百醜千拙草

何とかやっています

アイルランドの言葉

2024-12-24 | Weblog
イスラエルのネタニヤフ政権とその支持者の邪悪な悪行三昧は留まることを知らず、 パレスティナ人に対する迫害、殺害、爆撃、違法入植は現在もガザとウエストバンクで進行中です。そして、シオニスト資金とユダヤロビーに言いなりになってきたアメリカが課した厳しい経済制裁による経済的困窮のために軍を維持できなくなったアサド政権はトルコが支援するアルカイダの前に崩壊してしまいました。シリアを空爆しようとしたオバマ政権を耐えぬいたシリアのアサド政権ではありましたが、トランプによる経済制裁によってトドメを刺されたと言えましょう。そして、アサド政権崩壊の直後から、イスラエルはシリアの軍事施設に激しい空爆を開始し、シリア南部地域の侵略を開始し、実効支配地を増やしています。

イランが支援してきたレバノンのヒズボラやイエメンのフーチというパレスティナの大義を掲げる「抵抗の枢軸」を地政的に繋いでいたのがシリアであり、その崩壊はヒズボラとイランの弱体化を意味します。すなわち、イスラエルにとってはその邪悪な野望、大イスラエル計画達成への大きな前進であったということですが、パレスティナ人にとっては大きな痛手でした。

22年前の911の直後に計画されたアメリカによる7つの国の政権転覆計画がWes Clarkの有名なインタビューで明らかにされましたが、そのうち、今回のシリアで6つの国までが実行されました。アメリカの外交政策は、数十年にわたって、シオニスト ユダヤがAIPACなどのユダヤロビー団体、アデルソンのようなユダヤ資本によってコントロールされてきて、Trillionsのドル(数百兆円)が、イラク戦争に始まるイスラエルの戦争アジェンダのために注ぎ込まれました。

この上院議員のBernie Sandersの言葉にあるように、アメリカの政治家はイスラエルに反対するような意思を表明すると、AIPACや億万長者のシオニスト勢力がその財力を動員して、政治生命を奪いに来ます。それが怖くて、アメリカの政治家は意思に反してイスラエルを支持せざるを得ないのです。一般アメリカ人の大多数が反対するガザのジェノサイドでも、バイデン政権が国民の声を聞くことはありません。それどころか、アメリカ議会でのネタニヤフの気狂いじみた演説に満場のStanding ovationを贈るのがアメリカ議員です。民主主義と声高らかに叫ぶアメリカという国で、民意はカネと脅しの前には無力ということです。ま、これは日本の与党政治家も同じことでしょう。国民の大多数が反対する法案でも、スポンサーの要望があれば、いくら国会で理詰めで詰められても、いくら違法であっても何、強行採決で決定され、民意が重視されることはありません。消費税増税や解散を決めた時の野田の顔、変わるたびにレベルが下がっていく自民党総裁が苦し紛れの答弁をする時の顔、それらがこのことを雄弁にものがたっています。山本太郎はかつて国会で与党議員を「保守ではなく保身」と呼びましたが、それは、当の自公議員や多くの野党議員が最もよく自覚していることでしょう。

さて、二十数年前、大イスラエル構想を目指すシオニストの野望実現のために、アメリカが倒すべき国と設定された周辺7カ国、イラク、リビア、レバノン、スダーン、ソマリア、シリア、イランの国々のうち、現在、アメリカが戦争を仕掛けていないのはイランのみとなりました。イスラエルはアメリカをイランとの戦争に引き込もうと強く運動を進めてきています。

しかし、イランはシリアのようにはいきません。中東ではトルコに次ぐ軍事大国であり、ヒズボラ、フーチ、ハマスという「抵抗の枢軸」の人的資源を合わせると、アメリカとNATOが全力投入しないと倒せる相手ではありません。しかもイランはすでにBRICSメンバーの産油国、イランに手を出せば、ロシアも動かざるを得なくなります。

