百醜千拙草

何とかやっています

陵辱の海

2017-04-28 | Weblog
辺野古の海 大量石材「許せない」 埋め立て着手 反対派怒り

青く透き通った辺野古(へのこ)の海に、大量の石材の投入が始まった。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設に伴う同県名護市辺野古沖での新基地建設に向け、政府が二十五日着手した護岸工事。基地負担の継続に沖縄の激しい反発を招きながら、ついに埋め立て開始に至り、現場周辺では、怒りと問題収束を願う声が交錯した。

怒りと悲しみ、国家の暴力に対して、沖縄県は司法に訴えるぐらいしかできない。しかし、その最高裁は政府とグル。
美しい海が無残に目の前で陵辱されるのを何もできずに見るしかできない住民や沖縄県民の人の心の痛みは察するに余りあります。

翁長知事、埋め立て開始に対抗して、差し止めを求め、提訴へ。

翁長雄志(おながたけし)知事は記者団に「重大な決意で対処」し、工事差し止め訴訟を起こすと明言した。県が許可していないとする「岩礁破砕行為」を確認後、直ちに提訴する方針。政府と県が再び法廷で争うことが確実となった。、、、、 翁長氏は記者団に工事着手を「暴挙だ」と批判し「政府はなりふり構わず既成事実を作ろうと躍起になっている。工事は始まったばかりで二度と後戻りができない事態には至っていない」と指摘した。

一方、日本各地で沖縄をサポートする団体が声をあげています。
辺野古工事、故郷の土使わせない 12府県の18団体が沖縄を支援

 沖縄県名護市辺野古(へのこ)での米軍新基地建設で、埋め立て区域の外枠を造る護岸工事が今週にも始まる見通しだ。工事を巡っては、埋め立て用の土砂の採取場所とされる西日本各地の市民団体が連携して、土砂の搬出に反対している。新基地が建設されれば、沖縄の負担が増すとして「一粒たりとも故郷の土を使わせない」と訴える。、、、、辺野古土砂全協の共同代表を務める阿部さんは、沖縄に米軍基地負担が集中している現状に触れ「これ以上、本土の人間が沖縄への加害者になってはいけない。沖縄の基地化に自分たちの故郷の土を使われたら、戦争に加担することになる」と指摘する。

今の政府与党は、自分のふるさとの自然を無理やり壊されて、アメリカ軍の基地が作られ、それが恒久化することがどういうことか、人の身になって考えることができない。復興相のバカな発言を聞いてもわかるように、地域の人々の気持ちを察して寄り添うということができない未熟な人間の集まりです。アベのやり方を見ていてもはっきりしていますが、自分さえ良ければ良い、都合の悪いことは他人に全てを押しきさせてもなんとも思わない、人間としてレベルの低い連中が多すぎます。昔の自民党には、少なくとも沖縄の痛みに共感を示す議員が大勢いました。しかし、沖縄基地問題をなんとかしようとした鳩山氏が潰されて、自分の頭というものを持たないアベ政権となって、長いものに巻かれることしか考えない保身議員ばかりとなり、与党で基地問題にマトモな発言をする人は消えました。

フィリピンでも韓国でもあったように、「米軍基地はいらない」とみんなが声を揃えれば、アメリカは出て行くのです。極東の軍事戦略に沖縄は必須ではなく、グアムでもテニアンでもアメリカ軍は構わない。日本政府が金を出してまでいてくれというので、向こうはラッキーと思っているだけですから。植民地であることを望み、国を売り、同胞の苦痛を顧みず、進駐軍の恒久化を願うこんな異常な政府を持つのは日本だけです。

