百醜千拙草

何とかやっています

幼児退行する政府

2012-01-31 | Weblog

日曜日の毎日新聞の社説で、

 

社説:議事録作成せず 怠慢で済まぬ背信行為

(前略)野田佳彦首相も国会で遺憾の意を表明したが、「今から作ればいい」では、もちろん済まされない。なぜ、こういうことが起きたのか。公文書管理のイロハを踏みにじった行為の原因について政府は調査と検証を尽くすべきだ。

 中でも、福島第1原発事故直後に設置された政府の「原子力災害対策本部」の議事録が作成されていなかったのは深刻だ。当時の菅直人首相を本部長にスタートした対策本部は、事故対応を含め、避難区域の設定など重要事項を決める中枢機関である。その議論や意思決定のプロセスを記録した公文書は、事故検証の基礎資料となるからだ。

 

とめずらしく、まともなことが書いてありました。倒産が間近になって正気に戻ったのでしょうか。そして、

実は、担当者のメモなどで議事録に類したものを作成しながら、表に出したくないため内部でこっそり保管していたのではないか。そう勘ぐられても仕方ない。 

 

ですって。それにしても、政府のやることは稚拙ですね。勘ぐられるようなマネをやり続けるから、勘ぐられるのです。その勘ぐり、今回も図星だったようで、馬渕議員がツイッターを介しての会話で次のように言ったというのを知りました。

馬淵澄夫@mabuchi_sumio

記憶にある限り、ありましたよ。 RT@kantaro0901: @mabuchi_sumio ここ数日、震災関連会議の議事録が作成されてない事が問題になっていますが、馬淵代議士の関わった会議は、そんな事ないですよね?   1月27日 ついっぷる/twippleから 

 

やっぱり、政府の十八番、ウソとゴマカシ、ドジョウの二枚舌だったようです。「あまりにすごい内容だったので、無いことにした」という政府高官や、「都合の悪い証拠が残らないようにメモは破棄した」検察とか、政府や行政機関のやることは、お漏らししたパンツを押し入れの奥に押し込んで隠す幼稚園児なみです。そういうバカなことをすれば、ますます状況を悪化させるということがわからないワケではないでしょう。

それにしても何とかならんものでしょうか、この政府の虚言癖は。この際、政府の発表は、全部、生放送で、ウソ発見器を発表者にとりつけて、モニターしながらやったらどうでしょうか。連中のことですから、ウソ発見器もどうせゴマカすでしょうからダメですかね。

ドジョウといい、空きカンといい、本来、その立場に立つべきでない人間が、タナボタ式に指導者の立場になって、官僚組織にいいように使われるというのは(彼らにとっては僥倖かも知れませんが)、とりわけこの国難にあっては、国民にとっては不幸なことです。

それから、年金、 50歳未満の人は、納めた額より少ない額しかもらえないことを、政府は認めたようですよ。税と社会保障の改革とか言って、消費税増税をひたすら押し進めようとしてますが、だいたい、与党内で半数が増税反対していて、増税分をどのように社会保障の改革に使うのかというコンセンサスさえないのですから、社会保障というのは増税のためのタダの言い訳。とにかう増税してから使い道は考えよう、というナメた話。聞いた話だと、財務省は、財政改善を望んでいないそうです。小沢氏の言うように予算の組み替えで財源は出るし、財政改善もできるのですが財政改善してしまうと、増税の言い訳がなくなるからだそうです。国民はどうなっても、財務省官僚を中心とする官僚組織とその一味さえよければそれでよい、と考えているわけで、今後、いくら増税しても、財政は改善する予定はありません。官僚組織が税金泥棒をしている一方で、いくら増税しても、増税分が彼らのフトコロの入るだけで、国民には還元されないし、債務が減るわけでもありません。彼らが財政改善を望んでいないのですから、マトモの政治家が押さえつけないと、どうしようもありません。いずれにせよ、ドジョウが消費税増税の法案を通すことは不可能で、数ヶ月以内に総理も辞めることになるでしょうが、その後の混沌が読めません。

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ドジョウの演説、オバマの演説

2012-01-27 | Weblog

前回、ES細胞の論文のことを書きかけて、うっかりそのまま投稿してしまいました。その話をもう少し書こうと思っていましたが、何を書きたいのか忘れてしまったので、そのままにして次の話題に行きたいと思います。

先のドジョウの演説に続いて、火曜日にはオバマのState of Union Addressの演説がありました。ドジョウの演説は、突っ込み出したらキリがないし、考えるだけでもハラが立つので、一つだけ。自民党党首の言葉をわざわざ引いて、増税への同意を取ろうとした浅ましさが、私はガマンできませんでした。この人には「誠実さ」とか「矜持」とか、私が人間として最も大切だと思う資質が欠けているようです。アホウ氏と福田氏の言葉をわざわざ引用したのは完璧に逆効果でした。自分が野党の時にあれだけ自民党のアホウ内閣の増税案に反対して不信任に投じたくせに(当時の国会でのドジョウの演説の証拠が残っています)、今になって、自民党と同じ増税政策を打ち出して、自民党の党首の言葉まで引いて「いっしょにやりましょ」というのは、どのように人格が破綻すれば、言えるのでしょうか。ひょっとしたら空きカン以上の卑怯者かも知れません。どうしても、自民党と同じことをしたいというのなら、今すぐ民主党と総理をやめて自民党にでも入党して、消費税増税を堂々と公約に挙げた上で、国民の皆さんに選挙で選び直してもらってからやればいいでしょう。もっとも次の選挙でドジョウの政治生命も終わりかも知れませんが。

 

