(平野のスイッチバック駅@上市駅)
秋の陽射しがゆっくりと西に傾く上市の駅前。富山から敷設された富山鐡道と、滑川から敷設された立山鉄道の結節点として作られた上市駅は、山でもないのにスイッチバックの駅。当初は富山鐡道が富山から上市の東にある名刹・大岩日石寺までの延伸を見越していたせいで、現在のように西側から路線を集約する形の駅になったと聞きます。当初目的の頓挫や廃止によって配線構造だけがスイッチバックとして残った事例としては、一畑薬師への参詣路線として作られた一畑電鉄の一畑口駅なんかと同じ。
茜雲…と言うにはやや夕日の照りが弱いような。そんな空模様の下を、富山発の上市ローカルの折り返し電車がゆっくりとポイントを渡って進入して来ました。上市町は富山平野の中心部に位置する人口2万人程度の町、地鉄に乗れば富山の中心部まで25分程度と十分に通勤圏にあります。もとよりスイッチバックの駅ですから運行上の境界点ともなっていて、ここから先の滑川方面はガクッと運行本数が減少してしまいます。
地元の高校の生徒さんたちが、折り返しの電鉄富山行きの改札を待っている。「えこまいか」も導入されているし、別に列車別改札という訳でもなさそうですが…そもそも寒い国の人って電車は待合室で待つもの、という習慣が染みついているのだろうか。頭端式ホームから柔らかい光の差し込む夕映えの待合室。学生時代の帰り道のふとした風景と言う感じで、何とも郷愁を誘います。こんな光景に「雪ちゃんの日本海みそ」の広告がホント富山っぽくていいよねえ。ほのぼのとしたCMでお馴染みの「日本海みそ」の本社があるのがこの上市町。駅から歩いて2~3分の位置に工場があります。
日本海味噌 春夏秋冬フルバージョン
日本海味噌と言えば何と言ってもこのCM、関東でも流れてたから結構知ってる人も多いと思う。割と夕方のアニメの再放送で流れているイメージで、個人的にもローカルな雰囲気といい凄く印象に残っているCMだったけど、春夏秋冬全バージョンあるのは知らなかったなあ。
♪ゆきがしんしん(7) ふるあさは(5) つるぎたてやま(7) くろべはさむく(7)
♪ゆきちゃんのたよりは(7) こうじみそ(5)
♪こころほのぼの(7) おみそしる(5)
♪こいしいな(5) かあさんのあじ(7)
♪あーあえっちゅう(7) にほんかいみそ(7)
♪ゆきちゃんのたよりは(7) こうじみそ(5)
♪こころほのぼの(7) おみそしる(5)
♪こいしいな(5) かあさんのあじ(7)
♪あーあえっちゅう(7) にほんかいみそ(7)
完璧な5音7音の七五調でまとまった歌詞に、これまたキャッチーなナニワのモーツァルトことキダ・タロー大先生の優しいメロディ。聞いたら一発で頭に残る耳残りの良さといい、やはり先生は天才である。割とコード進行が「と~れとれ ぴ~ちぴち カニ料理~」っぽいけど、キャッチーなメロってのはそういうもんなんだろう。キダ・タロー先生に隠れてしまっている感もあるけれど、作詞の石井学さんと言う方の書き付けた郷土の光景が浮かび上がるような歌詞も珠玉。秋の風景を「もみじちかちか燃える夜は」と表現するソングライティングは洒脱であると言えましょう。