「奈良クラブ」という社会人サッカークラブをご存じだろうか。奈良からJリーグ入りをめざす、という頼もしいクラブである。Wikipedia「奈良クラブ」によると《奈良市を本拠地とするサッカークラブ。Jリーグ参入を目指すクラブの1つである。クラブカラーの「青」と「赤」は、奈良の枕詞「あをによし」に由来している。2010年、長年にわたり奈良のトップクラブであった「ディアブロッサ高田FC」より上のカテゴリーに位置することになった》。ユニフォームをよく見ると、唐草模様が入っている。唐草模様は、メソポタミアやエジプトから各地に伝播した模様で、日本にはシルクロード経由で中国から奈良に伝わった。これをユニフォームにデザインするとは、洒落ている。
同クラブの歴史としては《1991年、初代監督・山口幸司を中心に「都南クラブ」創設。1997年に奈良県1部リーグ昇格》《2008年、チーム名を「奈良クラブ」に改称》(奈良クラブ結成)、同年《関西府県リーグ決勝大会で優勝し、関西サッカーリーグ2部へ昇格》《2009年、関西リーグ2部昇格1年目で優勝》、同年1部昇格を決めた。《2010年は関西リーグ1部昇格1年目で、わずか2敗の4位に入る》《2011年2月3日、専任監督が不在だったクラブに、横浜F・マリノスコーチを務めたことがある吉田悟が就任することとなった》。
このあとの快進撃がすごい。2011年は関西リーグ1部で順調に勝ち進み、9月11日、最終日を待たずにリーグ初優勝を決めたのだ。おめでとうございます! 奈良新聞(9/13付)スポーツ面「奈良クラブ初V」によると《社会人サッカーの関西リーグ第12節は11日、三木防災競技場などで行われ、県勢の奈良クラブは三洋電機洲本に7-0で完封勝ちし、勝ち点を34として最終日を待たずにリーグ優勝を決めた》。
《奈良クラブは9月4日に行われた天皇杯1回戦で三洋電機洲本に1-3で敗れており、雪辱戦となる相手。お互いに手の内を知る戦いで、前半は三洋電機のペースだったが、押されながらも守り抜いた奈良クラブは先制の好機をものにしてリズムをつかみ3-0で折り返し、後半も主導権を握って4-0で完封した》。
《関西リーグ優勝の奈良クラブは、11月18、19、20日に行われる全国地域リーグ決勝大会に進出。福井、高知、兵庫の3会場で3ブロックに分かれて予選リーグを行った後、各ブロック2位以上に入れば、12月初旬予定の決勝リーグに進み、全国制覇に挑むことになる。奈良クラブの同大会出場は初》。
同クラブに関し、現在ネット上には「奈良クラブオフィシャルサイト」、「奈良クラブ公式ブログ」、「奈良クラブサポーターズサイト」と3つのサイトが立ち上がっているが、どれもこれも読みづらい。まるで「一見さんお断り」のような作りになっている。わたしのお薦めは、同クラブの矢部次郎選手(奈良市出身、元Jリーガー)がお書きの「矢部次郎ブログ」である。何しろ選手のナマの声なので、貴重な一次情報である。私の場合、Facebookで矢部さんと「友達」になっているので、更新を見落とすこともない。
矢部選手はリーグ優勝翌日、ご自身のブログに、こう書かれた。《やりました!やってくれました! 全員がファイトしたナイスゲームでした》《様々なチャレンジをした今季。不安や疑問視する声も正直多かった。そんな状況をまとめた吉田監督。奈良によく来てくださった。吉田監督も本当にサッカーが好きな仲間、という感じ。みんなが練習を楽しみにしている。それがリーグの好成績の秘密かも》。
《ただ! ようやく挑戦権を得たに過ぎません。同じように地域リーグを勝ち上がったチームが集い、11月に行われる地域リーグ決勝大会予選ラウンドを勝ち上がり、12月の決勝ラウンドで上位2チームになれば晴れてJFL昇格なのです。奈良クラブの現状をわかりやすく言えば、なでしこがロンドン五輪の出場権を得たようなもの。そして、この地域リーグ決勝大会は日本一過酷な大会と称されているほどのスケジュールで、各ラウンドは3日連続試合を行うのです!それまでにもっとタフにもっと強い集団にならないと!》。
強豪相手に3日間連続対決とは、過酷なシステムである。「勝って兜の緒を締めよ」ではないが、手放しで喜んではいられない。なお全国地域リーグ決勝大会のブロック2位以内でJFL(=アマチュアカテゴリの最高峰)昇格。JFLの上がJ2、その上がJ1、その上がJリーグ、という位置づけになる。
