百醜千拙草

何とかやっています

尊敬する先生

2012-10-30 | Weblog
子供の学校の先生との面談がありました。主要4教科別、一人5分ずつ。5分なので大した話はできませんが、平日の夜に、学校での様子や勉強の進み具合を生徒全員の親と話するのですから、学校の先生は大したものです。尊敬します。子供を教え、これだけの多くの父兄と面談するのは大変なことです。にもかかわらず、学校の先生は高給とは言えません。子供に勉強を教え指導するというのは、将来の社会の基礎を作り出しているのに等しいわけで、社会に大きな影響を及ぼす職業だと私は思います。しかし、大勢の子供が勉学に燃えていて毎日やりがいがあって楽しいというよりも、いかにやる気のない子供の注意を勉強に向かわせ、彼らを知的に刺激するかという困難に向き合う方がおそらく多いでしょうから、苦労も多いことでしょう。研究でも似たようなところがありますけど、研究室にやってくる人は既に一定のモチベーションをもっている場合が多いので、人を育てたり指導したりするというのは、やる気のない子供に比べれば、格段に苦労は少ないと思います。ま、研究は人を育てるよりも結果を出すことが優先されるので、活動の種類が違いますけど。

確かに、素晴らしい先生もいるし、そうでない犯罪的な教師もいます。人間ですから個性もあります。教え方がうまい人もいるし、人間性が素晴らしい人もいました。高校生の時の物理で、余りに授業内容が素晴らしかったので、授業の終わりにクラス全員が感動の余り立ち上がって拍手をした、という出来事に遭遇した経験があります。(私も生徒の一人でした)、小、中、高、大学を通じて、生徒が立ち上がって授業内容に感動して拍手をしたというような事件は、この一回きりでした。クラスが一体となって知的興奮が掻き立てられるような授業は滅多にないでしょうけど、それに向けて多くの先生が日々、努力しているのだろうと私は想像します。

私の親は私に教師になって欲しかったようです。今は研究専門ですけど、一時は教官の立場にあったこともあるし、家庭教師のアルバイトをやっていたこともあるので、人を教えることの難しさはわかります。教育、研究、そうしたものは社会の豊さの基礎にあるべきものだと思います。残念ながら、教育者や研究者に敬意を払う人は少なくなってきているように思います。他の専門職にしてもそうではないでしょうか。稼ぐ金の多寡で仕事や人の価値を判断する人が多いからでしょう。ま、敬意を払おうが払うまいがそれは個人の自由ですが、お互いに見下すよりも尊敬し合う方が健全で住みやすい社会になるのは間違いないでしょう。だから、私が社会や子供や未来のために誠実に働く人々に対して敬意や感謝の念を表するのは、極論すれば私自身のためです。
しかし、世の中にはまだまだ、自分が他人よりもエラいことが最も大切だと思っているエゴ丸出しの大人が多いようです。
東京都知事が頭に浮かびました。この人が出ないと言った都知事選に後だしジャンケンで出て、知事になって、オリンピック招致に失敗して多額の税金を浪費し、自分の息子の自民党総裁選援護のために「愛国ごっこ」で尖閣問題を煽って著しく国益を損ねたりした挙げ句に、任期途中で知事職を放り出したりするのを見ていたら、タイガイにしたらどうか、と思いますね。右翼民族派が「愛国心を利用された」と怒っているそうです。ま、反面教師も多少は必要なのかも知れませんが。
都知事が結成すると噂されている新党の名前を考えるという遊びがネットで話題になっていて、面白いので紹介します。

新党『蘇れ日本』
新党やりかけ
尖閣諸党
俺様が第一
国民の生活が一大事
国民の生活がだいなし

「国民の生活がだいなし」が、やはり秀逸ですね。

結党パーティーの当日に、辞任表明をぶつけてきた東京都知事ですが、その「国民の生活が第一」党の結党パーティーには、4200人が集まったとの話。会場のニューオータニ、始まって以来の規模のパーティーだったそうです。マスコミは取材に来ていたものの、ほとんど報道せず。都知事の身勝手な任期中の辞任、将来のない国政復帰、泡沫新党結成のニュースと、いまや三番目に大きな政党である「国民の生活が第一」党の結党行事とどちらが国民に取って重要なのかは自明と思いますけどね。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ご自由に