いずれにせよ、イスラエルがイランを倒そうと思えば、アメリカが対イラン戦争に深く介入することが条件で、普通の知能で考えたら、アメリカがイランを攻撃することはあり得ない。しかし、サイコパスのネタニヤフとシオニスト政権の支持者はカルト宗教の狂信ですから、常識は通じません。そして、彼らにコントロールされているアメリカ政治家は金と脅しで簡単に転ぶでしょう。では、シオニストユダヤの資金援助を受けて、イスラエルには優しいが、一方で、反ネオコンで、唯一戦争を始めなかったことを自慢するトランプはどうするでしょう。戦争以外でトランプが取れる手は更なる経済制裁でしょうが、その効果は限定的と思わざるを得ません。

トランプは二度、暗殺されかけました。想像するに、NY Milltary Academy在学時のテストでIQ 73だったとも言われるレベルのトランプの思考と行動は、最新AIでも予測不能であり、かつ、トランプは政治家として今期限り、守るものもない状態です。「扱いづらすぎる」と連中に思われたのではないでしょうか。われわれ、中東平和ひいては世界平和を望むものは、その予測不能さに一縷の望みを託さざるを得ないというのが何とも心許ないわけですが。

イランへの戦争はNATOのウクライナ取り込み計画同様、やがて、ロシアを相手にすることになるでしょう。今度はウクライナのようには終わりません。ロシアとアラブ連合軍がイスラエルに攻め入って中東発の世界大戦となると解釈される聖書の予言を思い出します。トランプがイランへ介入せず、中東和平に向けて動いてくれて、その間にネタニヤフが失脚してくれることを願っています。

現在、世界中で最も嫌われている国がイスラエルだと言って間違いないでしょう。好戦的で毎年のように周辺の国に攻撃を仕掛け、力(しかもアメリカの)に任せて、パレスティナの土地と財産と命を奪い、弱いものイジメを続け、国際法を破り続けるダントツの無法国家で、国際社会から度重なる非難を受け続けても全く無視、ひたすら利己的に振る舞う下品で淺ましい国、そのように思われても仕方がない。彼らシオニストは、ユダヤ人以外をGoy/Goyimと呼び、劣った人種だと考えているようですが、どう見ても「人間として」劣っているのは彼らの方です。ネタニヤフは間違いなく、後世の教科書にヒトラーと並んで、史上最大の人類に対する犯罪者、かつサイコパスとして紹介されることになるでしょう。

さて、世界のイスラエルへのBDS運動は多少の効果をあげているようですが、西側で最も強大な力を持つアメリカやイギリスがイスラエルの国際犯罪を幇助しつづけている中、各国の反ネタニヤフ キャンペーンも広がりつつあります。

先週は、ノルウェーがサッカー ワールドカップでイスラエルとの試合をボイコットすると声明を出しました。とりわけ、アパルタイト政策を身をもって知っている国々が早期からイスラエルのパレスティナへのアパルタイトに反対して声をあげてきました。ヨーロッパではイギリスからの差別に苦しんだアイルランドは、早くから南アフリカがイニシアティブをとったICJへのイスラエルの提訴に賛意を表明してきていました。そのアイルランドで、先日、イスラエルがアイルランドにある大使館を閉鎖しました。対話を拒み、力ずくで自分の意を通そうとするイスラエルは国際社会のメンバーの資格はありません。同様にその共犯であるアメリカやイギリスもボイコットされるべきでしょう。

イスラエル大使館閉鎖をめぐり、イスラエルはアイルランドを、バカの一つ覚えのように「反ユダヤ」であると非難しました。それに関連して、アイルランド大統領のMichael Higginsは会見で次のように述べました

自分の考えと違うからと言って、ネタニヤフ政権が、他の人々に勝手なラベルを張って非難するのは、深刻な問題だと思う。特に、ネタニヤフは数え切れないほど国際法を破ってきて、近隣の独立国の独立性を犯してきた。レバノン、シリア、そして、植民地を作りたいと望んでいるエジプトの3国だ。そんなネタニヤフを非難することが「反ユダヤ」だというのは、全く馬鹿げた捻じ曲げである。

