百醜千拙草

何とかやっています

ヒマつぶし

2016-01-29 | Weblog
もっとも非生産的活動の一つと思われる動物実験プロトコル書きしています。これほど楽しくない作業はなかなかないだろうと思います。我々のような遺伝学的実験で種々の動物の交配を多く含む実験だと、交配の結果得られるであろうと考えられる動物の数や種類をいちいち計算し、そこから逆算して必要な動物の数、性別などを割り出す作業が必要になります。交配が激しく関わる実験ですから、実際に実験が始まれば、最初の一ヶ月で、すでに、計画とは大きくずれてしまう可能性が高いようなシロモノなのに、実験委員会がもっとも注意しているのは、動物の数と苦痛の有無、ですから、一の単位まで動物の数を計算しないといけません。そもそも、交配実験を念頭において審査されているわけではないのが問題なのだろうと思います。この規制社会は生きずらいです。思わぬところから規制パンチが飛んできて、実験プロトコルだの、遺伝子実験許可、化学物質衛生プロトコル、実験倫理トレーニングだのが毎月にようにやってきて、すべて強要です。規制に違反したら研究させないと高圧的に脅かしてきます。論文やグラントを書いてはレビューアに批判され、ピントはずれのコメントにも、知に働けば角が立ち「おっしゃる通りでございます」と卑屈になる。とかくピアレビューの世の中は生きにくいです。田舎に住んで自給自足で誰にも批判されずに密かに生活したいという気持ちになります。

そんなこともあって、最近、これからさらに発展を目指すべきか、来たるべき人生の終焉に備えてスピードを落とすべきか、という方針の選択に揺れております。そもそもスピードなど最初から出ていないのだから、もっと頑張るべきだと思う一方、頑張って来たけれでもこのスピードしか出せていない上に、体力、知力の衰えを嫌でも実感することが多くなってきて、この調子でいってもジリ貧となる可能性も高い、それならば、安らかな晩年を過ごせるように方向転換を考えるべきなのかなと気弱になったりするわけです。

振り返れば、研究キャリアをビジネスという観点から見て、その長期安定を戦略的に図るということを私はしてきませんでした。研究活動のようなチマチマした地味な活動は、とにかく当たりが出るまでは、一生懸命やるしかないのだろうと思っていました。ところが、成功している研究者の人々を見ると、彼らのキャリアプランは大学に入った時には既に始まっており、強い目的意識をもって戦略的計画に基づいて、10年先を見ながらマイルストーンを建てて、日々を送っているようです。目標のない船は何処にも行かない、と言われるように、10年先のことなど考えたこともなかった私が、彼らと随分、差を開けられているのは然るべきとも言えます。それで、若いころはそれに焦りを感じることも多かったです。しかし、自分が、彼らのように計画的に自分の人生を自分の描いた型にはめていくように生きている様子というのが、私にはなかなか想像できないのです。

客観的に見れば、二流の零細研究者ですが、これまではそれなりに幸せに生きてきたと思います。今になって思えば、好きな研究をしながらまずまず幸せに生きてきたこと以上の幸運はないと思います。そのおかげて、いまだに毎日、ちょっとだけでも実験台に座って、実験の結果に一喜一憂するという贅沢を味わっております。一方、偉くなってしまった人々は、自分で実験することもなくなり、グラントのSF小説を書いたり、論文のレトリックを工夫したり、雑用に追い回されたり、研究室の人間関係を調整したりと、研究とはあまり関係ない様々な事柄に毎日が埋め尽くされているようです。どちらが幸せに思うかは人それぞれでしょうね。

人間の最大の欲求はその存在価値を認められることだそうです。であれば、重要なポジションについて、たくさんのハイインパクト論文を出し、講演に招待してもらい、学会会長を務めたい、という願望はなるほどと思います。しかし、それは研究そのものが与えてくれる喜びとは無関係なものです。人はそのように「他人」からのrecognitionをもって、存在価値を確認する以上に、自分が自分自身を認めてやることの方が価値があるのではないかな、と最近、思うようになりました。

それで、私は人生の先行きも知れているし、現状をまずまず肯定的に受け入れてもいるし、とりあえず今日のゴハンと寝る場所は確保できているという幸せな状態にあるからよいのですが、私より一回り下の世代の人々の苦労を見ると本当に気の毒です。いまや、研究者、アカデミックキャリアというものが、まっとうなキャリアオプションと思えなくなってきました。大学院を出て学問を研鑽しても、その後は、テニュアトラックに入るのも大変です。うまくテニュアトラックポジションが得られても、テニュアに届かず、中高齢になってからハシゴを外されたら、その後にまともな選択肢は少ない、そんな中で、研究の世界に足を踏み入れて苦労を積み重ねれば積み重ねるだけ他のキャリアオプションは減っていくように見えます。研究者で生き残るためには、なんらかの意義のある結果を出しつづけて、勝ち越していかないといけないわけですが、若い世代の中にはその土俵に登るためのチャンスでさえ与えられない人も少ないないように思います。