奈良クラブのリーグ初制覇は台風報道に押されてか、あまりニュースにならなかったが、やっと土曜日(9/17)になって、産経新聞奈良版の「週刊ならスポ」欄に、これまでの経緯を含めて大々的に紹介された。見出しは「サッカー 奈良クラブ 念願の関西リーグ1部初制覇」だ。
《「5年後のJ2入り」を目標に掲げるサッカー・関西リーグ1部の奈良クラブが、今月11に兵庫県三木市の三木総合防災公園陸上競技場で行われたリーグ戦第12節で、三洋電機洲本(兵庫県)を7-0で下し、念願のリーグ初制覇を果たした。元横浜F・マリノスコーチの吉田悟監督のもと新体制で臨んだ今シーズン。リーグ優勝は絶対目標だっただけに吉田監督は「みんなの思いが乗り移ったような試合だった。選手たちは本当に素晴らしいプレーをしてくれた」とチームをたたえた》。
《■リーグ戦負けなし リーグ戦を10勝1分で迎えた第12節は、リーグ制覇に王手をかけただけでなく、奈良クラブにとってはどうしても負けられない理由があった。今月4日に行われた「第91回天皇杯全日本サッカー選手権」で3-1と敗れた三洋電機洲本が相手だったからだ。辻村剛史選手が「圧勝でリベンジすることだけを考えていた」と話すように、試合は前半9分に辻村選手が先制すると勢いに乗り、今シーズン最多の7ゴールで圧勝した》。
《■断行した改革 「奈良からJリーグチームを」を合言葉に県1部リーグの都南クラブを母体に平成20年に結成された奈良クラブは、この年に関西リーグ2部、21年に同1部に昇格し、2年目のシーズンで優勝を遂げた。2試合を残しての優勝に選手たちは喜んではいるが、浮かれた様子はない。この春、Jリーグ入りを夢から目標に替えたことに伴う身を削るような改革を断行したからだ。仕事終わりの1時間程度しか取れなかった夜間の練習を午前中に切り替えたことで、本業の仕事との折り合いがつかずやめていった選手もいた。チームを引っ張る矢部次郎選手は「チーム編成で人生を選択した選手がいて、今がある。最低限の目標を達成したことで、去っていった選手の思いにこたえることができた」と話す》。
《■目標達成へ チームの当面の目標は、J2の一歩手前でアマチュア最高峰のJFL(日本フットボールリーグ)昇格だが、リーグ優勝はその挑戦権を得たに過ぎない。全国の地域リーグで優勝したチームなどと、11月から始まる全国地域サッカーリーグ決勝大会(12チームが出場予定)で戦い、2位以内に入るか、3位の場合、入れ替え戦で勝利する必要がある。吉田監督は「簡単な大会ではないので精度を上げなければならないが、JFL昇格の目標を絶対に達成する。応援してくれる人たちともう一度喜びを分かち合いたい」と話した》。
9/15付のブログ記事「サッカー選手とは」に、矢部選手はこんなことを書いておられる。《いろいろ経験をして。。。。今思うのは、サッカー選手とは、自分にボールが転がるように最善の準備をして、試合ではその成果を比較され、屈辱にさらされようとも全てを受け入れ、逃げも隠れもしない、そんな職種、そんな人種だということ。奈良でこんなにも試合結果が話題になることが嬉しい反面、見られていることへの覚悟も必要です。その期待に応えられる者しか立てないステージになってきます。僕はあの試合でケガをして立ち上がれないままピッチを後にした。矢部次郎はどうなるのか? その続きはみなさんのその目で見てください、と、自分にプレッシャーをかける! いや、まじで人間ドラマがピッチにはあります。そこを奈良の皆さんに見てもらいたい》。
「奈良クラブサポーターズサイト」によると、9/25(日)には、関西リーグ優勝の「祝勝会」が薬師寺門前AMRITで開催される。《有料ですが、会費の一部は全国地域リーグ決勝大会に臨むチームの強化費になります。当日は、選手とのコミュニケーションの機会とオークションも予定されています。また、会場となる薬師寺門前AMRITは、県内でも屈指のグルメスポット!美味しい料理を召し上がってください!》とある。
今回の地域決勝進出は、「なでしこがロンドン五輪の出場権を得たようなもの」。晴れの舞台で、奈良クラブの選手たちがどんなドラマを見せてくれるのか、否が応でも期待が高まる。決戦は11月と12月。選手の皆さん、ぜひベストを尽くしてください。そして奈良県民の皆さん、奈良クラブをもっと応援しましょう!