2012-10-26 | Weblog
先日のオバマ、ロムニーの最終討論、外交問題でした。私、アメリカの外交に関しては、アメリカの言うことを全く信用していませんので、正直、面白くありませんでした。ロムニーは外交は素人ですから、ロムニーが何も大した事は言えるはずもなく、テーマはオバマに有利に働いたと思います。
討論の内容よりも、最終討論のテーマがなぜ「外交問題」なのか、の方が私は気にかかります。副大統領候補討論の時にも、しつこく外交問題に時間を割くのでヘンだな、と思いましたが、今回の最終討論を見て何となくイヤな気持ちになりました。
国民にとってもっと切実な問題は、日々の暮らしであり、景気が良くなって収入が増えるのかどうか、失業問題にどう対処するのか、社会福祉や税金はどのように改善されるのか、そういった国内の問題です。外交問題などどうでもよいと思っている人が大半でしょう。クリントンのキャンペーンの時に有名になった言葉が、「It's the economy, stupid!」。つまり、もっとも選挙キャンペーンにとって大切なのは「経済」にフォーカスすることだ、という言うことですが、そのもっとも重要なはずの経済の話は、今回の3回の討論を通じて、外交問題に比べれば極めて小さい取り扱いでした。この異常な外交問題の取り扱い、とりわけ、中東の国々にフォーカスした討論は、イラン危機を煽り、シリアへのNATOとアメリカの軍事侵攻を正当化するための世論操作の一環ではないのか、と思わざるをえませんでした。この討論はかなりの数のアメリカ人が見ているはずです。そこで、イランの核開発に対する危機感を煽り、親イランのシリアのアサド政権が自国民を虐殺しているというプロパガンダを垂れ流せば、NATOと一緒にシリアへの軍事侵攻もやむを得ないという世論を形成するのに大変、都合がよいでしょう。何しろ、次の大統領候補が自らの口でそういうのですから。
アメリカは10年おきに戦争をやって軍需産業を中心に経済を回してきた国です。前回の大掛かりなイラク侵攻から10年経ちます。今度はシリアを足がかりにイランという筋を考えているのでしょう。そのお膳立てが大統領選の討論ということではないのかなと感じました。もしこれが当たっていれば、連中は、クリントン、オバマをそのまま使いたいでしょうから、オバマが再選の筋書きかと思うのですが、どうでしょうか。

東京都知事が辞意ということで、ようやく引退かと思ったら、新党結成し国政復帰を目指すということで、びっくりしました。すごい執念ですね。冗談かと思いました。80歳で選挙戦を戦うのだそうです。体力がなくて大臣できませんと言って辞めたはずの法務大臣が再登板しましたが、その人が74歳、体力がなくて財務大臣できませんと言ってやめたフジイの爺さんが当時で78歳ですからね。そして、「最後のご奉公。硬直した中央官僚の支配制度を変えないとダメ。役人と戦っていかないと、この国は沈んで窒息して死ぬ」と語り、憲法改正への意欲のほか、尖閣諸島に船の避難場所が必要との見解を示した、とのこと。ドジョウや大阪市長同様、もう誰もマトモに相手にしていないと思いますけど。うーん、どうそご自由にという感じですね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

暗黒国家の判決

2012-10-23 | Weblog
今晩はオバマ、ロムニーの3度めの討論です。レースはオバマが若干優勢ながら結構拮抗しているので、最後の討論は面白いかも知れません。前回、オバマがかなりアグレッシブになったので、今回もおそらく双方とも積極的にダウンを狙っての打ち合いになりそうです。

さて、日本の話。マスコミは、大阪市長と週刊朝日の揉め事を大きく報道していますが、もっと報道するべき大事なことがあるだろう、というのが感想です。たかが週刊誌の記事にいちいち反応するようでは、ちょっと政治家としては望みうすでしょうね。たぶん党の失速でせっぱ詰まっているのでしょう、今度はマスコミ攻撃で人気浮揚をはかろうとしているのでしょうかね。もうその手はききませんよ。そんなことより、いまだに毎日何万ベクレルという放射性物質を垂れ流し、収束のメドもついていない原発事故の報道をしてもらいたいです。数多くの国民の命が危険に晒されているのですから。政治に関しても、小沢氏らのドイツ訪問後の脱原発政策についてのインタビューを載せるとか、そういうことを国民は知りたいのであって、もはや芸能ニュースである大阪市長がらみの揉め事などどうでもよいのですよ。

それから、またまた沖縄での米兵の暴行事件。これでもオバマはアメリカ軍兵士は国を守る英雄だと言い続けるのでしょう。やっていることは覇権先の国の人々の暴行、略奪、そして虐殺です。建前、同盟国である日本の国民にさえ、そういう行為をやりつづけてきました。日本の政府は、オバマに直接、文句を言ったのでしょうかね。ドジョウが何も言えるわけないだろうと思いますが、言ったとしてもせいぜい、遺憾の意ぐらいの言葉を形だけ伝言ゲームで伝えたのが関の山でしょう。だから、いつまで経っても日本は侮られ、利用され、むしり取られるのでしょう。中国や韓国に下らないケンカを売る前に、アメリカに言うべき事を言ってみろ、と言いたいですね。

もう一つ、血管が切れそうになったこと。
東電の原発事故隠蔽、ずさんな安全管理などを受けて福島の原発推進に反対の立場をとったことが(おそらく)原因となって、例の犯罪集団、東京地検特捜に贈収賄事件をでっちあげられて失脚した元福島県知事、佐藤栄佐久さんの最高裁への上告が却下され、二審の決定が確定するという事件がありました。この検察がでっちあげた事件は、ご本人の著「知事抹殺 つくられた福島県汚職事件」に詳しいですが、今回の判決に関して、識者およびご本人のコメントを見つけました。私も怒りで爆発しそうです。この数年、検察のどうしようもない腐敗を思い知らされる事件が数多く起こっています。反体制の政治家、言論人などに対して、国家権力という暴力を使って卑劣な方法で社会的に抹殺していく手口は広く知れ渡り、検察がヤクザ組織未満の無法暴力組織であることが明らかになりました。現在、人々の注意は検察の腐敗に向いていますが、一連の小沢事件に関して、「一市民T氏」らの市井の人々の緻密な追求によって、実は、検察なみどころか、検察以上に腐っているのが最高裁であることが明るみに出てきました。判検交流とかいって裁判所と検察の間で人事交流があり、早い話が裁判所と検察はお互いをかばいあう仲間同士、同じ穴のムジナなのです。検察にハメられた人々が唯一できるのは、司法で戦うことだけなのに、裁判所は最初から相手側についているのですから、どうしようもありません。小沢事件では、検察審査会制度をわざわざ改正し、素人裁定による強制基礎が可能なようにしておいて、政権交代のかかった選挙の直前を狙って、秘書をでっち上げ事件で起訴しました。つまり小沢氏を検察自身が起訴できなかった場合に備えて検審会制度を悪用しての強制起訴をするという陰謀が事件の何年も前から練られていたということです。おそらく首謀者は麻生自民党、指揮権発動したのは当時の森法相。裏金づくりで弱みを握られている最高裁と検察はこの陰謀に逆らえなかったのでしょう。あるいは、霞ヶ関改革を掲げた小沢民主党の政権交代を阻むという共通の利益のために、実は進んで陰謀に加担したのかも知れません。
それにしても、腐りきったこの国の官僚組織は本当にどうしようもありません。
以下、一部転載。