同じくアイルランドの首相であるSimon Harrisも次のように言っています

(イスラエルが大使館を閉鎖したことは)「破壊」の外交だ。彼らの決断は大変、残念なことだと思う。、、、われわれは外交の努力を継続するつもりだが、誰もアイルランドを黙らせることはできない。言論の自由は保障されており、人々は思いを表現することはできるが、事実と異なることを言う権利はない。
中東、ガザで起こっていることは非常に深刻だ。アイルランドの立ち位置は第一日目から明確だ。人質は解放されなければならない。、、、しかし、同時に、無実の子供達が殺され、不具にされ、苦しんでいる。その現実を世界は十分に理解することさえできないのではないかと思う。われわれがガザに入って直接見るまでは、、、

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シリアの消滅

2024-12-17 | Weblog
西側メディアが、シリアのアサド政権崩壊をポジティブな出来事として報道する一方で、現地の今後に明るい未来は見えません。アラブ諸国は、基本的にすべて独裁国家であります。独裁と民主主義には、どちらにも長所と短所があり、いずれが良いかは、その背景や文化や価値観に依存するでしょう。「アラビアのロレンス」で描かれたように、アラブ社会で、個人の単位ではなく、「一族」の単位、「国家」の単位での存続が優先される場合には、民主主義ではやっていけないでしょう。民主主義的な軍隊というものが存在できないのと同じ理由で、軍や隊、一族として生き延びるには、統制のとれた行動とトップダウンの命令系統が厳密に維持される必要があり、個人(民衆)の自由は制限されます。

話がそれますが、日本の地域医療の崩壊の理由も大学医局の独裁権力が崩壊し、医師、医局員の民主化が進んだからと解釈できると思います。 大学医学部は都会にあり、都会を離れたくない医師を医局が強制的に地方医療に従事させることができなくなった結果、医師の偏在が起こり、地方の医療崩壊を招くことになったと思います。

故に、独裁主義が悪で民主主義が善であるというのは、あくまでコンテクストに依存していると思います。「民主化」を理由に、アメリカが他所の独立国に介入するのは、介入のための口実にすぎません。前回紹介したアサドの言葉にあるように、そもそも、われわれが与えられている「民主主義」というのは、時々の選挙で、用意された候補者に投票するぐらいの程度のものでしかありません。しかも選挙戦を戦うには多額の資金が必要です。そういうお金の支援のある「選ばれた」候補者しか、国民には選択肢がない。自前で資金を都合している共産党か、市民の支援で成り立っているれいわ以外は、物的、人的資本をもつスポンサー、資本家団体や宗教団体がバックにおり、結局、その候補者は投票した民衆の意思ではなく、バックの団体の意思を尊重します。 つまり、誰に投票しても一般国民の意思は二の次です。その証左が貧富の差の増大であり、消費税であり、被災地の切り捨てであり、過疎地の棄民政策です。現在、日本を含む西側の民主主義というのは、すでに羊頭狗肉で、実質的には資本家と権力者による独裁主義に過ぎないと言えましょう。

話を戻して、実際、イラク、リビア、ソマリア、スダーン、、、と、アメリカが「民主主義」を建前に、武力と策略によって政権の転覆を実行してきた国々がその後にどういう混乱に見舞われたかを見れば、シリアの未来も想像がつくというものです。一方で、TVや新聞では、アサド政権下のダンジョンで拷問を受けた人が解放されて苦難を語ったとか、民主化運動が実を結んだとか、というanecdotesが報道され、シリアの独裁政権の終わりを讃える論調で報道されています。もちろん、独裁で抑圧された人々や民主化を求める人が喜ぶのはわかりますが、結局は、その本質は、シリアという国が消滅し、アサドが、他所から来た別の搾取者(イスラエルとアメリカ、トルコ)のプロキシ(アル カイーダ)によってとって変わられるというだけのことで、国民の苦難はむしろ悪くなるであろうと思われます。下にあるように、アサド後のシリア政府の中心となると予測されるHTSは、国連認定テロ組織アルカイーダであり、彼らは、現在激化しているイスラエルによるシリア爆撃をさせるがままにしており、シリアの資源を保護しようとする気配はありません。また、イスラム過激派である彼らは少数派であるキリスト教者の弾圧も始めているようで、民衆が望む「平和で安全な民主主義国家」の実現どころか、シリアという国そのものの消滅、つまり東側はイスラエルの領土となり、北から西はトルコとアメリカによる石油利権の餌食となることを目指しているかのようです。

