百醜千拙草

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内部崩壊するイスラエル

2024-11-05 | Weblog
今日は米大統領選挙投票日、4年に一度のお祭りの日ですが、これほどシラけた気分で迎える大統領選は、久しぶりです。ビル クリントンがモニカ ルウィンスキーとのセックス スキャンダルで人気を落とし、アル ゴアが子ブッシュに負けたのが2000年。今回、ビル クリントンがミシガンでの応援演説に出てきて、中東政策を語っているのを聞いて、民主党が勝つことはないだろうと思いました。ミシガンはペンシルバニアと並んで選挙の勝敗を握るSwing Stateであり、かつ最もイスラム教徒の多い州でもあります。イスラエルの戦争犯罪に最も怒っているであろう人々です。そのミシガンで、わざわざイスラエルの戦争犯罪を擁護するような発言をした上で、これまでジェノサイド ジョーと一緒にイスラエルの戦争犯罪を全力で支援してきたハリスの方がトランプよりも中東平和実現に尽力できる、と主張するのはどういうロジックに依っているのでしょう?そういえば、ルウィンスキー スキャンダルの時の盗聴テープを使って、ホワイトハウスを脅し、イスラエル スパイを釈放させたのが、当時も首相だったネタニヤフだったという話を思い出しました(Netanyahu said to have offered Lewinsky tapes for Pollard)。アメリカの政治家はイスラエルに色々と弱みを握られているのでしょうな。

クリントンの後は、イラク戦争を始めたブッシュ政権となりました。それを煽ったのもネタニヤフでした。そして、オバマ政権に変わったもののノーベル平和賞を貰ったのはいいが、結局、色々な戦争事業は引き継ぎ、リビアの侵攻をはじめとして色々とやらかしました。ウクライナに関しては2008年、ブッシュ政権の終わりにNATOサミットで明らかにしたウクライナをNATOに取り込む計画は続行、国務長官はヒラリー、2014年、オバマ政権はマイダン革命に乗じて、親露であったウクライナ政権を違法に転覆させ、今日のウクライナ戦争への道筋をつけました。2016年の大統領選で、戦争事業をヒラリーが引き継ぐという目論見は外れ、第一次トランプ政権が成立。この選挙で、トランプはミシガンを獲得し勝利を決めたのです。また同じくトランプが敗れた2020年の選挙ではバイデンが僅差でミシガンを取っています。今回もミシガンを獲った方が選ばれると思うのですけど、私の予想は、大差でトランプだと思います。ま、選挙は水物、フタを開けてみるまで分かりませんが。

2016年の選挙はよく覚えています。トランプが選ばれたとわかった時は本当にがっかりしました。しかし、振り返ってみれば、トランプは俗物で嘘つきのエゴイストであったものの、トランプ政権は、ニクソン以来、オバマから引き継いだ戦争以外に、新たな戦争を始めなかった唯一の政権であったと思います。結果、トランプ政権の間、コロナまでは世界は比較的平和でアメリカ経済も安定していたのでした。もし、ヒラリーが大統領になっていたら、ウクライナもガザももっと前倒しで戦争になっていたと思われます。

「黒い猫でも白い猫でも鼠を捕るのが良い猫だ」という実利的思考でアメリカ国民が判断するとすれば、俗物で嘘つきのエゴイストの人種差別者でセクハラ親父であるが、平和と安定した経済を保っていた前大統領と、「民主」という名前でマイノリティーの味方のような顔をしていても、ウクライナ戦争とイスラエルの戦争犯罪にアメリカの多大なリソースをつぎ込んで、世界の反アメリカ感情を煽り、BRICSを急発展させてドルの価値を落としインフレを抑えきれずにミドルクラスの生活を破壊したような政権の副大統領と、どちらを選ぶかは明らかなのではないかと思います。

しかし、私に取っては、どっちに転んでも、ジェノサイダー。どっちが勝っても同じです。ただ、何事も「取引」でものを考えるトランプの行動は予測不能です。トランプは、アメリカのイスラエル支援が「良い取引ではない」と判断すれば、ジェノサイドを止めるかもしれません。良い取引かどうかは、その場の時勢いやさまざまな因子で影響を受けるので、判断はコロコロと変わる可能性があります。つまり、その動機が「主義」や「原則」ではなく「取引上の損得」であるところが危ういわけですが、カマラ ハリスではそれも望めませんし。