さて、オバマの演説ですが、正直、余り、パッとしませんでした。大統領選を控えているという情勢がそのスピーチのトーンにかなり影響しているように思えました。将来に関して比較的楽観的な調子を印象づけようとしていましたが、どれほどの効果があったでしょうか。政策的には、エネルギー産業に力を入れること、それからブッシュ時代からの金持ち優遇政策をやめて、金持ちへの税金率を上げるという話がありました。アメリカでは、投資による収入は賃金による収入よりも低い税率が設定されています。金持ちの収入の多くはそのような不労所得で、例えばロムニーは、収入の殆どが不労所得で税金率が一般人よりも低いと非難されて、税金開示をすることになりました。興味深いのは、その演説の場に、ウォレン バフェットの秘書の人がいたことです。投資の神様と言われる大金持ちのバフェットは、財政難に際して、金持ちの税金を上げるように、自ら主張していました。オバマは演説の中で、金持ちの例としてバフェットを上げ、バフェットのような大金持ちがその秘書よりも低い税率なのはおかしいと述べ、金持ち優遇税制の改革を訴えました。同時にリーマンショックを招いた金融機関の無責任さを非難し、公正な金融取引のためのレギュレーションを強化することを述べました。共和党が主張してきている「小さな政府」を意識してか、政府の機能は必要で十分な規模だけに留めると述べました。この辺は選挙用でしょう。共和党の主張がオバマの主張と大きく変わらないのなら、国民は現状維持に投票するでしょうから、オバマには有利です。あと、もう一人注目を浴びていたのは、つい先日、議員を辞めることを発表したアリゾナのガブリエラ ギフォーズ議員でした。昨年、アリゾナのモールで頭部を射たれて重篤な怪我を負い、その後、回復が見られていましたが、喋ったり歩いたりしている所を見ると、さすがに障害が残っているようで、議員としての活動は困難だと判断したようです。苦しい決断だったでしょうが、議員最後の活動として、オバマの演説に姿を現しました。

日本でも、首相の演説は、ゴールデンタイムに民放もNHKも一斉に特別枠で生放送して、その後、野党に演説内容を批判させれば良いですね。国民に広く、首相の意図(あるいはペテン)を知ってもらうことは、日本の「民主化」に役立つでしょう。ネットでは、ドジョウの演説を「巧言令色少なし仁」と多数が評価しています。天木直人さんは、「きのう(1月24日)の野田首相の施政方針演説はひどかった。税と社会保障の一体改革ばかりを語る施政方針演説など聞いたことがない。しかも一体改革と言いながら消費税増税のことばかりだ。」と述べています。首相が生で一時間しゃべるのを聞けば、シャーロックホームズでなくても、どれほど、政府、政権が、ウソをつき、都合の悪い事をゴマかし、国民をバカにしているのか、よくわかるというものです。

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ヒトES細胞の臨床応用成功?

2012-01-24 | Weblog

 

米バイオ企業のアドバンスド・セル・テクノロジー社は23日、あらゆる細胞に変化できるES細胞(胚性幹細胞)から作った網膜細胞を、ものがほとんど見えない患者2人に移植して視力を回復させることに成功したと発表した。

 英医学誌ランセットに掲載された。ES細胞を使った治療で効果が論文として報告されたのは初めて。

 同社は2010年11月から、ともに網膜に原因があって視力が低下した加齢黄斑変性症の70歳代女性と、スターガート病の50歳代女性に臨床試験を実施。ES細胞から作った網膜色素上皮細胞5万個を、片側の目に移植した。

 その結果、70歳代女性はそれまで手の動きしか識別できなかったが、移植の1週間後には指の本数を数えられるようになった。50歳代女性も識別できる文字の数が増えたという。手術から4か月が経過した時点でも、移植した細胞の異常増殖など、安全上の問題は見られないという。同社は、さらに多くの患者で安全性と有効性を確認する。

というニュース。

疑り深くてナンですが、本当でしょうか。ついこの間のNatureでこの会社のことがカバーされていて、興味深く読んだところだったからです("Never say die" Nature 2012 481m 130 - 3)。

この会社、確か、マウスのクローニングをやった若松さんが一時、在職していたこともある当時はかなり先端のバイオテクでした。このNatureの記事によると、過去の仕事は華やかです。98年にウシのクローン、2001年にはヒトのクローン(しかし細胞分裂は数回しかせず)、2006年は数細胞ステージのヒト胎児の一個の細胞からクローン化など、クローン技術に関しては、かなりのハイインパクト論文を出してきています。最後の論文は私も覚えていますが、同時期にiPSの論文が発表されて、ヒトES細胞に対する人々の興味がiPSへと急激に移っていきました。クローン技術に関しての華やかな業績の一方で、ヒトクローン化技術やES細胞に対する風当たりが強くなってきたこと、応用技術開発の困難から、この会社は、過去10年間、ずっと資金繰りに苦しんできています。2005年には、株式上場で資金を集めようとしましたが、上場資金がなく、ユタの人形販売のパッとしない上場企業と合併することで、株式市場から資金を集めたりもしています。そんな中で、ACTよりも大手のライバル会社、GeronがES細胞ベースの治療法の開発の中断を昨年11月に決定し、事実上、ヒトES細胞を使った治療開発を行っているのはこの会社だけになったという事情があります。

つまり、何が何でもこの臨床試験を成功させなければ、会社は潰れる、という状況に会社はあるのです。小さな会社や私の研究室のようなところはどこでも同じでしょう。自転車操業ですから回転が止まった瞬間に全てが終わりです。小さな会社や研究室ではリスクヘッジするだけの余裕があるところは稀です。

この臨床試験の終了は13年の予定です。仮に成功したところで、無事、商品化できて、利益が上げられるかどうかわかりません。会社の命運はまだまだ、わかりません。しかし、それまでの臨床試験のコストや会社の運営費、などなど、金はどんどんかかります。その金をどこから集めるのか、投資者から集めるしかありません。そして、ポジティブなデータを一流紙に発表することが、投資者の興味を集めるのには極めて有効であるのは論をまたないでしょう。会社としては、何が何でもポジティブデータを出したいという強い願望があります。

 

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姑息な政府の情報隠蔽工作

2012-01-24 | Weblog

国民をバカにした政府の情報隠蔽工作が次々と明らかにされてきています。地震後の原発事故直後、原子力委員会の想定した「福島第一原子力発電所の不測事態シナリオの素描」という文書が、「ものすごい内容だったので、文書はなかったことにした」ことが明らかになりました。アル ゴアの「不都合な真実」という映画がありましたが、日本政府や政権も、彼らにとって都合の悪い事実、文書は平気でウソをつき、隠し、ゴマカシて、国民を危険に晒すのを厭わないのです。戦時中の関東軍や大本営と全く同じ体質です。しかも、昨日のニュースだと、原子力事故後の安全対策を議論するための会議、政府の「原子力災害対策本部」での議事録そのものが(おそらく意図的に)作成されていなかったことが、情報公開請求に伴ってわかったそうです。言うべき言葉がありません。会議はやったという形だけやったらそれでおしまいで、その会議から何らの有益な結果を得て原子力災害の対策に役立てようという意図が全く感じられません。ただのアホウならまだしも、この連中は確信犯ですからタチが悪いです。自分たちだけ良ければ、国民などどうでもよい、という態度が丸見えです。小沢裁判でもそうでした。でっち上げがわからないように検審会の議事録はなし、度重なる情報公開請求にも、検審審査員の年齢でさえ屁理屈をこね回して開示せず、検審をウラから操っている最高裁事務局の担当には電話さえ繋がらないというふざけた話でした。検察の取り調べでも都合の悪い情報は廃棄してストーリーに合う話だけを調書に載せていました。政府のやることは本当に悪質です。また、ハラが立ってきました。