さて、今後のシリアについては、数日前のイギリスの中東専門家で政治家であるGeorge Gallowayのチャンネルでシリア のジャーナリスト、Richard Medhurstが状況を説明していますので、紹介します。

George: まずは、Richard、君と君の家族に、 君の国が滅んだことに弔意を示したい。
Richard: その通りだ。、、、事態は刻々と悪化している。、、、祖国は死んだ。それにしても西側メディアが行う「White-washing」は興味深く見ている。、、、HTS (政権を奪取した反アサド勢力)はアルカイーダだが、他に37の団体が動いている。彼らがどのような規則に則って動いているか知らないが、公けに暴力を振い、処刑を行っているのは現実だ。、、、、例えば、キリスト教徒の迫害が起こっている。これはアサドの問題ではない。、、、(イスラム過激派がアサド政権を倒したということで)シリアの多様性が滅んだという問題だ。間違いなく悲しむべき事態だ。
Geroge: また、領土の問題もある。シリアの一部は深く分断され、新オスマン帝国皇帝のエルドアンとアメリカが支援するクルディスタン労働者党の支配下にある。そして、トルコとイスラエルの侵攻によって、シリアは地理的にも滅んでしまった。
Richard:  その通りだ。、、、これは2回目、いや3回目だ。、、、トルコはシリアの北側を2019年から支配してきて、そこはHTS(アル カイーダ)の根城となっていた。そして、アメリカとNATO国であるトルコはユーフラテス川より東の石油を搾取してきた。シリアの高地、ゴラン高原はイスラエルに占拠されてしまった。今回、ダマスカスを占拠した反アサド勢力は、シリアの利益を守ると宣言したにもかかわらず、イスラエルとは戦おうともせず、イスラエルがシリアの軍事施設を破壊し、土地を略奪するがままに任せている。、、、、そして、イスラエルがシリアの軍事資源を破壊つくした後では、次に誰が政府を運営するかに関係なく、シリアは独立国家としては存在できない。、、、、イスラエルが現在行なっているシリアの軍事施設への爆撃は史上最大のものだ。そして新政府となる人々はそれを止めようともしない。
Geroge:、、、、結局のところ、シリアはどうなってしまうのだろうか?
Richard:、、、(アサド政権下で)シリアにトドメを刺したのは経済制裁で、それはトランプが課したものだ。シリアの1/4の収入は石油だが、ここ何年にもわたって、利益はアメリカに盗まれてきた。(こうした状況のために、シリアは経済的に極めて苦しい状態に陥った。)、、、今後、何が起こるかは予言できないが、起こるとすると、何らかのクーデターだろう。、、、、、そして、アメリカやイスラエルに加えて、アルカイーダを支援してきたトルコの役割を忘れるわけにはいかない。
George:、、、トルコはアメリカやイスラエルと協調しているのか、独立して動いているのだろうか?、、、
Richard:彼らはNATO加盟国であり、共通の利害もあるが、トルコはクルドを弱体化させたいという固有の欲求があり、独立した目的もあるだろう。、、、シリアは地理的、政治的にイラン、レバノン、パレスティナ、イラクを結んでいる。トルコは(パレスティナのジェノサイドに反対するような)そのポーズと裏腹に、イスラエルに石油を供給してその軍事行動を支援してきた。トルコにとってはこれらのアラブ諸国(抵抗の枢軸)を結んでいるシリアをイスラエルが潰すことは国益に叶うことなのだ。、、、、数年前ではなく、なぜ今、アサドが倒されたのか、それはイスラエルがガザ、レバノンと順番に潰して行く計画だったからだ。そして、イスラエルが次に狙っているのはイランだ。
George: あるいは、イランの前にイラクかも知れない。映画で見たようにISISがトヨタの車で砂漠を超えて、マイノリティーの多いイラクの第二の都市Mosulを占拠するのかも知れない。、、、、
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ネタニヤフのリスト

