理想と現実をすり合わせ妥協点を見つけていくというのは、なかなか根気のいる作業です。当たり前ですが、キレて投げ出すというのが最も良くない結果を生むのですけど、それを学ぶのに私は随分失敗を重ねました。今だに反省すること多しです。
「世界は一つで人類は皆兄弟」は真実でありますが、それを地上の皆が行動に現すことは今はまだ理想です。現実は、沈む者がいるから浮かぶ者があり、他人はみんな泥棒で、人の不幸は蜜の味であったりします。
「自分が一番可愛い」という人間の動物としての本音の部分は認めつつも、実は、自分も他者も等しく地球という家に生まれ育つ家族であるという理想に近づいていけるように、根気良く努力するところに人間の成長があるのだろうと思います。しかし、ジョンレノンのイマジンみたいなところ、国境も国も天国も地獄もないような世界に行きつくには、人類全体がその理想を共有し、努力していく必要があり、まだまだ途方もない時間がかかるであろうと思われます。
そんなことを考えながら、今回のイギリスのEU離脱のことを考えていました。ソ連崩壊につながったペレストロイカと状況がちょっと似ているような気もします。EU発足当時は、一般イギリス人も、ヨーロッパが一つの国のようになって、人々が自由に交流できることを、理想に近づく一歩として歓迎したでしょう。でも現実は、貧しい地域の人々が豊かで社会保障の優れた国を目指して大量移動し、結果として以前からのイギリス住民の負担を一方的に増やしてしまい、結局、理想のためのガマンも限界だという状況に追い込まれたというように感じます。しかし、生きるのに精一杯の貧しい移民の人々にとっては、理想よりも目の前のパン、腹が減っていては、比較的豊かに暮らしていたイギリス住民と同じレベルで人類愛や理想を語るのはムリです。またイギリス住民にとっても、これほど急激に増加する移民は想定外だったでしょう。増える人口でこれまで受けられていたレベルの社会サービスを受けることが難しくなり、病院は飽和し、学校の教育の質は低下し、犯罪は増加するわけで、中流家庭にとっては、彼らの生活が脅かされるとさえ感じるようになったのではないでしょうか。
理想は現実に基づいて作り上げられるものであり、現実が変化すれば、それに応じて理想も変化していくのは自然なことであろうと私は思います。EUの発足は殺し合いの歴史であったヨーロッパを核の時代の破滅的な荒廃から守り、かつより大きな経済活動を推進するという意図であっただろうと思います。そのより大きな経済活動の結果は、グローバル化という非人間的な経済によるカースト制の推進であり、消費活動の拡大による環境破壊ではなかったのではないのでしょうか。すなわち、「命よりもカネ」の傾向があまりに露骨になりすぎました。豊かな人々はより豊かに、持たざる人々の生活はより苦しくなり、貧富の差は広がりました。ヨーロッパ諸国の中での経済格差も歴然としたものがあります。
今回のイギリスのEU脱退の動きは、EU発足時の理想というものを、一旦、立ち止まって、見直す時期であることを意味しているのではないかと私は思います。戦争を防ぎ、人々が人間らしく幸せに暮らすために、ヨーロッパの国境をなくして「均一化」しようとするやり方がかえって社会の歪みを生み出したように見えます。貧富の差がまだまだ大きいヨーロッパ諸国の現実を考慮してプランを作り直した方がよい、とイギリス住民は考えたのではないでしょうか。目的は、戦争のない平和で人々が幸せに暮らすことができる社会の実現ですから、EUという手以外にもやり方はあるのではないかと思います。
ですので、今回のイギリスのEU脱退は、理想からの退行ではなく、新たなより良い理想を求めるための有意義な実験の始まりであると私は捉えたいとおもいます。今後、EU諸国にどのようなことが起こるのか、そのデータは貴重なものになると思います
ソ連が崩壊したように、EUという形も一旦、リセットして、また違うタイプの共同体を作るのがいいのかも知れません。壊すことなしには、より良いものに作り変えることはできないですし。
「世界は一つで人類は皆兄弟」は真実でありますが、それを地上の皆が行動に現すことは今はまだ理想です。現実は、沈む者がいるから浮かぶ者があり、他人はみんな泥棒で、人の不幸は蜜の味であったりします。
「自分が一番可愛い」という人間の動物としての本音の部分は認めつつも、実は、自分も他者も等しく地球という家に生まれ育つ家族であるという理想に近づいていけるように、根気良く努力するところに人間の成長があるのだろうと思います。しかし、ジョンレノンのイマジンみたいなところ、国境も国も天国も地獄もないような世界に行きつくには、人類全体がその理想を共有し、努力していく必要があり、まだまだ途方もない時間がかかるであろうと思われます。
そんなことを考えながら、今回のイギリスのEU離脱のことを考えていました。ソ連崩壊につながったペレストロイカと状況がちょっと似ているような気もします。EU発足当時は、一般イギリス人も、ヨーロッパが一つの国のようになって、人々が自由に交流できることを、理想に近づく一歩として歓迎したでしょう。でも現実は、貧しい地域の人々が豊かで社会保障の優れた国を目指して大量移動し、結果として以前からのイギリス住民の負担を一方的に増やしてしまい、結局、理想のためのガマンも限界だという状況に追い込まれたというように感じます。しかし、生きるのに精一杯の貧しい移民の人々にとっては、理想よりも目の前のパン、腹が減っていては、比較的豊かに暮らしていたイギリス住民と同じレベルで人類愛や理想を語るのはムリです。またイギリス住民にとっても、これほど急激に増加する移民は想定外だったでしょう。増える人口でこれまで受けられていたレベルの社会サービスを受けることが難しくなり、病院は飽和し、学校の教育の質は低下し、犯罪は増加するわけで、中流家庭にとっては、彼らの生活が脅かされるとさえ感じるようになったのではないでしょうか。
理想は現実に基づいて作り上げられるものであり、現実が変化すれば、それに応じて理想も変化していくのは自然なことであろうと私は思います。EUの発足は殺し合いの歴史であったヨーロッパを核の時代の破滅的な荒廃から守り、かつより大きな経済活動を推進するという意図であっただろうと思います。そのより大きな経済活動の結果は、グローバル化という非人間的な経済によるカースト制の推進であり、消費活動の拡大による環境破壊ではなかったのではないのでしょうか。すなわち、「命よりもカネ」の傾向があまりに露骨になりすぎました。豊かな人々はより豊かに、持たざる人々の生活はより苦しくなり、貧富の差は広がりました。ヨーロッパ諸国の中での経済格差も歴然としたものがあります。
今回のイギリスのEU脱退の動きは、EU発足時の理想というものを、一旦、立ち止まって、見直す時期であることを意味しているのではないかと私は思います。戦争を防ぎ、人々が人間らしく幸せに暮らすために、ヨーロッパの国境をなくして「均一化」しようとするやり方がかえって社会の歪みを生み出したように見えます。貧富の差がまだまだ大きいヨーロッパ諸国の現実を考慮してプランを作り直した方がよい、とイギリス住民は考えたのではないでしょうか。目的は、戦争のない平和で人々が幸せに暮らすことができる社会の実現ですから、EUという手以外にもやり方はあるのではないかと思います。
ですので、今回のイギリスのEU脱退は、理想からの退行ではなく、新たなより良い理想を求めるための有意義な実験の始まりであると私は捉えたいとおもいます。今後、EU諸国にどのようなことが起こるのか、そのデータは貴重なものになると思います
ソ連が崩壊したように、EUという形も一旦、リセットして、また違うタイプの共同体を作るのがいいのかも知れません。壊すことなしには、より良いものに作り変えることはできないですし。