 

さて、アメリカ大統領予備選、サウスカロライナ戦、ギングリッチが大きく巻き返し、ロムニーに10%以上の差をつけてのトップでした。思うに、南部の保守的キリスト教信者が多いであろう土地柄が北部のモルモンのロムニーを嫌ったことに加え、撤退したペリーがエンドースしたことで、その票が流れたこと、そしてギングリッチがロムニーのネガティブキャンペーンを大々的に張ったことなど複数の要因がこの勝利に影響したのでしょう。1980年以来、共和党はサウスカロライナの予備選を制した人が指名を受けてきています。ロムニーは失速ぎみですし、ポールやサントーラムという線はおそらくないでしょうから、予備選前に大きく後退したはずのギングリッチが再び返り咲いて、指名を受けることになるのかも知れません。いずれにせよ、3月のスーパーチューズデーに大勢が決定することになると思います。

ポールは4位に終わりましたが、選挙後のスピーチでは、「4年前に比べると、数倍のサポートがあり、リバタリアン運動の勢いはますます大きくなっている、(指名獲得を決めるための代議士票のうち)2%が決まったに過ぎない」と選挙運動継続への強い意志を示しました。今回も選挙後のスピーチをYoutubeで見てみましたが、ビデオ視聴者による残りの3候補、ギングリッチ、ロムニー、サントーラムへの評価とポールの評価の差には驚くばかりです。にも関わらず、実際の投票結果に、それが反映されているようには見えません。

アイオワは党員による選挙(コーカス)でしたが、ニューハンプシャーとサウスカロライナは一般選挙(プライマリー)でした。一般選挙であれば、あまり政治に関心のない人も何となく投票所へ言って名前を聞いたことのある人に投票するでしょうから、テレビコマーシャル枠を先に買い占めた人が有利でしょう。一方、党員選挙では、すくなくとも党と党員の利益を増加させてくれる可能性の高い人に投票するでしょうから、候補者の中身はもう少し吟味されるだろうと思います。残っているトップ4の内、中身がもっともないのはロムニーだろうと私は思います。州知事をやった経験はあるものの国政参加経験はなし。本人自身が、アメリカの経済低迷の根本原因となってる株式投資などのバクチで富を築いきているわけですから、アメリカ経済を何とかできる筈もありません。ギングリッチは良いか悪いかは別にして、少なくとも経験というものはあります。

しかし、ポール以外の3人に、アメリカの今の病を根本的に治癒させるような治療はできるとは思えません。ポールは、彼の主張通りのことを本当にやるならば、成功率30%の大手術を試みるでしょう。成功しても、かなりの間はつらいリハビリが必要ですし、失敗すれば、国としての機能を失い、ソ連のように国家分裂、消失となるかも知れません。人は多かれ少なかれ、変化を嫌い安定を好みますから、成功率が低いとわかっている手術に同意するには、相当のモチベーションが必要だと思います。そういう理由で、ポールが指名を受ける可能性は低いだろうと考えざるを得ません。残っている候補の顔を眺めると、オバマに勝てる可能性のある候補はポールしかいないだろうと私は思うのですが、彼では「過激」過ぎて共和党も危険に晒されると思う人々が、パッとしない残りの候補者に票を分散させてしまうのではないでしょうか。

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サウスカロライナ戦など

2012-01-20 | Weblog

ジェームス テイラーの昔の歌にCarolina in my mindというヒット曲がありましたが、カロライナ、しかもサウスカロライナと聞けば、他に余り何も連想できません。フロリダ(訂正、ジョージアの間違いですね)の北、アパラチア山脈の東、ちょっとしたビーチリゾートがある「南部」の州、私のイメージでは、それだけです。一方、隣りの州、ノースカロライナは、研究がらみでは、一流大学のDuke大、University of North Carolina、そしてNIHの出店であるNIEHS(国立環境衛生科学研究所)からなる「Research Triangle」というパワーハウスがあります。サウスカロライナにはサウスカロライナ大学がありますが、パッとした研究をしているという話を聞いたことはありません。そのサウスカロライナでの、アメリカ大統領予備選が近づいてきました。サウスカロライナの人の気質を私はよく知りません。南部の州だから、きっと人種主義者のキリスト教系白人が保守ガチガチのサントーラムを支持するのかな、などと想像するぐらいです。昔の体質のギングリッチもひょっとしたら票を伸ばすかも知れません。ペリーも南部のよしみで票は増えるかも知れません。(追記、ペリーはどうもdrop outした様で、ギングリッチの支持に回るという話を、さっき知りました。)ただ、サウスカロライナは結構、黒人人口も多いはずですし、彼らがどういう投票行動をとるのか私はわからないので、今回の選挙はよく読めません。通常、黒人、ヒスパニックと都市部の大学関係者は、民主党を支持することが多いと思うので、共和党候補はどうでもよいと思って黒人は投票には余り参加しないかも知れません。北部出身のモルモン、ロムニーは本来、不利なはずです。しかしどこでも、資金力にモノを言わせて、TVコマーシャルで名前を連呼する人に票が入りますから、サウスカロライナでもそこそこ頑張ってトップを取るかも知れません。ロムニーも冴えないですが、他の候補も誰も弱点を抱えていますので、結局、最終的にはロムニーが指名を取って、本選でオバマが勝つ、という筋書きかなあ、と想像しています。