最後にもう一つ、東京新聞、筆洗いから

共生とは何か。、、、。サンゴは褐虫藻が安全に暮らせる丈夫な家を提供している。サンゴが動物なのに樹木のような形をしているのは、褐虫藻が光合成をしやすくするためだ▼褐虫藻が光合成でつくりだした酸素や栄養を使ってサンゴは生き、サンゴが吐き出す二酸化炭素などを使い褐虫藻は生きている。この絶妙な共生こそがサンゴ礁の豊かな生物多様性の礎(いしずえ)となっているのだ▼そういう豊かな海の中でも、日本生態学会や日本魚類学会など十九の学会が「我が国で最も貴重な海域の一つ」「世界に誇るべきもの」として保全を求めたのが、沖縄の大浦湾だ。だが、そこに基地を造るための埋め立て工事がきのう、始まった▼安倍首相はかつて国会で、日本全体を「多様性を尊重する共生社会に変えていく」と語っていたが、首相が言う共生とは、どんな意味なのか。潰(つぶ)されゆく「共生の海」は何を物語るか。

アベに自分の発言の意味を尋ねるほど、無意味なことはないです。ルビつきで書かれた官僚作文を機械のように読むだけ、本人は自分が何を言っているのかさえ分かっていないのではないですかね。
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反知性無辺誓願度

2017-04-25 | Weblog
The Earth Day の日曜日、世界各国で行われた「March for Science」、科学の振興のためのデモです。私も様子を見ました。人々が思い思いのプラカードを手に集まり、色々なセクターからの代表者がスピーチします。
科学振興とはいいますが、実のところ、これはトランプのキチガイじみた科学政策と、事実を軽視するキチガイじみた発言、そして目の前の金と欲ために環境破壊を積極的に進めようとする「反知性主義」に対するプロテストです。特に、過去五年でもっとも温暖化が進んだ地球がすでにtipping pointにきていることに対する科学者と一般市民の危機感を、トランプが全く理解できていないこと、自分に都合の悪い真実は認めず、都合の良いでっち上げを堂々と言い、矛盾を指摘されると「Alternative fact」とかいう意味不明の言葉をヒネリ出して言い訳する、その無知と傲慢さとバカさ加減に、アメリカ人のみならず世界中が多大なる不安を抱いているのです。

時事ニュース 科学者、世界各地でデモ=米大統領らの言動に危機感
トランプ米大統領が地球温暖化を「でっち上げ」と言い放つなど、科学を軽視する風潮が世界的に広がりつつあると危機感を募らせた科学者らによるデモ行進が「地球の日」の22日、米首都ワシントンをメイン会場に、世界600カ所以上(主催者発表)で行われた。、、、、
トランプ大統領は22日、地球の日に当たり声明を出し「米国の勤労者世帯を害することなく環境保護を進めなければならない」と主張。行き過ぎた環境規制は撤廃すべきだと訴えた。


トランプの言動は一見、もっともと聞こえるかも知れませんが、問題なのは、この男が事実を客観的に判断するという「理性」と「謙虚さ」を持ち合わせておらず、「行き過ぎた環境規制」がどのようなものかを決めるのは、自分の都合次第ということなのです。

チラホラ目にしたプラカードでよく目にしたのは、「There is no Plan(et) B」というサインで、「地球はただ一つ」と「替えがきかない」ということを引っ掛けたものでした。トランプが、その反知性主義で取り返しのつかないことを進めてかけがえのない地球を破壊しようとしていることに対する危機感です。壊すことはバカ一人でもできます。しかし壊したものを元に戻すことは天才が何人集まったところで非常に困難です。

それにしても、トランプのキチガイぶりは、タイガイです。この男は、ますます「断末魔の痙攣」だと思うようになりました。さすがにこの調子では中間選挙までもたないだろうと思わされます。この「痙攣」に生理的な意味はないですが、周辺にダメージを与えることは大いにありえます。ま、キチガイに刃物を与えてしまったわけですから、人々はわが身と地球を守るために十分注意しないといけません。
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Taming Ego

2017-04-21 | Weblog
以前、三年ほど一緒に仕事をして、別の研究室に移った人が、遠く離れた新しい職場に間もなく移ります。その最後の研究発表のセミナーがありました。私のところから離れて二年ちょっと経ち、去年の論文を最後に、もう研究上の接点はないのですが、移動に向けてサッパリしたようで、楽しいセミナーでした。出て行く前に一緒に昼飯に行こうという話になりました。

