百醜千拙草

何とかやっています

共和党党大会ほか

2012-08-31 | Weblog
フロリダ、タンパでの共和党の党大会で、まもなくロムニーが大統領候補に正式指名される予定ですが、盛り上がってませんね。この人、ホントに中身なさそうです。カネは持っていても人望が無い。カネも無かったが人望はもっとなかった空きカンといい勝負ではないかと思います。副大統領候補のライアンもコテコテの共和党のようで、これでは黒人、ヒスパニック票は、見込めないでしょう。多分、本選はオバマだろうと思いますけど、オバマが再選されたところで、何が変るわけでもなし、ロムニーになったところで不景気がよけい悪くなるだけのことで、いずれにしても余り明るい未来はなさそうです。また、共和党党大会ではロン ポールの支持者が荒れたという話。共和党はそもそも白人、既得権側の党、ロン ポールの主張はラディカル過ぎて、以前の安定を望む共和党コア支持者にはあわないのでしょう。世の中が本当に二極化して白人の地盤が都市部の黒人やヒスパニックレベルまで沈下すれば、ロン ポールの支持者はもっと増えるのではないでしょうか。ま、そうなりつつありますが。残念ながら、ロン ポールも年なので、多分、次はないでしょう。彼の主張(中央銀行という詐欺システムが、ドルの価値の低下、国民の貧困の根本原因にある)を引き継ぐリーダーは現れるのでしょうか。

首相問責案に自民がのって可決。自民総裁、ドジョウに対して「将棋で言えば詰んでいる」と言ったらしいですが、それよりもっと「詰んでいる」のは、大局観も理念もなく、目先の利益だけを追いかけて悪手を連発し、その後始末で後手後手に回り、民主の消費税増税に賛成して談合したくせにその舌の根もかわかぬうちに、問責案を出すという自己矛盾とをさらけだした自民総裁自身でしょう。貧すりゃ鈍するですね。総裁選と代表選が近いようですが、自民も民主もマトモな人間が残っていないという悲しさ。

インターネット監視につながるACTAがどさくさにまぎれて審議もなしに強行採決されようとしているという話。委員長は田中眞紀子。田中眞紀子氏、秘密兵器になると思っていたのですが、これまでの行動をみると、消費税増税には賛成しているし、離党もしていないし、全然、発動する気配がありません。「外務省は伏魔殿」と言って、官僚組織の不評を買い、外相を更迭されたのですから、官僚組織の悪質さはよく知っているはず。外務省が伏魔殿なら財務省は何と呼ばれるべきでしょうか。田中眞紀子氏、最終兵器として静かに爪を研いでいるのでしょうか、あるいはすっかり兵器としての毒が抜けてしまったのでしょうか。

最後に、前回書いたシリアでの日本人ジャーナリスト死亡に関してですが、藤永茂さんが興味深い考察をされています(シリアとリビア)。私は、政府軍が現れるはずがないアレッポの町で突然現れた兵士に首を射たれたこと、その銃撃の直前にどうも日本人であることを認識した様子があること、その死亡映像が非常に早期に反政府軍によって流されたこと、イギリスのTVまでこの事件を取り上げたこと、これまでの政府軍と反政府軍の戦闘で反政府軍が地域住民を虐殺して政府に濡れ衣を着せるということをやってきていたこと、などから、この事件も反政府軍(トルコを通じて欧米から武器支援を受けている)の意図的な暗殺だろうと想像しました。しかし、藤永さんのこの記事の様子から、政府軍が突然あらわれて乱射を行ったという可能性もあることもわかりました。実際に、どちらがやったのかは私はわかりませんが、ただ、反政府軍がこの事件をプロパガンダに利用したことだけははっきりしています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アメリカの影

2012-08-28 | Weblog
何かと細かなことで忙しくて余りじっくり物事を考える時間がありませんでした。

シリアでの日本人女性ジャーナリストが殺害された件。気の毒に思いますが、私はエジプトでの市民革命での事件を思い出しました。ムバラク退陣に追いやった市民革命は、親米政権に対する反米運動でした。イスラム世界の人々が反対したのは、独裁そのものではなくアメリカでした。そして、その様子をレポートしていた金髪碧眼の美人レポーターが、興奮したエジプト市民に乱暴されるという事件が起こりました。その事件に際して、このレポーターやレポーターを派遣した会社が不注意だったのではないかと書いた覚えがあります。レポーター自身は中立だと考えていたのかも知れませんけど、欧米からやってきた金髪碧眼は、エジプト市民にとっては「敵」の一味と捉えられてもおかしくはありません。同様に、今回のシリアの内戦、亡くなったレポーターの方はおそらく「記者魂」に突き動かされて、戦場の様子を報告したいと考え、戦地の危険もそれなりには承知しておられたとは思います。しかし、このシリアの戦争は、知るほどにアサド政権失脚のための欧米の「いつもの手」である疑いが濃くなるなかで、このレポーターの人が意図的にターゲットにされて殺された可能性が高い思いました。その死亡のビデオもまるで仕組んだかのように、死亡後非常に早くにその映像が流されています。また、殺害時には、政府軍がいる筈のないところで、突然、現れた「政府軍」によって殺されたことになっています。日刊ゲンダイの記事(シリア政府が声明 山本美香さんの銃撃死に謀略説) のように、殺されて反政府プロパガンダに利用された可能性が強いと私も思います。反政府軍を援助している黒幕はアメリカであると考えられています。中東の反米アサド政権を潰してその後のイラン侵攻への足がかりにするつもりなのでしょう。フセインやガダフィの例を見れば、そうとしか考えられません。興味深い見方をしているブログがありましたので、リンクしておきます。私も暗殺は政府軍がやったのではないと思っていますが、どこまで筋書きがあったのかはわかりません。