2024-12-10 | Weblog
シリアの内戦が激化し、ついにアサド政権は崩壊し、アサドはモスクワへ亡命することになりました。アサド政権崩壊の直前、トランプは「シリアはアメリカの友人ではない、アメリカが関与すべきことではない」とコメントしています。どういう意図があったのかわかりませんが、ひょっとしたら、トランプは中々の役者なのかもしれません。あるいは、ただの天然ですかね。

シリアの内戦は、2010年ごろから起きた「アラブの春」と総称される中東、アラブ世界での反政府運動の一部としておきました。反政府民兵と政府軍との内戦ですが、いつものことながら、アメリカを中心とした西側諸国が煽ったものです。そして、西側でも日本でも「アラブの春」は「アラブ社会の民主化運動」であり、独裁者に虐げられた民衆の抵抗であると喧伝され、「運動を抑制するために、独裁者アサドが自国民に対して化学兵器を使った」という言説が流布され、日本でも影響力のある人々がそれを信じて拡散したという経緯があります。オバマは当時、「アサド政権は退陣しないといけない」と公にシリアの内政に干渉し、政権転覆を図りました。アメリカが、アサド政権を一気に崩壊させるために、シリアへの空爆を一旦は決定したのは2013年の8月のことです。世界は一斉に反対し、結局、オバマはその決定を実行できませんでした。シリアの戦争は「アメリカと関係ない」どころか、「大あり」です。この経緯を踏まえると、トランプのこの言葉は、トランプが全てを承知していたとするなら、民主党とバイデン政権への批判でしょう。この調子で、「イスラエルのことはアメリカとは関係ない」とでも言ってくれて、イスラエルへの軍事支援を中止するのなら、トランプを今世紀で最も有能なアメリカ大統領と呼ぶのに私は躊躇いはないです。ま、そうはならんでしょうが。

いずれにしても、「民主化を望む国民の意思を支持し、圧政を敷く独裁者を倒す」という名目で他国の政権転覆を煽動するアメリカの手口はあまりに使い古されすぎました。TwitterやBlueskyのコメントを見ても、「アサド=独裁者=悪」というような単純な解釈を支持するような人は皆無です。実際、アサド政府軍を倒した民兵の中心組織はシャーム解放機構と呼ばれるアル カイーダ由来の過激派集団で、国連がテロ組織と認定した組織であり、彼らが政権を担ってマトモに政治ができるのかという疑問が残ります。そして、シャーム解放機構をアシストしたのがシリア自由軍であり、これはオバマ政権時の2015年ごろに米軍が訓練して組織した武装軍が起源です。つまり、シリアの民主化運動の本体は、アメリカによるアサド政権転覆工作であって、その動機はおそらくイスラエルということです。イラクのフセイン、リビアのガダフィ、そしてシリアのアサド、いつものパターンですね。これらの国で、フセインが縛首になり、ガダフィが暗殺された後、現在どのような状況にあるかを思えば、今後のシリアがどうなるかもなんとなく想像がつきます。そして、早速、イスラエルはゴラン高原からシリアに軍事行動を始め、シリアの爆撃を始めたようです。