一方で、この三年間、研究を一緒にやってきた別の一人も去ります。研究の外にいろいろな問題を抱えていた人で、一時は、毎日カウンセリングもどきのことをやらざるをえなくなったり大変でした。でも、最初は研究に対する情熱もセンスもあったので、ちょっとでも成長してほしいという気持ちでした。

しかし、この一年はあまり成長もせず、結果も出せず、研究以外でのいろいろ悪いことが重なって、モチベーションも低下し、結局、別のところに行くことになりました。研究や仕事がイヤになるという経験をしない人はいないでしょう。そうなった時にそれでも何故かやめずに続けた人が残ります。彼女には、仕事でイヤに思う部分、バカにしている部分に誠実に取り組んで欲しかったな、と思いがあります。そこをおろそかにしてしまうと研究などやっていけないと思うのです。気分が高揚するような良い研究成果など滅多に出ません。ひたすらつまらないような作業を毎日繰り返して続けているうちに、まれに面白いものにぶち当たるものですし。

本人には面と向かって言いませんが、その問題の根元にあるのは、どうも彼女のエゴです。優秀な成績で大学を出た、自分は人よりも優れているという気持ちが強いのは間違いないようです。であるのに、自分は十分に報われていない、どうして自分は見合った評価を受けていないのかと、彼女のエゴは考え、それが彼女の自信を失わせて、同時にその埋め合わせをするためか、外部にその責任を見つけようとして悪い結果を生むようです。そのように思わせるエゴそのものが、不満や失敗の原因であり、人間の成長、そして成功するための最大の障害だということを、自覚することが改善への第一歩だと私は思います。鬱になったり、精神不安定になるのも彼女の場合は、それが原因のように思えます。

結局、彼女はおそらくそのエゴの存在に対峙することができなかったのだろう、というよりそのエゴの存在さえ自覚していなかったのではないかと想像します。その一点さえ克服していたら随分と違ったのではないかと思うのです。弱点を克服して長所を伸ばせば、大きく成功する可能性があると私は思いましたが、結局は本人の自覚と努力にかかっており、そこは他人がいくら言っても強制することはできません。
ま、自分が他人の役に立ちたいと思うのも、私のエゴなのかもしれません。他人は変えられないです。変えられると思うのは傲慢というものです。

ハハハ、こんなことを私が言う立場になるとは思いませんでした。なにしろ、若い時の私こそ典型的な人の言うことを聞かないゴーマン太郎だったからです。いろいろ、痛い目にあって、反省して、自分で変えたいと思ったところだけ変わりました。私もエゴは立派にありますし、それゆえの嫉妬や妬みも昔はそれなりにありました。幸い、今はエゴは放し飼いにしていてもあまり危険なことは無くなりました。これが年をとることの一つの効用かと思います。

去りゆく彼女を見ていたら、もうちょっとやりようがあったのではなかったのか、と思う一方、結局人は水を飲みたければ自分でカップを傾けなければならないのだ、実は、もっと最初から突き放しておいたほうがよかったのかも知れない、と思う気持ちもあります。

いずれにしても別れは切ないものです。それは感情の問題ですからね。来月、代わりの新しい人が来たら忙しくなりそうです。嬉しいような悲しいような。
他人と近く働くことは難しいです。今年は特にそれを感じます。
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追及の意義