しかし、一方で、こういう社会のシステムは、私は所詮、「ままごと遊び」だと思うのです。それなりに長い人生生きて行くのに、人々は、社会の中でなんらかの役割を必要とするのです。それで、アカデミックキャリアゲームや会社に入って出世ゲームや、国会ごっこや、霞が関遊び、などをして死ぬまでのヒマをつぶすのです。私の研究もそんなゲームだと思っています。でもそれに家族の生活とかがかかってしまうので、ゲームであることを忘れてしまうのでしょう。ま、命のかかったゲームほど興奮するものですが、それがストレスになってしまうようなら、人間の活動はなんでも結局は、死ぬまでの暇つぶしのゲームにすぎないのだと、醒めた目で見るのも有用かと思います。
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あきらめ票

2016-01-26 | Weblog
沖縄県宜野湾市長選、安倍政権が支援する現職の佐喜真再選され、翁長知事が支持した新人志村氏が敗北。
裁判になっている辺野古への違法な移設強行に対して、「オール沖縄で辺野古への米軍基地に反対している」というする翁長知事の主張に水を注す結果となったようで残念です。
最近、朝日新聞は、辺野古問題については、権力側と距離をおいたような主張をするようになっているように感じます。朝日新聞の記事から。

普天間基地の地元、苦渋の選択 宜野湾市長に政権派再選
有権者は、どんな思いで票を投じたのだろうか。

 「このままでは基地が固定してしまう」。米軍普天間飛行場のそばで生まれ育った無職宮城治隆さん(63)は現職の佐喜真淳氏に投じた。、、、、「辺野古移設への反対ばかりでなく、普天間基地の撤去から始め、前に進めていってほしい」と期待する。

 佐喜真氏に投票した有権者の中には、辺野古移設に反対の市民もいた。米軍機の飛行ルート下の地域に住む調理師の男性(60)は、反辺野古の翁長雄志知事を支持してきたが、政府が移設を進める中で、あきらめを覚えるようになったという。「どうせ辺野古になるなら、政府と協調して普天間の跡地利用に取り組める佐喜真氏で。政府はいくら沖縄を犠牲にしても構わないんでしょう」と語った。

 佐喜真氏の1期目の取り組みを評価する声もあった。3歳と1歳の子を連れて投票所を訪れた主婦末吉志緒里さん(28)は、医療費無料化や給食費助成などの政策を重視して佐喜真氏に投じた。普天間飛行場については「ずっと県外移設と言っても現実は変わらないだろう」とあきらめ気味だ。、、、、


さらに東京新聞、「普天間か辺野古か「どっちか選べなんて酷だ」 疑問抱えながら宜野湾市民投票」という記事は、現職を選べば、辺野古移設が進み、対立候補を選べば、普天間の引き上げが長引く、どちらをとっても沖縄の苦悩はずっと続くという究極の選択に揺れる有権者の苦悩を報告しています。

同社説、「宜野湾市長選辺野古信任とは言えぬ」では以下のようにあります。
辺野古移設が宜野湾市民に「信任」されたと考えるのは早計だ。佐喜真陣営は選挙戦で普天間飛行場の固定化回避には言及したものの、辺野古移設推進を直接訴えたわけではないからだ。今回の結果は、辺野古移設に対する賛意ではなく、生活を脅かす身近な米軍基地を一日でも早く撤去してほしいという切実な気持ちの表れと受け止めるべきだろう。


つまり、現職、政府側候補に入れた人々の中にも、究極の選択を迫られて、「あきらめて」現職に入れたという人がいるということです。現職が勝てたのはそんな「あきらめ票」のおかげであろうと思われます。あきらめ票を投じた彼らにとってもベストは、米軍基地の縮小、県外移転、です。しかし沖縄返還から50年たっても、米軍基地のほとんどが沖縄一県に集中し、危険極まりない普天間基地を使用し続けているという現実にさらされ、それに対して政府は何の改善の努力をしないばかりか、対米隷属官僚が主導して意図的に沖縄の米軍基地を恒久化しようとしてきたわけです。対米従属によって利益を得ている日本政府が、沖縄県民のために、アメリカと交渉して沖縄県外、グアム、テニアンへの基地の移設を交渉するなどということはあり得ない、と沖縄県民自身が「あきらめ」かけているのです。辺野古に基地を作らない限り、普天間は使い続けるという政府に対して、憤りを通り越して無力感とあきらめが浸透し始めているのでしょう。どうせ苦しむなら、少しでも苦しみの少ない方を選ぼう、そういう究極の選択に迫られているのだろうと思います。悲しいことです。「辺野古移設の反対ばかりではなく、普天間基地の撤去から進めて欲しい」という意見が、それを示しています。普天間という現在の苦しみは、辺野古へ移設することによって和らぎます。しかし、辺野古へ移設してしまえば、アメリカ軍は沖縄に恒久的に駐在し、それは将来の継続的な苦しみを意味するのです。
苦しんできた沖縄の人に当事者でももない私が「あきらめるな」とはとても言えません。ただ、民主主義がこうして利己的で傲慢な政府に蹂躙され、人々が希望を「あきらめて」いくのを見るのは辛く悲しいです。

