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Hareetzの見解、洗脳と陰謀論

2024-12-03 | Weblog
下は、イスラエル メディア、Hareetzが先週に表明したネタニヤフのメディア迫害に対する編集長の声明です。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、限界のない独裁権力を追い求め、我々を黙らせるためにHareetzを迫害しようとしている。ネタニヤフ首相は、すべての権力監視機構を解体し、民主主義の門番を破壊しようとしているのだ。

ネタニヤフ首相は、独立した司法が存在しないイスラエルに作り替えて支配し、警察や治安機関を民兵化しようとしている。そして、彼を阻止する自由で批判的な報道などは存在しなくなる。

イスラエル政府がHareetzに制裁を科す決定を下したことは、この「破壊」の旅における新たな一歩にすぎない。我々は、ネタニヤフ首相と彼のプロパガンダ・マシンによる脅しには屈しない。私たちは屈服することなく、公共の利益のみを念頭に置いて、読者に奉仕し、報道の自由を守り続けていく。

アルフ・ベン
ハーレツ編集長

「ジャーナリズム」とは何かという問いには、表層的な意味を超えた「主義、原則」の問題が含まれていなければなりません。上の声明にあるようにジャーナリズムは単に「報道」するという行為ではなく、公共の利益を念頭に置いて、権力に屈せずに、読者に奉仕し、「報道の自由」を守るという使命に即して行われる行為であります。ちょうど、それは「医療とは何か」という問いに、「ヒポクラテスの誓い」から発展した「ジュネーブ宣言」の精神を抜きに答えることができないのと同じです。

しかるに、その精神を忘れ、権力の手先となったような(どこかの国の国営放送のような)メディアの活動は、上にあるようにプロパガンダ マシンと呼ぶべきであってジャーナリズムとは程遠いものです。

人間は、自分で事実を探り、自分の頭で吟味しないことに関しては、非常に簡単に洗脳されてしまうもののようです。離れてみてみると、イスラエルがパレスティナに対してこの76年に渡って行ってきたことの非道さは明らかなのに、シオニズム教育で洗脳された当のイスラエル人の少なからずは、ずっと自分たちは、アラブのテロリストの被害者だと思っております。彼らはパレスティナという土地がどこにあるかさえ教えられていないし、1948年以来、イスラエルが連綿と犯し続けてきた数々の犯罪の事実も知らないのです。自ら、史実を学ばず、深く考えない人々は、簡単に洗脳され扇動されます。
その典型例がヒトラーへの熱狂的な支持でしょう。

日本でも同様の扇動に乗る大衆行動をしばしば目にします。古くは関東大震災朝鮮人虐殺事件がそうですし、しばらく前なら、SNSや切り取り動画に乗せられた人々が東京都知事選で石丸氏に多数投票したことや、しかし、結局、トップ当選したのは二期連続実績ゼロの小池氏であったことなどは典型例でしょう。それから最近では兵庫県知事選挙で、「知事は議会にはめられた」という一種の陰謀論を信じた人々によって知事が再選されたこと。切り抜き動画やSNSのデマではなく、実際の事実やデータをもとに自分の頭で判断して人々が投票したのなら結果は違っていたのではないでしょうか。

心理学では、人間の脳には、難しく考えることを嫌う特性があり、短くて刺激的なわかりやすいフレーズを好むことがわかっているのだそうです。マスコミなどが大衆誘導をする場合などに頻繁に用いられる手法で、「○○をぶっ壊す」「既得権益」「岩盤規制」「国の借金問題」という短いフレーズだけで意図的に印象を操作できてしまい、短くてわかりやすいフレーズを繰り返し聞かされることで馴染んでしまえば、脳は簡単にはそれを否定できなくなるのだそうです。こうして思考停止に陥り、盲目的にあるテーゼを「信仰」してしまうということが容易に起こるようです。

こうきくと、自民党ではなく日本をぶっ壊した元首相とか、「東京大改革2.0」のキャッチフレーズおばさんとか、「身を切る改革」集団とか、口々に叫んでいた人々を思い出させます。SNSなどでのそうした単純な印象操作だけで、人々は簡単に洗脳され、信じ込むようです。そして、難しく考えることを嫌う人間の脳の特性ゆえに、人は簡単に陰謀論に飛びつくようです。人々が陰謀論に飛びつくのは、客観的に事実を洗い出して、吟味し、自分の頭で判断するという面倒臭いことをやらずに済むからでしょう。すべての謎は、正体不明の黒幕が何らかの悪意を持って仕掛けた陰謀によって説明できてしまうのですから。
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