2017-04-18 | Weblog
民進党の崩壊が続いているようですが、長期的にはいい傾向だと思います。そもそも自民党に入りたくても選挙区の関係などで入れなかったような隠れ自民が一定数いるような野党もどきです。今回の普通なら100%追い込める森友疑惑の追及の甘さには情けなくて涙が出ます。森友理事長一人を証人喚問で血祭りに上げようとした以外、アベ、与党、財務省、大阪府、この連中は、ごまかし、嘘をつき、沈黙した以外に何をしたのでしょう。何一つ疑惑は解明されず。財務省の文書管理のウソがばれ、アベ夫人は引きこもり、口利きの証拠のファックスを送ったアベ夫人付きの当時の秘書はイタリアに身を隠し、アベが国会で切った「関与していたら総理を辞める」という見栄は、国会議事録にいつまでたっても載らず(アベ発言に関する議事録の改ざんは過去にもありましたが)と、誰が見てもアベ有罪を示す山のような状況証拠があるにもかかわらず、民進党が追い込もうとしないのは、彼らもいずれは甘い汁を吸いたい、ここで下手に疑惑を解明したのでは、いつか彼ら自身が甘い汁を吸う機会が失われる、という打算ゆえと想像されます。なにしろ、財務省に籠絡されて、国民を裏切った最低男が幹事長をやっているのですからね。

朝日新聞は追及を続けていますが、その他のメディアでのこの事件の扱いは小さくなる一方。しかし、このまま、この問題を終わらせてはいけません。加計学園のもっと大きなネタもほとんど追求されないままです。

「国の政策を討議する場である国会で、森友問題に延々と時間を割くわけにはいかない」、一見、マトモな意見に聞こえます。私も昔なら、国会を権力争いの場にするのはおかしいと考えていたでしょう。それは、国会というところが国の問題を協議する場所だと単純に思っていたNaivetyのせいだと思います。

しかし、この問題をとことん追及することは、一般国民にとって極めて重要なことだと思います。というのは、これはまさに氷山に一角で、この事件が、役人、政治家、マスコミも含む産業界といった利権複合体が国民の財産、税金を、私物化する手口そのものを、端的に示しているからです。この事件や、加計学園事件を明らかにすることで、こうした売国行為を防ぎ、国民の財産と税金を守ることにつながると思います。一事が万事ということです。

表向き、政治家の目的は、税金の配分を決めることです。そして税金を払う側の利害を調整するためのいわば戦いの場が国会であったはずですが、もはや国会はプロレスショーに近い様相、ならば、霞が関官僚がプロモーターといったところでしょうか。結局、プロモーターが集めた収入は、プロモーターとレスラーとその関係者に優先的に分けられて、残ったわずかを一般国民に還元するということになっています。

アベの友人が経営する加計学園の今回の事件では、アベが議長を務める国家戦略特区の予算を鼻先にぶら下げられた今治市が地元民と獣医師会の大多数の反対にかかわらず、加計学園が経営する大学の獣医学科の新設を決め、そして加計グループの建設会社にその工事を請け負わせた、という分かりやすいスキームです。つまり、間接的に税金が学園とその関連企業に流れるようになっており、首相自らがそのスキームに直接関与したということです。森友も全く同じ構造。これはアベ自身ではなく、やったのは、己の立場を理解していないと思われる公私混同のアベ夫人でしたが。

ここで、アベをみすみす逃すことは、この売国行為を(役得として)認めてしまうということです。高度成長時代が終わって四十年近く、もはや、多少の役得と笑える余裕のある時代ではなく、アベ友が、そうして私物化した税金でグルメ三昧している一方で、職を失い、福祉を切られ、追い詰められる人々が増え、急激に貧困化している現実があります。日本はGDP比で世界最大の借金国です。笑っている場合ではありません。森友問題、加計問題を追及することは、ゆえに最優先案件であり、追及の手を止めてはいけないと思います。

と、書いたところで、森友デモ実行委員会が安倍夫妻を刑事告発するとの話。数人の有名人も賛同者に名を連ねています。もちろん、この告発は特捜は無視するでしょうが、目的は、記者会見をマスコミに取り上げさせることでしょう。どうも、現職総理が刑事告発されるのは史上初のようですから、朝日新聞は少なくとも報道するでしょう。前代未聞の現職総理を刑事告発で、世論を煽る、一般市民にできることは限られていますが、あらゆる手を使ってアベを引きずり降ろさなければならないという危機感がそれだけ広がっているということでしょう。
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Brace for the Impact