佐藤栄佐久・福島県元知事の冤罪


私の弟は、東京拘置所の取調室で、担当の検事からこんなことを言われていました。

「知事は日本にとってよろしくない。いずれ抹殺する」

 今にして思えば、これが事件の本質だったのかも知れません。

 私は知事在任中、東京電力福島第一・第二原発での事故やトラブルを隠蔽する、国や電力会社の体質に、福島県210万県民の安全のため、厳しく対峙していました。国から求められていたプルサーマル実施についても、県に「エネルギー政策検討会」を設置して議論を重ね、疑義ありとして拒否をしていました。事件は、このような「攻防」を背景に起きました。

 大変残念ながら、その後プルサーマルを実施した福島第一原発3号機を含む3つの原子炉が、福島原発事故でメルトダウンを起こし、私の懸念は、思っても見ない形で現実のものとなってしまいました。私たちのかけがえのない「ふるさと福島」は汚され、いまも多くの県民が避難を余儀なくされる事態が、いまだ進行中です。苦難を余儀なくされ、不安のうちに暮らしている県民を思うとき、私の胸はひどく痛みます。

確定した二審判決である東京高裁判決は、大変奇妙なものでした。私と弟の収賄を認めたにもかかわらず、追徴金はゼロ、つまり、「賄賂の金額がゼロ」と認定したのです。そして判決文では、「知事は収賄の認識すらなかった可能性」を示唆しました。ならば無罪のはずですが、特捜部の顔も立てて、「実質無罪の有罪判決」を出したのです。


現在のフクシマと日本の大災害を引き起こしたのは、原発推進に慎重であった知事をでっち上げ事件で社会的に抹殺した腐りきった東京地検であるとも言えましょう。そして裁判所の腐敗度もどうしようもないレベルです。ワイロがゼロなのに収賄罪が成り立つというのはどういう理屈なのか。もちろん理屈などない、腐った仲間の検察のメンツを立ててやるために、正義を捨て去っただけのことです。この国では、国民のために働き、何の違法行為をしていなくても、事件をでっち上げられて拘束され、裁判では幼稚園児でもおかしいことがわかるような理屈で有罪になって、抹殺されるのです。そういうことが誰にでもいつでも起こりうるという暗黒国家です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お騒がせの人々

2012-10-19 | Weblog
先日のオバマ、ロムニーの二回目の公開討論、タウンホール形式で、一般人の質問に答えるというスタイルで行われました。オバマは前回とうって変って非常に攻撃的でした。多分、初回におとなしすぎたので、カツを入れられたのでしょう。
 二人とも、ほとんどの質問にマトモに答えていません。答えられないのでしょう。エネルギー政策を推進しているのにガソリンの値段がこの数年高いままなのは何故かという質問に対し(ガソリンやものの値段は一般人にとって大きな関心ごとであります)、オバマは答えをはぐらかし、エネルギー政策の一般論へすり替えていったところが私には大きなマイナス点でした。ロムニーの最大のマイナスは税制でしょう。ミドルクラスの減税をすると言いながら、ミドルクラスの税率を裕福層の税率まで下げるだけで、それで不足になる税収は、控除や手当を削除して捻出すると言い、国防費などの支出は増やすと言っていて、それで既にある財政赤字をどう減らすつもりなのかという当然の質問には具体的に答えられませんでした。自分が金持ちなので金持ち優遇税制そのものには触りたくないのでしょう。これまでのところ総じて、オバマ陣営が優勢と思います。来週の討論でオバマが大ドジを踏まない限り、オバマ再選の可能性が高いだろうと思います。

さて、ちょっと前の話、iPSの臨床初応用というガセネタでお騒がせしている人、私、クローン人間を作ったと発表して何年か前に世間を騒がせたどこかの怪しい会社を思い出しました。ちょっとパブメドでこの人の業績とか見てみると、超一流雑誌に複数、原稿が掲載されているのでオッと思ったのですが、よく見るとそれらは原著論文ではなく、その雑誌に載った別の論文などへのコメントのようなもので、これは研究業績とは言えないものです。つまり、研究の中身よりも何よりも超有名雑誌に自分の名前が印刷されるのがうれしいというタイプの人のようです。ある意味、気の毒な人です。すぐわかるウソをついてまでも満たしたい病的な虚栄心に支配されてしまっているのですから。家族とかがいたらもっと建設的な方向にエネルギーを向ける事ができたのかも知れません。私は、この人よりも、このようなタブロイドネタで毎日のように紙面を埋めて、国に都合の悪い重大ニュースの煙幕がわりに使っているマスコミの方がもっと悪質だと思っていますが。