もう一つは、外交問題。マスコミにしても東京都知事にしてもドジョウにしても、いい加減にしたらどうだ、と言いたくなりますね。日本がアメリカの属国であって独自外交はできないという事実をどう考えているのかと思います。韓国もアメリカ領、中国とアメリカは経済的に切っても切れない関係です。アメリカが恐れるのは中国がアメリカを抑えて世界支配を握ることであり、最大の脅威は鳩山氏の言うような「東アジア共同体」の実現です。日中韓が手を握り、アメリカはアジアから出て行け、と言われたら、アメリカの世界支配は終わってしまう可能性が高いわけです。それを防ぐには、分断統治です。昔から支配者がもっとも困るのは、人々が「団結」し「連帯」することです。日中韓が破滅に陥らない程度に揉めてくれて、お互いを牽制しあってくれている状態が誰をもっとも利するか、それを考えれば領土問題の本質が見えるように思います。鳩山氏のように正々堂々とやっては、海千山千のアメリカが許しておくわけがありません。もっとSubtleなやりかたで、日中韓の「民意」に地道に訴えかける形で、日中韓友好を達成していくべきであろうと思います。

アメリカが世界の支配権を握っている以上、世界でおこっている多くの問題の後に覇権存続をかけたアメリカの隠された策があると思っておく方がよいでしょう。

追記。
尖閣諸島に上陸した香港の活動家の正体についてのブログ見つけました。カネで雇われてやらされたのでしょうね。確かにこのオヤジは強制送還後の記念写真にも映っています。ヤラセだとしたら、これだけ適当にやっても日本国民を騙すのはワケないと思っているのですね。ナメられたものです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東電、鳩山氏回顧、馬未満

2012-08-24 | Weblog
夏の間に、次のグラント応募期限までの間にすべきことやもっと大きな研究目標などについてじっくり考えようと思っておりましたが、日々の雑用や目前の小事に追われ、あれよあれよという間に時間が過ぎさっていきます。多少の手がかりは掴んだような気がしますが、それが成熟したプロジェクトへと育て上げれるかどうかどうかは、まだまだあれこれやってみて感触を掴んでいかないとわかりません。
というわけで、余り研究以外のことを考えている時間がないので、この数日で、拾った情報を二、三。

一つはNatureのEditorialの記事ですが、福島原発後の東電の対処を厳しく批判しています。以下、適当に抜き書き。

メチャクチャな安全管理:フクシマの杜撰な後処理が日本の原発の将来における不安を強める

しばらく前、フクシマの作業員が放射線線量計に鉛のカバーをつけていたことが発覚。(これによって被爆線量をゴマカし、作業員が法定時間以上の労働ができるようにした)
東電の発表だと、この5人の作業員は孫請け会社との契約で来た者で、原発で働く資格さえ持っていなかった。、、、
メディアの監視の中で、このような言語道断な安全プロトコール違反が行われていたことは驚愕に価する。、、、
東電本部の意思決定は、(現場同様)全く醜いものだ。先週、東電は、事故後数日間の150時間に及ぶ会社と現場とのやりとりを記録したビデオを公開した。そこでは、現場の判断にもかかわらず、会社幹部が原発プラントのダメージを恐れて、海水での冷却を躊躇している様子など、東電がかつて否定していた不愉快な事実が示されている。
2011-3-1以降、世界は、東電の原発が災害に弱いことを知った。今や、この会社が災害の後始末にも、非常に拙劣に対応してきたことが明らかになりつつある。



もう一つは、鳩山氏の8-18の講演で、民主党政権を振り返ったという話。以下、適当に抜き書き。

それから、TPP推進という問題も私の時にはなかった問題で、菅総理になったとたんに推進の方向に大きく変わった。TPPについては多くの懸念が払拭されていない。農業だけでなく保険、医療、金融、郵政などあらゆるものを例外なく一挙に全部開こうという強引なやり方は、アメリカを利するものであって、必ずしも日本の利になることではなく、基本的に推進すべきものではない

それに対して、私がやらなければならなかったこと、十分にできなかったことは、既得権益との戦いだ。いま発想を変えて、例えば予算ひとつでも大きく変えていこうとすると、今まで予算の下で甘い汁というか利権にありついてきた人たちからすると、とんでもない奴らだということになり、強い批判が出て来る。最初は、政権交代に戦々恐々として模様眺めだった人たちが、自分たちの既得権の問題と分かると、相当に厳しい反応を示すようになった。