2017-04-14 | Weblog
研究面では、いろいろと行き詰まっていて、困った状態にあります。一緒に実験をやってくれいた人が急に移動となり、新しい人を雇うことになりましたが、ほぼゼロからのトレーニングが必要で、ちょっとメゲています。懸案の論文も進まず、プロジェクトは棚上げ。金も力も無し。かと言って色男でもなし。臥薪嘗胆、こういう時はじっと耐えて、陽が差すのを待つしかないのはわかってはいるのですが。この過去2年ほどずっと耐えてきたのに、さらに追い討ちを食らったような気分です。仕方がないので、再提出のグラントの準備をしたり、ネタを探してウロウロしています。

八方ふさがりの時でも天は開いていると聞きました。同じ目線のところには解決策はないのだから、一段レベルが上のところに上がりなさいというサインなのだそうです。なるほど、そう思えば、これはいい機会なのかも知れません。

ネタ探しといえば、最近は面白いと思う論文になかなか出会えませんね。自分の感受性の問題かもしれませんが、最近のhigh impact journalにの論文は、いずれも分野外に人間には容易に内容が評価できないようなものが多いような気がします。

われわれの分野はあまりCNSには縁がない分野ですが、時折、ウチの分野からもNatureに論文が出ることがあります。しかし、そういう論文は大抵、怪しいです。ついこの間出たあるグループの論文もそういう類でした。つまり専門分野の人間から見て、ちょっとありえないだろうと思うような話でないとNatureには載らないのです。そんな眉唾もののネタですから、分野の人間は細部に注意を払って論文を読むし、学会などでもそのグループの仕事が本当に信用できるのかどうか、皆が評価しようとします。その結果、ウチの分野では、皮肉なことにNature論文を書いたグループは、「怪しい」という評価に落ち着くことの方が多いのが現状です。結局、狭い世界ですからインパクトファクターより仲間内の評価の方が、長期的には大切なわけです。最近は、ウチの分野では、Natureに論文を出すことは、むしろStigmaと見なされる傾向さえあります。

このことは、科学的な厳密さよりも、インパクトの大きい「驚くようなネタ」を優先するこの雑誌の編集方針と、それに迎合する研究者側の双方に問題があると思います。
トランプ現象に近いのかもしれません。いきなりシリアにミサイルを撃ちこめばインパクトはあるでしょう、何しろオバマもやらなかったのだから。荒唐無稽な話をぶち上げればインパクトはあるでしょう、専門家なら誰もそんな実現性のない話は最初からしないですから。北朝鮮に先制攻撃してもインパクトはあるでしょうが、その結果はかなり厄介なことになるのは間違いありません。しかし、彼らにとって、真実かどうか、賢明な行動かどうかは問題ではなく、一時的に人々やエディターの注目を集めれられれば良い、という態度で政治やサイエンスをしているわけです。そういう不誠実な目論見は自然と透けて見えて、評判につながります。
真実性はないがインパクトがあるというのは百害あって一利なし、と私は思っております。 
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How insensitive

2017-04-11 | Weblog
背景の情報の真偽が不明なので、判断しかねる部分もありますが、アメリカのシリア政府へのミサイル攻撃はどう考えても短慮であったと思います。アサド政権が化学兵器を使用したという証拠はなく、これからその真偽を確かめようとしていたところで、もちろん、シリア政府も否定。

シリアは地政上、微妙な場所にあります。2012に合意されたイラン-イラク-シリアを結ぶ石油パイプラインの建設は、潤沢なイランの石油をアメリカの支配を通さずにEUへ供給することを意味し、オイルによって維持されてきたアメリカドルの崩壊、さらには中東におけるアメリカの弱体化と、ロシア勢力の拡大を意味すると考えらえました。
シリアの内戦の長期化は、この石油パイプラインの建設を阻止するために、NATOとアメリカがシリアの反政府勢力を煽ってきたせいであると考えられています。

