求めたドンパスのルガンスクとドネツク共和国の求めに応じると言う体裁で今回のロシアの軍事介入につながっています。

チリ系アメリカ人であるGonzalo Liraはウクライナ人と結婚し、そうしたウクライナ政府と独立を求める東部州との武力紛争の中で暮らし、ウクライナ政府への批判を繰り返した結果、逮捕拘留されました。その経験から、二度目の逮捕が迫ってきた時、次の逮捕では殺されると、SNSを通じてアメリカ政府と関係者に助力を要請したのち政治的亡命をしようとしたがかなわず、再逮捕されました。バイデン政府はアメリカ市民である彼の保護要請を無視、そしてLiraは、自身の言葉通り、「ロシアの侵攻を正当化した罪」によってウクライナ刑務所に8ヶ月の勾留され死亡しました。それが、イーロン マスクの「ゼレンスキーがアメリカ人のLiraを殺した」という言葉の経緯です。

さて、バイデンがLiraを見殺しにしたのには個人的な理由もありそうです。かつての彼のビデオの中にゼレンスキーとコロモイスキーとの繋がりを述べたものがありますので紹介します。(調べてみると、ハンター バイデンは確かにコロモイスキーと繋がりがあるようですが、ジョー バイデンにコロモイスキーからの金が流れていたかどうかについては不明でした)

「、、、ゼレンスキーとハンター バイデンには共通点がある。、、、ゼレンスキーは『作られた政治的虚像』である。彼は、ウクライナ人でイスラエル人の大金持ちの権力者、イゴール コロモイスキーによって仕立て上げられた。コロモイスキーは、ウクライナの”One plus One media"の所有者で、"One plus One media"は「人民のしもべ」というTV番組を作った会社だ。この番組がゼレンスキーという政治経験も興味もゼロであった俳優を雇い、人々のために尽くす大統領役をやらせた。この番組は大人気となったが、多くの人が、そこに含まれるプロパガンダやPRの量に不審を感じた。他の番組に比べても、それは度を超えていた。この番組は2015-2018年まで放映された。それと同調してコロモイスキーは「人民のしもべの党」という(番組名と同じ名の)政党を作った。そして、その党からの大統領選候補がゼレンスキーだった。それまで政治的経験も興味もゼロであった男だ。コロモイスキーはゼレンスキーに資金支援をした。そして、今や、ゼレンスキーはビリオネアである。何人の億万長者の俳優をわれわれは知っているだろうか?トム クルーズでさえビリオネアではないだろう。ゼレンスキーは単なる俳優ではない、コロモイスキーの指人形なのだ。コロモイスキーが他に誰を支援しているか知っているだろうか?、、、ハンター バイデンだ。2014年、ウクライナのオイル会社のブリズマがハンター バイデンを雇用した。そしてブリズマのオーナーはコロモイスキーだ。ゼレンスキーとハンター バイデンは同じ奴と繋がっている。おまけのこの二人はヤク中でもある。もちろん、違いもある。ゼレンスキーの父親はアメリカ大統領ではない。、、、なぜ、アメリカはウクライナに躍起になっているのだろうか?、、、それは、ワシントンの支配者層は、ウクライナを個人的な貯金箱がわりに使ってきたからだ。彼らは経済的にウクライナをレイプし、ウクライナ人から金や資産を搾り上げた。これがウクライナが貧乏な理由の一つだ。、、、『高齢の男(ジョー バイデンを指すと思われる)』はハンター バイデンが得た資金の10%のキックバックを受けている。コロモイスキーはこうして、ジョー バイデンとゼレンスキーに資金提供をしてきたのだ。、、、私の言うことをそのまま信じる必要はない、調べてみれば良い、簡単に調べられるのだから。コロモイスキーのような男はウクライナに他にも大勢いる。、、、アメリカがウクライナに躍起になっているのは、真実が漏れ出すのを恐れているからだ、、、」