既得権とは1つには官僚機構そのものだ。もう1つは大手の企業、財界である。そしてもう1つは、今日も揃ってお出ましのようだが、大手のメディアも既得権そのものだ。、、、さらにもう1つ言えば自民党で、自民党政治は既得権そのものだった。今はその既得権の中にむしろ入り込んでしまったのが野田政権なのかもしれない。

私のみならず民主党全体で選挙の前に作った「沖縄ビジョン」というものがあって、その中に、普天間の移設先について「将来的には海外が望ましい」と、また「県外に移設されるべき」であると書かれてあった。党としての考え方として「最低でも県外」ということだった。当然、総理になったので、私が中心となりこの方向性を指し示してきた。沖縄の皆さんは、年来の彼らの想いを総理がそこまで話してくれるということに喜び、期待もしてくれた。私としてもできる限り県外に移設をしたいと最後まで思い、徳之島などにも当たらせて頂いた。最初は前向きに考えていた方々も、メディアの壁というものがあったと思うが、メディアなどで伝えられると急激なカーブを切り、徳之島はダメだということになって、退路を断たれることになってしまった。

官僚機構というものの壁は厚かったということだ。先ほど言ったように、既得権と戦いを強引にでも行わなければならなかった鳩山自身が、この普天間の問題で壁の前で挫折してしまい、それが総理辞任の1つの理由になったことは間違いない。

ただ、私がありがたかったことは、今年の5月15日に沖縄を訪れたときに、沖縄の皆さんに怒られるかと思って、私自身の不徳、力不足を詫びたが、沖縄の皆さんは暖かくて優しくて、誰一人、私に対して文句、批判をする方はいなかった。「いやあ、鳩山さんだけですよ、歴代の総理の中で沖縄の側に立って『最低でも県外』と発表してくれたことはありがたいと思っている。ただ、上手く行かなかったことは残念に思っているが、私たちとしてももはや態度は決めています」

既得権益と戦わなければ、国民にとっての公平公正な社会は作ることはできないということを申し上げている。なぜならば3年前の国民の皆さんの不満、不信というのは、ひとえに政官業の癒着の中で甘えた人たちが御利益を得て、一方でその外にいる人たちは幸せでない生活を強いられているということだった。その不公平感から脱却させていくには既得権を壊さなければならない。言うまでもなく、既得権を壊すことだけが目的ではなく、それを壊すことによって、より公平公正な社会を創り出すということが目的であることは論を俟たない。

私がアメリカに東アジア共同体構想を伝えた時に、アメリカが大変敏感に反応し、それに加えて普天間の移設問題でこの鳩山はアメリカに対して敵対的ではないかと思われたのだろう。その結果が、私の立場を大変辛いところに導いたと指摘されている。だからと言って、アメリカの意思に何でも従う日本であっては決してならないと思っており、そのような態度は今後も貫いていく。


日本の外交はアメリカが主導権を握っています。アメリカ抜きで日中国交回復した田中角栄にキッシンジャーがした仕打ちをみれば明らかです。見せしめですからね。東アジア共同体構想、米軍基地問題に口を出した鳩山氏は、メディアに散々叩かれ、参院選のために辞任せざるを得なくなりました。在日米軍は第七艦隊程度で十分と発言した小沢氏に官僚組織、マスコミがやってきた陰湿きわまりないでっち上げ事件、デタラメ報道をみても、主権はアメリカにあり日本は属国であることがよくわかります。ですから、尖閣諸島問題も竹島問題も、外交問題である以上、アメリカの意志というものが必ず関与しています。まして韓国も日本同様のアメリカの属国に近いわけですから、韓国大統領自らの挑発にアメリカが絡んでいないと思う方が不自然です。「知られざる真実」の「やらせ外交問題」を切り上げ消費増税論議を行え」にあるように、この領土問題は、アメリカにとっては「日米軍事同盟」の広告の機会であり、官僚組織にとっては、悪政三点セットと呼ばれる「消費税増税」、「TPP参加」、「原発推進」といった国民生活にかなり強烈なダメージを与える問題から国民の目をそらせるのに都合のよい話題です。領土問題はアメリカと官僚組織が仕組んだヤラセであるというのは当たらずとも遠からずでしょう。


最後に、二日前に行われた官邸前反原発デモを主催してきた首都圏反原発連合の代表者11名とドジョウと面会の様子を見ました。要望書はかなり厳しいドジョウへの批判に満ちていましたが、ちょっと原稿棒読みだったのが残念です。ドジョウの目を睨んで、もっと怒りを全面に出しても良かったのではないでしょうか。相手は極めて理解の悪いドジョウ脳の持ち主です。理屈をいくら言っても馬の耳に何とやらです。それでも、とにかく怒って見せれば、相手が怒っていることぐらいはわかったのではないでしょうか。ドジョウの(無)反応と木で鼻をくくったような答弁みると、頭の中のスッカラカンぶりがよくわかります。まさに馬の耳です。
その様子が(田中龍作ジャーナル)にレポートされています。
 
官邸から出てきた反原連の面々に野田首相はどんな顔をしていたのか尋ねた。「表情がなかった」「何かに操られているみたいだった」「人間として感じているのか、いないのか分からなかった」


