ちょっと長くなってしまいましたが、週末はこの事件でツイッターは怒りのツイートに溢れたもので。すでに言い尽くされたような感もありますが、私も述べておきたいと思ったので。この事件で私が心から情けないと思ったのは、人権意識皆無の与党や維新以上に立民の対応でした。
先週末の法的根拠でさえ失ったにも関わらず、与党と「ゆ党」によって強行採決された入管法改悪法案。非人道的対応を続けた入管によって「殺された」と言っても過言ではないウィシュマ・サンダマリさんの事件があったため、流石に二年前は廃案にせざるを得なかった法案でしたが、ほとんど何も変えないまま、与党は今期国会に出してきて、強行採決。与党補完勢力の「ゆ党」、維新と国民も賛成。
日本は難民条約に批准していながら、難民に対する人権意識が極端に低く、条約の精神を無視し難民を門前払い、強制送還によって彼らを生命の危険にさらし続け、入管施設では収容外国人に多勢で暴力行為、挙句にウィシュマさんのように死亡者を出す始末。難民保護国とは建前ばかり、しかも、ヘタに難民条約批准している体裁をとっているから余計悪質です。困って縋ってきた人に親切な顔をしながら冷酷に切り捨てる。
アジア人種でありながら、アメリカにコテンパンにやられてから宗主国の主流人種である白人しか外国人に人権を認めないかのような歪んだ人種主義国でもあるようです。明治以来、やられっぱなしの欧米白人には媚びを売り、文化的歴史的恩恵を受けたアジア諸国の同人種は蔑ろ。肌の色や顔体つき、カネや地位で態度を変え、立場の弱い人間には強権的に振る舞い集団でいじめる、日本の最も卑しくも醜い恥部が現れているのが元与党であり入管です。
この人権意識の全く欠如した改悪入管法をそもそもなぜ、与党と「ゆ党」は通そうとするのか、全く理解に苦しみます。統一教会でしょうか?
今回、野党、特に共産党は、この人権意識ゼロの法案に大きく反対し、委員長の不信任案提出して抵抗しました。対して、立民のぬるま湯的対応は酷かった。次の選挙で公認が欲しい与党議員は如何におかしい法案であっても政権の方針に反対するわけもなく、結果、強行採決が決行され、世界が非難する中、成立。
そして、強行採決を阻止しようとした山本太郎が委員長に近寄ろうと揉み合いになった時に「暴力」を振るったと難癖をつけられ、参議院の秩序を著しく乱したとして、懲罰動議が参議院に提出されるということがありました。採決を強行しようとする委員長の周りに与党議員で石垣を作る「人間かまくら」それを乗り越えようとすると「暴力」だと非難する、これはよく警察などが目的の市民を逮捕するのにやる「当たり屋」「転び公妨」と同類です。自民党が当たりもしていないのに「暴力」を振るったと一方的に相手に非をなすりつけるのには驚きませんが、今回の(そして前回の)立民の対応には、呆れ返利ました。
れいわ国会議員の懲罰同義に関しては、しばらく前「与党も野党も茶番」というプラカードを掲げたとして、衆院の同党の共同代表、櫛渕氏が十日間登院停止という懲罰を受けました。この時、山本太郎は、プラカードを掲げるというようなことはこれまで自民党も含めて議会では皆がさんざんやってきたことであって、それに対して登院停止という重い罰を加えたということに異論を唱えた上で、この懲罰動議に立民が加わったことに強い懸念を示しました。また、国会でのも揉み合いなど大昔から日常茶飯事でこれまで、揉み合いの一方だけを多数派議員によって懲罰にかけるというようなことはなかったのです。それは議会での懲罰というものは多数によって少数の言論を抑制する性質のものであるということをかつての議員は理解していたからです。小泉政権あたりから党執行部は非常に強権的になり、平気で弱いものいじめをするようになりました。所属議員も暴力団のチンピラのように振る舞って恥じなくなった。多勢に与して弱きを切り捨てることに抵抗がなくなった、そんな「いじめの文化」が議会に蔓延ってしまったようです。
法案反対の立場で採決を阻止しようとした山本氏への今回の懲罰動議に与党とゆ党が提出するのは分からないではないです。結局、権力闘争であり、れいわは少数政党ながら史上、唯一の市民政党という革命的存在だからです。れいわを恐れる気持ちはわかる。しかし、前回に続いて今回も、同じく法案に反対する立場であるはずの立民が、懲罰同義に加わっています。立民、単に頭が悪いのか、あるいは根性が卑しいのか、いずれにしても野党支持者に愛想を尽かされるに十分な行動でした。
しばらく前、参議院では当選以來一度も登院しなかったN党のガーシー議員に懲罰動議が出され、れいわを除く参議院議員の多数の賛成によって、除名されるという事件がありました。この懲罰動議に賛同せず、強い懸念を表明したのはれいわだけでした。つまり、参議院議員としてマトモに活動しているとは思えないこの議員であっても、その後ろにはこの人に投票した国民がいて、彼はその代表であるという民主主義の視点が、その懲罰動議に賛成した議員には欠けているのです。彼をケシカランと思うのは誰でもそうでしょう。しかし、議員という立場の人間がケシカランからと言って同じ議員に懲罰を与えてよいと考えるのは民主主義の精神を理解していないと言えましょう。つまり、彼を参議院から除名するということは、その支持者の権利を切り捨てるということであるということです。ゆえに民主主義の何たるかを理解している議員であれば、議員の懲罰に対して慎重に行動するはずで、それが良識というものです。そんな理屈を考えなくても、議会での懲罰行為を安易に行うということは、その気になれば多数の人間の恣意的な判断で少数意見を抹殺し議会を骨抜きにすることが可能になってしまうということに理解が至らないのであれば、議員としての見識に欠けると言わざるを得ません。