結局のところ、この戦争については、対露政策のついでにウクライナを喰い物にしてきたアメリカ ネオコン、軍産複合体の行き過ぎた野望が起源であり、ゼレンスキーは高額の報酬と引き換えに大統領役を演じた文字通りの「役者」であったと解釈できるしょう。コロモイスキーやアメリカ ネオコンにとっては、ウクライナ戦争はゲームなのです。しかし、ロシアにとっては深刻な安全保障上の問題であり、ウクライナ人とロシア人にとっては生死と生活の問題です。

戦争終結に向け、トランプは先日、これまで西側が使ってきた「ロシアの軍事侵攻」という言葉遣いを止めるよう要求したとNHKは伝えています。NHKは、バイデン政権の意向を忖度し、これまでも、ロシアのウクライナ領内での軍事行動は「侵略戦争」であり「軍事侵攻」と呼ぶ一方、ウクライナ軍のロシア領内での軍事行動は「越境攻撃」と言葉を使い分け、クリミア併合以来のロシア-ウクライナの紛争において、強大な軍事大国ロシアが小国ウクライナを一方的に力によって支配し、ロシア帝国を再建しようしている、という印象操作に沿った報道をしてきました。Jeff Sachsはこうした報道の仕方を「あまりに子供じみたプロパガンダ」といい、「子供じみた話ほど人々は信じるものだ」と嘆いています。先日は、NHKに出演した「専門家」は「ウクライナが譲れない戦争終結の条件とは何か」と聞かれて「ウクライナのNATO加盟による安全保障だ」と答えていました。呆れてため息しか出ません。

さて、Sachsが言うように、ネオコン嫌いのトランプは、負けが決まっている勝負に投資するのは嫌なのでしょう。しかし、これまで西側メディアがやってきたように一方的にロシアを悪者に仕立て上げられた状態で、ウクライナが領土と国民と資産を失って完敗の状態で手を引くのは得策ではないとでも考えたのではないでしょうか。そのためには西側ウクライナ(キエフ)とヨーロッパにも戦争の責任を認めさせる必要がある。今回のトランプの度が過ぎたようなゼレンスキー批判にはそんな意図もあるのかもしれません。(一番の悪人はアメリカだと思うのですけどね。詰腹を切らされるのはいつも悪党に利用された弱者です。)

こうしたトランプ政権の見解は、下は副大統領のツイートにも表れていると思います。

For three years, President Trump and I have made two simple arguments: first, the war wouldn't have started if President Trump was in office;… https://t.co/xH33s6X5yf
、、、3年間、トランプ大統領と私は2つのシンプルな主張をしてきた。1つ目は、トランプ大統領が大統領であれば戦争は始まらなかったということ、2つ目は、ヨーロッパもバイデン政権もウクライナ人も勝利へ見込みは持っていなかったということだ。これは3年前もそうだったし、2年前もそうだったし、昨年もそうだったし、今日もそうだ。 、、、、ロシアはウクライナにおいて人員と武器で圧倒的な優位に立っており、その優位性は西側のさらなる援助に関係なく続くだろう。繰り返すが、援助は現在も行われている。、、、紛争が続くことはロシアにとっても、ウクライナにとっても、ヨーロッパにとっても、アメリカにとって悪いことだ。、、、以上の事実を踏まえると、我々は和平を追求しなければならない。トランプ大統領はこれを掲げて出馬し、勝利したのだ。

最後に、今回のウクライナ戦争に至る歴史的背景と経緯を知りたい人は先日のJeffrey SachsのEU議会での演説をお聞きください。普段冷静な彼がアメリカ外交政策への怒りを顕わにしています。
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ウクライナ抜きのウクライナ戦争

2025-02-18 | Weblog
先週はミュンヘンで安全保障についての国際会議がありました。

トランプ政権がウクライナ抜きでプーチンと対話を開始し、「ウクライナ戦争は終結可能だ」と述べた一方、ゼレンスキーは、「ウクライナ抜きで戦争の終結に向けた交渉が進められることは受け入れられない」と言ったとのこと。