振り返れば、鳩山政権がこの戦後から連綿と続いたアメリカの植民地状態から脱する唯一のチャンスでした。その時にもっと小沢氏から知恵を借りて慎重に事をすすめることができていればなあ、と悔やまれます。
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レースの筋書き

2016-01-22 | Weblog
政治はプロレスみたいなもので、筋書きがないという建前のショーです。大統領選挙もだいたい筋書きがあり、次期はクリントンという線が描かれているようです。それでも時折起きるハプニングがそれなりに面白く、以前は、赤勝て、青勝て、と紅白歌合戦(紅白ではなく紅青ですね)さながらの娯楽としての大統領選は、それなりに楽しんでフォローしていました。オバマの一期目は、そういう意味で面白かったです。オバマ自身がハプニング(?)でしたし。

しかし、今回の大統領選レース、あまり興味が湧きません。共和党はトランプがトップを走っているそうで、これまでの差別的発言や成金的行動に嫌気がさして、最近はあのカツラ頭をみるだけで気持ちが悪くなります。

米大統領選、ペイリン氏がトランプ氏への熱烈な支持表明というニュースも聞きました。日本の自民党の劣化も激しいですが、アメリカ共和党も相当キテいるような気がします。8年前の大統領選であれだけボコボコにされたサラ ペイリンを出してくること自体、自爆行為ではないかと思うのですが、こうした「右翼的」なものを好む共和党支持者が増えてきたというのは、危険な感じがします。日本でも、カルト集団「日本会議」に属するアベ氏自民党は、すっかり「右翼」政党となりはてていると思います。自民党は共和党と同じく、かつて「保守」政党でした。「保守とは、立ち止まること、立ち止まって考えることだ」と言った宮沢喜一が、今のアベ政権を見たらどう思うだろうかと想像してしまいました。アベ政権ほど「立ち止まって、考える」という人間独特の行いができない政権はかつてありませんでした。人の話が聞けない、聞かれたことに答えない、知力がない、ナイナイづくしのアベすぎる自民党が、「この道しかない」と反省も思慮もなく突っ走って止まらない、山本リンダじゃあるまいし。視野や思考が狭窄しているのは自民党だけではありません。与党を操る官僚組織そのものが硬化して、対米従属、格差拡大、国民搾取、最後は戦争でチャラ、「この道しかない」と思っているらしいところが問題です。テストで点を取るのは得意な人々のはずですがね。実地、応用問題には弱いのでしょうか。

さて、大統領選は、結局はカネです。選挙資金で決まります。一般人からの小口の浄財だけでは勝てません。つまり、アメリカを牛耳る金融、戦争産業、大企業からの選挙資金が回ってくるところ、すなわち国民のためではなく企業のために働く人間が最終的に勝つことになります。ゆえに、民主主義の精神に則って最もまともなことを言う人は、最終的に残れません。民主党に関しては、ハプニングがない限り、クリントンが候補となる予定です。一方、他の候補者、サンダースらは、アメリカ経済が悪く、国民生活が苦しいのは金融業界が国民の金を使って博打をして儲けているからだ、他国に余計な軍事介入をして無駄遣いをするからだ、と結構、露骨に金融業界、戦争業界の批判をしていますす。かつて、アメリカンドリームというものを信じて、人々が富と幸福を求めることが自由にできる国と多数の国民が思っていた時代と異なり、今や、一部の金持ちが大多数の持たざる国民を実質的にコントロールしている状態になってしまった現在、すなわち、資本主義という制度が明らかにアメリカの民主主義が求めるものとコンフリクトを起こしている現状で、アメリカ資本主義の元凶である金融業界を批判するのは、当然のことです。しかし、結局、選挙は金であり、まともな意見を支持する一般国民は票は持っていても金は持っていないわけですから、金融業界、戦争産業を正面切って批判すれば、選挙では苦しいでしょう。しかし、その辺は、最終的に誰を応援するのが最も得になるのか、というそろばん勘定が働きますから、今後、クリントンが支持を失っていって、本選で勝てないと見限ったなら、乗り換えるということも起こり得るでしょう。