お騒がせと言えば、研究不正を告発されて、T大を辞めたK先生、先週末から今週のはじめにかけてあった学会にやってきて講演したのだそうです。私、K先生の業績は大したもので、多くの仕事は信頼できるものだと思います。しかし、多額の税金ベースの研究費を使って行ってきた研究の研究不正を告発され、みずから辞任したのに、その後は不正に関する説明もなしで、何事もなかったかのように学会にやってくるというのは「いかがなものか」というのが私の正直な感想です。(私、「いかがなものか」というものの言い方が大嫌いなのですが、この場合、他になんと言ってよいのかわからないので)今回の学会、聴衆の8割は日本人ではないので事件を知らないとでも思ったのでしょうか。実は日本以外でもウチの分野では大変話題になりました。大体、狭い世界で、ちょっと名前の知れている人なら、家庭問題のウワサでさえ学会内で三日もたたずに広まるような所です。今回の学会のK先生の講演のセッション、座長をやったアメリカ人ももちろん事件は知っていました。事件後にT大を辞任したにも関わらず、K先生が学会などにやってきて講演していることに随分驚いていましたから、世界的にも非常識な行動ということでしょう。
 思うに、大多数の研究者は誠実に研究していると思います。そもそも論文を出すのは研究の成果を発表するためで、論文を出すのが研究の目的ではないというのが原理ですし。それでも業績が研究費やポストに直結している現状では、ウソのデータでもインパクトのある雑誌に論文が載りさえすればよいと思う人間も少なからずおります。だからこそ、ルールがあり、それを破るとしばしば厳罰が下ります。研究は泥臭い職業です。いろいろ仮説を考えて、あれこれ実験して、それでも9割の確率で期待したようなデータが出ないで、一からやりなおし。それが私や私の周囲の人の日常です。であるのに、フォトショップでデータをちょこちょこいじくって都合の良い話をでっち上げて論文を出版し、それをもとに研究費を稼ぐようなことが大した罰則もなく行われるのなら、真面目に誠実にやっている研究者は浮かばれません。しかし、日本の官僚や政治家を見ていると、高潔さとかIntegrityとかに無縁の人が多いですから、T大教授もご同様なのかも知れません。私は学会休みましたが、行った人に聞いてみると、さすがにK先生の講演、会場の雰囲気は冷たかったそうです。どうもK先生は既に研究のためのリソースにアクセスできるような環境にはないらしく、講演の質も良くなく質問も全くなかったという話でした。
 私、実は、ちょっと心配しています。順風満帆で成功を絵に描いたような人がヒョンなことでつまずいてポッキリいってしまう例を少なからず見聞きしています。K先生の往年のライバル、U先生もあれほど優秀だったのに研究のスランプからか不幸なことになりました。K先生に関しては、しっかりと取るべき責任はとって、新たにやり直してもらいたいと私は個人的に思います。
要らないことを書きすぎました。もうゴシップはやめます。

若松監督死去。近年は社会派、原発問題などを取り上げ、国家の闇と戦うと宣言し体制批判を続けていました。70歳台の人が運転するタクシーではねられたという情報だけですけど、やはり、勘ぐらずにはおれません。体制にとっての邪魔者は消される国ですからね。自殺や病死を装う手口が多いと思いますが、石井紘基議員のように「暴漢」を使って暗殺という露骨なのもありました。この加害者の人がどういう人間なのか、詳しく知りたいですね。本当に事故なのかどうか。

映画と言えば、シルビアクリステルさん、60歳で死去とのニュース。エマニエル夫人、当時私はこの映画を見れる年齢ではなかったので映画を見ていませんけど、1も2もテーマ曲は好きでした。2の方はフランシス レイの作曲で、フランシス レイ本人とシルビア クリステルがデュエットで歌っていました。シルビア クリステルがフランス語で囁くように歌うのですが、唯一わかった言葉は「je (suis) tres bien」、子供心にも大変エッチに聞こえました。当時、映画音楽と言えばフランスのフランシス レイとイタリアのニーノ ロータがヒットを量産していました。そのころは、西洋映画は知的な娯楽で、映画音楽はその大切な要素でした。インターネットのなかった時代、西洋の情報量も今とは比べ物にならないほど少くて、普通の人にとって洋画は世界を見るための窓のようなものでした。私はその小さな窓から除く世界をあれこれを想像して楽しむのが好きでした。想像の中では世界は理想化されて現実の醜さは見ずにすみました。今ではそうはいきません。聞きたくない話も瞬時にして入ってきます。思えば豊かでロマンティックな時代でした。

