tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

天仁(つる由の天ぷら専門店)

2011年09月03日 | ならまちで昼食を
奈良の割烹銘店「つる由」(奈良市脇戸町22-1)が、すぐご近所に天ぷら専門店を出店した。その名も「天麩羅 天仁(てんじん)」(奈良市下御門町35)。この店名は、つる由のご主人・河田仁紀さんの「仁」を取ったのだろう。店主の心意気を感じさせるし、天人(仏教でいう天上界に住む人)や天神さま(菅原道真=奈良市菅原町生まれとも)を連想させる良いネーミングである。(勝南院町の「天ぷら飛鳥」が8/20限りで閉店したのは、この店のオープンと関係があるのだろうか?)




右手少し奥の左に、天仁の入口がある。まっすぐ行きすぎると
「しもみかど水乃江」(つる由の8人以上グループ用別館)



天仁にはランチタイムにお邪魔した。店先に貼り出されたランチメニュー(11:30~15:00 土日も可)には「天ぷら定食」2,100円(天ぷら11~12品、小鉢、白ご飯、味噌汁、デザート)、「梅(コース)」2,625円(天ぷら14~15品、小鉢、かき揚げと白ご飯または天茶、デザート)、「椿(コース)」5,250円(天ぷら、天茶または天重、デザート)の3種類が載っていた。


ゆったりとしたカウンター席


揚げ手の志水さん。この日は1人で店を切り盛りされていた

お店はカウンターのみ。白木の香りが漂う店内はま新しく、すでに何人かのお客が揚げたての天ぷらをつついていた。店内のメニューには「天重(午後2時まで)1,050円 小鉢、香の物、味噌汁、デザート」という裏メニュー(?)が載っていたが、初日は予定通り「天ぷら定食2,100円」を注文。それが以下の写真である。


まずは活車海老と蜘蛛手、大ぶりのグリーンアスパラ。青い皿はレモン汁


初物の銀杏、水ナスの天ぷらなど、小鉢はもずく。大根
おろしはたっぷりで甘口、これをお代わりした人もいた!


撮影の便宜上、器を何種類も用意してくださった。通常は敷き紙だけ代える

活車海老や蜘蛛手(車海老の足の素揚げ)、白身魚、ナスなどが美味しいのは当然としても、驚いたのは大ぶりの鳴門金時(サツマイモ)の天ぷらである。甘くてホクホクしている。いつも私は「芋のてんぷらなんて…」と軽んじているのだが、ここのは全く違う。よく観察していると、温度の低い別の鍋で時間をかけて下揚げしているのだ。サツマイモは時間をかけて熱すると甘くなるというのは、焼き芋の例でもよく知られているが、これを天ぷらに応用したのだ。これは栗よりうまい。


向かって左が鳴門金時。甘くて美味しい。右はハモorアナゴ


味噌汁も漬物も昆布の佃煮も、つる由の味だった

天ぷらの美味しさは、素材より、「揚げ手の技」で決まるといわれる。つまり「個人技」なのである。だから天仁の天ぷらがこれほど美味しいのは、ひとえに揚げ手の志水さんのワザが冴えわたっているということなのだ。イヨッ、名人芸!




粗塩、抹茶塩、カレー塩の3種類の塩がついてくる

別の日には、裏メニューの天重1,050円をいただいた。まず驚いたのは器である。金を散らしたような立派な輪島塗だ。おそらくつる由で鰻重などに使うものだろうが、ここに天ぷらのような熱いものを入れるというのは、相当勇気のいることだったろう。


輪島塗の重箱

重箱にはご飯が入り、うっすらと天ツユがかかっている。揚げたての天ぷらを小鍋の天ツユにジュンと漬け、それを次々とご飯の上に載せてくれる。あれよあれよと思っているうちに、10品ほどの天ぷらが載っかった。私はご飯を「やや多め」にしてもらったが、それでもバランス的には「天ぷら過多」であった。


活車海老、万願寺とうがらしとイカの大葉巻が目をひく(トップ写真とも)

大葉(シソ)で巻いたイカの天ぷらなどは、見た目にも涼しげであった。この「揚げたて天丼」は、とても美味しいしリーズナブルである。勝負が早いので、平日のランチタイムに訪れる人には打ってつけだろう。「ここに小鉢と味噌汁と漬物とデザートがついて1,050円だと、儲けはゼロではないか!?」と心配になってきた。


定食にも天重にも、デザートがつく。この日はりんごのシャーベット

ちなみに夜のコースは、4,200円、5,250円、6,300円の3種類。それぞれ天ぷらに天重(または天茶)とデザートがつくが、6,300円のコースのみ、さらに季節の一皿がついている。

さすが、銘店「つる由」の姉妹店だけのことはある。揚げ手は名人、材料は吟味されているし、天ぷら油はもちろんフレッシュ、メニュー豊富、漬物などの脇役も美味。鳴門金時やイカの大葉巻のようなサプライズもある。皆さん、ぜひいちどお訪ねいただきたい。志水さん、お世話をおかけしました。またお邪魔します!

※奈良市下御門町35 0742-26-3770 11:30~21:30 (途中休憩あり) 月曜定休 駐車場あり 席はカウンターのみ 「奈良グルメ図鑑」の同店ページはこちら
コメント (4)
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