そこへ、おだてに乗せられやすい短絡的なトランプ、アメリカ軍産勢力らの口車に乗ったのでしょうか、オバマが軍産を抑えてイラク戦争の時の泥沼を恐れて慎重にやってきたのに、いきなりミサイルを撃ち込むという暴挙。人が苦労して積み重ねてきた努力の結果を、一瞬で台無しにするXXです。あのブッシュでさえ、イラク侵攻には多少の逡巡を見せましたからね。しかもミサイルは打ち込んだものの、アサド政権に対する長期的なプランは何もない、という話。後先考えずに感情のおもむくまま、野生の動物でももっと利口です。

国際社会は反発。特に、ロシア、中国が批難。アメリカ国内でも抗議行動。ノーム チョムスキーはニューヨークの独立報道番組・デモクラシー・ナウのインタネットサイトのインタビューで、「アメリカでの世論調査により、アメリカ自体が世界の平和に対する最大の脅威と見なされている。アメリカはこのことをロシアやイランに対する自国の防衛力の拡大という主張のもとに行っているが、この主張は受け入れがたい」とコメント。

ま、いつものアメリカの手口、人権擁護は建前、本音は、金と力。そのために、他国にいきなりミサイルを打ち込んで、一般市民を含む人間を殺しておいて、なお正当性を主張する。利用する側にとってみれば、トランプのような思考力がない上に感情的になりやすく、エゴと自己顕示欲が強いような人間を、そそのかすのは容易いのでしょう。

私は、トランプの過去と現在の言動や行動から、この男は見た目通りの底の浅い頭の弱い俗物だと信じてますが、田中宇さんはトランプには一端の政治理念があって、計算のもとでバカをやっていると考えられておられるフシがあります。田中宇さんの記事

 米軍はこれまで、ロシア軍と協調し、シリア東部でIS退治の空爆を続けてきた。だが今回の濡れ衣的なミサイル攻撃で、ロシアは怒って米国との協調を解除した。米軍がシリアで活動するのは困難になった。今回の件は、シリアの将来を決める国際体制から米国が追い出され、ロシアやイランの影響力が増し、露イランの傘下でアサドが続投する多極化的な事態に拍車をかけそうだ。


と述べた上で、

 トランプは、米国の諜報機関やマスコミなどの軍産複合体が、アルカイダやISをこっそり支援したり、アサドやイランなどに濡れ衣をかけて攻撃したりする体制を破壊するために、大統領になったはずだ。、、、それなのに今回、トランプは突如、軍産お得意の濡れ衣戦争を、自分から積極的にやり出している。これは何を意味するか?


と、トランプの意図を考察しています。(そんなもの、無いんじゃないかな、とつぶやくワタシ)

ま、しかし、過去の事件をつらつら振り返ると、陰謀論者が世の中の裏を読み取ろうと深読みするほどには、世の中は複雑ではなく、大抵は、見た目通りのことが多いと思います。今回のことも、トランプがシリアから手を引くために、わざわざ批判を招く効果しかないミサイル攻撃をした、というのはありえないだろうと思います。大統領になるずっと前からの行動を見ても明らかな通り、自分が一番の目立ちたがり屋のトランプはアメリカのために憎まれ役をやるような男ではなく、直情型を利用されて軍産の口車に乗っただけでしょう。

トランプの理性の欠如、その認識の欠如は特筆に値すると思います。相当に鈍感でなければ、あの数々のバカな振る舞いや言動はしないでしょう。そして、そんな幼稚な男を常に賞賛するしか能がない太鼓持ちの日本の首相。「トランプ様はいつも正しい、それはアメリカの大統領だから」というのは、「オレ様は常に正しい、それはソーリ大臣だからだ」というのと同じです。

その傲慢さゆえの愚かな行為に対する世界の人々の正当な批判が、鈍感さに基づくバカの壁に跳ね返される現実。誰でもバカの壁はあるといいますが、その程度には客観的な違いがあると思います。

"How insensitive (ポルトガル語の原題は「愚かな行い」)"というボサノバのスタンダード曲を連想しました。


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世界にかける橋

2017-04-07 | Weblog
数日前のニュース。
電子楽器大手ローランド(浜松市)の創業者で、米グラミー賞の技術賞を受けた梯郁太郎(かけはしいくたろう)さんが一日死去した。八十七歳。大阪府出身。通夜、告別式は近親者のみで行う。