Youtubeで見つけました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

副大統領候補討論

2012-10-16 | Weblog
先週のアメリカ副大統領候補の討論会、見ました。Nastyでした。バイデンは初っぱなから飛ばして、かなりアグレッシブにロムニー批判を展開。対する若者、ライアンはどう見ても知識が足りない(サラ ペイリンよりはマシだと思いますが)バイデンの悪い癖なのでしょう、相手を小馬鹿にしたような口調を使ったりにやにや笑いを浮かべたり、これでかなり損していると思います。内容だけを比べれば、政治経験の差が歴然でほとんどバイデンのTKO勝ちだったのに、態度が悪いのと攻撃的すぎたのがマイナス点でした。最も不満だったのはモデレーターの人。この人、外交が専門らしく、リビア、シリア、アフガニスタン、イランの話題に必要以上に時間を割いています。アメリカの中東侵略についてバイデンが本音をしゃべれる筈もありませんし、経験不足の上に野党のライアンに何か聞くに価することをしゃべれるはずもありません。シリアに関してアサドを倒すのはイランを抑えるためだ、と言いながらイランはまだまだ核兵器を作れるようなレベルにない、と言ったバイデン、この辺り、突っ込めば小さなほころびが出てきて面白いだろうと思いましたが、一般アメリカ人なら外交のことよりも経済のハナシをしろ、というのが本音でしょう。モデレーターも、どこまでわかっていて、しつこく外交問題にこだわっていたのか知りませんけど、結果は、どうでもいい表面的な話に終始して終わり、もっと重要な国民生活の話の時間がなくなってしまいました。

ところで、シリアに関しては、アサド政権を潰すためのシリア侵略計画が着々と進んできて、急にキナ臭くなってきたようです。次のブログにその経緯が複数のソースの情報をもとにまとめられています。


リビアと同じパターンですね。アメリカの中東への侵略は全部同じです。言いがかりをつけてムリヤリ軍事侵攻する。チンピラヤクザと同じですね。プーチンがどうでるか、それが帰趨に大きく影響するのは間違いないでしょう。プーチンは不気味ですけど、アメリカの暴走を止めることができるのはロシアであり、強いロシアを標榜して大統領に返り咲いたプーチンはこの局面では歓迎です。バイデンは、イランは現時点では核武装の危険性はない、と言っていましたが、その通りでしょう。イランはずっと核は発電のためだと言っていて、その開発は極めてオープンにしてきています。それでもなおイランには経済制裁を加え、シリアにはNATOを通じて侵攻して、アサド政権を潰そうとしているのですから、もうその意図はバレバレです。副大統領討論での外交に関する討論、ヘタなサル芝居を見せられて、私はサルが気の毒になりました。ロムニー側は多分、まだ蚊帳の外でしょうから、外交問題など本気で語れるような状態にはないのでしょう。ライアンを見ていてそう思いました。

明日は二回目のオバマ、ロムニーの討論です。私、オバマは普通にやればよいと思います。ロムニーは喋れば喋るほどボロを出しているように私には見えます。しかし、前回の討論でロムニーが優勢と思った人が多数いたようですから(確かにオバマもダメでしたが)、評価する一般アメリカ人の能力を自分の常識で判断してはいけません。アメリカ人、中には非常に優れた人もいますが、多くはいわゆる「大衆」ですから。

討論は無論、自分の党の方が相手の党よりも優れていることをアピールするためにやるので、相手の政策と自分の政策を対比させる必要があるのはわかりますが、相手を必要以上に攻撃するのは見ていて気分の良いものではありません。アメリカではネガティブ広告で、選挙前には対立候補者の悪口をひたすらテレビ広告で流しますけど、こういうやり方が有効な一般国民が多数を占めているというアメリカ人の民度(もちろん、3S政策で痴呆化させられてきたわけですけど)が、実は根本の問題でしょう。日本も同じ問題があります。一般国民のレベルが上がらないと政治のレベルも上がりません。政治家は国民の票を貰う立場ですからね。国民のレベルに合わせてきます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

八百屋で魚を求める

2012-10-12 | Weblog
私、日本の政府やドジョウの言動や行動を見る度に、腹立たしいを通り越して「情けない」気持ちになるのです。私だけではなく、いまや多くの国民の人がそうではないでしょうか。バカバカしくて、文句を言う気にもなれないことが多くなりました。連中はこれを狙っているのでしょうか。とことんデタラメをやり続けたら国民はデタラメに麻痺してきて無気力になると思って、デタラメに拍車をかけているのですかね。
日本のガン、官僚組織(司法、行政を含む)、政治家、マスコミ、いくら国民がデモをやっても、支持率が一桁になっても、批判本がベストセラーになっても、カエルの面になんとやら、まったく意に介さず、真面目に批判するだけエネルギーのムダという気持ちにもなってきます。もちろん、これらのガン組織の中にも良心的な人々はいます。例えば、マスコミといっても政府広報の広告費で飼い犬となっている全国紙は話になりませんけど、東京新聞、中日新聞は頑張っていますね。先日は、復興予算を火事場泥棒か詐欺まがいに復興と無関係なものに流用していたことがバレた官僚組織の批判を「筆洗」で見ました。

日本の官僚は本当に賢い。もちろん、その前に「ずる」という接頭語がつくのではあるが。一見、分かりにくい法律や行政文書の中に書かれた短い文言を拡大解釈することなど、朝飯前だろう▼被災地の再建とは無関係の事業まで、復興予算が使われた実態が次々に明らかになってきた。核融合エネルギーの研究費に約四十二億円、調査捕鯨事業に二十三億円、東京の国立競技場の補修に三億三千万円…。被災地以外の官庁の庁舎改修にも、巨額の費用が投じられたという▼これは、政府が昨年七月にまとめた復興基本方針に「豊かで活力ある日本全体の再生を実現する」などと書き加えられた成果だ。政治サイドの要求らしいが、復興予算は各省庁が分捕り合戦をする草刈り場と化した▼被災した中小企業を支援する補助金の交付を求めたグループの約63%が「国の予算が足りない」などの理由で申請を却下された、と本紙が報じている。本当に必要な資金が被災地に回らずして、何のための復興予算なのか。本末転倒である▼二十五年間に及ぶ増税を国民が許容したのは、予算が震災復興に限って使われると信じていたからだ。官僚は「政府方針の通り」の一点張り。誠実さのかけらもない国の役人に誠実さを求めるのは、八百屋で魚を求めるようなものかもしれない。官僚のやり放題を許している政治の責任は重い。