ま、この経緯を見れば、ウクライナ戦争の本質がわかるというものです。この戦争はそもそも、ロシア対ウクライナの戦争ではなく、冷戦終結後のクリントン政権以来のロシア対アメリカのプロキシ戦争であったということです。ウクライナ戦争の和平交渉にウクライナは必要ない、ウクライナは米ネオコンの対ロシア政策と米軍産のマネーロンダリングの道具に使われただけですから。ゼレンスキーもアメリカの支援なしでは1ヶ月もたないと認めており、事実上、今やウクライナ軍の生殺は、ネオコン嫌いのトランプが握っています。

ハンガリーの首相は次のように言っています。
「、、、私はロシアのためではなく、ハンガリーのために働いています。ウクライナーロシア戦争においての私の立ち位置は、『この戦争はウクライナとは関係がないことを忘れるな』です。この戦争が起こった戦略的な理由は、NATOの拡大です。、、、」

その米露のウクライナ戦争終結への会談はまもなく、サウジアラビアで行われる予定ですが、興味深いのは、その会談にゼレンスキーは除外されているが、なぜか同時期にサウジアラビア政府には招かれたので訪問するということです。

ま、これだけ表立ってコケにされたらゼレンスキーも平静を保てないのでしょう。切羽詰まったゼレンスキーは、アメリカが握っている$250 bilのロシアの凍結資産をよこせ、アメリカ抜きのNATOを作るべきだ、ウクライナが負けたら、ロシアがヨーロッパに攻め込む確率は100%だ、と見るのも哀れなほどの錯乱状態となっています。

西側メディアや日本では「ロシアの国際法無視と力による現状変更は許されない」と相変わらず、バカの一つ覚えのように言っていますが、そもそもクリントン政権時からロシアとの軍事協定を一方的に破棄し、ソ連時代のNATO東進はしないという約束を破り続け、2014時のウクライナ内戦に乗じて、ウクライナのヤヌコビッチ政権をクーデターで失脚させ、その後のミンスク合意を最初に破ったアメリカの方がはるかに多くの国際的合意を無視し、力によって現状を変更してきたのです。プーチンはこの30年のアメリカのやり方を肌身で知って対処してきたわけですが、ゼレンスキーといえば、TVのショーで知名度を売って紛争の3年前に何の経験もないまま大統領になり、バイデンにいいように使われてきた男であり、しかも現在は任期切れのため、正式な大統領でさえありません。下にあるザハロワの言葉「ゼレンスキーは良心を失っていた」はアメリカとNATOの野望のために、国を売った(売らざるを得ない立場に置かれて、保身を選択した)との解釈ゆえでしょう。そもそも、軍事衝突してウクライナがロシアに勝てるはずはないのですから。侵攻1ヶ月後にゼレンスキーはロシアと和平案で合意することもできたし、おそらくそうしようとしたのでしょう。それを阻んだのがボリス ジョンソンであり、その甘言に乗せられて、ゼレンスキーは交渉よりも勝てるはずのない戦争を選びました。このことをザハロワは指しているのではないでしょうか。


下が、先日、ロシア外務省のスポークス パーソンのザハロワが述べた内容です。

「ゼレンスキーは、まるで、すでに全てを失っていることに気がついていないかのように、EUへの危険とウクライナ領土の逸失を訴え、外国の支援国に武器の供与を要請しているが、もうすでに、彼は、領土を失っており、国を失っており、国民を失っているのである。なぜ、そうなったのか?これらのことが起こる前に、ゼレンスキーは良心を失っていたからだ。一方で、キエフはイスラエルの得意技を真似て、ロシアの軍人に対するテロ活動を増加させている。2024年の9月を思い出してほしい。レバノンのベイルート周辺で、シーア派のヒズボラ戦闘員の多くのポケベルや携帯電話が爆発し、数百人が負傷した。そしてテル アビブでは、イスラエルがそれが抵抗運動を抑制するための計画的テロであったと認めたのだ、、、」