でしょうね。ドジョウはただの操り人形、ロボットに過ぎません。馬未満です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヒ素細菌の顛末

2012-08-21 | Weblog
一昨年の年末、「ヒ素をリンの代わりにDNAに取り込む細菌を発見した」と大々的にマスコミに発表したNASA研究者の論文がありました。論文はScienceに発表され、分子生物学の常識を書き換える大発見と、かなりの衝撃をもって世間に受け取られましたが(当時の記事)、発表直後から各方面から、怒濤のような批判を浴び、結局、その後、筆頭著者は研究所を辞めた、という話を聞きました。その反駁論文が二報、ついこの間のScienceに出ていました。一報は、最初の論文発表直後から、かなり厳しい批判を繰返して来たカナダのRosemary Rosefield。論文を「ペテン」とまで自身のブログで酷評。(Scienceの論文がペテンならば、この人に批判させたら、ドジョウや空きカンはどう呼ばれることでしょうか?)
この事件をカバーしたこんな記事を見つけました。一部、勝手に要約。

「宇宙の生物を発見」という2010末の誇大広告と劇的展開をみなさんは覚えておられるでしょう。
もっとも大きな問題は、論文の中身ではなく、SicenceとNASAが行った発表のやり方と、発見者の態度でした。
これは様々なレベル全てで誤りが連続した驚くべきケースです。即ち、研究者、研究指導者、レビューアー、雑誌、および所属機関(NASA)の全レベルでです。
分子生物学と微生物を知っている人々にとっては、この厳密さに欠ける論文は出版されるべきではなかったとすぐにわかりましたし、ましてやScienceのような一流雑誌に掲載されてはならなかったのです。
誰もこのような価値のない研究の追試に時間を費やしたくはないものですが、2つのグループが追試を行いました。

簡単に結論を言うと、
リンを厳密に除去すると細菌は生育できない。
細菌のDNAに結合したヒ素は検出されない。
細菌の糖分に極少量のヒ素が検出されたが、それは生体活動と無関係である。

要はこのヒ素細菌はヒ素に耐性があり、少量のリンの存在下でも生育できるが、ヒ素をリンの代わりに使うことはできないということでしょう。

当事者の反応というと、

Wolf-Simon(最初の論文の筆頭著者):これらの新しい論文と私たちの論文に別に矛盾はない。(私の感想 - ドジョウなみの開き直り)
Olemland(ヒ素細菌の研究指導者):現時点では、ヒ素細菌の可能性は更に詳しく調べる価値がありそうだ。(これまた、往生際が悪い)
Tainer (Wolf-Simonの現指導者):いろんな原因で(最初の結論が得られ)「ない」ことは起こりうる。私は家のカギがたまに見つからなくなるが、だからといってカギが存在しないとは言えない。(枝野氏も真っ青の詭弁。再現性がないものを科学とは呼ばない)
New (NASA本部): これらの論文は、オリジナル論文のいくつかの結論に疑義を唱えるが、2010のこの驚くべき微生物の発見を否定するものではない。(オリジナル論文の最も重要な結論が否定されているのですけどね。今や、リンの代わりにヒ素を使う全く新しい生物が発見されたというのではなく、単なるヒ素耐性菌というだけの話でしょ。)

科学は真理への漸近的なアプローチです。しかし、真理に到達するには、我々は、心理的に肩入れしているかも知れない仮説を手放す必要があります。これは多分、良い科学を実践する上で最も困難な内的な障害でしょう。仮説への愛着とオリジナルで斬新な発見をしないといけないというプレッシャーが、数々の危険な行為を引き起こします。(厳密なコントロールをとらないような)横着をしたり、「合わない」データを除いたりすることです。、、、

Calvin and Hobbes

私は、正直は最上のポリシーであると信じております。あいにく現代社会では正直者がバカを見ることが多いですが。ただ、このヒ素論文に関しては、著者らは、意図的な研究不正を行ったのではなく、データを過剰解釈しすぎて、衝撃的な結論に飛びついてしまい、それを客観的に冷静に再評価する慎重さを欠いていたというだけのことのように思います。この研究をRosefieldが非難したのは、研究不正を行ったという意味ではなく、その発見の「売り方」がペテンであるといういう意味でしょう。非難のされるべきは、彼らが科学者としての厳密さが足りなかったことに加えてメディアを使って「不治の病も治る奇跡の健康食品」を押し売りするようなということをやったという点をです。いずれにせよ、これだけ世間を騒がせたのですから、それなりの誠意ある対応というものがあって然るべきだと私は思います。しかし、上の当事者のコメントを見る限り、さすがはアメリカ人、己の非は素直に認めないのですね。(もちろん、正直なアメリカ人も中にはおります)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