数日前、コロンビア大のJeffrey Sachs氏へのインタビューで、彼は次のように述べています。
、、、
特別にシリアの内戦をよく知っている専門家の間では、「(アサド政権が使ったとされる)化学兵器は『偽旗』作戦(偽の白旗を揚げて相手を欺く行為;この場合は、反政府軍が民間人を化学兵器で殺害した上で、罪をアサド政府軍に擦りつけたとされる)の可能性が高い」という議論が真剣になされている。アメリカの外交政策を知っているものなら、偽旗作戦はCIAの真髄であることは周知のことだ。確実な証拠があるわけではないが、これが偽旗作戦である状況的証拠は十分にある。だからこそ、オバマはシリアに深く介入することを止めたのだと思う。、、、、、CIAは、1947年の創設以来、おそらく世界中の90 -100%の政権転覆に隠密裏に関与している。、、、、メディアは、ロシアがアサド支援に介入してきたから(アメリカが介入しないといけない)というが、ロシアがシリアに来たのは2015年で、アメリカがアサド政権を転覆させようとシリアに介入したのは2011 年だ。、、、、これは(シリアやレバノン、などなどの)これらの国々と戦争をしたいネタニヤフの挑発なのだ(注:シリア、レバノンの領地を含む大イスラエル構想実現のため)。、、、どうして、我々(アメリカ)は失敗するとわかっているネタニヤフの馬鹿げた計画のために働かないといけないのだ?、、、アメリカがシリアに介入したのは、シリアが「ネタニヤフのリスト」に入っていたからだ。、、、、前NATOのチーフコマンダーのWesley Clarkが911のあと、アメリカ国防省に来て「今後5年間で7つの(中東とアフリカの)国を消滅させなければならない」と言ったが、これらの国が「ネタニヤフのリスト」なのだ。、、、

Sachsが上で述べた、Wes Clarkのインタビュー映像の一部が下のツイートにあります。彼が、911の後、アメリカ国防省を訪れた時、アメリカがイラクに侵攻することになったことを知らされたが、その理由が不明であったこと、そして、5年で7つの国を転覆させるというアメリカの計画を知らせるメモについて話しています。

911での不可解なビルの崩落やペンタゴンでの物的証拠の不整合性をめぐり、ユダヤ人が関与したとする陰謀論はいまだに燻り続けておりますが、911の後、ブッシュが突然、イラクに侵攻すると宣言し、その根拠にイスラム テロリストとの戦いだと説明したこと、先のClarkの証言(下のビデオ)、これまでのイスラエルとアメリカの行動を繋ぎ合わせると、陰謀論というよりは、検証に値する正式な仮説というべきだと思います。シオニスト仮説、端的にはネタニヤフ仮説と呼ぶのが良いかもしれません。

下はしばらく前のアサドのインタビューで、資本主義国における民主主義の欺瞞について話をしています。日本もそのまま当てはまります。眼科医として長年ロンドンで診療にあたっていたアサドは西側社会を直接知っており、その批判は的確だと私は思いました。われわれ教えられている議会制民主主義の欺瞞が端的に述べられています。

「西側諸国の政府は、資本家に制御されている。すべては、会社の利益のための政治がなされ、人々のためになされることはない。西側諸国では中流層がなくなり、貧富の差が拡大している。国民ができるのは投票ぐらいで、それが民主主義だと教えられている。そして、西側の民主主義では、どれほど多くの人が街に出てデモを行っても、何も変わらないのだ。

独裁主義とか民主主義とかという点に関して言えば、第二次世界大戦後、何千万人もの人々を殺した国々が民主主義、人権、国際法について語るなど、考えられないことだ、、、、朝鮮戦争から今日に至るまで、罪ない人々を殺害し続け、アフガニスタン、リビア、シリアを占領した。そんな彼らが、民主主義とか、人権とか、国際法とか倫理観とかを語るのだ。聞いていると、彼らの言葉と詐欺泥棒の言葉の違いがわからない。彼らの言葉には何の価値もない」
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Hareetzの見解、洗脳と陰謀論

2024-12-03 | Weblog
下は、イスラエル メディア、Hareetzが先週に表明したネタニヤフのメディア迫害に対する編集長の声明です。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、限界のない独裁権力を追い求め、我々を黙らせるためにHareetzを迫害しようとしている。ネタニヤフ首相は、すべての権力監視機構を解体し、民主主義の門番を破壊しようとしているのだ。

ネタニヤフ首相は、独立した司法が存在しないイスラエルに作り替えて支配し、警察や治安機関を民兵化しようとしている。そして、彼を阻止する自由で批判的な報道などは存在しなくなる。