いくら民主主義といったところで、金が政治を決めているというのは、いずこも同じです。しかし、休みのたびに経団連会長と堂々とゴルフをするような非常識を絵に描いたようなのが首相ズラして傍若無人に振舞う国もありますから、アメリカはまだ随分マシな方なのかもしれません。
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アベすぎる

2016-01-19 | Weblog
いくらその人に問題があって、迷惑を被っているからといって、人の悪口を言ったりバカにしたりしてはいけません。(人類はみな兄弟であり、一つの地球の上で一緒に生活している家族です。だから、人をバカにするのは自分の兄弟、ひいては自分自身をバカにするのと同じだからという理由のようです)
しかし、いくら家族であっても、迷惑を被っている人々が、その加害者に対して一言あるのは当然です。

最近の若い人々の洞察力はすごいですね。あるいは、洞察するまでもなく、一目瞭然ということなのでしょうか。ネットで知りましたが、女子高生の間で「アベすぎる」という新たな流行語が流行りだしたようです。複数の意味があるようですが、なるほど、と思いますね。女子高生、すごいですね、こわいですね、おそるべしですね。アベすぎる本人はきっと究極にアベすぎて、この冗談も通じないのだろうな、とアベすぎない普通の人々は悲しい気持ちにもなったりするのです。病膏肓、アベすぎに効く薬は残念ながらありません。

国会でもアベすぎなアベぶりは遺憾なく発揮されているようです。
元政治記者、田中良紹さんの記事一部抜粋。

安倍総理は安保法の審議の時と同じように野党の質問からズレた答弁を繰り返し、しかも終始ケンカ腰である。、、、そして危惧するのは、既にアベノミクスは破たんしているのにそれを認めず、逆に胸を張る総理の虚勢である。「アベノミクスの成功でバブル期を上回る雇用環境が生み出された」と言い、さらに「この道しかない」と言い切るのは、かつての大本営が「退却」を「転戦」、「全滅」を「玉砕」と言い換えて確実に負ける戦争を継続したのと良く似ている。、、、大体が「この道しかない」と言いきるのはオツムのよろしくない人間に多い。賢い人間は様々な選択肢を用意し、一つの方向が無理だと分かれば速やかに第二、第三の道をめざして一つに固執しない。、、、こっちでうまくいかなくなると何故うまくいかなかったかを考えずに場所だけをあっちに移す。そして「この道しかない」と言い募る。
そのやり方は負けるべくして負けた戦前の軍部とまるで同じ、、、。 日本の戦後政治は戦争の反省も踏まえ、それほど単純かつ低レベルではなかった。しかし「この道しかない」と野党にケンカ腰になる総理を見ていると、「戦後は遠くなりにけり」との感慨を抱いてしまう、、、。

自民党全体がアベすぎるのが問題なのでしょうな。
アベすぎにはくれぐれもお気をつけください。注意一秒、アベ一生、アベぎみだと思ったら早い目にお手当てを。
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これから少し先の世界

2016-01-15 | Weblog
二日前のオバマの演説、
オバマ大統領が一般教書演説「世界の安全は各国で分担」
安全保障面の優先課題として、過激派組織IS=イスラミックステートの壊滅を挙げる一方、アメリカが過度な負担を負わず、同盟国や友好国と分担して、世界の安全を確保したい

とのこと。ISISもアルカイダもアメリカのマッチポンプ的なところがありますから、それはロシアと協力してちゃんとやってもらいたい。アジアに関しては、北朝鮮をどうコントロールするかということで、数日前にも触れましたが、おそらくオバマ主導でなされた従軍慰安婦問題に関する日韓最終合意は、アメリカの直接の関わりを少なくし、日中韓で共同して北朝鮮に対処する体制をつくるための下準備でしょう。
世界の「安全保障」というのは、基本的に海賊や、テロ組織、などに対するものであり、国家レベルの、例えば、中国が攻めてくるとかいうような話ではないのです。冷戦時のキューバ危機で世界滅亡の一歩手前までいって、次の大国間の核戦争が人類にとって何を意味するかは誰もが知っている(はず)ですから。一方、北朝鮮はこれまでも核実験、拉致問題、とテロ紛いの挑発行為を続けてきた国であり、切羽詰まったら何をするかわからない不気味さがあります。とはいえ、いくら北朝鮮でも本気で核戦争を始めたら数時間で制圧されて現体制が壊滅するのは分かっているはずなので、挑発行為は交渉の道具しか使えないことは承知しているでしょうが。