棚上げという解決

2012-08-17 | Weblog
竹島に韓国の大統領が上陸し、先のオリンピックでは、竹島は韓国の領土だと日韓戦で主張した韓国選手のメダルが保留になりました。
一方、日本の外務省は、竹島は歴史的にも国際法上も日本の領土であり、韓国は不法占拠している、と韓国を非難。政府も一応、口では、厳しく対応すると言っています。
この日比谷公園ほどの大きさの水も植生にも乏しい小島を巡って、日韓が対立していることになります。
さらに、この大統領、天皇陛下の訪韓の条件として、慰安婦問題に関して「謝れ」と要求もしています。「誠意を見せろ」というのは普通、カネを脅しとろうとするチンピラヤクザの文句です。しかし、相手はヤクザではなく、一国の大統領なのです。その一国を率いる経験豊かな大統領自らが、領土問題で揉めている小島にわざわざ乗り込み、日本国の象徴である天皇陛下を脅す、この激しい挑発の意図は何なのか、ちょっと引っかかっております。いったい、何の目的のために挑発を仕掛けてきているのでしょうか。
私、韓国の国情に詳しくないので、あれこれ想像するばかりですが、大統領みずから日本を挑発することによって、すくなくとも一つ期待できることは、韓国国民の反日感情に迎合する、もしくは煽ることであろうと思います。

一昔前の中国では大々的に、反日キャンペーンが行われました。それによって誰が得をしたか。急激な経済成長でひずむ世界最大の人口を持つ大国であり、ウイグル、チベットなどで民族問題を抱えている中国の政府は、国民の不満をうまく逸らせ、政府に向かわないようにする必要がありました。かつて満州に侵攻し、南京で大虐殺を繰り広げ、戦後はアメリカの手先となってアジア諸国を経済的に支配しようとしている邪悪なる国、日本という悪者を設定することで、国民の不満のはけ口とすることが多少はできました。反日キャンペーンで得したのは中国政府です。

同様のことを、この韓国大統領もやろうとしているのではないか、というのが私の直感でした。しかし、韓国の時期大統領選は今年の末で、現大統領も任期終了になるはずです。再選がかかっているわけではないので、人気取りをする必要もないでしょうから、この筋はどうなのでしょうか。

別の可能性は、アメリカの差し金。日韓や日中が適度に揉めてくれるのは、アメリカにとっては好都合です。戦争放棄で日米軍事同盟に縛られている日本は、万が一の際は、米軍を頼りにするという建前がありますから、アメリカにとっては更に日本から軍事費を引き出すためには都合がよいでしょう。戦後で人々が生きのびるのに必死だった時代でさえ、国家予算の3割を進駐軍に上納していた日本です。以来、日米安保、それをエスカレートさせた軍事同盟は、アメリカにとってはカネのなる木。日本周辺の小さな小島をめぐっての領土争いほど、揉め事つくるのに好都合なものはありません。現韓国大統領はかなりの親米派のようですから、アメリカにちょっと日本を挑発してやってくれよ、と頼まれたというのもないとは言えないでしょう。日本の靖国神社参拝のようなものです。ちょっとした揉め事を作り出したいときに、刺激してやればよいツボなのでしょう。この件や尖閣諸島に関して、早速、アーミテージ、マイケルグリーンらという懲りないいつもの面々が、日米軍事同盟は重要だ、という報告を出したというニュースもありました。本当だったら余りに露骨ですが、尖閣諸島も竹島もアメリカがやらせた、というのはあり得ますね。

もう一つは、中国がらみの可能性。中露、北朝鮮に背後を取られている韓国は、中国と良好な関係を保ちたいはずです。中国は尖閣諸島で日本を挑発し、つい先日も香港の活動家が無断上陸したという事件がありました。日本はどうせ自力では何もできないことがわかっているからナメているというのはその通りでしょうが、これらは挑発であり、それは外交上または内政上の利益を引き出すために行われている可能性が強いと考えられます。国内に対しては、中国は国民の不満のガス抜きに仮想敵国、日本、というプロパガンダをこれからも使うでしょう。中国にすりよりたい韓国は、この機会を利用して、韓国は日本ではなく中国の側にいることを示すことによって、身の安全を守ろうとしている、そういう筋もありそうに思います。

最後の可能性は、この韓国大統領が本物のアンポンタンである場合です。とにかく個人的に日本が嫌いで、なんとか嫌がらせしてやろう、と常々考えていて、大統領最後の年に、最後のチャンスと竹島上陸をやって溜飲を下げたという線。可能性は限りなく低いでしょうが、ゼロではありません。この人、日本生まれのようですから、日本で嫌な思いをした両親から日本に対する嫌悪感を刷り込まれた可能性もひょっとしたらあるかも知れません。

それで、結局のところ、日本はどうすべきか、というのが問題です。相手の思惑が私にははっきりしないので短期的な解決法はわかりませんけど、大局的に日本にとって何が得かを考えれば、答えは自明です。日本にとっての得とは、韓国との友好的で協力的な関係です。しかるに、相手が挑発してきている場合に、どうやってそれを目指すか、というのは易しい問題ではありません。しかし、やってはいけないことは比較的あきらかでしょう。相手の挑発にのって、「上等だ、この野郎!」となることが最悪でしょうね、あいてはそもそもそれを狙って挑発してきているのですから。思うツボです。あいにく、外務省もドジョウも日本政府も、マスコミも相手の思うツボにすっかりハマった対応をしているようにしか見えません。かつての尖閣諸島問題のときに、阿波狸やマエハラ氏が無能をさらけ出しましたが、そこから全く何も学ばず、進歩もないのが、日本の与党、政府です。