イスラエル政府がHareetzに制裁を科す決定を下したことは、この「破壊」の旅における新たな一歩にすぎない。我々は、ネタニヤフ首相と彼のプロパガンダ・マシンによる脅しには屈しない。私たちは屈服することなく、公共の利益のみを念頭に置いて、読者に奉仕し、報道の自由を守り続けていく。

アルフ・ベン
ハーレツ編集長

「ジャーナリズム」とは何かという問いには、表層的な意味を超えた「主義、原則」の問題が含まれていなければなりません。上の声明にあるようにジャーナリズムは単に「報道」するという行為ではなく、公共の利益を念頭に置いて、権力に屈せずに、読者に奉仕し、「報道の自由」を守るという使命に即して行われる行為であります。ちょうど、それは「医療とは何か」という問いに、「ヒポクラテスの誓い」から発展した「ジュネーブ宣言」の精神を抜きに答えることができないのと同じです。

しかるに、その精神を忘れ、権力の手先となったような(どこかの国の国営放送のような)メディアの活動は、上にあるようにプロパガンダ マシンと呼ぶべきであってジャーナリズムとは程遠いものです。

人間は、自分で事実を探り、自分の頭で吟味しないことに関しては、非常に簡単に洗脳されてしまうもののようです。離れてみてみると、イスラエルがパレスティナに対してこの76年に渡って行ってきたことの非道さは明らかなのに、シオニズム教育で洗脳された当のイスラエル人の少なからずは、ずっと自分たちは、アラブのテロリストの被害者だと思っております。彼らはパレスティナという土地がどこにあるかさえ教えられていないし、1948年以来、イスラエルが連綿と犯し続けてきた数々の犯罪の事実も知らないのです。自ら、史実を学ばず、深く考えない人々は、簡単に洗脳され扇動されます。
その典型例がヒトラーへの熱狂的な支持でしょう。

日本でも同様の扇動に乗る大衆行動をしばしば目にします。古くは関東大震災朝鮮人虐殺事件がそうですし、しばらく前なら、SNSや切り取り動画に乗せられた人々が東京都知事選で石丸氏に多数投票したことや、しかし、結局、トップ当選したのは二期連続実績ゼロの小池氏であったことなどは典型例でしょう。それから最近では兵庫県知事選挙で、「知事は議会にはめられた」という一種の陰謀論を信じた人々によって知事が再選されたこと。切り抜き動画やSNSのデマではなく、実際の事実やデータをもとに自分の頭で判断して人々が投票したのなら結果は違っていたのではないでしょうか。

心理学では、人間の脳には、難しく考えることを嫌う特性があり、短くて刺激的なわかりやすいフレーズを好むことがわかっているのだそうです。マスコミなどが大衆誘導をする場合などに頻繁に用いられる手法で、「○○をぶっ壊す」「既得権益」「岩盤規制」「国の借金問題」という短いフレーズだけで意図的に印象を操作できてしまい、短くてわかりやすいフレーズを繰り返し聞かされることで馴染んでしまえば、脳は簡単にはそれを否定できなくなるのだそうです。こうして思考停止に陥り、盲目的にあるテーゼを「信仰」してしまうということが容易に起こるようです。

こうきくと、自民党ではなく日本をぶっ壊した元首相とか、「東京大改革2.0」のキャッチフレーズおばさんとか、「身を切る改革」集団とか、口々に叫んでいた人々を思い出させます。SNSなどでのそうした単純な印象操作だけで、人々は簡単に洗脳され、信じ込むようです。そして、難しく考えることを嫌う人間の脳の特性ゆえに、人は簡単に陰謀論に飛びつくようです。人々が陰謀論に飛びつくのは、客観的に事実を洗い出して、吟味し、自分の頭で判断するという面倒臭いことをやらずに済むからでしょう。すべての謎は、正体不明の黒幕が何らかの悪意を持って仕掛けた陰謀によって説明できてしまうのですから。
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