官僚組織、本当に悪質です。これらの復興とは無関係な部署にこじつけて流されたカネは天下りポストになって引退官僚に還流する仕組みです。そして、そのカネは「社会保障にしか使わない」と大ウソをついた消費税増税を含む今後の増税をあてにしています。税金詐欺、税金ドロボーです。そのドロボーの総本山、財務省、日銀総裁の任期終了に際して、日銀総裁ポスト奪還に動いているという話。聞けば、あのドジョウを操っていた人形遣い、勝栄二郎が副総裁ポストと5年後の総裁ポストを狙っているらしいというウワサ。大変、気分が悪いです。財務省次官として消費税増税法案を通した見返りとして、一億近い退職金を貰ってようやく辞めたと思ったら、今度はさらに日銀ポストに天下って税金ドロボーを続けるつもりらしいです。ドロボーに追い銭という可愛い話ではないですね。

ところで、頑張っている東京新聞に比べて、あいかわらずゴミを刷り散らかすゴミ売り新聞は、天木直人さんのブログで「よりによって『オスプレイを日米同盟の象徴に』と書いた読売社説」と批判されています。その社説のお粗末な内容と一方的な視線には吐き気がします。中身をわざわざ晒す必要もないでしょう。マトモな神経を持っている人ならこのゴミ社説、読むとクラクラしますよ。さすがはCIAエージェント、ポダムの作った新聞社だけありますね。現在の原発問題も元を正せばこの男のせいだともいえなくもないでしょう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

iPS、翼の下、河原の石

2012-10-09 | Weblog
IPSのノーベル賞、素晴らしいです。細胞分化の可塑性がほんの数個の遺伝子を操作するだけで得られることが示された驚異の2006年の論文は発表直後から直ちににステムセル研究者を中心に大きな研究手法の変化と新たな研究課題を提供することになりました。iPSの発見の意義そのものに加え、この技術が与えた非常に大きい生命科学研究への影響が受賞の決め手となったのだろうと思います。興味深いのは、山中さんは、このプロジェクトを始めるまで、ステムセル研究者というわけではなかったというこでしょう。多分、iPSのアイデアはステムセル研究者にとってはそれほどまでに常識はずれなアイデアであったのだろうと思います。そうでなければ、多くの天才ステムセル研究者がとっくの昔に発見していたでしょう。科学のブレークスルーというものはしばしばこのようにして生まれます。思えば、現在、生物学研究の主流となっている分子生物学の基礎を築いたのは生物学者ではなく、物理学者でした。専門家が最初から除外してしまうような「悪手」に賭けられるのが門外漢の強みでしょうか。いずれにしても、この発見が素晴らしいことは違いありません。論文から6年というのも(これはRNAiやPCRの時よりも早いのではないでしょうか)それだけ、この発見のインパクトは大きいということだと思います。

さて、私と言えば、冴えないですね。グラントの予備結果が出ましたが、期待していたよりも評価はよくありませんでした。ちょっとがっかりです。が、論文のリジェクト同様、あまり落込むことはなくなりなりました。とはいうもののこのグラントだけのために複雑なコンストラクトを組むのに半年以上かけていますし、マウスも手に入れ、共同研究者も二人引き入れています。ここであきらめるわけにはいきません。また来年再チャレンジです。それまでにデータをださないといけません。アイデアを出したぐらいで研究費を貰おうと思う方が甘いのです。しっかりしたデータを出して、税金を投じるに価するプロジェクトであることをアピールしないといけません。

Natureの記事、「Honour the helpful」は大変興味深いですね。表立って論文には出ないが、有用な助言をしてくれる同僚研究者の貢献度を調べています。そういう人がいなくなると、突然、研究の生産性が落ちるのだそうです。"Wind beneath my wing"という昔の曲を思い出しますね。「鷲よりも空高く飛べるのは、(翼の下で支えてくれる)風のようなあなたがいるから」いい曲ですね。数多くの歌手がカバーしていますが、Gladys Knight and Pipsのバージョンで私はこの曲を知ったので、ちょっとリンク。


最後に、どうでもいい話ですが、大阪維新の会が失速、週末は次のようなニュース

新党「日本維新の会」代表の橋下徹大阪市長は6日、大阪市内で開いた初の同党全体会議で、臨時国会での対応について、「パフォーマンスはしない。解散の『か』の字も言わない」と述べ、年内の衆院解散・総選挙を迫る自民、公明に同調しない考えを示した。
 維新の会は衆院選の準備が整っていないうえ、他の野党との差別化を図る狙いがあるとみられる。
 終了後の記者会見では、「我々の今の実力、政治的パワーを見れば、解散だとか不信任だとかいう話をする実力が伴っていない。政策を淡々と積み上げていきたい」と語った。