この件については、なだいなださんの意見に私は100%同意したいと思うので、そのブログエントリーをリンクしておきたいと思います。

8月11日 外交というもの より一部転載(強調は筆者)

こういう問題こそ、武力ではなくて、両国の政治家が叡智と善意を絞って平和的に解決するしかない。今こそ、強硬な姿勢より、叡智を示すことが必要だ」と相手の大統領に呼びかけたらどうだ。もちろん狙いは韓国の世論だ。韓国の強硬な世論に、少しでも変化を起こすことができたら、領土問題を棚上げにすることもできる。これは日韓のあいだに刺さった刺だ。棚上げにして永久に平和的な関係を結ぼう、という落としどころしかありえない。それが、現代の世界の常識だ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

魔女の一撃

2012-08-14 | Weblog
西洋では「魔女の一撃」というと聞いていたので、ずっと英語だと思っておりましたが、実は、Hexenschussというドイツ語なのだそうです。最初はちょっと捻ったかな、と思っただけでしたが、その次に重いものを中腰になって持ち上げようとした瞬間に、ギックリと来ました。おかげで、週末は寝たきりです。前にも、一回、ちょっとしたことでなりました。子供の頃は、よく首の筋を違えて痛い思いをしましたが、年をとると、首ではなく腰にくるのですね。
そういえば、子供の頃に「リンゴを食べると歯茎から血がでませんか?」というハミガキのコマーシャルがありました。子供の私にとって、血が出るというのは恐ろしい非常事態で、リンゴを食べたぐらいで血が出でてしまうという病態が理解できず、リンゴを齧りながら歯茎を血で真っ赤にしているオジサンが「シャイニング」のジャックニコルソンのような不気味な笑顔を浮かべている様子を想像して、シソーノーローという恐ろしい病気に恐怖したものでした。同様に、ギックリ腰というものも比較的最近まで、テレビのギャグのネタぐらいの認識でした。それが近年では、歯のクリーニングでは血まみれになり、魔女にも二発も喰らわされて、私も多少、人生について知る所が増えたという次第です。


さて、一方では、先週の内閣不信任案議決の否決と、消費税増税法案の成立とで、不愉快な週末となりました。
多くの人々が、この内閣と与党のデタラメさ、新聞と財務省の悪質さを散々、非難していますし、確信犯に正論を語るほど虚しいこともないので、言いたいことは山ほどありますが、やめておきます。

この消費税増税法案成立を見届けて、黒幕、勝栄二郎事務次官が財務省を退官するとニュースも流れました。分かりやすすぎますね。消費税増税は、社会保障とは名目ばかり、増税は財務省の悲願。「社会保障に全額使う」と言ったドジョウ(もともと大ウソつきですが)、ウソもこれほど堂々とつかれるとあきれて言葉もありません。あるいは、社会保障に関連した形ばかりの公益団体を作って天下り官僚のポストを作って増税分を官僚で山分けした上で、「社会保障」に使ったとでも強弁するつもりなのでしょう。
 消費税増税によって総税収は下がりこそすれ、あがることは期待できませんし、消費税増税が社会保障となって国民に還元されることもまずないでしょう。第一に「税と社会保障の一体改革」といっておきながら、社会保障の議論はゼロなのですから。社会保障のために増税するというのならば、社会保障をどういう形にして、どれほどの予算が必要か、という議論が先ずあって、その上で必要な財源を工面するというのが手順です。それを全くやらずに、増税だけ先に決める。国会では、ドジョウは消費税増税でどれぐらいの増収になるのかという質問にも全く答えられないようなレベルですから、ペテンのやり口もあまりに稚拙、国民を全くバカにしているとしか言いようがないです。

私は、ここで消費税法案が成立したところで、発効前に潰される可能性が高いと思っています。ちょうど、郵政民営化法案のようなものです。いくらドジョウが空きカンなみの粘り腰を出そうとも、毎週、金曜日に安保以来の数の一般国民が、官邸を取り囲んで、「ドジョウ、辞めろ」のシュプレヒコールを繰り返すような状況にある政権が持つわけがないし、いくらお人好しで政治センスのない自民党党首だと言っても、解散せずに粘ったら、約束が違うと怒りだすでしょう。普通に考えれば、今期末、解散でしょう。しかし、選挙を先延ばしにした民主党は代表選でドジョウを降ろして、総辞職でごまかそうとするかも知れません。仮にドジョウが辞職したところでマトモな人材がもはやいない民主党に政権運営は不可能ですが。ドジョウの地元、船橋では、ドジョウの自宅や事務所周辺で、ドジョウ落選運動を地元民が展開しているそうです。それらの人々の少なからずが3年前、ドジョウの「シロアリ退治」演説を聞いて、ドジョウを支持した人々なのだそうです。
 ドジョウや空きカンのように「ウソをついて騙す」というのは、基本的に信頼によって成り立つ人間の社会では、「人間失格」に価する行為であると私は思っております。つまり、己の属する社会を破壊する行為です。しかるに、一国の首相や政府が、国民に対して、平気でウソをつき、ごまかすということは、連中は、自分たちが住む社会は、一般国民の住む社会とは違うと考えているということでしょう。消費税増税は、彼らが仕掛けてきた一般国民へ対する侵略戦争です。

