私はツイッターでニュースや情報を集めていますけど、最近、頻繁に目にするニュースからは感じるのは、日本人が排他的になり、社会がギスギスとして住みにくいところになっていっていきつつあるということです。
しばらく前の、武蔵野市での外国人住民の住民投票参加権の否決も驚きました。外国人の国政参政を認めるかどうかというような話ではありません。地域住人として合法的に住んでいる人の住民としての意見が投票という意思表示行動を通じて考慮されるべきではないか、という問いかけに対する決議だったわけですが、当然、可決されるものと思っていたのが否決という結果になって、驚くと同時に非常に心配になりました。この結果は、同じ市内に住む住民を国籍によって差別するという市が意思表示示したということです。
この議題の採決の前に、「日本が外国人に乗っ取られる」と主張している人が街頭でアジっている様子を見ましたが、理性的な議論は乏しく、感情的に差別発言を繰り返すのを見て、つくづくイヤな気持ちになりました。
一方、ニューヨークでは非市民にも投票権を与えるという決議が採択。「人権」というのは人間の基本的権利であり、投票権は社会に合法的に住んでいるものの人権の問題にも関わっているので、将来的には、国籍に無関係に住民が政治に参加する権利がおそらく世界的に認められる方向に向かうと予想します。歴史の流れをみれば必然的にそうなるでしょう。日本だけが逆行しているようです。
そもそも、日本では、国会議員でさえ、憲法や人権に対する意識や認識に明らかな問題のある人が多いのが問題です。国民民主の玉木代表、この武蔵野の外国人住民投票権案の否決をうけて、「否決されて安心した」と述べ、「まずは外国人の人権について憲法上どうするのか議論すべき」と強調したらしいです。この人は、日本国憲法に「人権」は、国籍を問わず尊重されなければならないと明記されていることを知らないらしい。こういう言葉が口が出るということは、多分、人権という言葉の意味も知らない可能性が高いですね。
このような憲法遵守の義務も憲法の意義も無視するような者が、憲法をかえようとしているのが恐ろしいです。そもそも憲法はこのような連中が勝手なことをしないようにと設定されたものですからね。
私は、憲法については国民の多数が変えるべきところがあると同意するなら、慎重な熟慮の上で変えればいいと思っています。しかし、憲法も意味もその内容も知らず、それを守る努力もしないばかりか、最低限の人間としての倫理観もわきまえない連中には、どんな理由があっても触ってもらいたくないですね。
話がズレました。この排他的になっていく日本の社会と連動して、日本に長年住む外国人の日本脱出を決心したというツイートを目にすることも増えました。ヘイトの対象になっているアジア系の人々に限りません。何人かの日本に住むフランス人によるスレッドからは、彼らが日本を去る最も大きな理由は、日本の社会と人々の排他性と日常的に感じる差別のようです。外国人の彼らにとって、日本が楽しく安心して暮らせる国ではなくなってしまったと彼らは感じているようです。
事実、しばらく前にInterNationsの海外在住者による投票結果を紹介しましたが、彼らが住みたい場所として東京や日本は非常に評価が低く、その理由として、人々がフレンドリーでない、言葉が通じない、ということをあげています。言葉の問題はともかく、私は日本人はシャイではあっても、基本的に他人に親切で思いやり深い民族だと思っていました。そもそも日本は、十年前は「おもてなし」の国だったはずではなかったのでしょうか。
それが、いつのまにか、自分中心で排他的で他人に冷たい国になっていっているような感じがするようになってしまいました。思うに、その原因は一重に「貧乏」だと思います。生活に余裕がなく、現状に不満、将来に不安しかない状態では、人にやさしく思いやり深くあることは難しいでしょう。
欧米では、日本は、世界で唯一、経済政策の失敗で貧しくなった国だと評価されており、経済学で"Japanization"と言えば、長期停滞とデフレを意味し、高い失業率、弱い経済活動、ゼロに近い金利、量的緩和、人口高齢化などの症状を示す状態を表現する言葉になっています。
基本的に経済の発展と衰退には自然の波がありますけど、それらが行きすぎないように政策によってコントロールしてくのは政治の役割です。諸外国の経済学者は、日本政府がその政治的な役割を果たしていないばかりか、逆に状況をさらに悪くするように動いていると評価しているわけです。無能でウソつきのナルシシストを8年も好き勝手にさせれば、こうなるのでしょう。
内需が6割の経済を占める日本で、経済活動が弱くデフレが続く理由は明らかでしょう。一般国民が貧乏になったからです。政府が消費税を増税し、大企業の減税の穴埋めに使い、国民を支援しないからです。国民が貧乏だから企業も経営拡大に投資ができない、投資ができないから史上最高の内部留保というカネの澱みを生み、せっかくの量的緩和が意味をなさなさずアベノミクスの大失敗に終わったわけです。いますぐ、減税の穴埋めに使った消費税分を企業からとりあげて国民にばら撒いたらどうでしょうかね。企業の売り上げも上がり、澱んだ金も流れ出すでしょう。あいにく、アベの傀儡政権はいまだに企業減税で賃金が上がると言い続け、経済政策の失敗を認めようとしないようです。
ま、日本は一応、民主主義国家ということになっており、選挙によって、もっとマシな政権を選ぶこともできたのですから、自民党や維新に議席を多く与えた国民の自業自得と言えばそのとおりなのですが。