前回の、ニューハンプシャーの選挙後のスピーチをYoutubeで聞いていて、ちょっと気づいたことがありました。同じPBS NEWSHOURのビデオでありながら、ロン ポールとロムニーのビデオを比較すると、視聴数が今日の時点でポールの方が約6倍多いこと、そのビデオの好き嫌いの票を見ると、ポールのビデオは97%以上が「好き」に入れているのに対し、ロムニーは、71%が「嫌い」に入れています。ロムニーの演説はオバマの批判と揚げ足取りに終始し、具体的にどのようにアメリカの社会をよくしたいのかという点に関して、非常に空虚です。これは、前回の選挙の時のサラ ペイリンの演説を思い出させます。自分が空虚なので他人の攻撃に一層、熱が入るのでしょう。空きカンもそういうタイプでした。他人の攻撃だけはうまいが自分では何もできませんでした。ロムニーは、自分がずっとビジネス セクターにいたので経済のことを良くわかっている、というのをウリにしていますが、この人がやってきたことは、いわば、ウォールストリートタイプの「価値を生み出さない」ビジネスです。下向きの会社に介入して、人員整理をして会社の利益を上げるというようなビジネスです。アメリカで一般人が仕事がなくて喰って行けない、と言っているのに、社員のクビを切って会社のコストを減らすような仕事をしてきた人間が、経済とビジネスを知っているからアメリカを立ち直らせれると本気で思っているのなら、相当の勘違い君でしょう。アメリカ経済の斜陽の大きな原因は、価値を作り出して人々の生活に貢献するような実質的な産業をないがしろにし、ウォールストリートなどの人の金を右から左に動かす間に一部をかすめ取る、いわば、他人の金でバクチをして所場代を稼ぐような、詐欺ビジネスが跋扈したからではないのでしょうか。ロムニーのビジネスでの成功というのも、早い話が金を右から左に動かして、右の方を多くした、という言っているようなものです。アメリカの主幹産業というのは、すでにサービス業です。医療、金融、などなど、つまり、誰かの金がほかの人にアメリカ国内で移動するだけの産業です。金子直吉の言葉を借りれば、「芸者と花札」をしているようなものです。これだけ多くの借金を背負っているアメリカの経済を好転させるには、価値を創造するビジネス、そしてそれを外国に売るというビジネスでなければならず、国内のサービス業で金を動かしているだけではどうしようもありません。ロムニーが経済を知っているとエラそうに言う度に、前の日本の民主党代表戦で経済音痴で何をやっていいのかわからない空き缶が「雇用、雇用!」と空虚に叫んでいたのを思い出します。ロムニーのビジネス経験というのは、私から言わせれば、国家レベルの経済には何の意味ももたない、むしろ国民を喰わせて行くという目的からは、逆効果のものだと思います。

一方、ポールの演説では、オバマを批判するのでではなく、現在の経済危機を招いたアメリカの過ち、貨幣システムの欠陥を批判し、具体的な提言を行っています。ポールはアメリカの国民の個人の自由と責任の重要さを訴え、アメリカ憲法に基づく、社会、政治システムの改善を目指すことを訴えています。ポールはかなり過激な債務縮小のための政府機能のカットを主張していますので、政策に対する反対も多いでしょうが、ロムニーがオバマを批判し、大統領を変えて世の中を良くしないといけない、と上辺のことしか言わないのと比べたら遥かにわかりやすいです。ロムニーの話にはそこから先がないのです。「アメリカの魂を取り戻す」だの「経済回復と職を増やす」だの、「歴史をつくる」だの、非常に上滑りで具体的な内容に乏しいスローガンを連呼するだけです。外交に関しても、モルモンでフランスで布教活動をした位でしょうから、外交経験を問われて「アラスカはロシアに近い」と答えたサラ ペイリンと大して変らないのではないでしょうか。因みにサラ ペイリンはギングリッチを支持しているようです。

PBS Newshour ロムニースピーチ http://www.youtube.com/watch?v=zPVxsHJwfcg

PBS Newshour  ポールスピーチ http://www.youtube.com/watch?v=Da6irSCvnZY

 

さて、日本の関西電力、原発再稼働に向けて、どう考えてもヤラセのストレステストを形だけやって、その結果の公聴会が先日開かれました。一般人を別室に排除して、密室で「審査合格」の判子を貰おうとした姑息さに、人々が反発し、公聴会が荒れたというニュース。政府(またもや、口先男、エダマメ)とマスコミはあたかも抗議者が悪いようなもの言い。政府や原子力保安院のやることがウソとゴマカシで、手前の利益のことしか考えていないから、力のない一般の人々が身を張って抗議しているのではないのでしょうか。地震は頻発していて、しかも世界で起こっている自然災害の規模はこの30年ほど大きくなり続けているようです。その間だけに限っても、チェルノブイリ、スリーマイル、フクシマ、と大きな原発事故だけでもこれだけ起こっています。まして、隠蔽された放射線漏れ事故など数百あるいは数千件の単位で起こっているでしょう。日本の原発事故はまた必ず起こると思います。今度は関西かも知れません。琵琶湖のすぐ裏に密集する日本海沿いの原発で事故が起これば、関西全滅でしょう。福島原発で東電がやってきたこと、事故後に、政府や東電がしてきたことを見れば、誰が、連中のいうことを信じるでしょうか。政府や電力会社の連中に任せておいては、自分自身や家族を守ることができない、その危機感が力のない一般の人々を駆り立ているのだと思います。

追加。東電の隠蔽体質を鋭く風刺した秀作 「絶対安全」が紹介されていました。ます。

 

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首相を批判する議員

2012-01-17 | Weblog

ハラが立つので日本の政治や政府のニュースは見てすぐ忘れるようにしていますが、それでも、ちょっとしたことから、怒りの連鎖反応が始まってしまいます。 「開いた口がふさがらない」岡田副総理の内閣改造。指名する方もする方なら受ける方も受ける方です。史上最低の災害内閣だった空き缶内閣時の党幹事長で、無能で判断能力がないことが疑う余地なく証明されたというのに、まったく、どのツラ下げてのこのこ出てこれるのでしょうか。アホらしくて鼻水がでます。驚くべきか、当然というべきか、内閣改造後の方が前に比べて支持率が低くなったという話。何のための改造か、国民はどうでもよいと思っているのが丸出しです。

そして、ドジョウは16日、民主党大会で、野党の早期解散要求に対して、「やるべきこと(消費税増税)はやって、やり抜いて民意を問うことをはっきり宣言したい」と、また開いた口がふさがらない挨拶をしたという話。こんな馬鹿丸出しの記事を平気で載せる読売も朝日と一緒に沈んでもらいたい。二年前に民意が強く意思表示して反対した増税を、やり抜く、という厚顔ぶりにもあきれますが、「やり抜いてから民意を問う」とかいう人をナメまくった態度には反吐がでます。手順が逆でしょう。二年前に自分自身の口で言っていたことと 180度違うことを平気で言いまくるこのドジョウは、二重人格なのか、洗脳されているのか、あるいは誰かに銃を頭に突きつけられているのでしょうか。多分3つ目でしょう。