いずれにせよ、今回の野党の内閣不信任案提出は、民主、自公、双方に対して、それなりの打撃を与えました。次の選挙では、間違いなく、消費税増税と原発が焦点になります。消費税増税を掲げて勝った政党はいない、という歴史を鑑みると、民主と自民は共倒れ、次期政権は、さすがに消費税増税を潰す方向に向かわざるを得ないと思うのですが。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Shatkin博士

2012-08-10 | Weblog
休み中に郵便受けに溜っていた雑誌の中から、Scienceの7/20号を通勤バスの中で取り出してパラパラとページをめくっていたら、訃報欄の写真が目に飛び込んできました。見覚えがある人だな、と思ったと同時に、Aaron Shatkin (1934 - 2012)という太字のタイトルが見えて、思わず、「えっ」と息をのみました。

といっても、深い縁があるわけでも何でもありません。一度、お会いする機会があったというだけのことです。
5年ほど前のことで、その時、私は博士のおられたニュージャージーの大学の別の講座にちょっとお邪魔していたのでした。デンハルト液のデンハルト博士にお目にかかったのもこの時です。Shatkin博士の所属するCenter for Advanced Biotechology and Medicine (CABM) に隣接するRutgers州立大学に、デンハルト博士は研究室を持っておられました。

Shatkin博士は、ちょっと変わったRNAのEditingのようなことを研究しているというような話をされたように思います。当時、私は恐れ多くも、博士の数々の偉大な業績については全く知りませんでした。つまり、私が研究をはじめた頃は、博士の偉大な発見はすでに分子生物の教科書に載ってしまった後で、私が直接、リアルタイムで博士の論文を目にする機会がなかったというだけのことです。この訃報欄によると、たとえば、RNAの5'端にはキャップ構造があって、RNAの安定性と翻訳に重要な働きをする、というような分子生物の基礎中の基礎知識となっているような発見は博士の仕事です。また、アクチノマイシンDがmRNAの合成を阻害する、という有名な発見も博士によるものだそうです。アクチノマイシンを使って、蛋白の発現がRNAレベルか蛋白レベルのどちらで主に制御されているかを調べる実験など、一昔前はスタンダード中のスタンダードの実験でした。博士のこの発見がなければ、何千、何万という論文もなかったのですね。

お会いした日は雪の舞う寒い日で、私は冬もののカジュアルコートを着ていました。コートはニューイングランドの片田舎、メイン州にあるL.L. Beanというアウトドア用品を製造販売する会社が造ったものでした。オフィスでコートを脱いだ時に、Shatkin博士は、「大学院時代に変わった友人がいた」と話し出されました。

彼と僕は、同じ講座にいたのだが、
彼は、実験を、本当に楽しそうにやるのだよ。
失敗しても、うまく行かなくても、全然、動じない。
この世界は、何か発見して、論文をかかなければ、
将来はないというのに。

彼ときたら、全く、がつがつした所がなく、悠長なものだった。
僕は随分と心配したものだ。

それが、ある時、その悠長さのナゾが解けた。
というのは、彼は、君の着ている服を作っている会社の社長の息子だったのだよ。
どうりで、あくせくする必要もなかったはずだ。

私は、何と言ってよいのかわからず、適当な相づちをうっただけでした。
私は、おじいちゃん子だったせいか、老人のゆっくりした雰囲気になじみが良いようで、昔から随分、お年寄りには可愛がってもらいました。Shatkin博士のゆったりしたリズムでこちらもリラックスしている間にあっと言う間に時間が経ってしまいました。去りがけに、私の研究を助けてくれた共同研究者の人によろしく言っておいてくれと言われました。
「Shatkinだ。Aaron Shatkinがよろしく言っていた、と伝えてくれ」と。
あいにく、その後、その共同研究者の人とはあまり、顔を合わす機会がなく、博士の伝言は伝わらないままになってしまいました。

当時、この二人はどういう繋がりなのかな、と不思議に思っていたのが、この訃報欄を読んでわかりました。ニュージャージーには20年ほど前まで、Rocheの出資する研究所があって、そこでは最先端の分子生物学研究がなされていたのでした。スイスのバーゼルの免疫学研究所と同じく、企業が出資する研究所というのは、いくら研究内容が素晴らしくても、金次第で閉鎖されてしまいます。私のその共同研究者の人とShatkin博士は、当時、最先端のRoche研究所で一緒に仕事をしていたのでした。そして、この研究所の基礎研究プログラムが閉鎖になって、そこの優秀な人材は四散したというわけです。

人生、一期一会と言います。二度と会う事もないだろうと思った、ただ一度言葉をかわしただけのShatkin博士でしたが、この訃報欄で思いがけず再開することになりました。訃報欄で微笑む博士の写真は、私がおぼろげに覚えている博士よりも若くみえます。

そして、バスの中で、この5年の間におこったいろいろなことを思い出しました。


追記(8-13-12)。調べてみると、Shatkin博士はメイン州のBowdoin collegeを出ていて、博士と同年生まれのL.L. Bean創業者の孫であるLeon Gormanも同時期にBowdoin collegeに在籍していたようです。おそらく、Shatkin博士の指していたのは、Leon Gormanであり、L.L. Beanの社長の息子というのは私の記憶違いで、孫というのが正しいようです。因みにLeon Gormanは、2001年にはL.L.Beanの社長を辞め、マコーミックの理事長となったそうで、その業績に対し、2010年にBowdin collegeからBowdwin Awardを授与されたとのことです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アメリカの心変わり?

