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ICJ判決とハマスの言葉

2024-01-30 | Weblog
南アフリカがパレスティナに対するジェノサイドでイスラエルをICJに訴えた裁判の中間判決が、1月26日に表明されました。複数の項目において、17人の裁判団中15人以上という圧倒的な多数で、イスラエルはジェノサイドを行ってはならず、そのための措置を取るようにとの決定が下されました。当然の裁決だと思いますが、その一方で、南アフリカが求めていた即時停戦への命令はなされませんでした。米英仏というイスラエル支持国が常任理事を務める国連の機関と考えれば、即時停戦決議にまで踏み込むことはできなかったのでしょう。所詮は政治的意向が最後は優先されるということです。一方、イスラエルはこの判決が表明された日にも大規模な空爆を行いその日だけでも500人近いパレスチナ一般人を殺しました。イスラエルはICJも世界も敵に回してでもパレスティナ殲滅まで殺しまくるつもりのようです。死者の数だけで言えば、能登半島地震の犠牲者数をはるかに超える人々が、毎日毎日、3ヶ月以上に渡って殺され続けているのがガザです。そのうちの9割以上が一般市民、その半分が子供。運良く生き延びた人もまた、家も財産も家族も体の一部も失い、乏しい食料と劣悪な環境の中で飢え、苦しんでいます。

この地獄のような現状を知りながらも、そしてこのICJの判決の後でさえ、イスラエルと西側諸国に反省の色はありません。狭い土地に二百万人のパレスティナ人が閉じ込められているガザには産業がないに等しく、そこで生活するガザの人々は、国連の組織である国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の支援にその生活と生命を依存していると言ってよい状況にあります。そして、ICJの判決がでたあと、UNRWAの人道支援への援助を止めると宣言したのが、そもそもこの問題の根源を作り出したとも言えるイギリス(UK)です。イギリスに続き、アメリカ、カナダ、オーストラリア、イタリア、フィンランド、オランダの「西側諸国」がUNRWAへの支援を止めると発表しました。その根拠は「ガザの人道支援にあたっている国連組織UNRWAの一部がハマスの10/7の攻撃に関与した」とイスラエルが主張したからです。ガザの人々を物理的に殺戮する上に飢えさせて全滅させようとする邪悪なシオニスト政権と、それを政治利用してきたいわゆる「西側諸国」は、統一教会と自民党のように、持ちつ持たれつで弱者を迫害し続ける、己の利益にしか興味のない、未熟な"subhuman"であると言っても良い。因みに、この件では、強くイスラエル、アメリカ、EUを非難してきたアイルランド、ベルギー、スペイン、そしてデンマーク、ノルウェーはUNWRAへの支援は続行予定。

そして、わが国。当然のようにアメリカに追従し、UNWRAへの支援をストップ。正式にパレスティナのジェノサイド加担国となりました。広島、長崎で無差別市民殺戮を経験してきており、ジェノサイドに関しては強い反対のメッセージを打ち出せるはずなのにやっていることは真逆。戦後、連綿と日本政府がアメリカの番頭となって、国民搾取に加担してきたからでしょう。ツイッターでも日本は実質アメリカの植民地で偽独立国だから当然だというコメントがチラホラ。「長いものには巻かれろ」の日本はヤクザの舎弟という立ち位置が好きなのでしょうが、その親分もいつまで保つか怪しいものです。日本はいざとなれば最初に切られるトカゲの尻尾であるということを自民党はどう考えてるのでしょうかね。ま、今回の裏金問題の追求の緩さを見ても、この国が真の民主主義の独立国になるには、山本太郎が総理大臣にでもならない限り無理でしょうな。

(UNWRA支援については https://www.unrwa.org/japan をご覧ください)

さて、先週はハマスからの動きもありました。1/22にハマスから今回の事件に関する文書が発表され、「アクサの大洪水」と名付けられた今回の攻撃をなぜ決断したのかというハマスの言葉が発表されています。[下のサイト(PDF)で英文でも読めます] 


ここでは、それを解説したサイトから、さらに一部を要約したいと思います。

ハマス文書 -  なぜ我々は「アクサの大洪水」作戦を敢行したのか
、、、、、
ガザ地区とヨルダン川西岸地区に対するイスラエルの継続的な侵略に対し、パラスティナ国民が独立と尊厳、そして史上最長の占領からの脱却のための戦いを続ける中、イスラエルの殺人マシーンと侵略に立ち向かう勇敢さについて記したのがこの文書であり、またこれは「アラブ&イスラム諸国」と「世界中の自由な人々と自由、正義、人間の尊厳を擁護する人々」に向けて書かれたものである。