偽旗作戦で自作自演で相手に罪を押し着せるのは、イスラエルやCIAの得意技ですが、ウクライナとCIAがやったと思われるノルドストリーム爆破や、先日のウクライナのチェルノブイリ爆破のことを指して言っているのでしょう。

「お前はすでに死んでいる」とゼレンスキーを批判した上で、そのやり口をイスラエルに喩えるあたり、なかなかですな。アウシュビッツからユダヤ人を救ったのはロシア赤軍でした。だからこそ、ロシアはイスラエルにも歯に絹をきせずに批判できるのでしょう。
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プロパガンダ

2025-02-11 | Weblog
先週は、「ガザをアメリカが保有して再開発する」とふざけたことを言い放ち、世界中から批判を浴びたトランプ。義理の息子にうってつけのプロジェクトだと思ったのかも知れませんが、思い付きのヨタ話を平気で公言するこの男の浅薄さには呆れ果てます。

ネタニヤフにしてもトランプにしても、選挙で選ばれた首相であり大統領だというのが信じられません。それが国民のレベルの表れで、民意なのだと言われたら仕方ありませんが、トランプが大統領になるような民主主義(衆愚政治)と、賢人が導く独裁国家なら後者の方がマシでしょう。ま、そもそもギリシャの時代から独裁は民主主義制から生まれるわけですが。

どんな職業にも遂行に必要な知識、技能や判断力が必要とされます。それらを満たさないものはその職につくべきではないと思います。強大な権力が託される大統領にも最低限の資格試験を科するべきでしょう。まして、この男は重犯罪人です。プラトンもかつて、「民主制国家は、政治活動をする者が、どのような仕事や生き方をしてきた人であろうと一向に気にも留められず、ただ人気さえあれば、権力が与えられる所だ」と皮肉っております。能力も資格もないのに煽動と人気取りだけは上手いこの男が大統領というのは、目立ちたがりの無免許暴走族に大型バスを運転させるようなものです。



George Gallowayも、トランプの「アメリカのガザ保有」発言には、呆れて「トランプも老人ボケになりつつあるのではないか」とコメントしています。無論、当事者のパレスティナ人とハマスと国際社会は激怒。

、、、ずる賢い邪悪なネタニヤフが、愚かなトランプを操っているのだろう。これを言うのは初めてだが言わせて欲しい。(私やバイデンもそうで)楽しい話ではないのだが、トランプは老化し耄碌してきているのではないか、と思い始めている」

このトランプの米のガザ保有発言について、質問を受けた国連の法律家のFrancesca Albaneseは、失笑しながら、「全くのナンセンスで、ジェノサイドより悪い」とコメント。


、、、ああ、トランプ大統領、、、どこから始めればいいのでしょう、、、端的に答えると、トランプのガザ再建は「全くのナンセンス」です。第一に、それは違法です。民族浄化よりもひどい。それは強制移住を強いることであり、国際犯罪です。、、、、、違法で、非倫理的であり、完全に無責任。、、、パレスティナ人以外の誰もどのようにガザを再建すべきかなど指図する権利はない。、、、

ま、アメリカもイスラエルも国際法や人権など屁とも思っていないわけですが。

ガザのリビエラ計画については、思うに、トランプは不動産事業の良いプロジェクトぐらいに思っただけなのでしょう。国際法や人権や国際社会の受け止め、パレスティナの苦難の歴史などの諸事情に思いを巡らせることができるような思考力はこの男にはないのです。自分の利害と「取引」の損得でしか物事を考えられない俗物中の俗物。この男に善意や誠意、高潔さ、公正さや思いやりは期待すべくもありません。しかし、一方で、大統領という権力を振り回す忖度ないキチガイぶりが、ひょっとしたら意図せぬマグレ当たりで、従来の”Deep State"による支配構造を掻き回すこともできるのではないか、とも思うわけです。