2012-08-07 | Weblog
夏休み取っている間にいろいろあったようです。

日本人選手団がオリンピック入場に際して、強制退場させられたという話を聞きました。Fukushima Diaryによると、どうも放射線汚染のある可能性のあるフクシマのがれきで作ったバッジを選手団がつけていたらしく、それが放射能汚染拡散にあたるとIOCが懸念したのではないか、という話。日本では、がれき処理利権に目をつけた連中が「がれき広域処理」を進めようとしていますが、この選手団退場の理由が本当だとすると、がれきの広域処理などトンでもないと普通の人は考えているということでしょう。

消費税法案に反対して、野党が内閣不信任案を提出予定という話。窮地にたたされたダンゴー三兄弟の自民党はどうするつもりですかね? 消費税増税で談合しておいて、内閣不信任案に賛成することはできないでしょうし、不信任案に賛成したら、三党合意の消費税増税は反故になるということです。おまけにここで、不信任案に賛成しないと、もう不信任案提出の機会はないので、解散に追い込むこともできず、政治感覚に乏しいあの自民党首も総理になる可能性はなくなり、はいコレまでよとなります。このたよりない自民党党首、談合して消費税増税案を通しておいて、消費税増税に協力する条件として早期解散し、次の選挙のあとで首相に据えてもらう、という余りに都合の良い話を真面目に信じたのでしょうかね。多分,己の身が可愛いと思うならば、不信任案にのらざるを得ないではないかと思うのですが、どうなるでしょうか。
その後、自民党幹部は4日夜、産経新聞の取材に対し「野田佳彦首相が今国会中の衆院解散・総選挙を確約しなければ三党合意を破棄し、7日にも不信任と問責の両方を出す」と述べた。というニュース。うーん、自己矛盾。三党合意は解散が条件、と露骨に言ってしまいました。そもそも自民が言い出した消費税増税、民主党のマニフェストを破り捨てた空きカンに抱きつかれ、ドジョウに命を賭けてもらった法案です。自民党は自党の政策の実現を民主党がやってくれると言っているのに、本音のところは政策などどうでもよい、要は与党に返り咲きたい、それだけなのが丸分かりです。やりたい政策を実現するために与党になるのではなく、与党になりたいから法案を駆け引きに使うという、本音はみんな知っていても、それを言っちゃおしまいよ、という感じですね。

ミットロムニー、日本のTPP参加に賛成しない、と言ったというニュース。一月ほど前は、同陣営は日本のTTP参加を要求していたのではなかったのですかね。この変節が何を意味するか、ちょっと私にはわかりかねるのです。ロムニーが次の大統領となる可能性はどちらかといえば低いと私は思っているので、単に思ったことを口にしただけで、深い意味はないのかも知れません。ただ、万が一、ロムニーが既に「アメリカの意志」というものにアクセスできる状況にあって、ロムニーの意見が実は「アメリカの意志」を反映しているのであれば、ちょっとイヤなものを感じます。というのは、最近の「反戦な家づくり」のこの記事を読んだからです。このブログは、アメリカの意図に関して、少し穿ちすぎではないかと私は感じているのですが、少なくとも部分的には賛同できるところも多いです。われわれが漠然と呼ぶ「アメリカ」の実体は実のところは決して一つのまとまりではなく、複数の勢力がお互いの思惑をもって内部衝突している不確定なものだと思います。これまでは、戦後の日本統治があまりにうまく働いたので、対日本政策に関しては彼らの利害が一致していて、一貫した政策をとっていたということであろうと思います。つまり、独立国の体裁を与えて比較的自由にさせるかわりに所場代や用心棒料をかすめ取るというやりかたです。ただ、原発事故の収束が不可能と考えられるようになり、放射能がアメリカ西海岸の海まで汚染しつつある現状を見て、その状況が変化してきたのではないでしょうか。ロックフェラー家の権力構造の変化もあり、アメリカは今後の日本をどのように搾取するかに関して意見が割れているというのは十分考えられることです。
 もう一基、原発事故がおこれば日本は国家としては終りでしょう。そうなれば、これまでのように所場代も用心棒料も思うようには分捕れなくなると思っているでしょう。アメリカは日本人がどうなろうと知ったことではないと思っていますから、今後は、いかに放射能にまみれた日本という土地を利用するかという点にフォーカスすることになるでしょう。家畜は育てて卵やミルクを盗むよりも、殺して食肉にして食ってしまう方が短期的には得です。アメリカがそう考え出したとしても不思議ではない状況に日本は向かいつつある、そう感じます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする