ほんの数日の夏休みでしたが、楽しく過ごしました。たまにはどこかに出かけるのは精神衛生上大切だと思います。今でも思い出しますが、ずっと前、1ヶ月以上つづくスランプに打ちのめされて、一歩も前進しないで煮詰まってしまった時、一週間ほど休みを取って仕事のことをすっかり忘れて帰って来たら、ウソのように問題が解決したことがありました。休みというのは必要なものだなと実感した次第です。
帰って来たら、論文レビューの依頼が二件、学会レポートの依頼が一件、原稿の依頼が一件、研究関係の問い合わせが数件、その他雑用が数件、メールボックスに溜まっていました。私は普段はヒマを持て余してブログを書いているような人間で、この手の依頼がこのような頻度でやってくるような売れっ子ではないので、ちょっとビックリしました。ヒマを持て余すぐらいでないと、よい研究のアイデアが出ないと思っておりますし。しかし、多少でも社会のお役に立てることがあるのならと、機会を与えてられたことに感謝してつとめさせていただこうと思います。
さて、日本のメディアについて共感を覚えたエントリーを二件紹介したいと思います。
一つは、宮崎学さんのブログから。 一部引用
ところが3.11からおおよそ1ヶ月程経った頃から、メディアの伝えるところに彼等の「評価が出始めた。いわく「がんばろう東北」曰く「がんばろう日本」というスポーツビジネス企業が「観衆」をスタジアムに「動員」するかのごとき意味不明のキャッチコピーがまずそれである。その後、同程度の水準で「絆」というのも多用されるようになった。この種の「言葉」が氾濫するようになるということは、同時に、メディアが取り上げるポイントが、イベント中心主義に変質し始めたことを意味する。これは明らかに広告代理店的発想が情報発信の中心に混入してきたことを意味する。
広告代理店的発想の混入というより、広告代理店そのもの介入と言ってよいのではないかと私は思います。即ち、マスメディアというものは事実を広く国民に知らしめるための情報提供機関ではなく、国民から本当に重要な情報を隠し、国民を洗脳し、官僚組織とそれと結託した利権集団の利益(それは即ち、一般国民の税金や預金などをかすめ取ることによって得られる)を守るためにあるという事実を鑑みれば、メディアの論調が広告代理店のスピンに他ならないのは自明です。独占企業である電力会社があれほど大規模な広告を新聞やテレビに出す必要がなぜあるのか、それは広告料という金によってマスコミの報道内容をコントロールするためのワイロだからです。マスコミは、電力会社、原発に都合の悪いことを書いたり言ったりすると大きな収入源を失うので、カネのために魂を売ってしまったワケです。カネのためには真実などどうでもよいし、人権も国民の健康もどうでもよい、そう考えているクソどもがマスメディアというわけです。メディアの中では比較的マトモな東京新聞の経営が苦しい理由は、まだ魂を売っていないからです。「がんばろう、日本」という偽善的フレーズを聞いて虫酸が走るのは私や宮崎さんだけではないでしょう。そのフレーズを最初に口にした者の薄汚い意図が見え見えだからです。
News ポストセブンの記事によると、
現在、官房機密費を握っているのは党内で野田氏と同盟を組む枝野幸男・官房長官や仙谷由人・官房副長官ら凌雲会(前原グループ)である。菅首相が退陣を明言してからほどなく、民主党の広報戦略にかかわる広告代理店関係者に、官邸スタッフの一人から連絡が入ったという。
「菅総理が辞める前に、いまある機密費を使い切りたい。こちらに有利な世論を喚起できるようないいアイデアを出して欲しい」
雑誌の記事とは言え、当たらずとも遠からずでしょう。毎月1億円というヒモのついていない現金、官房機密費という不思議な名前のカネ(元を正せば税金です)が広告代理店に流れ、世論形成(国民洗脳)のために使われているということです。「がんばろう日本」とか言い出したヤツは国民の税金を回してもらって、その国民洗脳を請け負っているということです。
もう一つは、元衆議院議員の平野貞夫さんの「巨大メディアの『小沢排除』が国を滅ぼす」です。一部転載。
問題はそれだけではない。わが国では巨大メディアや官僚など既得権で生きる人たちが「小沢排除」こそが自分たちが生き延びる条件だと思っているのだ。世界は1980年代から激しい情報革命が起こり、巨大メディアがかつてのように社会の木鐸として機能しなくなった。21世紀となり、慢性的不況で民間の広告収入が減った巨大メディアは、税金を使う政府広報に依存するようになった。小泉政権での「裁判員制度」、菅政権の「納税者背番号制度」などがその一例だ。
経済成長が止まった日本では、メディアと官僚組織は、一般国民の税金やその資産を吸い上げて自分たちだけが甘い汁を吸おうとしてきました。二年前の総選挙で「国民の生活が第一」を標榜して圧勝した小沢 鳩山民主党のマニフェストは、官僚組織と既得権集団への脅威であり、連中は、心の底から小沢氏を恐れたようです。官僚組織は、まず陸山会事件をでっち上げ、検察審議会という制度を悪用して、小沢氏の力を制限した上で、未熟で頭の弱い民主党員の権力欲を利用して鳩山氏退陣後の政権乗っ取りを成功させました。これらの民主党の愚か者どもは考えただけでハラが立ちますが、最も罪が重いのは、悪徳弁護士と空きカンでしょう。岡田氏は頭の悪さ(というか政治センスのなさ)を利用されましたが、頭が悪いことは悪事に加担したことに言い訳になりません。あとマエハラ氏とか野田氏とか、松下政経塾出身者は総じてタチが悪い。彼らはエリート意識の抜けない官僚と同じ発想をします。次の代表は彼らのようなつける薬のない連中ではなく、本当に仕事のできる党にしていける断固とした意志を持った人でないといけません。鳩山氏は自分のグループから代表選に出たいと言った海江田氏の支持を明言しませんでした。これは、鳩山氏、小沢氏に、隠し球があるということなのかも知れません。ひょっとしたらやはり松野氏を立てたいと考えているということなのかも知れません。岩下俊三おじさんによれば、最初は鳩山内閣時の財務大臣、藤井氏に白羽の矢を立てたが固辞されたので、小沢氏は来年の代表選に繋げるために中間派の誰かを支持するのではないかという話です。いずれにしても、今、メディアで名前の上がっている連中は多分皆ダメです。本命は告知の27日に明らかになるでしょう。
そして、党内最大の小沢グループの票欲しさに、これらの候補が「小沢詣で」をしていると、自民党の石破氏が、 20年前の再現だと批判。読売では、
石破氏による“小沢詣で”批判は、1991年の自民党総裁選で、当時、党内最大派閥の竹下派会長代行だった小沢元代表が、宮沢元首相ら候補者3人を事務所に呼びつけて“面接試験”した過去を踏まえた発言。
事実は、「呼びつけた」のではなく、小沢氏が自ら伺うと言ったら、相手の方が行きます、と答えたというのが本当です。さすが腐っても読売、小沢氏がずっと年上の宮沢氏らに対して礼を欠く傲慢な人間であるという印象を与えるための subtleな情報操作を忘れません。
ついでにもう一つ。20日の産経新聞の社説が余りに酷いという話。酷いとは言っても、「相手は産経だから(バカに何を言ってもムダだ)」というのが結論になってしまうところがおかしいです。去年の朝日新聞では「開いた口がふさがらない」というような表現もありました。マスコミがこのような感情的な表現を使うのは、彼らがこれまでのように安易に世論誘導できなくなってきて、子供が駄々を捏ねるのと同じような精神状態にあるのでしょう。政治の季節から抜き書き。
民主党代表選 耳疑う小沢氏処分の解除 (産経ニュース 2011.8.20 )
月内にも行われる民主党代表選をめぐり、政治資金規正法違反罪で強制起訴された小沢一郎元代表に対する党員資格停止処分の解除を求める意見が出ている。政権政党として耳を疑う。
産経は『耳を疑う』と言うが、疑うべきは耳ではなく頭であろう。(私、ここで爆笑してしまいました)処分そのものが間違っていたのだから、今になっての見直しは遅きに失するというべきである。
>小沢氏は、自身の資金管理団体「陸山会」をめぐる事件で元秘書ら3人が逮捕・起訴され、虚偽記載は20億円を超えた。小沢氏自身も衆院政治倫理審査会に出席する意向を示しながら応じないなど、国会や国民に対する説明責任を果たしてこなかった。
『虚偽記載は20億円超』まだこんなことを言っている。
実際は4億円の記載が1ヶ月程度ずれていたというだけのことに過ぎない。
ばかばかしいのは産経の数字の膨らまし方である。支出した日時に記載しなかったのが4億円。それを別な日に記載したので合わせて8億円。その支払いに間に合わせた一時立替金が4億円で12億円。その立替金返済分を銀行から4億円借り入れて16億円。その借入金で立替金を返済した4億円で20億円。銀行からの借入金返済4億円で24億円。正確なところは覚えていないが、以前にこいつらはこんなばかばかしい計算をしていた。
産経の手に掛かると、4億円の土地を購入しただけのことが、あっという間に20億円超えに膨らんでしまう。『虚偽記載は20億円超』こそ虚偽記載であり虚偽報道である。
こんなマスコミが人権侵害を続け、冤罪を生みだし続けてきたのだ。
しかしこの時期、産経がこんな陳腐な社説を載せるのは、小沢一郎復権がそれだけ現実味を増してきていることの現れかもしれない。追いつめられているのはマスコミの方なのだろう。今更こんなバカ社説に惑わされる国民はいない。