tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

味の風 にしむら(桜井市)

2011年09月25日 | グルメガイド
10月21日に『ミシュランガイド京都・大阪・神戸・奈良2012』が発売されることが決まり、奈良のどの店が載るか、いろんな噂が飛び交っている。聞くところによると、JR奈良駅近く(油阪地方町)の「ステーキ関」や、学園前(学園南)の「花垣」の下馬評が高いようだ。そんな中で、当ブログの「奈良のお店を勝手に予想!」に、ありんこさんからこんなコメントをいただいた。

《私の行き付けのお店、桜井市にある日本料理のお店「にしむら」さんに、昨年から4度もミシュランの関係者の方々が来店されました。写真も撮って行かれたとのことで、店長さんも今回の発表にどうなることかと、とてもドキドキしておられます。カウンターのみの数席しかない店内、静かで落ち着いた雰囲気に、心配りが行き届いたご主人のお料理。味も雰囲気もぴか一だと思います。もしミシュランに選ばれたら…私にとっては隠れや的存在の貴重なお店なので、予約が取れにくくなりそうで複雑な気持ちですが、とにかく発表がとても楽しみです》。これは貴重な情報である。ちょうど9/22(木)が人間ドック(半日ドック)で公休が取れたので、ランチの予約を入れた(完全予約制)。



「味の風 にしむら」(桜井市粟殿1023-3 スミヨシ住宅105号)は、桜井市役所や市民会館の東側の住宅地内にある。169号線・桜井中央公民館前交差点の1つ北の細い道路を東に入る 。車の場合、周辺道路は一方通行なので注意を要する。小さな駐車場が、お店の前にある。よく仲間うちの冗談で「にしむらとステーキ関と花垣に共通するのは『場所が分かりにくい』ということやな」言い合っている。星を取れば、道に迷うお客さんが続出しそうだ。



お店はカウンター10席のみ。それをお2人で切り盛りされている(トップ写真の向かって右が、ご店主の西村宜久さん)。お店に入ると、削りたての花鰹のいい匂いがほんわかと漂ってきて「これが味の風か」と納得した次第である。月替わりのランチは3,780円。まず出てきたのが胡麻豆腐である。白胡麻の豆腐に、たっぷりの練り胡麻がかかっている。ほんのりとユズの香りもする。これは上品でボリューム感のある胡麻豆腐である。


削りたての鰹節(ランチ3人分)。いい香りだ



続いて出てきたのがお吸い物。具は海老と鱧のしんじょうと舞茸。海老は車海老よりずっと小さい活け海老を、生きのいいうちに調理したもの。海老の味が濃いし、プリプリ感がたまらない。舞茸は軽く干しているそうで、どおりで歯ごたえがいい。



いよいよお待ちかね、天然鯛の刺身である。鶴橋の市場に、鯛を締める名人がいて、その名人が締めた鯛である。それをわさび醤油ではなく、わさびと粗塩でいただく。これはうまい! こうすると、わさび醤油より鯛のうま味が引き立つのである。時々、醤油に漬けた皮の部分も一緒にいただき、醤油も味わう。



続いて、冬瓜(とうがん)と金沢の万寿貝の葛あんかけが出てきた。冬瓜は白い部分だけを選んで煮たもので、たっぷりダシのうま味を吸っている。万寿貝は初めていただいたが、大アサリほどのサイズで、上品な甘さがある。





陶器の釜では、ご飯がそろそろ炊けてきた。いよいよ締めの一品である。遠目に眺めていると、アナゴだかハモだかの細長い魚に串を打っている。波のような形のいわゆる「うねり串」で、それを高級な紀州備長炭で焼いている。いい匂い。あれっ、この匂いはサンマではないか。たっぷり脂の載ったサンマのまん中の部分が、これまたたっぷりの大根おろしと一緒に皿に載ってきた。そこに釜戸(かまど)炊きのご飯、トッピングは手製のちりめん山椒である。



サンマもご飯もちりめん山椒も赤出し(具はもずく)も漬け物も、すべて美味しい! しかも「ご飯は、お代わりできますよ」との一言。これは、ちびちびノンアルコールビールなど飲んでいる場合ではない。ご飯にはほどよい甘みと粘り気があり、子供の頃に家で食べていた、薪で炊いたご飯の味であった。結局、ご飯は2杯と3分の2もいただき、満腹になってしまった。デザートは、ほどよい甘さの水ようかんと、抹茶の味が立ったアイスクリーム。どちらも自家製である。「以前は丹波の小豆を使っていましたが最近になって、地元のものを、と宇陀産の小豆に代えました。味には全く遜色ありません」とご主人。



いやー、参りました、こんなに料理のレベルが高いとは。ミシュラン調査員の話をお聞きすると、今まで5回(!)も訪れたそうである。初回は昨秋(ちょうどミシュランが覆面調査を開始した時期)、2回目はこの春(奈良の店を追加すると公表した時期)で、2回目に「ミシュランから来ました」と明かされたそうだ。合計で、延べ13人(!)が訪れている計算になる。8月には朝日新聞の人気コーナー「まんぷく会のとっておき」でも紹介された。タイトルは「息合うコンビ 深める技」だった。



ご主人の西村さんは、学園前の浪漫(奈良市鶴舞東町)で修業されたそうで、こちらも相当こだわった創作料理店のようだ。それにしても、これだけいただいて3,780円は、安い。ここがミシュランで星を取ると予約が殺到し、食事にありつけないかも知れない。何しろ10席しかないのだ。皆さん、今がねらい目ですよ! 良いお店をご紹介いただいたありんこさん、有難うございました。

※桜井市大字粟殿1023-3 スミヨシハイツ 1F 0744-42-7773
近鉄大阪線、JR桜井線桜井駅から徒歩10分(桜井駅から約600m)
営業時間(要予約) 11:30~、13:30~、18:00~20:30(L.O)
昼は3,780円。夜は7,350円と10,500円 月曜定休(祝日の場合は翌日)
コメント (8)
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