同クラブの歴史としては《1991年、初代監督・山口幸司を中心に「都南クラブ」創設。1997年に奈良県1部リーグ昇格》《2008年、チーム名を「奈良クラブ」に改称》(奈良クラブ結成)、同年《関西府県リーグ決勝大会で優勝し、関西サッカーリーグ2部へ昇格》《2009年、関西リーグ2部昇格1年目で優勝》、同年1部昇格を決めた。《2010年は関西リーグ1部昇格1年目で、わずか2敗の4位に入る》《2011年2月3日、専任監督が不在だったクラブに、横浜F・マリノスコーチを務めたことがある吉田悟が就任することとなった》。
このあとの快進撃がすごい。2011年は関西リーグ1部で順調に勝ち進み、9月11日、最終日を待たずにリーグ初優勝を決めたのだ。おめでとうございます! 奈良新聞(9/13付)スポーツ面「奈良クラブ初V」によると《社会人サッカーの関西リーグ第12節は11日、三木防災競技場などで行われ、県勢の奈良クラブは三洋電機洲本に7-0で完封勝ちし、勝ち点を34として最終日を待たずにリーグ優勝を決めた》。
《奈良クラブは9月4日に行われた天皇杯1回戦で三洋電機洲本に1-3で敗れており、雪辱戦となる相手。お互いに手の内を知る戦いで、前半は三洋電機のペースだったが、押されながらも守り抜いた奈良クラブは先制の好機をものにしてリズムをつかみ3-0で折り返し、後半も主導権を握って4-0で完封した》。
《関西リーグ優勝の奈良クラブは、11月18、19、20日に行われる全国地域リーグ決勝大会に進出。福井、高知、兵庫の3会場で3ブロックに分かれて予選リーグを行った後、各ブロック2位以上に入れば、12月初旬予定の決勝リーグに進み、全国制覇に挑むことになる。奈良クラブの同大会出場は初》。
同クラブに関し、現在ネット上には「奈良クラブオフィシャルサイト」、「奈良クラブ公式ブログ」、「奈良クラブサポーターズサイト」と3つのサイトが立ち上がっているが、どれもこれも読みづらい。まるで「一見さんお断り」のような作りになっている。わたしのお薦めは、同クラブの矢部次郎選手(奈良市出身、元Jリーガー)がお書きの「矢部次郎ブログ」である。何しろ選手のナマの声なので、貴重な一次情報である。私の場合、Facebookで矢部さんと「友達」になっているので、更新を見落とすこともない。
矢部選手はリーグ優勝翌日、ご自身のブログに、こう書かれた。《やりました!やってくれました! 全員がファイトしたナイスゲームでした》《様々なチャレンジをした今季。不安や疑問視する声も正直多かった。そんな状況をまとめた吉田監督。奈良によく来てくださった。吉田監督も本当にサッカーが好きな仲間、という感じ。みんなが練習を楽しみにしている。それがリーグの好成績の秘密かも》。
《ただ! ようやく挑戦権を得たに過ぎません。同じように地域リーグを勝ち上がったチームが集い、11月に行われる地域リーグ決勝大会予選ラウンドを勝ち上がり、12月の決勝ラウンドで上位2チームになれば晴れてJFL昇格なのです。奈良クラブの現状をわかりやすく言えば、なでしこがロンドン五輪の出場権を得たようなもの。そして、この地域リーグ決勝大会は日本一過酷な大会と称されているほどのスケジュールで、各ラウンドは3日連続試合を行うのです!それまでにもっとタフにもっと強い集団にならないと!》。
強豪相手に3日間連続対決とは、過酷なシステムである。「勝って兜の緒を締めよ」ではないが、手放しで喜んではいられない。なお全国地域リーグ決勝大会のブロック2位以内でJFL(=アマチュアカテゴリの最高峰)昇格。JFLの上がJ2、その上がJ1、その上がJリーグ、という位置づけになる。
奈良クラブのリーグ初制覇は台風報道に押されてか、あまりニュースにならなかったが、やっと土曜日(9/17)になって、産経新聞奈良版の「週刊ならスポ」欄に、これまでの経緯を含めて大々的に紹介された。見出しは「サッカー 奈良クラブ 念願の関西リーグ1部初制覇」だ。