ところで、週末の「知られざる真実」で紹介されていた以前の民主党議員の街頭演説のビデオ、爆笑しました。このドジョウに顔も名前もよく似た民主党議員は、「マニフェストに書いてあることを全力で実現し、書いてないことはやらない」と立派な正論を述べていますから、マニフェストに書いていない消費税増税を全力で実現しようとし、マニフェストに書いてある無駄な公共事業の見直しや天下りの根絶は全くしようとしないドジョウとは別人に違いありません。「この議員さんって誰か知らないけれど、今の首相を恐れずに批判している姿勢に感服しました」というコメントは秀逸です。このビデオも政府の工作員に削除されてしまうかも知れないので、消される前に是非、ご覧ください。

 

<-- 今の首相を恐れずに批判する民主党議員 -->

 

マスコミの悪質さにも腹が立ちます。政府広報と経団連の広告費で飼われている体制の犬(古いっ)のくせに、正義ヅラして、エラそうに上から目線で、クソのようなプロパガンダを垂れ流すんじゃないよ!とつい毒づいてしまいます。

先週末は毎日新聞が捏造記事。陸山会事件での石川氏の証言を検察が捏造した事件に関し、調書を捏造した田代検事を刑事告発したことに関する記事で、毎日はあたかもその証言が実際にあったかのような記事を出したそうです。捏造調書の記事が捏造なのだから話になりません。詳しくは、告発者自身のブログ、「八木啓代のひとりごと」をどうぞ。また、朝日はいつもの調子で「あいた口がふさがらない」クソ社説で「小沢氏は政治家失格は明らかだ」と、誰も聞いてもいない手前勝手な意見をカイチン。読んでみると、政治家失格である理由は事務仕事を秘書に任せたからだそうです。そのうち、奥さんの作ったゴハンを食べても政治家失格になるのは間違いないでしょう。このアホ社説を中学入試にでも出して、子供に朝日のアホ度を判定してもらうというのはどうでしょうか。いや、もうこの新聞社も先が長くないようですから、入試にとりあげられるころには、無くなっているでしょう。

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デインジャラスな老人

2012-01-13 | Weblog

いろいろ〆切のある雑用が込み合っているのに体調を崩してしまい、気持ちはあせるのに体がついて行かないこのごろです。体調が回復しつつあるので、〆切の仕事をやろうとするのですが、いざコンピュータに向かうと、ついニュースとか選挙速報とかブログとかに逃避してしまい、やっぱり一歩も進みません。

今週は、小沢氏の裁判で小沢氏自らの証言。この裁判が今だに続いているというバカさ加減が腹立たしいです。天木直人さんの言う通り、これは、いいがかりと捏造証拠に基づいた検察審査会による起訴であり、しかも一市民T氏の追求のように、検察審査会は事実上は最高裁の下部組織であり、その審査員の選択に不正があった可能性が極めて高いでっちあげの魔女裁判です。そんなバカげた裁判に税金が使われ、一方で、全く無能でドアホどもの民主党執行部がどうどうとバカをやり続けている現実があります。

植草氏によると、野党時代に、ドジョウは、国会でのアホウ内閣不信任案に賛成して、「年間4500の法人に25000人の国家公務員が天下りをし、12兆円以上の税金が使われている。税金にシロアリが群がっている構図があり、そのシロアリを退治して働きアリの政治を実現しなければならない」と発言したそうです。そのドジョウ内閣は、ムダな公共事業として一旦は中止された八ツ場ダム工事の再開を決め、財務省の口車に乗って、社会保障のためとは口先だけの消費税増税に邁進しようとしています。この変わり身の早さは何なのか。われわれはドジョウがその場しのぎの二枚舌を使うのを何度か目の当たりにしましたが、もうこのような卑怯者はウンザリです。空きカンといいドジョウといい、野党生活が長いためか、その場しのぎと他人への攻撃だけはうまくても、自分自身が責任のある立場になると何もできないのです。無能ならやめればいいのに、取り繕って、問題を隠してやり過ごそうとするから逆にますます状況を悪化させてしまうのです。アメリカと日本国内にドジョウ内閣が二枚舌を使ったTPP交渉参加で、小沢氏は「ああいうことをすると、信用を失う」と言いました。福島原発では、ウソ丸出しの収束宣言で、「誰も収束など信じていない」と、本来、原発容認派の福島県知事からも強い抗議がでました。加えて、ドジョウのやろうとしている消費税増税は、マニフェストで「しない」と約束したことです。また、内閣改造をやれば野党も消費税に乗ってきてくれると思うその浅はかさも見苦しいです。こういう自分ことしか考えていない連中が国を運営しているのですから悲しいです。

 

さて、話かわって、アメリカ大統領選。ニューハンプシャーのプライマリーは、ロムニー39%、ポール23%という結果でした。この勝利を受けて、ロムニーは「歴史がつくられた」と勝利スピーチをしました。しかし、私は逆にこの結果をみて、アメリカ経済にとんでもないことが今後おこらない限り、ロムニーが大統領になる線は消え、オバマの再選が決まったと感じました。選挙前調査では、ロムニーは40%以上を取ってぶっちぎりで勝利し、ポールは20%に届かないだろう、という予想でした。結果はロムニーは40%に届かず、逆にポールは予想より3%以上、上乗せしてきたということです。このことがロムニーの支持がじりじり落ちて行っていることを示唆しているように感じたのが一点。そして、二点目は「歴史がつくられた」ほどの低投票率です。これは即ち、ニューハンプシャーの有権者は共和党の候補に興味がない、ということを示しているのではないでしょうか。逆に言えば、ニューハンプシャーは共和党候補者の誰にも期待できないのでオバマでよいと思っているということなのかも知れません。現状を考えると、アメリカ経済がこれから上向きか現状維持のまま本戦に突入すれば、ロムニーではオバマに勝てる可能性はまずありません。

ポールは共和党内では異端者なので最終的に大統領候補に指名されることはないだろうとは思いますが、彼は色々な面で興味深いです。まず最高齢者の候補でありながら、支持層はもっとも若い人々、ネットユーザーに多いということ、そして、彼の主張する、個人の自由の尊重、政府の教育や療制度への干渉の否定、これらはある意味、昔のヒッピーの思想にも近いワケで、体制側から見れば、国家としての社会の安定を否定する「過激」思想とも言えます。その他の一般共和党党員の考えとは隔たりがあるでしょう。