これを聞いて有権者はどう思いますかね。つまり、自分の党は「実力がなくて、選挙に勝てない」と言っているのです。そして「政策を淡々と積み上げていきたい」とは「は?」と思いますね。私の業界で言えば、「私の研究は、人に認めてもらえるようなレベルではなく、研究費を貰えるようなものではありません、でも、淡々と実験計画ねっています」と言っているのと同じようなものです。研究計画だけでは絵に描いた餅。人を説得できるだけの実力をつけ、実績を積んで、研究費を得、実験データを出して、論文書いて、そしてそれを出版できて、初めてナンボでしょう。「研究計画を淡々と練っている」だけの人に研究資金を回したり、研究者としてのポジションを与えようとする奇特な人はいません。ビジネスの世界だともっとシビアでしょう。そもそも選挙に勝って多数をとって与党にならずにどうやってその淡々と積み上げた政策を実現するつもりなのでしょう?要するに、政策はありますが、それが実現する可能性はありません、と自ら言っているわけでしょう。与党になる気がないのなら、政策など積み上げるだけムダでではないでしょうか。賽の河原の石ではあるまいし。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大統領選討論、チョムスキーの涙

2012-10-05 | Weblog
最近、気分が上向いたり下向いたりと振幅することが多くなりました。理由は、なかなかまとまらない論文のせいかと思います。終盤がやはり一番、キツいですね。終盤と思ってから一年以上経っています。年をとって気分の変化をコントロールすることがちょっとはできるようになったと自分では思っていたのですが、まだまだ未熟です。小さなことに一喜一憂しながら、おろおろと日々を過ごしております。

水曜のアメリカ大統領選のオバマとロムニーの討論、見ましたけど、双方、パッとしませんね。ロムニーはオバマの第一期目に約束したような成果が上がっていないことを主に攻撃しました。かといって冷静に見れば、ロムニーが何か具体的に現状を良くするための具体的な処方箋を提示しているわけではなく、聞いている方は、ロムニーの方がマシかどうかの判断はつかなかったでしょう。オバマは挑戦される方なので、受け身になるのは仕方がないでしょう。私は自分の偏見もあるのでしょうが、この討論、言葉の端々に出るロムニーの人間性とでもいうものが鼻につきました。とにかく自分第一なのでしょう。大阪市長と似てますね。国を良くしたいという熱意ではなく、とにかく自分が上に立ちたいという欲が言葉から漏れ出してるように私は感じます。昔、上院の選挙で当選できず、その後、民主党の州、マサチューセッツの知事になり、自分が批判しているオバマの皆保険制度(オバマケア)と似た保険制度をマサチューセッツで先駆けて導入したのがロムニーです。討論では、オバマの保険制度をしきりに批判していましたが、一方で過去に自分自身が似た制度をマサチューセッツでに導入してるのですから、オバマケアとのビミョーな違いをいくら強調しても、説得力はありません。経済に関して、トリクルダウン型とボトムアップ、理屈では二通りあるわけですが、結局は両方がポジティブに回らないとどうしようもありません。ロムニーは大企業が大雇用者でなのだから、大企業を優遇しないと雇用が減ると言い、オバマは中小企業の負担を減らすべきだと言います。大企業にいくら税制優遇を与えても、それがトリクルダウンとなって雇用者が潤い、雇用者が大企業の製品を買うことがなければ、最終的には大企業の収益減り、結局、雇用者はリストラされていきます。ロムニーの理屈はそのヘンをすっ飛ばしています。最初に切られるのは雇用者です。
ま、どちらが大統領をやっても大差ないでしょうが、テレビでオバマを見るのとロムニーを見るのとどっちがマシかと言われたら、オバマですかね。

あと、ま、ほんとにどうでもいい話なのですけど、解散「するする詐欺」のペテン師、ドジョウ、「問責」喰らっているくせに、内閣改造するかなー。今回の入閣者の中でもっとも話題になっている田中眞紀子氏。私もこの人が何を考えているのかよくわかりません。国民の中には破壊兵器として何かやってくれるのではと期待していた人も多かったのではないでしょうか。しかし民主党がデタラメをやり続けて離党者が続出するなかでも何故か党に残り、消費税増税には賛成票を入れ、ドジョウを信任し、インターネット言論封鎖に繋がるACTA法案の座長をやり、そして、今回入閣した、という最近の動きを見ていると、ドジョウと同じく官僚組織に折伏されたのかという感じが否めません。多分、8割の人は、あの角栄の娘でありながらいまやどちらかと言えば小沢一郎と逆の立場にいるのは裏切りだと感じているのではないでしょうか。一方、田中眞紀子は民主党を内部から破壊するトロイの木馬であり、敵を欺くにはまず味方からと、変心したように見せかけているのだという人もいます。どうでしょうか。私は、どうもこの人の旦那が足を引っぱっているような気がするのですが。あるいは、かつて、「伏魔殿」と呼んで外務省官僚とやりあった後、官僚組織からすごくイヤな目にあわされたのかも知れません。外相を更迭されるまで自民党内閣で大臣をやり、そして民主党へと鞍替え、思うに、やはり、大臣の椅子が恋しかっただけなのか、という感じもします。いや、ほんとーにどうでもいいことです。この人が大臣であろうと木馬であろうと、民主党が壊滅するのは時間の問題であり、長くても一年の命ですから。