《「5年後のJ2入り」を目標に掲げるサッカー・関西リーグ1部の奈良クラブが、今月11に兵庫県三木市の三木総合防災公園陸上競技場で行われたリーグ戦第12節で、三洋電機洲本(兵庫県)を7-0で下し、念願のリーグ初制覇を果たした。元横浜F・マリノスコーチの吉田悟監督のもと新体制で臨んだ今シーズン。リーグ優勝は絶対目標だっただけに吉田監督は「みんなの思いが乗り移ったような試合だった。選手たちは本当に素晴らしいプレーをしてくれた」とチームをたたえた》。
《■リーグ戦負けなし リーグ戦を10勝1分で迎えた第12節は、リーグ制覇に王手をかけただけでなく、奈良クラブにとってはどうしても負けられない理由があった。今月4日に行われた「第91回天皇杯全日本サッカー選手権」で3-1と敗れた三洋電機洲本が相手だったからだ。辻村剛史選手が「圧勝でリベンジすることだけを考えていた」と話すように、試合は前半9分に辻村選手が先制すると勢いに乗り、今シーズン最多の7ゴールで圧勝した》。
《■断行した改革 「奈良からJリーグチームを」を合言葉に県1部リーグの都南クラブを母体に平成20年に結成された奈良クラブは、この年に関西リーグ2部、21年に同1部に昇格し、2年目のシーズンで優勝を遂げた。2試合を残しての優勝に選手たちは喜んではいるが、浮かれた様子はない。この春、Jリーグ入りを夢から目標に替えたことに伴う身を削るような改革を断行したからだ。仕事終わりの1時間程度しか取れなかった夜間の練習を午前中に切り替えたことで、本業の仕事との折り合いがつかずやめていった選手もいた。チームを引っ張る矢部次郎選手は「チーム編成で人生を選択した選手がいて、今がある。最低限の目標を達成したことで、去っていった選手の思いにこたえることができた」と話す》。
《■目標達成へ チームの当面の目標は、J2の一歩手前でアマチュア最高峰のJFL(日本フットボールリーグ)昇格だが、リーグ優勝はその挑戦権を得たに過ぎない。全国の地域リーグで優勝したチームなどと、11月から始まる全国地域サッカーリーグ決勝大会(12チームが出場予定)で戦い、2位以内に入るか、3位の場合、入れ替え戦で勝利する必要がある。吉田監督は「簡単な大会ではないので精度を上げなければならないが、JFL昇格の目標を絶対に達成する。応援してくれる人たちともう一度喜びを分かち合いたい」と話した》。
9/15付のブログ記事「サッカー選手とは」に、矢部選手はこんなことを書いておられる。《いろいろ経験をして。。。。今思うのは、サッカー選手とは、自分にボールが転がるように最善の準備をして、試合ではその成果を比較され、屈辱にさらされようとも全てを受け入れ、逃げも隠れもしない、そんな職種、そんな人種だということ。奈良でこんなにも試合結果が話題になることが嬉しい反面、見られていることへの覚悟も必要です。その期待に応えられる者しか立てないステージになってきます。僕はあの試合でケガをして立ち上がれないままピッチを後にした。矢部次郎はどうなるのか? その続きはみなさんのその目で見てください、と、自分にプレッシャーをかける! いや、まじで人間ドラマがピッチにはあります。そこを奈良の皆さんに見てもらいたい》。
「奈良クラブサポーターズサイト」によると、9/25(日)には、関西リーグ優勝の「祝勝会」が薬師寺門前AMRITで開催される。《有料ですが、会費の一部は全国地域リーグ決勝大会に臨むチームの強化費になります。当日は、選手とのコミュニケーションの機会とオークションも予定されています。また、会場となる薬師寺門前AMRITは、県内でも屈指のグルメスポット!美味しい料理を召し上がってください!》とある。
今回の地域決勝進出は、「なでしこがロンドン五輪の出場権を得たようなもの」。晴れの舞台で、奈良クラブの選手たちがどんなドラマを見せてくれるのか、否が応でも期待が高まる。決戦は11月と12月。選手の皆さん、ぜひベストを尽くしてください。そして奈良県民の皆さん、奈良クラブをもっと応援しましょう!