それにしても、こんな信用できない男にわざわざホワイトハウスまでノコノコ出向いて、多額の経済投資を約束してきた石破。五人に一人が貧困という日本で、給料だけでも年に何千万円と税金から支払ってもらっている立場でありながら、$1 Trillion(15兆円)の米国への投資を約束した石破。この男も自己保身以外の何も考えてないのでしょう、アメリカへの絶対服従という自民党歴代首相の脳死したパブロフ犬ぶりはもはや伝統技能の域です。NHKは、今回のトランプ政権が始まってからのホワイトハウスで外国の要人との会談は、石破で二人目、とまるで自慢するかのように報道していましたが、一人目は、あの世界で最も嫌われている戦争犯罪人、ネタニヤフ、つまりトランプのご主人様、そして二人目はトランプの下僕、石破だったという話。トランプにとっては、一人目は命令を受けるだけ、二人目は命令するだけ、の簡単なお仕事。ネタニヤフはアメリカに大金を払わせ、石破はアメリカに大金を払わされる、日本国民は石破に搾り取られ、そうしてパレスティナ人は殺される。

さて、それから、先週は、ウクライナ戦争に関して、トランプの和平計画がリークされたとの報道がありました。トランプがプーチンと電話会談をしたというニュースもありました。ウクライナ問題など、トランプも自らに直接利害関係がないことに関しては普通の判断はできるのかも知れません。
その解説図が下のツイート。

ま、しばらく前に予想した通りですが、ロシアがロシア系住民の住む東部州とクリミアを支配し、キエフは中立を宣言する、これが現時点で考えられるベストの妥協案でしょう。というより、これ以外の案ではロシアは納得しないでしょう。事実、この案は、戦争開始一ヶ月後の2022年の3月のイスタンブールでの交渉でウクライナが提案した和平案に極めて近いものでした。この案にロシア側には不満はなかったでしょう。この時点で交渉がまとまっていれば、多くのウクライナ人が死ぬことはなかったと思います。交渉をぶち壊したのはアメリカとNATOの意を受けてキエフを電撃訪問したボリス ジョンソンでした。

いずれにせよ、アメリカのネオコンと軍産の手先に担がれ、使われたゼレンスキー本人にとっては完全敗北。Black Rockは、この戦争でボロ儲けした上に借金のカタにウクライナの農地を手に入れて一人勝ち。そのツケを払わされたのは一般ウクライナ国民。

悪質だなと思うのは、マスメディア。いまだに、「プーチンはヒトラーのように領土を拡大しようと西側に侵攻しようとしている」とロシアに対する恐怖と反感を煽り、ウクライナ人が総玉砕するまで戦わせて、ロシアを悪者に仕立てて、ウクライナをとことん利用しようとしているようです。西側マスメディアはほぼ全てがアメリカの支配下にあり、日本も含む西側の世論醸成を図っております。アメリカにとって都合の悪いロシア側の主張や公式文書が西側メディアにそのまま流れることはありません。西側のプロパガンダに関しては、昨年のTucker Carlsonのプーチンへのインタビューでプーチンは下のように言っています。


(おそらく、ノルド ストリーム 2パイプラインが爆破されたことに関して)
カールソン「NATOやCIAの仕業であるという証拠があるのに、どうして、それを発表して世論を味方につけないですか?」
プーチン 「(苦笑いしながら)プロパガンダの世界でアメリカに勝つというのはとても困難なのだ、なぜならアメリカは世界のメディアと多くのヨーロッパのメディアをコントロールしているからだ。ヨーロッパのメディアの最大の受益者はアメリカの金融機関なのだ。知っていたかね?だから、プロパガンダ戦争に進むことは可能ではあるが、コストに釣り合わないのだ。我々は単に我々の情報の元を照らし出すことはできるわけが、それは結果に繋がらない、、、」