日本の安全保障とは何か、それは具体的には、日本の国土を外国からの攻撃から守るというよりは、日本と世界をつなぐ貿易航路などを海賊、テロなどから守ることではないでしょうか。この件に関してはアメリカ軍が南シナ海に出動して日本船舶の安全を守るなどということはありえないので、ベストの選択はやはり、中韓と協調することだろうと思います。北朝鮮に関しては、日中韓で手を組ませて、軍隊を出させて、北朝鮮を抑え込み、アジアの米軍の規模を縮小したいというのがオバマの考えでしょう。その時に違憲だから日本が軍隊の派遣はしないと言われるとオバマは困るのだろうと思います。
 しかし、一方、アジアの安全のためという口実で、このままズルズルと改憲して、日本軍をアメリカの手下として全く関係のないところまで派遣するというような事態にしてはいけません。自衛隊はすでに立派な軍隊です。憲法がその動きを制限することで「兵は不祥の器」でありえていると思います。かつての自民党リーダーはアメリカの要求をうまくかわしたり、交渉したりする能力がありました。残念ながら現政権にはそのような知恵も能力もあるようには見えません。アメリカ、官僚の要求は「丸呑み」の一択という感じですね。

さて、アメリカ大統領選はすでに始まっています。共和党(GOP)は、保守白人が支持層かと思っていましたが、どうも事情はかわってきているようです。

続 壺 齋 閑 話、GOP内の階級闘争 から一部転載

米大統領選の共和党(GOP)の候補者選びが面白い様相を呈している。ドナルド・トランプが相変わらずトップを走り、それにクルーズやルービオが追い打ちをかけている状況だが、こうした候補者は、いままでのGOPの政治的な伝統からすれば、異端的と言ってよい。というのも、これまでのGOPの政治的なアジェンダは、減税、歳出カット、規制緩和、自由貿易を柱とした「小さな政府」路線だったわけだが、以上の候補者は、かならずしも小さな政府にこだわっていない。ある程度の社会保障の必要性を容認しているし、強いアメリカの実現のためには増税もあり、といったスタンスをとっているようである。
、、、
もともと保守的だったGOPが、ティーパーティのゆさぶりで、保守を超えて右翼に傾いたというのはよく指摘されることだが、この右傾化の傾向は、今回のトップランナーたちも共有している。トランプは強硬な移民排斥を訴えているし、クルーズやルービオも経済ナショナリズムというべき主張をしている。面白いのは、クルーズもルービオもキューバからの移民の出だということだ。彼らの父祖たちは、カストロの革命を嫌ってアメリカにわたってきた旧キューバの支配層だ。その人々の息子たちが、こんどはアメリカで、経済ナショナリズムを主張している。アメリカという国は、何とも面白い国である。


私は面白いというよりはむしろ不気味に感じます。右翼化、排他主義は、アメリカ経済の低迷に引きずられているように思います。それなりに豊かに暮らせたから移民も差別に耐えてやってきた国です。経済の低迷により、今でも十分にいびつなアメリカの人種、民族関係はより悪化し、右翼化がそれに拍車をかけるような気がします。日本でも同様の傾向が強くなってきているように思います。貧すれば鈍するで、生活を脅かされると心も貧しくなるのです。

経済といえば、予想通り(?)、株価の続落から世界恐慌へという道筋をたどっているような感じです。
東京新聞 株安の進行 海外要因だけなのか

株安が止まらない。年明けから六営業日連続の株価下落は戦後初だ。中国経済の減速、中東などの地政学的リスク、原油の値崩れといった海外要因が語られる。、、、
 そもそも二〇〇八年のリーマン・ショック後から始まった米国、日本、欧州の強力な金融緩和によるマネー膨張が世界的な株高を生んだ。しかし、その「宴(うたげ)」は終わりを迎えたのである。
 米国が昨年十二月に利上げに転じ、緩和マネーは新興国から米国へ逆流する動きが出始めた。中国ではリーマン後に世界経済をけん引した巨額投資が、今は逆に過剰債務となってのしかかっている。
 問題は今後である。世界株安は止まるのか。再びリーマン・ショック級の世界不況に陥るか否か。

 、、、

金融出動、量的緩和というやり方がそもそも詐欺的行為で、そのツケが出始めたということだろうと思います。もっと言えば、管理通貨制度そのものが詐欺であるとも言えるでしょう。日本の官僚は、これ以上金融緩和が効かない限界に達している現在の日本の財政のツケを戦争でチャラにしたいと考えているという噂も聞きました。貧困化する現代日本で預金封鎖が起きるという話も現実味を帯びてきていると思います。最後の希望が戦争というような状態にならないようにとは祈っております。

