なぜハマスは今回、二年もかけて準備して、勝ち目がないとわかっている奇襲攻撃を仕掛けたのでしょうか?これは私も疑問に思っていました。神風だよりで真珠湾攻撃をしかけた時の日本政府ではあるまいし、彼らが強大なアメリカの軍事支援のもと核兵器でさえ保有しているイスラエルに攻撃を仕掛けて勝てると思っていたはずがありません。それで、私は、これはパレスティナ弾圧を世界に知らしめるために行った命懸けのデモンストレーションであったのだろうと想像していました。おそらく、それは当たらずとも遠からずだったのだろうと下のツイートとインタビューを見て感じた次第です。
このビデオは、イスラエルの前諜報部長官で海軍司令官であったAmi Ayalon氏のインタビューですが、かれは「今回の戦争は、分断によってパレスティナをコントロールしようとしたイスラエルのハマス支援の結果が招いた」と述べています。
ガザにおいてハマスが台頭する前はファタハがパレスティナ自治を担っていました。PLOのアラファト議長は1993年、イスラエルの融和派であったラビン首相と和平交渉をまとめ、イスラエル政府とPLOがお互いを独立した政府と承認し、イスラエルは占領した地域から撤退するとするオスロ合意に調印、共にノーベル賞を受けております。その後、ラビンはイスラエルの反和平派に暗殺され、アラファトも死亡、結局、イスラエルとパレスティナの共存平和路線は頓挫し、2006年のイスラエルのガザ侵攻を以て、この合意は実質崩壊しました。
アラファトはファタハの初代議長であり、ファタハは当初、シリアの支援のためイスラエルへの武装闘争活動をしていましたが、その後、PLOに参加、80年代からやがて穏健路線へと変わっていきます。そのファタハがパレスティナの統治を担ってきたわけですが、2006年のパレスチナ評議会選挙でハマスに敗れ、以後、パレスティナ自治政府はハマスがガザを、ウエストバンクをファタハが支配するという分裂状態になっています。そして、このパレスティナ政府の内部分裂こそが、イスラエルの戦略であったようで、相手を内輪揉めさせている間に火事場泥棒を働こうという計画であったようです。事実、この間もイスラエルはパレスティナ人居住者の土地を力づくで奪い、強引に入植者を入れ、その領土拡大は驚くような速さで進んできました。
ということで、このインタビューとツイート主のArnaud Bertrand氏のツイートの一部を示しておきます。
以下ツイートより。
「なぜ10月7日なのか?」について、この動画は私が聞いた中で最高の説明かもしれない。驚くべきことに、それはイスラエルの諜報機関シン・ベットの元トップであり、海軍司令長官でもあるアミ・アヤロンによるものだ。 (10月7日の攻撃の)最も主要な原因は「政治的パラダイム」であり、イスラエルによるパレスティナの「分割統治」であった。つまりイスラエルは、パレスチナ人が統一された指導部を持たないようにしたかったのであり、パレスティナ人が「話すべき相手もなく、話すこともできない」という状態におきたかったのだ、と彼は言う。そして、イスラエルは、ハマスがガザを、そしてパレスチナ当局がウエストバンクを支配するようにさせ、お互いがいがみ合うように扇動したのである。その目的のために、イスラエルは、ハマスを強化し、援助し、資金を提供したのだ。 その結果、ハマスはパレスチナ人の支持を得たのだが、それは、ハマスが、イスラエルの占領に反対し、パレスチナ人の自由のために戦う唯一の政権であったからである。一方、ファタハとパレスチナ当局はパレスティナ人からは、「イスラエルの協力者」と認識されるようになった。パレスチナ人の70%から80%はハマスを支持しているが、それはハマスを(自分たちの)自由のために戦ってくれる組織だと認識しているからにほかならない。
イスラエルが10月7日以前の状況を完全に誤解していたのは、イスラエルが "ハード "を測っていたのに対し、ハマスが "ソフト "を測っていたからだ。つまり、イスラエルとパレスチナ人の戦いの後、イスラエルにとっての成功は "人命、軍事施設、軍事インフラの損失 "で測られるのに対し、ハマスが測っているのは "人々の支持 "であった。例として、2021年5月、2週間にわたって戦闘が行われ、約300人のパレスチナ人が殺された(イスラエル側は17人)が、その戦闘について、イスラエルはハマスが「大きな損失と軍事的大敗北を喫した」と考えたが、ハマスの立場からすれば、それはハマスに対するパレスティナ人の支持を高めた「大きな勝利」であった。
もうひとつの重要な点は、バイデンが提示した新しい中東(案)だ。パレスチナ人は自分たちを、独立した民族、独立した国家と考えているのに対して、この案で提示された認識を知って、彼らは世界から孤立し見捨てられた存在だと感じたのだ。その結果、パレスチナ人が「サムソン・オプションを選んだ」のは、失うものは何もないと感じたからであり、「パレスチナ人を無視するのであれば、この地域に安定をもたらすことはできないと世界に示すには、この方法しかないと考えたからだと思われる。
[筆者注:サムソン オプション(サムソンの選択)とは、侵略された場合に、自らの犠牲を承知で世界を道連れに核兵器を使う イスラエルの戦略のことで、旧約聖書(士師記)にあるペリシテ人に捕らえられて奴隷となっていたイスラエルの英雄、サムソンが、自らの命を犠牲にして数多くのペリシテ人を倒したエピソードに基づいています]
現在のイスラエル指導部の多くの人々が、「ガザに人災を起こすことを政治目標」に掲げているという。これはまさに、最も過激で根本的なイスラム組織の理論であり、ISISやアルカイダの神学であり戦略なのだ。
「ハマスはISISである」というネタニヤフ政権の主張を覚えているだろうか?しかし、イスラエルの目指していることは、まさにISISやアルカイダと同じである。イスラエルのシン・ベットの元トップが、現イスラエル政府はISISだと言っているのである。
ここでの解決策は何なのだろうか? われわれのアイデンティティを失うことなく、より安全になる唯一の方法は、10月7日の出来事が「世界的な問題」となり、世界のすべてのプレーヤーが2国家というコンセプトに合意することだ。これは、アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、中国、アラブ和平の発起人、彼ら全員が理解している。
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思うに、イスラエル以外のほとんどの国は、オスロ合意に戻るしか解決策はないと考えていると思います。どうロジカルに考えても他にない。イスラエルのシオニスト政権が「この地はユダヤ人に与えた約束の地であり、そこに住む異教徒を殲滅しなければならない」という聖書の神の言葉を礎に、頑なにパレスティナ人の殲滅と完全な土地の掌握を主張し、1万人近い子供を含む一般人を虐殺し続けています。キチガイ沙汰ですが、手に負えないのは、シオニストの彼ら自身は自らの正当性を半ば本気で信じていることでしょう。イスラエルのシオニスト政権とそれに洗脳されたイスラエル人は、ナチスとそれを支持した民衆と相似だと思うと、暗い気分になります。
想像ですが、この戦争の落としどころとしては、イスラエル国内の良識派とアメリカの支援中止によるネタニヤフ政権の終焉しかなさそうです。実利を重んじるユダヤ人が狂気のネタニヤフとシオニスト政権と心中するはずがないと思います。すでにアメリカのグローバル ユダヤ企業、スターバックス、マクドナルド、フェイスブック、グーグルなどでボイコットやプロテストが起こり始めており、経済損失を出し始めています。アメリカユダヤ商人が損得勘定でネタニヤフを見限ったら 、アメリカはイスラエル支援を止めて、シオニスト政権は孤立し自壊するでしょう。
ノーカット版
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