知らない人ほどプロパガンダに乗せられて「知っている」と思い込む。そうした人々によって、ソクラテスは死刑となり、大本営発表を真に受けた日本国民の多くは無条件降伏の直前まで日本の勝利を信じ、最近の選挙ではSNSの陰謀論に引っかかってとんでもない候補が票を集めたりしたわけです。歴史は繰り返し、民主主義の名の元にヒトラーやネタニヤフやトランプのような失格者が権力を握ることになり、多くの人々が殺されることになりました。これは今後AIの世の中になるとより悪くなるでしょう、AIは真実よりはプロパガンダをより多く汲み取って増幅させるでしょうから。
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コロナの起源

2025-02-04 | Weblog
トランプは、相変わらず世界を引っ掻き回しております。先週は、カナダとメキシコに25%の関税、中国に10%に追加関税を掛ける大統領令に署名したようですが、とても充分にシミュレーションをやって深慮の上で決定したものとは思えません。早速、カナダは報復でアメリカからの輸入物に25%の関税返しを宣言。中国も報復措置を取ると宣言。これでますますアメリカ国内の物価は上がるでしょうし、直ちに雇用が増えるわけではないでしょうから、遠からずアメリカ国民の不満が爆発するでしょう。いつもの独善的な思いつきなのでしょうが、迷惑なことです。とにかく、一つ一つの行動や発言に、大統領という強大な権力を預かっている人間が持つべき思慮深さと慎み深さが欠けています。大統領選では、オハイオでは移民がペットの犬を食べていると言ったり、ガザではアメリカが送ったコンドームで爆弾を作っていると言ったりするレベルですから、バイデンの認知症よりタチが悪いかも知れません。全任期中のコロナが蔓延し出した時には、ウイルスは紫外線や漂白剤で死滅するという話を聞いて「コロナ患者に漂白剤と紫外線を注射したらよい」と会見で言って、失笑を買ったのを思い出しました。

コロナと言えば、先週、トランプの情報開示命令に則し、秘匿情報の公開に際して、CIAは新型コロナウイルスの起源についてコメントを出しました。後さき考えず、思いつきで引っ掻きまわすトランプの行動が、意図せず良い結果を生むこともあります。

、、、米中央情報局(CIA)は、COVID-19パンデミックは自然界から発生したものよりも、実験室から発生した可能性が高いととCIAのスポークスマンが土曜日に語った。
CIAは何年もの間、COVID-19が実験室で発生したものなのか、それとも自然界で発生したものなのか、結論は出せないとしてきた。しかし、バイデン政権末期の数週間、ウィリアム・バーンズ前CIA長官はCIAのアナリストと科学者たちに、パンデミックの歴史的重要性を強調し、明確な判断を下すよう求めた。、、、(CIA長官のJohn Ratcliffe は)「私は、我々の情報、科学、そして常識のすべてが、COVIDの起源は武漢ウイルス学研究所から漏れたものであると確信している。」と語った。

昨年6月、アメリカ議会は前NIHアレルギー感染症研究機関(NIAID)トップであったアンソニー ファウチを招致し、COVID19の起源についての質疑を行っていますが、その時の内容はこうでした。

、、、共和党が主導する小委員会は、パンデミックに対する国の対応と、米国が資金を提供した中国での研究がパンデミック発生に何らかの役割を果たしたかどうかを1年以上かけて調査してきた。、、、ファウチは以前から、どちらの説(研究室リーク説と自然発生説)も受け入れるが、COVID-19が自然起源であることを支持する証拠の方が多い、と公言してきた。 、、、NIH(ファウチがディレクターであったNIH機関の一つのNIAID)は長年にわたり、エコヘルス・アライアンスと呼ばれるニューヨークの非営利団体に助成金を提供してきた。エコヘルスはその資金の一部を使って、コウモリがよく媒介するコロナウイルスを研究している中国の研究所と協力していた。 先月、政府はエコヘルスの連邦政府からの資金援助を停止した。、、、ファウチは、エコヘルスの資金で研究されたコウモリのウイルスがパンデミックを引き起こしたウイルスに変化することは「分子学的に不可能である」と述べた。、、、