アメリカ大統領選挙に関しては、近い未来に政治を動かせるようになるかという点においては今は絶望的ですが、私は、第三極のGreen Partyがどれほど人気票を集められるのかには多少、興味があります。遠くない将来、唯物主義、拝金主義、利己主義のアメリカは、BRICSの台頭、ドルの基軸通貨としての地位の低下などにより、急速に世界での力を失っていくと予想します。そうなった時に、アメリカはかつてのヨーロッパのように帝国主義を捨てて、「普通の国」になろうとするのではないか、そして、その兆候はGreen Partyの票に表れるのではないかと想像しているのです。

さて、ようやく本題。いまだに、「人質開放」を口実にパレスティナやレバノンの子供を殺しまくっているICJが「違法国家」と断ずるところのイスラエルですが、結局、一年にわたって、歴史ある街を破壊しまくり、子供を殺しまくっただけで、今だに何の目標も達成していません。ハマスもヒズボラも根絶していないし、人質も帰ってきてません。レバノンへの地上戦は、例によって住宅地を攻撃して市民を殺しただけ。一方で、イスラエルの経済はボロボロ、イランは報復攻撃の機会を測っており、アメリカとアメリカの取り巻きの諸国以外の世界中からはソッポを向かれ、国際機関からは非難を受け続け、国際社会から孤立しつつある状態で、もはやネタニヤフ政権のイスラエルに未来はない、と断じざるを得ないと思います。ネタニヤフの極右シオニズム思想は筋金入りの精神病と言っていいですから、この男が正気を取り戻す可能性はゼロです。目的のためには手段を選ばず、人質になるようなイスラエル人は殺害する(Hannibal Directive)のが軍の正式方針となっているような国です。

関連して、しばらく前のHaaretzの記事を目にしたので、紹介します。

ネタニヤフ首相の人質取引への執拗な妨害を示す新たな証拠
 「イスラエルのチャンネル12ニュースのは、ネタニヤフ首相があらゆる人質取引を妨害しようとしたことを示す新たな文書や新たな会話を発表した。、、、
 過去11ヶ月の詳細なタイムラインとして紹介されたこの調査には、未公開の文書や未聴の会話が含まれ、ネタニヤフ首相が「取引の妨害」を執拗に試みたことが浮き彫りにされた。、、、
レポートは、2023年11月25日から6日間の取引で解放された81人のイスラエル人と24人の外国人パスポート保持者の映像から始まった。、、、
それから9ヵ月間、イスラエルの交渉チームは、より多くの人質を取り戻すための新たな取り決めを確保するに駆り出されたが、無駄であったとアブラハムは報告した。その過程で、ネタニヤフ首相は彼らの交渉が成功しないようにあらゆる手を尽くした。ネタニヤフ首相は、彼らが停戦交渉に行くのを何度も阻止したり、交渉権限を大幅に制限したりした。、、、
さらに、ネタニヤフは、戦争を終結させるという合意を含む約束を反故にし、以前は言及されることのなかった新たな理屈を捻り出した。彼は考えを変え、否定し、可能な限り誰にでも責任を転嫁した。そして、スモトリッチやベン・グヴィールのような閣僚に、もし(人質解放や停戦の)合意が前進したら政権を去ると脅しをかけた。、、、」

わかってはいたけれど、ネタニヤフがイスラエルのメディアからもその卑怯で不誠実な嘘つき体質を非難されているのを見ると、ますます、この男の悪魔ぶりに怒りが湧いてきますね。

最近、イスラエルの元首相であったEhud Olmertは、CNNのテレビインタビューで、次のように述べました。ネタニヤフの年貢の納め時は近づいているように思います。

「、、、思うに、本当の敵はイランでも、ヒズボラでも、ハマスでもない。本当の敵は内部にいる。本当の敵は、パレスティナ人を追い出して領土を略奪することができると信じているイスラエルのユダヤ狂信者の過激派だ。私は彼らと断じて戦う。それは現ネタニヤフ政権だ。ネタニヤフは政治的に(過激派の)彼らに依存しており、彼らの決して許されないような行為を黙認しているのだ、、、」




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