年代がバレますが、大阪梅田、第三ビルの二階にかつてあったローランドのショールームは、われわれ金もない中高生の溜まり場でした。土曜日の午後に決まって出かけて行っては、まだ導線で繋ぐ式のシンセサイザーをいじって遊び、そこの従業員とムダ話をして、同じビルのジャズ喫茶によってから帰るという生活をしていました。高校を出てからもしばらく良く遊びに行ったもので、そのショールームの隣にローランドが併設したコンピューターを売る小さな店には、浪人した同級生がそのまま店員となって就職しました。そんなこんなで、不思議な電子楽器を作るローランドという会社の、(当時はインターネットもない時代ですから)顔も見たこともない「カケハシ イクタロウ」といういう芸名のような名前を持つ社長は、われわれの間ではちょっとしたアイドルだったのです。店員になった友人が、「この間、カケハシ イクタロウが店にやってきた」と興奮して喋っていたのを思い出します。

そのショールームには有名ミュージシャンが時折に訪れることもあって、直接相手をした従業員の人からそんな話を聞くのも楽しいものでした。覚えているのはドウビーブラザーズとオスカーピーターソン。今は亡きオスカー ピーターソンは当時、ローランドのコマーシャルでキーボードを弾いていた関係でショールームにやっていたようですが、その時は、本当に学校をサボって行こうかと思いました。

オスカー ピーターソンは中学生の頃にたまたま読んだリーダーズダイジェスト日本語版での伝記の記事がきっかけで知りました。私にとっては、ジャズの主流から外れた人で、ブルーノートをあまり使わず、ダイアトニックスケールをひたすら早く弾きまくる人(というと異論を持つ人もあるでしょうが)という認識で、好きなスタイルではないものの純粋に早弾きすごいなと感動するピアニストでした。そういえば、上原ひろみさんは、オスカーピータソンがアイドルだと言っていたのを聞きました。意外だな、と思いましたが、上原さんの「トムとジェリー」とかを聞くと、なるほど、と思います。

ローランドやヤマハやパール、外国のプロのミュージシャンがこれらの楽器をコンサートなどで弾いているのを見ると、なんとなく誇らしげな気持ちになる日本人は少なくないでしょう。青は藍より出でて藍より青し、ではないですが、西洋音楽のために外国で生まれた楽器を日本の誇るべき会社が、その信頼の技術を磨いて世界に広めたのだなあ、愛国主義者でなくても感動はします。

顔も知らぬ「カケハシ イクタロウ」という名前の才気あふれる日本人が、世界に橋をかけ、日本発のシンセサイザーを広めた、当時の中高生の単純なわれわれにとって、その名前は、夢と希望を掻き立てる一つのシンボルでした。

関係ないですけど、オスカーピーターソンのCakewalk。Cakewalkは奴隷時代のアメリカ黒人の風習に由来するダンスです。

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卑怯者

2017-04-04 | Weblog

もう気分が悪くなる話はしたくはないのですけど、沖縄基地問題にしても森友問題にしても、人権や憲法といった国民のよりどころであり、国家の守るべき建前であるところのものが、権力側の自己中心的な理由によって蹂躙されているという現実を見ると、黙っているわけにはいきません。

最近のアベ政権や大阪府知事の卑劣さは本当に目に余ります。

週末のニュース。
自民党が森友学園の籠池氏の発言に嘘があったとして「偽証罪」での告発を検討している件について、籠池氏が自民党に抗議文書を送ったことが分かりました。、、、証人喚問後も相次いで自民党議員が籠池氏の発言を「嘘」だと指摘していましたが、これに関して籠池氏は名誉毀損だと激怒しています。抗議書には様々な事実関係も記載されており、森友学園問題を巡って詳細な説明が書いてありました。