根本策は、現在の管理制通貨システムを捨てることでしょう。とりあえずは、自給自足、助け合いを目指した小規模の共産コミュニティーを作っていくことが通貨への生活の依存度を減らすのではないかと思います。住居、衣料、食料供給の安定確保は最重要事項となると思います。戦中戦後のロシアの飢餓はダーチャが救いました。大恐慌が来てリストラの嵐が吹き荒れる前に田舎で農業を始めることを考えた方がいいのではないかなと思います。
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永遠の青年

2016-01-12 | Weblog
デイビッド ボウイ死去のミュース。
英国人歌手デビッド・ボウイさん(69)が10日、死去した。ソーシャルメディアの公式アカウントが11日、公表した。ガンのため18カ月にわたり闘病していたという。69歳の誕生日だった今月8日に最新アルバム「ブラックスター」をリリースしたばかりだった。

デビッド・ボウイというと、初期のころのケバケバしいのが抜けた後は、爽やかな「永遠の青年」という感じがしますが、息子さんは映画監督ですでに44歳なのだそうです。一、二年前にNYで新年のライブに出演して歌っているのを見たように覚えております。ジージャン姿で前髪を垂らし、まるで二十歳代の若者のような姿でしたが、ひょっとしたらそのころから死に至るガンを患っていたのかも知れません。

Space Oddity が1969年の作品と聞くと、そんなに前だったのかとあらためて驚きました。これは、キューブリックの「2001年宇宙の旅」がモチーフで、今聞いても、サビのメロディーが美しいいい曲だと思います。当時の流行りなのか、悲しい結末の歌詞です。

そのキューブリックも「戦場のメリークリスマス」の大島監督も亡くなりました。人は皆、いつか死ぬとは頭では知っていても、デビッド ボウイがもう70歳前になっていて亡くなったと聞くと、ウソのような気がします。

David Bowie- Space Oddity (With Lyrics) HD
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沖縄の将来を左右する北朝鮮

2016-01-08 | Weblog
北朝鮮の水爆実験に関して、
朝日新聞 首相、独自制裁の強化検討 対北朝鮮でオバマ氏と協議
 
北朝鮮の核実験を受け、安倍晋三首相は7日朝、オバマ米大統領と電話で協議した。首相は同日午前の参院本会議での代表質問で、電話協議について「北朝鮮の挑発行動は許容し得ないもので、国連安保理における対応を含め、日米両国が国際社会を主導していくことで一致」したと説明。「米国があらゆる手段を用いて日本を防衛するとの確固たるコミットメントを再確認した」とも述べた。

北朝鮮問題で、オバマから指令が出たわけです。先日の従軍慰安婦問題で、アベ氏は豹変して、従来の政府責任を認めて、韓国との間で「最終合意」がなされたわけですが、このどう見ても不自然で唐突な行動は、アメリカに指示されたものであったであろうと推測されています。しかし、それでは、なぜアメリカが日韓最終合意をこのタイミングで急いだのかが謎でした。

田中宇さんは、それは、オバマがやりたいことができるのがこの一年であり、そしてやりたいことの一つは北調整問題であるからだ、と推測されています。更に、この動きは、日本政府が沖縄県を訴え、法を曲げてでも辺野古の埋め立てを強行しようとしていることとどうも繋がっているようです。
以下、田中さんの記事の一部を転載します。

日韓和解なぜ今?