選挙後のスピーチで、ポールは若者のように語っています(下のビデオの3分ぐらいから)。「われわれの運動はだんだんと大きくなっている。この勢いは止まらない。... われわれはメディアから随分無視されてきた。しかし、最近、ついに認知されてきて、つい笑ってしまうことがある。それは、メディアや対抗馬の人々が、私を『危険』と形容することだ。しかし、彼らは一つ、真実を語っている。われわれは、事実、『既存体制』にとって、危険なのだ。そして、われわれはFRB経済システムにとっても危険であり続ける」と述べて喝采を浴びていました。FRBシステム、日本で言えば、日銀が銀行券の発行を握っており、そして日銀の銀行券しか「金」として使用できないというシステム、は、いわば、国民を一括して「金」の奴隷としてコントロールするシステムです。もし、FRBや日銀の銀行券以外に地域コミュニティー自身が独自に、物品交換のための地域の金、例えば、テキサスドルとか関西円とかを発行する権利を持てば、地域の力はもっと大きくなり、税金も地方が独自に管理でき、連邦政府に地方がコントロールされて国民全員が中央政府の奴隷となっている現状が変わる可能性があります。もちろん、地方や一般国民から吸い上げた金を自由に使いたい既存体制が許すわけがありません。ポールの主張は極端には地方分権の促進、連邦政府に縛られている個人の自由の回復ということでしょう。

主に税金ベースの研究費で生きている研究者としては、彼の政策には必ずしも賛成できませんけど、彼の政治に対する姿勢はひたむきで正直でよいと思います。76歳になって、「俺たちはデインジャラスだぜ!」とか言って若い支持者を湧かせるのも好感が持てます。愉快な老人です。頑張ってもらいたいと思います。

スピーチが盛り上がっていて楽しいので貼付けておきます。

 

 

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米外交姿勢と共和党候補

2012-01-10 | Weblog

先週末、アルゼンチン政府は、アルゼンチンのフェルナンデス大統領は、手術の結果、「甲状腺がんではなかった」という発表をしたそうです。

多分、ウソではないと思いますが、どうでしょうか。

アメリカは、以前から世界各地で裏に表に戦争や内政干渉を仕掛けてきて、その犠牲になってきた世界の国々から並ならぬ怒りと憎しみを受けてきました。レーガン時代には、有名なイラン-コントラ事件がありました。当時、敵国としていたイランにこっそり武器を売り、その売却利益で、中米ニカラグアの反共ゲリラ組織、コントラを支援したという事件です。黒幕は当時CIAの父ブッシュのようですが、このように他の国々に対する傲慢極まりない態度が、とりわけその犠牲になってきた国々、南米や中東の人々の強い反感を買ってきたということに一般アメリカ人は鈍感です。

フェルナンデス大統領が甲状腺がんになったというニュースに対して、以前、ベネズエラのチャベス大統領が、「南米の指導者が続けてがんになっている、これはアメリカの陰謀だ」とアメリカを非難しました。チャベス大統領の頭の中で、南米の大統領ががんになることとアメリカCIAが直結するほどのことをアメリカが中南米に対して行ってきたということです。「フェルナンデス大統領は、がんでなかった」というニュースは多少は、この陰謀論に水を差すものでしょうが、一国の大統領が、陰謀論を堂々と口にするほどの疑念と反感は中南米の国々から簡単には消え去りはしないでしょう。イランのアフマディネジャード大統領は 911テロは、イラク侵攻の口実づくりのためのアメリカの自作自演の陰謀だと何度も公然と非難しています。

冷戦後のイランや他の国々のアメリカに対する態度は一貫していると思います。彼らはアメリカに対して、独立国としての自分たちの国の立場を尊重し平等な関係を目指して欲しい、と言ってきました。自分に都合のよいドグマを他の国に押し付けるな、自分の利益のために他の国に戦争を仕掛けたり、内政干渉をするな、と言っているのです。アメリカが、お得意の「民主主義」をヒラヒラさせて、いつわりの人道主義を押し付けてくるくせに、その実は、すべては己の利益のためであり、そのためには他の国々の一般市民の命や権利など何とも思っていない、そういう汚さにウンザリしているだけのことです。本質的には、彼らは単に、「民主主義」の衣の下に隠れているアメリカ覇権主義、傲慢に他国を侵略してくるアメリカの攻撃から彼ら自身を守りたいと願っているだけなのだと思います。

この辺のことを理解していて、ある程度正直に言っている次期大統領共和党候補者は、多分、ロン ポールだけではないかと思います。一方、他の候補者は、知ってか知らずか、イスラム世界はテロリストでアメリカに害を為そうとする邪悪な連中だ、というスタンスで語っているようです。アメリカ政府は、中東の邪悪なテロリストは殲滅しないとアメリカが危険だ、というフィクションを一般国民に刷り込んできましたし、多くのアメリカ国民は自分たちは被害者だと思い込まされています。これは、多分、日米英イスラエル以外の国々の人々の認識とはほとんど逆でしょう。共和党候補者も、これらナイーブなアメリカ国民神経を逆撫でしてはマズいと思ってはいるので、外交に関しては、アメリカは、邪悪なテロリストや、あるいは不公平な貿易を行う中国の被害者である、という立場で話をするのでしょう。事実は、アメリカがデタラメをやるので、他の国々が自衛のためにやむを得ず、反米姿勢をとらざるを得ないのが実情でしょう。ニューハンプシャーでの討論では、外交に関しては、サントーラムとロムニーが露骨にこういうスタンスで話をするので鼻白んでしまいました。一方、リバタリアンのポールは以前から、アメリカが他国に戦争を仕掛けたり内政干渉すべきでない、という立場をとっています。

これまでの歴史を見ると、ヨーロッパ諸国は、己の欲のために、お互いを殺し合い、アフリカやアメリカ大陸に侵攻して、土地のものを奪い、人々を殺してきました。藤永茂さんが「ヨーロッパの心」と呼ぶ、驚くほど傲慢で残忍な邪悪さがヨーロッパ、そしてアメリカにあります。邪悪な人間は他の人々も自分同様に邪悪だと思っているので、お互いを尊重し信頼することができないのです。アメリカがすべきことは、軍事力を本当の防衛だけに使うことです。アメリカは基本的に攻撃されたことのない国です。にもかかわらず世界最大の軍事力を持っているのは、それを防衛のためではなく、侵略に使うためです。まずは、それをやめないといつまで経ってもテロは無くならないし、立場の弱い国々はますます核武装に励むことになると思います。

先日、財政危機を受けて、オバマが軍事規模を縮小し、軍事戦略はアジアにより重点を置くと言いました。アジアの軍事拠点とは、とりもなおさず、日本のことです。思うに、これは沖縄の基地なら、「基地利権」でアメリカ軍に出て行って欲しくない日本官僚どもが、いくらでも金を出すので、グアム移転が難航しているアメリカにとっては、「安く」海外軍事拠点を維持できるからでしょう。これで、当分、沖縄からの米軍撤退はなくなったのではないか、と思います。

