tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

ハナばあちゃん!!(大館・北秋田発映画)

2011年09月16日 | 日々是雑感
大館市や北秋田市を舞台にした映画「ハナばあちゃん!!~わたしのヤマのカミサマ~」(125分)をDVDで鑑賞した。この映画は、いわば「地域資源探しドラマ」である。この映画を知ったきっかけは、おおだて映像計画有限責任事業組合代表の日景賢悟氏からのコメントだった。同氏が立ち上げた「AKITA DINING なまはげ 」という店を紹介した「観光地奈良の勝ち残り戦略(48)」という当ブログ記事に、こんなコメントをいただいたのだ。
※トップ画像は、同映画のホームページから拝借

《なまはげ銀座店をご紹介いただき感謝申し上げます。私の友人からの情報でこの記事を知りました。本年5月より銀座にもう一店「なまはげ別邸」をOPENいたしました。コンセプトを変え、こちらはなまはげショーはなく、落ち着いた大人の雰囲気で秋田料理を楽しめます。是非一度こちらにもご来店ください》。これは食指が動く、ぜひお邪魔しなければ…。

《また、別の取り組みとして地域活性化を目的とした映画を製作しました。タイトルは「ハナばあちゃん!! わたしのヤマのカミサマ」。詳しくはホームページをご覧ください。「ハナばあちゃん」で検索していただければ幸いです。日景より》。当事者ご本人からこんなコメントをいただけるところが、ブログという双方向メディアの良いところである。その後、何度かのメールを交換経て、私はAmazonで「ハナばあちゃん!!」のDVDを買い求め、鑑賞した。

これは、笑いあり涙ありの心温まるドラマであった。決して予定調和的に話が進むのではなく、いろんなハプニングが起き、障害にぶつかって、行きつ戻りつしながら結末を迎える。映画に映し出された大館や北秋田の自然は素晴らしいし、たくさんの地元エキストラが手作りのいい味を出している。

ハナばあちゃん [DVD]
杉村和彦
おおだて映像計画有限責任事業組合

この映画の「作品情報」には《住む人も来る人も、大館・北秋田が良い所であるということを口にする反面、「何もない」とも言う。では私たちの住むこの場所の良さとは何なのか?》《自分たちの住む場所への愛着と感謝が無ければ人々は離れ、次第に地域の活力は失われます。しかし「幸せの青い鳥」を外に求めている間は、彷徨い続けるだけかもしれません。私たちは見慣れた風景や自然、周囲からの支えをつい「当たり前」と思ってしまいがちです。「何もない」と感じたら心が乾いている証拠。本当に何もないのか内面に問いかけ、「何か」の存在に気がついてほしいと思います》。

元気のない地域の人は「ここには何もない」という。しかし元気な地域の人は「ここも見てほしい、あそこも見てほしい」というものである。地域住民が地域に愛情と感謝の念を持つことが、地域を元気にする第1歩である。元気のない地域には、観光客も来ない。私も先日、「観光は、地元の元気のおこぼれ」と書いたばかりである。おおだて映像計画がそのことに気づき、ヨソ者の視点を取り入れてこの映画を作った慧眼には、敬意を表する。それにしても、そんな思いを125分もの映画に仕立て上げるご苦労は、並大抵ではなかっただろう。

そんな労作は、新聞でもたくさん取り上げられた。朝日新聞(2/12付)の見出しは「大館・北秋田舞台 ふる里の映画完成 きょうから県内で上映」だ。《地元の若手経営者らが「大館・北秋田の素晴らしさ、優しさを伝えよう」との願いを込めて制作したコミュニティードラマ。12日から一般上映が始まる。映画は大館市内の喫茶店が主な舞台だ。店のにぎわいを取り戻そうと努力する人々の姿を追いながら、人と人とのつながりの大切さや地域の持つ力の素晴らしさを、美しい風景や風物とともに描く》。

映画のレビューは北鹿(ほくろく)新聞(2/20)に詳しい。《スクリーンに映る映像で印象的なのはまず、山河の清らかさや神々しさ。「大館北秋田の空気感を伝えたい」という制作側の思いが随所ににじむ。神社の杉木立に光が差し込む場面や、青空と緑の水田の中を行く内陸線(秋田内陸縦貫鉄道)など、何気ない身近な風景が新鮮なイメージで目に飛び込んできた》。

《人間ドラマも味わい深い。コミカルな地元の人たちの陰にある悩み。都会で傷つき大館にやってきた人たち。ドタバタとにぎやかに交流し引かれ合いながら、それぞれの課題に向き合っていく。鑑賞した市民が「大館の人の温かさ」を再認識したと話した。笑えて泣けるストーリーと、地元の風景の奥深さをとらえた内容に、胸がジーンとなった》。

ロケ地も注目を集めている。北鹿新聞(8/7付)の見出しは「映画ロケ地に脚光 松峯神社 問い合わせ続々、来訪も」。《ロケ地の1つとなった大館市の松峯神社が脚光を浴びている。神社へ続く160の石段。樹齢300年以上の杉が並ぶ荘厳な雰囲気に「こんな場所があったのか」「どこにあるの」と問い合わせが相次ぎ、現地を訪れる人も増加。関係者は「地域の良さが見直されてきた」と手応えを感じている》。

「大館・北秋田には、本当に何もないのか」という自問自答から始まったこのプロジェクトは、見事に花開いた。さて、次は奈良県の番である。以前私は「県民は、奈良県が嫌い?」というブログ記事などで、奈良県民の愛郷心の低さを指摘した。これこそ「心が乾いている証拠」ではないか。

奈良県を知ることが、奈良県を好きになる前提条件である。県民の皆さんはこの秋、ガイドブックを片手に、ぜひ県下のあちこちを訪ね歩いていただきたいと思う。

日景さん、素晴らしい映画を有難うございました!
コメント (3)
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