昨年12月28日、日本と韓国が従軍慰安婦問題で和解した。日韓はなぜこのタイミングで、慰安婦問題を最終的・不可逆的に解決したのか。、、、
 日韓双方の中枢で強い力を持つ「対米従属派」にとって、慰安婦問題を解決せず放置しておくことは、日韓の結束を阻み、日韓が別々に対米従属を続けることを可能にする便利な道具だった。、、、日韓の政府だけの意志で慰安婦問題が解決されることはなく、慰安婦問題の解決は、米国の差し金である可能性が高い。外から日韓に強い圧力をかけられるのは米国だけだ。慰安婦問題がなぜ今解決したのか、という問いは、オバマ政権がなぜ今日韓に和解しろと圧力をかけたのかという問いになる。
 先に私なりの答えを書いておくと、それは「オバマは、任期最後の年である今年、北朝鮮の核開発問題を解決したいのでないか。そのためにまず、米国の力で最も簡単に解決できる日韓の和解を実現したのでないか」ということだ。米大統領が、軍産複合体やイスラエルの政治圧力を気にせず国際戦略を進められるのは、再選されて2期8年やれた場合の、もう先に選挙がない最後の2年間だけだ。、、、残る今年の1年、北朝鮮問題の解決や、中国を強化するかたちで譲歩するニクソン的なやり方を進める可能性がある。、、、
 これらから考えると、昨秋からの流れは、日韓が結束して中国と敵対する動きでなく、中韓が結束して日本を取り込む動きだ。中韓は、日本を取り込んだ後、6カ国協議を再開して北朝鮮問題を解決していこうと考えている。 、、、
 米国の外交戦略立案の奥の院であるシンクタンク外交問題評議会(CFR)は大晦日に、オバマ政権が最後の1年に入る今こそ米朝関係を改善して6カ国協議を再開し、北朝鮮の問題を解決する好機だとする分析を載せている。、、、
 北核問題の解決は、03年に米国主導で6カ国協議の体制が組まれたときから、日韓が対米従属をやめて日中韓が協調を強める「東アジア新秩序」の創設と抱き合わせになっている。日韓、日中の関係を好転させてからでないと、6カ国協議が進まない。、、、、
 6カ国協議は、これまで何度か進展の機会があったが、いずれも北の消極性が最大の原因で、頓挫している。韓国が対米従属なので、北が米国と和解して米朝が対等な友好国になると、北は韓国より上位に立てる。米国は、この展開を嫌い、6カ国協議を中国に主導させ、北が米国と和解すると同時に中国の傘下に入るように仕向け、中国が南北を仲裁する構図の中に北を落とし込もうとしてきた。北がこれを拒否して核実験やミサイル発射を繰り替えし、6カ国協議が頓挫していた。、、、、
 慰安婦問題の解決と並行して、米軍撤退に向かう道の始まりである日韓の安保協定の締結が、すでに現実的な話として交渉されている
米政府は以前から何度か「日本政府が辺野古に基地を作れないなら、海兵隊をグアムに撤退するよ」と言っている。、、、海兵隊の撤退は、日本の対米従属の減退を意味するので、日本の隠然独裁的な官僚機構は、海兵隊に出ていかれる前に、是が非でも、法規をねじ曲げても、急いで辺野古の代替基地を作らねばならないと考えている。 6カ国協議の進展は、海兵隊のグアム撤退を阻止(できるだけ長く先延ばし)したい日本の官僚機構にとって、新たな脅威の出現になる。、、、
 今回、米国からの圧力による慰安婦問題の解決、日韓安保協定の再交渉が始まったことは、11-12年の「米国が出ていく流れ」の再開になるかもしれない。東シナ海紛争、南シナ海紛争への日本の介入、潜水艦受注に始まる日豪同盟の可能性(対米従属から日豪亜同盟への転換)などを含め、今年の展開が注目される。


とすると、今回の北朝鮮の核実験は、日韓合意の背後の意図を感じて「まだまだ6カ国協議には乗りたくない」という北朝鮮の意思表示かも知れません。とすると、それは対米従属官僚にとっては好ましい動きであり、この隙に辺野古の埋め立てをますます強行しようとするでしょう。オバマが、北朝鮮問題、すなわち東アジア安保に関するアメリカの今後の立場の道筋をある程度つけてから辞めたいと思っているのであれば、6カ国協議を軌道に乗せて、その上でアジアから順次撤退を目指した戦略をとろうとするのではないでしょうか。ここで、沖縄の辺野古の新基地が間に合いそうにないとなれば、グアムへ引き上げてくれる可能性もあると思います。ゆえに、在日米軍の恒久化を意味する辺野古の政府による強行埋め立てを阻止し続けることが極めて重要だと思います。
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人間を破壊する戦争 - Adagio

2016-01-05 | Weblog
正月早々、気分の悪いニュース。
イラン、群衆がサウジ大使館襲撃 47人処刑に猛反発
 【ドバイ共同】イスラム教スンニ派大国のサウジアラビアが少数派シーア派の有力指導者でサウジ王室に批判的だったニムル師ら47人を処刑したことに対し、シーア派国家イランの首都テヘランで2日から3日未明にかけ、抗議する群衆がサウジ大使館を襲撃、一部が暴徒化して大使館に乱入したり、火炎瓶を投げ付けたりした。

サウジアラビアがシーア派の指導者を処刑したことでシーア派が大勢を占めるイラン、イラクで反発。国連もサウジを非難。親米国のサウジですからアメリカが糸を引いているのではないかとつい勘ぐってしまいました。アサド政権を倒すためにシリアに介入し、アサド政権を支援するロシアとイランと対立してきたアメリカのことです。ただ、先日、ケリーはアサド政権を倒すことは一旦目標としないことをロシアに表明したはずですから、今回の事件は、単にスンニとシーアの宗教対立で、いつものアメリカの陰謀はないのかもしれません。