最初のセクションは、アクサの大洪水作戦の背後にある理由について説明している。ハマスは、シオニスト運動によって、そしてそれ以前にもイギリスの植民地当局によって開始された残忍な植民地化プロセスについて説明することで、この出来事を文脈づけている。

この数十年間、パレスチナの人々はあらゆる形の抑圧、不正、基本的権利の剥奪、アパルトヘイト政策に苦しんできたことを述べており、さらに、この文書では、2000年から2023年までの期間に関連する公式の数字を列挙し、パレスチナ人の死傷者数が衝撃的な数字であることを明らかにしている。

また、ハマスは、いわゆる『平和的解決プロセス』(と呼ばれる欺瞞)と『常にイスラエルを法の上にある国家として扱ってきた』米政権とその西側の同盟国による頑迷さを非難している。彼らはイスラエルによる占領を長引かせ、パレスチナの人々を取り締まるために必要な隠れ蓑を提供し、『イスラエル』がこの状況を悪用してパレスチナの土地をさらに略奪し、彼らの神聖な場所や聖地をユダヤ化することに加担してきた。

「執拗な占領と苦難の75年後、そして解放と民族の帰還のためのあらゆるイニシアチブを失敗させた後、さらにいわゆる『和平プロセス』の悲惨な結果の後、世界はパレスチナの人々に何を求めようというのか」と文書は問いかけている。

「アクサの洪水作戦の出来事」と題された第2章では、その日の出来事を説明し、イスラエル側の嘘をいくつか論破している。
「民間人、特に子供、女性、高齢者への危害を避けることは、アル・カッサムの全戦闘員による宗教的、道徳的コミットメントである。我々は、この作戦の間、パレスチナの抵抗勢力は完全に規律正しく、イスラムの価値観に忠実であったこと、そしてパレスチナの戦闘員は、占領軍の兵士と、我々の同胞に対して武器を携行する者だけを標的にしたことを、改めて表明する。もし民間人を標的にしたケースがあったとすれば、それは占領軍との対決の過程で偶発的に起こったことである」

第3章では、ハマスが「自国領土内でイスラエルが犯した戦争犯罪」の調査を求めたとき、イスラエルの強硬さと要求への拒否、そしてICC(国際犯罪裁判所)への要請によってパレスチナ人を罰するという脅迫に直面したと述べている。

「我々は、これらの国々、特に米政権、ドイツ、カナダ、英国に対し、彼らが言うように『正義に則る』というのであれば、占領下のパレスチナで行われたすべての犯罪の調査過程への支持を表明し、国際裁判所が効果的に仕事をするために全面的な支援を与えることを要求する」

「ハマスとは何者か」と題された第4章では、自らを「明確な目標と使命を持つ民族解放運動」であり、「占領に抵抗する正当性は、パレスチナ人の自衛権、解放権、自決権から得ている」と説明している。

「私たちの確固としたパレスチナ人民とその抵抗勢力は、長く残忍な植民地占領から自分たちの土地と民族の権利を守るために英雄的な戦いを繰り広げている。パレスチナの人々は、パレスチナの民間人、そのほとんどが子供や女性であった人々に対する凶悪な虐殺を行った前例のないイスラエルの侵略に直面している」

「何が必要なのか」と題された第5章では、ハマスが「イスラエルによるガザへの侵略、ガザ住民全体に対する犯罪と民族浄化の即時停止」を求めている。さらに、「イスラエル占領軍がパレスチナ人民に対して引き起こした人的被害について法的責任を追及し、民間人、インフラ、病院、教育施設、モスク、教会に対する犯罪を告発すること」を求めている。

「我々は、世界中の自由な人々、特に植民地化され、パレスチナ人の苦しみを実感している国々に対し、イスラエルの占領を支持する列強諸国が採用しているダブル スタンダードに真摯に反対するよう呼びかける。これらの国々に対し、パレスチナ人民との世界的な連帯運動を開始し、正義と平等の価値、そして人民が自由と尊厳のうちに生きる権利を保障するよう求めたい」

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1 コメント

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Unknown (おしぺろ)
2024-02-02 07:34:46
まあ判決内容は「ハマスは残忍な悪党だからいくらでも殺しても良いけど、ジェノサイドはすんなよ。気をつけながらハマスを殺せよ」ってことですね。そりゃそうだ。
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