一方、中東オイルに世界経済が依存している現代世界では(日本も近いシベリア油田とかではなく、ワザワザ中東からオイルを輸入しています)、中東を押さえるものは世界を制するわけですから、アメリカが中東からすんなり立ち去るわけがありません。独自に、またはイスラエルを通じて常にアラブ諸国にプレッシャーをかけ続けることになる筈です。

しかし、もしもポールが万が一、大統領になれば、世界は変わるかも知れません。アメリカ国内は緊縮財政で大変なことになるでしょうが、世界はより平穏になるかも知れません。ニューハンプシャーでのロムニーの優位は揺るがないようですが、支持は徐々に下降しつつあるようで、逆にポールの支持がわずかに上がりぎみです。10日の投票結果を見守りたいと思います。

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大統領選

2012-01-06 | Weblog

新年早々、グラントのリジェクトのメールが来ました。これで昨年書いたグラントは3本とも全敗に終わりました。このグラントは結構イケそうな予感がしていたので、ちょっとがっかりです。ただ、書くのに時間はかなり費やしたもの、アイデア段階で応募したので、物質的、金銭的なダメージはあまりありません。いろいろ勉強させてもらう機会になったと前向きに捉えたいと思います。当たっていたら、一緒にやってくれている若い子たちの給料ももうちょっと払って上げられるのになあと、取らぬ皮でいろいろ妄想していたのですけど、がっかりでした。めげずに、前向きにやるしかないですね。下手な鉄砲もなんとやらです。研究は、論文とグラントが飯の種、それにつけても金の欲しさよ。

 

ところで、アイオワでの共和党党員選挙、ロン ポール、ロムニー、サントーラムの順を予想したのですが、外れました。アイオワ人を過大評価したのかも知れません。結局、ロムニーとサントーラムが8票差という僅差で25%ずつ、ポールが22%でした。サントーラムの大躍進は特筆に価します。アイオワでのキャンペーンに力を入れていたという話は聞いていましたが、あわや一着になるところでした。アイオワでの結果は必ずしも最終結果に直結するものではないですが、保守的なアイオワでロムニーが僅差で勝ったということをどう解釈するかです。莫大な資金力で大々的なキャンペーンを張ったのにサントーラムとほぼ横並びであったということが、ロムニーがそれほどアイオワ人に好かれていないという解釈も成り立つでしょうし、キリスト教右派が主体の保守的なアイオワでモルモンのロムニーが首位をとったというを、それだけロムニーに期待する人が多いと解釈することもできるでしょう。私の想像では、アイオワでの選挙は党員による投票で、彼らはロムニーを選ぶのに抵抗があったのだろうと思います。ロムニーを嫌った票がサントーラムに流れて、サントーラムの大躍進に繋がったのではないでしょうか。党員選挙でない州、例えば、次のニューハンプシャーなどでは、一般人による投票なので、金をかけてTVなどのコマーシャル枠を多く取った候補に有利だと思います。そういう理由もあって、次のニューハンプシャーではロムニーの優位は動かないと思います。今後、他の候補者がどれだけ差を詰められるか、それから、間もなくdrop outするであろうペリーやギングリッチが残る誰をサポートするかで随分、勝負の帰趨はかわるでしょう。とくにギングリッチとロムニーはどう見ても感情的にお互いを嫌っている様子なので、ギングリッチがロムニー以外の候補を支持することになると興味深いことになりそうです。ギングリッチがロン ポールを支援することは多分ないと思うので、ギングリッチがドロップアウトした後、サントーラムがまだ残っていれば、サントーラムを支援して、最終的にサントーラムが残るという劇的な結果になるかも知れません。一方、ロン ポールはネットでの人気は他の候補者を凌駕しているようです。全米でのTwitterでの共和党候補者の名前の出てくる頻度を調べたら、ポールは二位に三倍ぐらいの差をつけてトップだったという話を聞きました。このネットでの人気と一般調査での人気に差があるのは、大多数の人々はまだまだ、情報をマスコミに頼っていて、沢山TVに出ていてコマーシャルで名前が連呼される人に投票する、という状況を示しているのかも知れません。これは日本でも同じ状況だと思います。テレビに出ている人や知名度の高い人は選挙で有利です。しかも、日本の場合はマスコミの殆どが政府広報の広告収入や大企業の広告収入によって縛られているので、政府(トドのつまりは財務省官僚)と経団連の意向を反映した記事しか載りません。また、TVと新聞のオーナーが同じだったりするので、独立したマスメディアというものは基本的に存在しません。とりわけ、財務省からの日銀への天下り人事を妨害した小沢氏に対する財務省の恨みは強いようで、官僚が仕掛ける国家権力とマスメディアを使った小沢氏の人格破壊攻撃のすさまじさと、ネットでの小沢氏に対する評価とは天と地ほどの差があります。

というわけで、懲りずに当たらない選挙予想、ニューハンプシャーのプライマリーでは、マッケインの支持表明もあって、ロムニーが40%強をとり、ポールがかなりひきはなされての二位、サントーラムはアイオワでの結果で多少支持を上げるかも知れませんが、多分、もっとはなされての3位という感じになるのではないでしょうか。ドロップアウトしたバックマンの票がロムニー以外に流れるでしょうが、その影響は少なそうです。しかし、ロムニー、ニューハンプシャーは楽勝と思ったのか、選挙までまだ5日もあるのに、早々と次の選挙地であるサウス カロライナへ向かってキャンペーンを始めるという話。こういう態度が私は嫌いです。なんだか誠実さに欠けるように思います。そういえば、ギングリッチもロムニーを噓つき呼ばわりしていました。

 

大統領選と言えば、驚きのニュース。次のセネガルの大統領選に、ユッスー ンドールが立候補するという話。二十年ほど前の青春時代、私も彼の音楽に魅了されました。CDも数枚もっていました。ンバラと呼ばれる重厚かつ繊細であでやかなダンス音楽のリズムを奏でる彼のグループ、スーパー エトワール の音楽は今も新鮮です。当時、日本でもそこそこ流行ったのではないでしょうか。ユッスー ンドールは日本のTVコマーシャルにも出ていた覚えがあります。アフリカ諸国はヨーロッパによる支配から今も完全に独立していません。セネガルもフランス植民地でした。強い民族意識と独立への思いが、ウォロフ語によって歌われるンバラという形にもなったのだと思います。そのセネガルそしてフランスの音楽界のスターであるユッスー ンドールが大統領を目指すというのは興味深いです。日本ではまずありえません。頑張ってもらいたいと思います。