相手側のアベ夫人は、暴露された「口利き」の証拠にもかかわらず、証人喚問にも応じず、物的証拠となる携帯電話は水没といい、講演もフェイスブックも突然休止して引きこもっているくせに、偽証罪つきの証人喚問で堂々と証言した籠池氏を国会でヤクザ並みに脅しておいて、証拠も無しに「嘘」と決めつける与党議員、本当にクソです。ま、籠池氏の教育方針や幼稚園の運営など、私は全く賛同できませんけど、この人を詐欺師とか偽証者とかいうのは、かなり的外れでしょう。小学校の建設の悲願のために、政治家に口利きを頼んだの事実でしょう。しかし、無理やり小学校認可の判子、ありえない金額での国有地払い下げの判子を押した人間は、大阪府知事であり財務省の役人です。どうして、この本当の犯人の方をロクに追求しないのか。

大阪府知事に至っては、いわば主犯格でありながら、この責任を逆に籠池氏側になすりつけ、行政調査によって問題が見つかれば告発する、というヤクザっぷりです。この発言の違法性は、郷原信郎弁護士が、そのグログで解説しています。行政調査権限は、「犯罪捜査」のためのものと解してはならない

行政の立入調査が、森友学園の犯罪を明らかにするためであるかのように強調する放送が行われることは、弁護士の立場から見過ごすことができない。
「偽証告発」をめざす動きの異常さ、補助金全額返還後の「告発受理報道」の異常さに加え、大阪府が、「犯罪事実を明らかにするために行政調査に入る」という異常さまで加わる。
日本は、いつから非法治国家、非立憲国家になってしまったのだろうか。


ま、早い話が、権力を持っている側が、その力を不正に使用して、一民間人に罪をすべて押しきさせて、わが身(政権)を守ろうとする卑劣な行為です。判官贔屓というのではなく、これは憲法を無視した権力の人権の蹂躙であり、それ故、それに立ち向かう籠池氏の権利を護り主張していくことは、立憲主義、民主主義を支持する国民の義務ではないかと私は思います。トカゲの尻尾切り、元は同じ穴のムジナとはいうものの、我が身が危ないとなれば、180度の手のひら返し、そして権力を持つ側が力に任せて都合の悪い人間の口封じをしようとしているわけです。この卑劣な政権に、それでもトドメを刺せない民進党も情けない。幹事長と党首を残して新党を作った方がいいのではないでしょうか。

以前、エルサレム賞を受賞した村上春樹さんの「卵と壁」のスピーチを思い出しました。イスラエルのパレステティナへの攻撃のことも少し批判されていましたが、もっと一般化した喩え話をされました。(一部転載

、、、この場で極めて個人的なメッセージをお話しすることをお許しください。これは私がフィクションを書く間、ずっと心に留めていることです。紙に書いて壁に貼るとか、そういったことではなく、私の心の奥に刻み付けていることがあるのです。それはこういうことです。

「高くて硬い壁と、壁にぶつかって割れてしまう卵があるときには、私は常に卵の側に立つ」

そう、壁がどんな正しかろうとも、その卵がどんな間違っていようとも、私の立ち位置は常に卵の側にあります。何が正しくて何が間違っているか、何かがそれを決めなければならないとしても、それはおそらく時間とか歴史とかいった類のものです。どんな理由があるにせよ、もし壁の側に立って書く作家がいたとしたら、その仕事にどんな価値があるというのでしょう。


この森友事件における卵は、一民間人である「籠池氏」であり、壁は、国家、それから地方行政の権力です。国会という「壁」で囲まれた中で、一人立ち向かった「卵」である籠池氏を、壁は押し潰そうとしています。しかも、壁と卵のどちらが間違っているか、という点において、「壁」(の裏にいる連中)の方の「非」の方がはるかに大きいと判断せざるをえない状況にあるにもかかわらずです。

こういう己の利益のために、権力を不正に利用して、一個人を攻撃してその人権を蹂躙し、トカゲの尻尾切りをして、わが身だけの安寧を守ろうとようとする連中を「卑怯者」という以外に何と呼べばいいのでしょう。
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