人間が殺し合う戦争はなかなか無くなりません。
3日の東京新聞、筆洗いは70年前の戦後初めての正月の風景について触れてあります。

<焼け跡に遺(のこ)る三和土(たたき)や手鞠(てまり)つく>中村草田男。手鞠は新年の季語なので、一九四六(昭和二十一)年の正月前後に詠まれた句であろう。終戦からおよそ半年。その正月、子どもがついた手鞠はどんな音が聞こえたかを想像する。荒廃に対する絶望の音か。、、、、、、戦争は終わったが、不安の色は濃い。戦争中と同じか、それ以上に物も心も貧しい日々が続く、、、、、自分のことで精いっぱいの正月。温かみも優しさも持ち合わせることができなかった世の息苦しさと絶望を思う。


戦争は、物理的に、精神的に、人間を破壊します。文化を破壊し、知と心を破壊します。この上なく愚かな行いです。

正月休みに、YouTubeで、ハンガリー生まれのピアニスト、Gyorgy Sebokの映像を見つけました。第二次世界大戦後に起きたハンガリーの内戦を生き延びた人です。ポランスキーの映画、戦場のピアニストを思い出しました。淡々とした彼の言葉に戦争の愚かさ、その人間性に及ぼす深い害を強く感じました。
インタビューと演奏をリンクします。

Gyorgy Sebok - Bach-Busoni - Adagio from BWV 564

個人的な告白みたいなものをしますと、戦争が終わった後、ある一時期、私は「苦しむことができない」ことに苦しんでいました。
音楽だけでなく、あらゆるものに対して、反応したり感覚を持つことを禁じられているようでした。
(当時の)人々は、原始的な恐怖や生命の危険にさらされるなどの、様々な感情に打ち負かされないようにする必要がありました。目標は、あまり深く感じないようになること、いや逆です、目標は、生き延びることであり、生き延びることのご褒美が「感じないこと」だったのです。そして「感じないこと」は、遅かれ早かれ、音楽そのものを含むことになったのです。
戦争の終わった後、再び、生活が始まりました。もちろん、音楽は素晴らしいものだとは私は感じていましたが、その本質への結びつきというものは失われてしまったのです。音楽が素晴らしいという明らかな理由はその美しさです。(ピアノを弾く)それは、美や偉大なるものを認めることです。でもこの編曲を弾いたとき、、、(トッカータのさわりをを弾く)、、、長いトッカータの後、このように続きます。、、、(アダージョを弾く) そのとき、私は、何かとても不思議な気持ちになったのです。私の喉が、、、いくつかの機能を失っていた弦が、振動しだしたのです。



(この曲は、オルガン曲、トッカータ/アダージョ/フーガ ハ長調をBusoniがピアノに編曲したものです。アダージョはイ短調の比較的素直なコード進行をもつ美しい曲ですが、最後のディミニッシュコードのアルペジオ (?) の数小節はしばしば演奏から省かれ、このビデオの演奏でも省かれています)
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明けましておめでとうございます。

2016-01-01 | Weblog
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

普通のことを普通にできるようになるのが人間の成長の証だそうで、長年、賀状も年末年始の挨拶もマトモにやっていない我が身を反省するばかりです。
年を取ってきたせいか、受け継がれてきた伝統、行事、しきたり、そういったものに多少の敬意を感じることもできるようになったように思います。それで、お正月には、素直に「あけましておめでとうございます」と挨拶したい気分になっております。

実際、正月はめでたい、と思っております。
昨年の365日、毎朝、無事に目が覚めて、命があって、それが1年続き、そして年が明けた、そう思えば、これまでの毎日の奇跡の連続に胸をうたれます。いや~神様、皆様、これまでありがとうございました、という気持ちになります。
これからの1年、毎朝、無事に目が醒めるかどうかはわかりませんが、とりあえず、1年の最初の日に、無事に目が覚めて、お日様の光を拝むことができたなら、これがめでたくないわけがありません。

門松は冥土の旅の一里塚、という言葉もありますが、ものごとは良いように解釈する方が精神衛生上もよいと思います。冥土はきっと極楽浄土、生きてめでたし、死んでもめでたし、というわけで、「めでたさも極の上なり、江戸の春」と感じで今年も行きたいと思います。

すっかりお休みモードになって、ダラダラしております。といっても、私、酒、肉食、タバコはやめましたし、最近はカフェインも控えめにしておりますので、シラフでじっとしているだけです。Youtubeで音楽を聴いたりしています。

Youtubeで見つけたIvry GitlisのChacconeの演奏が妙に心に沁みたので、貼り付けておきたいと思います。なぜだかわかりません。あまり情緒的な音楽やコブシが効きすぎている演奏は嫌いなはずだったのですが。年のせいでしょうか。そろそろ演歌でも聞いてみるかなと思ったりしております。

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