ガーシー議員の懲罰においても、同じ参議院議員が懲罰動議に加わることの影響を、野党全体、議会政治というスケールの視点から考えていたのは、残念ながら山本太郎だけであったということです。立民はともかく共産党でさえ、その視点を持ち得なかった。思えば、ロシア-ウクライナ戦争に対する態度もそうでした。全面的にウクライナ支援、ロシア非難を表明する中で、この戦争の落とし所を考えた場合に、第三国の日本が戦争当事者の一方だけに肩入れすることの負の影響を深く考えていたのはれいわだけだったようでした。
野党第一党である立民の政治センスの無さ、志の低さ、行動力と思考力のなさに政権交代を望んだ多くの人々が愛想を尽かしつつあります。それでも与党や維新よりはマシだと思って支えてきた人が匙を投げ出しました。弱小政党への懲罰動議というのは多数で少数の意見を強引に封じ込める一種の「いじめ」であり、少数意見への言論封鎖です。もうこの党は立憲とか民主とかいう言葉を党名からはずしたほうがいいのではないでしょうかね。
勘ぐるに立民の動機は下世話で浅薄なものでしょう。前回の国政選挙、れいわと共産党の選挙協力で議席を得た立民でしたが、れいわが次回の選挙では独自でやる方針を明らかにしたものだから、れいわは立民と議席を争う敵にな利ました。それで、れいわ潰し。れいわは立民の票を奪うというXXの穴の小さい戦略ではなく、投票率を上げてこれまでの棄権者の票を掘り起こすことで大きくなってきた市民政党で、立民は従来の連合などの組織票で支えられてきた組織。発想が貧弱なのでしょう。れいわが伸びれば立民が縮むとでも思っているのでしょうな。そんな針小のXXの穴政党が大きなビジョンを描けるはずもありません。目指すところはあくまで野党という小さなサル山のボス猿なのでしょう。サル山の外に本当の社会が広がっているのだから、サル山のサルに社会を変えることなどできません。立民の支持が広がらず低下傾向なのはまさにその見識と志の低さのせいでしょう。野党でありながら、わざわざ少数弱小党の懲罰に加担するということは、野党である自らの手足を自分で縛りにいっているようなものなのに、その自覚があるようには見えません。ま、政権を取りに行くつもりもなく、ずっと野党席から批判だけしていればよいという気楽な立場が好きなのでしょう。
しかし、心ある立民議員がいないわけではなく、若手や一部の人々に望みはあります。彼らは早いうちにマトモな人同士で固まって旗印を鮮明にして活動してもらいたいものです。
今回の山本太郎への懲罰動議に関して、最近、憲法委員会をめぐって愚かな立民執行部に背後から撃たれた小西議員、ツイッター述べた意見が的を得ていると思うので、貼り付けておきたいと思います。野党政党が弱小政党への懲罰に加担することの愚かさが解説されていると思います。
(下ツイートより引用)、、、つまり、懲罰制度とはいざ多数派が濫用する気になれば、あっという間に邪魔な国会議員の身分を奪い取り、恐怖政治で国会を支配することを可能にするものなのです。 そうすると、野党議員は常に「こういう発言や行為をすれば懲罰にならないか」と怯えながら、委員会での質疑や討論などを行うことになります(議場でのヤジも懲罰事犯として狙われるでしょう)。 特に、最初の懲罰の濫用が「戒告」などで止まっても、「今度、懲罰事犯を起こしたら即除名だ」となりますから、一度でも懲罰を受けたら終わりという緊張感でずっと縛られることになります。 つまり、懲罰制度とは議会制民主主義を殺す力のある恐ろしい制度なのです。、、、、それが故に、これまでの乱闘国会や強行採決では殆ど懲罰動議は実施されていなかったのです。 自民党もこうした良識のもとに懲罰の運用は極めて抑制的でありました。、、、、特に、今回の山本議員の事例は以下の観点などからもなおさら慎重であるべきと考えます。 ①人の生死が懸かった法案、しかも立法事実が崩壊するなどの異常な法案(=違憲立法)の強行採決であったこと ②暴力そのものが行為の目的ではないと思われ本人もそのように述べていること ③これまでの強行採決の例と明らかにバランスを欠くこと ④立法事実が無い法案を採決した委員長やそれに賛成した議員、その採決を助力した委員外議員(怪我をした二名の議員も委員外議員です)は不問であること(やろうと思えば制度上は懲罰可能です)、、、、、
山本太郎議員の懲罰動議が提出されたとのことです。昨日の私のツイートは立憲会派が動議に賛同する可能性を前提とせずに書いたものでしたが、現時点での私の考えを以下に申し上げます。私は「懲罰制度の濫用の危険」などから本件の懲罰動議には問題があり、そして、実際の懲罰発動は行うべきではないと… https://t.co/zKs2nVGHOk
— 小西ひろゆき (参議院議員) (@konishihiroyuki) June 9, 2023
また鮫島さんはこの事件を取り上げた記事の中で次のように述べています。
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山本代表は、自公与党に徹底抗戦せず、波静かな国会運営を続ける立憲を厳しく批判してきた。立憲が粛々と採決を容認する結果、国会審議は注目されず、世論の関心も高まらず、重要問題法案が多くの国民が気づかないままに次々に成立しているという指摘はその通りであろう。
衆院議員3人・参院議員5人の少数政党であるれいわ新選組が国会で体を張って徹底抗戦し、問題法案によって人権をないがしろにされる少数者たちに寄り添い、少しでも世論の関心を高めようとする努力は、15倍以上の国会議員を有しながら「提案型野党」などと言って迫力を欠く立憲の不甲斐なさと比較して、涙ぐましいものがある。、、、