セネガル ナショナルサッカーチームの応援歌としてヒットした「The Lion(Gainde)」、繊細で重厚かつ複雑なリズムセクションが渾然となって美しい、昔好きだった曲、「Sinebar」をYouTubeで拾ったので、リンクをしておきたいと思います。

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米大統領選本格スタート

2012-01-03 | Weblog

明けましておめでとうございます。

しかし、昨年の地震、原発事故、崩壊しつつある日本社会、政府がつき続けるウソ、世界的経済危機、年は越せたのは良かったとしても、回りを見渡しても何もめでたい様子はありません。

めでたさも、全然めでたくないぐらいなり、世界の春、今年も、力まず行きましょう。

 

民主党比例議員が泥舟から逃げ出して新党結成という話。残っても次の選挙での落選が決まっている比例議員です、一か八か、飛び出して消費税増税反対を旗印に賭けに出ようと思う気持ちもあったのでしょう。自民党の沈没時に似てきました。ドジョウのヤケクソ解散前に小沢新党ができれば、共闘して官軍に返り咲くチャンスもあろうという読みなのでしょう。この離党の動きはドジョウ内閣を追い込む上では歓迎ですが、しかし、「新党きずな」というネーミングは、如何がなものか。「立ち枯れ、ポン」ほどではないにせよ、これでは何を目指している党なのかわかりません。ついでに鈴木氏の「大地 真民主党」というのも意図はよくわかるのですが、ネーミングはどうかと思います。もし、真民主党が大きくなって、更に分裂したら「真真民主党」ができるのでしょうか。弁証法的に対立を超越した名前が必要なのではないかと思うのですが。

 

さて、アメリカの話、3日は、アイオワでの共和党大統領候補予備選挙で、いよいよ大統領選が本格的に始まりました。共和党候補はこれからの数ヶ月続く長い指名獲得への戦い、続いての本選挙へと続いて行きます。

アイオワは中西部の非常に保守的な州であり、アメリカを代表するような州とは言えないと思いますが、この州での勝敗はこれからの長丁場の選挙戦のトーンを決めますから、各候補とも気合いが入っています。4年前の共和党候補の予備選挙の時は、確か、マイク ハカビーがアイオワでトップだったような気がします。結局、マッケインが指名を取ることになったワケですが、このことからも、アイオワが必ずしもアメリカ全土での人々の意向を反映せず、非常に保守に偏った投票行動をすることがわかります。

しかるに、今回のアイオワの投票前調査では、マサチューセッツ前知事のミット ロムニーがかなり支持されているという話を聞きました。ロムニーはミシガン、マサチューセッツと民主党が強い州をバックグランドにしていて、しかもモルモン教徒であり、他の候補と比べても「保守度」の高い候補とは言えないと思います。私は、個人的にこの人が好きではないので、とにかく他の候補に頑張ってもらいたいと思っておりますが、アイオワでロムニーの支持が高いというのは、ちょっと不気味です。当初、本命と思われたギングリッチの支持は右肩下がりです。やはり奥さんを3回も替えて、しかも最後のは不倫がらみだった、という点が保守的な土地で嫌われているのでしょうか。この人のしゃべっているのを聞いても、余り感心しません。どちらかというと頭は悪そうです。対して、保守的な土地柄もあるのでしょうが、支持を伸ばしているのがロン ポールです。この人はテキサスの普通の家庭に育った医者上がりで、この人の言うことは大変マトモだと私は思います。今回の候補の中では多分、頭も最も良いでしょうし、当たり前のことを主張できる正直さもあります。がんばってもらいたいと思います。予想どおり、攻撃性が嫌われているのか、保守の支持をもっと集めてもよいはずのティーパーティのミッシェル バックマンの評判は悪いようです。最近、キャンペーン マネージャーがロン ポール陣営へと移ったことに対しても、散々ロン ポールの悪口を言っていましたが、この人は、こうして人の悪口を言い回るから支持が落ちているのがわからんのでしょうかね。意外なのが、ペンシルバニア出身のサントーラムです。当初、ダークホースと考えられていたサントーラムが支持を急激に伸ばし、ロムニー、ポールに続く3位に就けています。この人はよく知りませんが、喋っているのを聞いていると、ポールの次にマトモそうです。ただ、支持グループが強くなさそうなので、アイオワや保守的な州ではそこそこ行けても、多分、中盤で失速するのではないかと想像します。まだ若いので、今回を試金石として、4年後、または8年後に再挑戦すればよいのではないでしょうか。

ミット ロムニーのアイオワでの高い支持率を私はちょっと恐れています。人は外見で候補を選ぶ傾向があります。しかし、国の経済がここまで悪いと人々も真剣に候補を見るでしょう。ロムニーは外見では他の候補者よりも多少、見栄えがするかもしれませんが、しゃべっているのを聞けば、評価を下げる人も増えるでしょう。思うに、中盤ぐらいからロムニーは徐々に支持を落として行くのではないか、と予想します。しかし、アイオワの次はニューハンプシャーで、田舎とはいえ東部のニューイングランドという土地柄も入っていますし、ニューハンプシャーではロムニーがトップをとるのは間違いないでしょうから、ヘタをしてロムニーがアイオワ、ニューハンプシャーと連続して大きく支持を得ると、最後まで調子に乗って行ってしまうかも知れません。一方、ポールは、序盤をそこそこに戦えば、支持は徐々に上がって行く可能性が強いのではと思います。つい最近、アメリカンアイドルの初代チャンピオンのケリー クラークソンが同じテキサス出身のよしみ故か、ポール支持を表明し、うけて、レコードの売り上げが急増したというニュースがありました。私、アメリカンアイドルはそこそこフォローしていますが、彼女は歴代の優勝者の中でも、一番歌がうまいのではないかと思います。彼女は唯一その後プロとして成功しているアメリカンアイドル出身歌手だと思うのですが、そのような歌手が、社会の一員として、特定の政治家の支持を表明するというのがアメリカ流でよいです。あと、アイオワ議員、スティーブ キングがエンドースメントを保留しており、彼の支持候補者の表明で票の流れが影響される可能性があると思われます。アイオワ コーカス、私の予想は、一着ロン ポール、二着ロムニー、三着サントーラム、四、五着がペリーとギングリッチ、六着、バックマンです。いずれにしてもトップ3は接戦になるでしょう。

ムリな話でしょうが、日本でも、若く影響力のある人々が、ためらわずに社会的、政治的メッセージを発するようになれば、日本の官僚制封建制度の改革が随分進むのではないかと思うのですけど。

今年もよろしくお願いします。

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