ホワイトハウスもCIAも、新型コロナウイルスが研究室由来であるとすると、中国の武漢のウイルス研究所が原因である、という論調で中国を非難しています。然るに、この研究所がアメリカのNIHからの研究資金を受けていたことは、COVID-19が始まった頃から明らかにされており、COVID-19はアメリカと中国の研究室の共同研究の結果産物であったことが推測されていました。今回のCIAのCOVID-19情報に関する発表に関して、Jeffery Sachsは最近のインタビューで聞かれて、次のように述べています。


、、、、私はCOVID-19問題の国際協議会の議長であったので、この四年間、この件については、深く調査した。CIAはついに、新型コロナウイルスが研究室から漏れ出たものであることを認めたが、言わなかったことがある。それはこのウイルスは、中国で試験はされたかも知れないが、中国の研究室で作り出されたものではなく、おそらくアメリカの研究室で作り出されたものであるということだ。ノースキャロライナ大学(UNC)の研究室であると思われる。そう考える理由は複数あるが、詳細はバイデン政権によって隠されてきた。(筆者注:2014年以来、エコヘルスに助成金を出してきたNIAIDのディレクターであったファウチに対し、現在何の起訴さえ行われていないファウチを、バイデンが政権末期に行った恩赦の対象の一人であったということが陰謀説の根拠の一つとなっています)、、、、本来なら、率先して情報公開するはずのノースキャロライナ大学は、2019年のemailを公開せずに秘匿していることに対して、訴えられている。

アメリカの中でも比較的地味な南部の州、ノースキャロライナですが、生命研究においては、東部のエリート州に肩を並べるパワーハウスであります。その内陸部の田舎に、リサーチ トライアングルと呼ばれる三つの研究機関、デューク大学、ノースキャロライナ州立大学、ノースキャロライナ大学(UNC)チャペルヒル校が配置され、高度な研究活動が活発に行われております。

調べてみると、確かに、カリフォルニアの団体が、武漢の研究所と関係のあったUNCのDr. Ralph Baricの研究室に関しての情報開示を求める訴えを2022年にUNCに対して起こしています。

Ralph Baricに関して、Wikipediaには次のような記載があります。
2015年、彼は武漢ウイルス学研究所のShi Zhengliと共に、"A SARS-like cluster of circulating bat coronavirus shows potential for human emergence"と題する論文で、マウスに感染するSARS-CoV(rMA15)のバックボーンにコウモリコロナウイルス(SHC014)のスパイクを追加したキメラウイルスの作製に関する彼らの研究を発表した。 この研究は、SHC014-rMA15キメラウイルスがパンデミックの可能性を持っているのではないかという懸念から、他の科学者から批判を浴びた。、、、(詳細は2021年のMIT technology reviewと関連するアメリカ政府の文書に詳細は詳しいです)。

つまり、Baricは、異なるウイルスを継ぎ合わせて、キメラウイルスを作る技術を持っており、コウモリのコロナウイルスの培養に苦労していた中国、武漢の研究者に、キメラによって他の種に感染可能にすることでコウモリのウイルスを増殖させる技術を供与して共同研究をしていた、ということです。COVID-19がこうして作り出されたキメラウイルスなのかどうかは明らかではないですが(Baric本人は否定しています)、ノースキャロライナ大でBaric研究室が作ったもの、もしくはBaric研究室の技術を使って中国の共同研究室が作ったものを漏れ出させてしまった疑いは強いです。とすると、これは陰謀ではなく、純粋に科学研究目的であったが、十分な注意を怠ったために危険なウイルスが社会に漏れ出て起きた事故であるという可能性が高いと思われます。武漢のウイルス研究所で中国の共同研究者がヒト感染能力のあるキメラウイルスを使って動物実験を行った後、感染した動物が適切に処理されずに、誰かが、近所の野生動物肉市場に持ち込んだのだろうと想像されます。

何を今さらという感がありますが、弱毒化はしたというものの、COVID19はいまだに流行しており、研究室の杜撰な管理によって漏れ出たウイルスが世界中で重大な健康被害と犠牲者を出したのなら、許し難いことです。
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