最後に、前回の話にちょっと関連したことですが、藤永茂さんが、「ノーム・チョムスキーが泣くのを私は見た」というFred Branfman という人の回想記の翻訳をブログにアップされています(連載中)。貴重な記録だと思うのでリンクします。チョムスキーはアメリカ構造言語学を創始した言語学の巨人、藤永さんは物理学者、研究室に閉じこもって世間と離れて学究生活しているのが普通の人々です。そのような「象牙の塔」に籠っていてもおかしくない人々が、「真実を知ってしまった」がゆえに、自分の領域を踏み越えて世界をよりよい場所にしようと活動されてきています。私も研究者のハシクレなのでよくわかりますが、自分の研究分野にこもって、自分の研究のことだけを考えている方が余程、ラクに違いありません。しかし、知ってしまった上は行動せざるを得ない、知らないフリはできない、きっとそういう思いに駆られるのでしょう。
 この記事は、ラオスを訪れた時、アメリカ軍がベトナムやラオスに行った非道極まりない行為と、それがラオスの人々に与えた苦しみを知って、チョムスキーが泣いたというエピソードがその中心になっています。人間として最も大切なもの、ダライラマの言うように、私もそれは「compassion」であろうと思います。おそらく、チョムスキーはラオスの人の苦しみを強く自分のものとして感じて、こらえきれずに涙が出たのでしょう。
 一方、日本をふりかえれば、日本の政府にはこの能力、立場の違う人々に人間として共感できる能力をもたない低級な人間ばかりのように見えます。国会で責められて泣き出したかつての民主党代表候補がいましたが、果たして、彼らが国民のためにその苦しみを思って泣くことがあるのでしょうか。空きカンのフクシマ訪問時の行動を思い出すと私は悲観的です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本当の犠牲者

2012-10-02 | Weblog
イラク派遣の自衛隊員の自殺率が高いという記事(イラク派遣後、自衛官25人自殺)が数日前にありました。自殺率は10倍になるそうですが、イラクとの因果関係は不明とあります。もちろん因果関係はあるだろうと思います。
そして、「アフガニスタンでの米兵死者が2001年の米軍による攻撃開始以来、2000人に達したとAP通信が30日、報じた」というニュース。

私、ムッとしました。米軍で死んだ兵士も、利用されて結果として死んだのはそうでしょうが、それでも彼らは危険に対してそれだけの「お手当」をもらっています。そして、死ねば理由はどうあれ、「国家の英雄」として鄭重に敬意を示されます。一方、そのアメリカ軍兵士に虐殺された何万という現地の一般市民はどうなのだ、という思いが涌き出してきたからです。イラク戦争では4万をこえる一般イラク市民がアメリカ軍に虐殺されたということが米国の機密文書のリークによって知るところになりました。一般人を虐殺するのは、アメリカ軍兵士にとっては「トレーニング」であり、「イニシエーション」なのだそうです。

イラク派遣後に精神異常を来す退役兵士が問題になりましたが、戦場で犯した人間としての罪に耐えられなくなった結果ではないのかと想像したりします。「テロとの戦い」とかいうふざけたお題目を唱えて中東に侵略戦争をかけたブッシュ、目的は独立国を反植民地化するための傀儡政権の確立とオイル、早い話がカネです。誰かの金儲けのために利用されて殺される人々、その中に、生活や尊厳を蹂躙され、「トレーニング」や「度胸試し」のために殺される報道されることもない無名の現地の一般の人々がいます。
日本でもかつてそうでした。米軍は、一般人の住む地域に焼夷弾を撒き散らし、普通の人々を焼き殺しました。必要もない原爆投下を強行し、十万人以上の市民を虐殺しました。ベトナムでもそうでした。枯れ葉剤やナパーム弾を撒き散らして無差別殺人を行い、戦争後も長年にわたって人々に苦しみを与えました。この残忍で傲慢きわまりない「ヨーロッパの心」、compassionや思いやりという人間としてもっとも大切な能力を欠く忌むべき邪悪さが、世界中で殺してきた人々のことを考えると、おぞましさに身の毛がよだちます。「白人系人種」が「有色人種」を殺し、利用するという構図は大航海時代から今もなお続いているのです。

Academiという会社があります。かつてBlackwaterという名前でした。名前の通りブラックな会社だと私は思います。警備のための会社という名目ですが、実際やっていることは、戦争代行です。シリアの「内戦」で、反政府軍(自由シリア軍)の多くが外国人だという情報がありました。シリアの政府に反対している革命軍の多くが外国人であるという異常な状況はなぜ起こっているのでしょうか。例えば、日本で、「ドジョウ辞めろ」デモや「消費税反対」デモをやっているデモ隊の人々の多くが外国人だったらヘンでしょう。早い話が、シリアでシリア政府を倒そうと戦争をしている連中は雇われた傭兵だということです。そういう傭兵を調達するのが、例えばこのAcademiという会社なわけです。傭兵になるのは危険であってもカネが欲しい「有色人種」の人々が主です。アメリカも中東での一連の戦争に傭兵を使っていることがわかっています。アメリカの中枢にいるこの邪悪な連中は、罪のない人々を殺し国家を転覆させるのに自分の手を汚さないのです。傭兵はたとえ死んでもアメリカ軍人と違って政府は補償をしたりする必要がないので使い捨てのコマとしては後腐れがなく使いやすいということです。それで、例えば中東の戦争であれば、アメリカの戦争でありながら、実際はカネでやとわれた有色人の傭兵が同胞に対して殺し合いを仕掛けるということが起こっています。

良心のあるジャーナリズムであれば、死んだ数千人のアメリカ軍兵士のことを報じるなら、彼らが面白半分に殺したその何十倍にもなる現地の一般人のことも報じるべきでしょう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする