これは知らなかった。今朝(5/21付)の産経新聞に「梅凶作 なぜ西吉野だけ? 奈良、寒さ原因か お隣 和歌山は豊作なのに…」という記事が出ていた。抜粋して紹介すると、
※写真はすべて賀名生梅林で撮影(2006.3.25)
五條市西吉野町の丘陵を覆う賀名生(あのう)梅林は、奈良の梅どころ。南北朝時代に都を追われた公卿(くぎょう 高官の公家)の阿野実為(あの・さねため)も歌に詠み、入り口付近には、南朝の皇居だったとされる賀名生皇居跡(国の重要文化財)がある。今年も、2月下旬~3月下旬に、約2万本が純白や薄紅色の花で埋め尽くされ、ほのかな香りを山里に漂わせた。
ところが、奈良県農業総合センターやJAなどによると、梅の枝に付いている果実の個数「着果数」を基に5月上旬に計算したところ、6月~7月上旬の収穫量は前年(約2570トン)より4割減となる見込みだという。担当者は「原因ははっきり分からないが、耐寒性が弱まる開花期や幼果期にダメージを負ったのでは」と推測する。
県などによると梅は開花が早い年ほど寒さや霜の被害を受ける危険性が高い。氷点下4度になると低温障害、氷点下3度で霜害になる。氷点下2度でも4時間ほど低温状態が続けば寒害の危険が高いとされる。賀名生梅林の今年の開花時期は平年並みだったが、満開期の3月中旬に最低気温が氷点下3・6度を記録した日もあった。この時期は連日、午前1~7時に0度を下回る寒さが続いた。

南高梅などの産地として知られる和歌山県では、収穫量は前年より3割増の豊作を見込んでいる。奈良の関係者は「傾斜畑や影になる場所など植えられた場所などにもよるが、他県に比べてもあまりにも出来が悪い」と首をかしげる。奈良地方気象台によると、今年は5月上旬まで寒気が残った異例の年。北極圏から南下した寒気が日本列島上空で居座ったのが原因とみられ、日中に晴れた反動で夜間の放射冷却も強まった。
同気象台は「山間部など地理的な条件から、奈良が近畿で夜間の冷え込みが最も厳しかったのでは」と推測している。思わぬ凶作に、地元の生産農家はため息をつく。男性生産者は「例年ならたわわに実る時期なのに、今年は小ぶりで数も極端に少ない。南朝ゆかりの果実なのに、残念で仕方がない」と悔しそうに話した。

賀名生梅林は、県下3大梅林の1つである。『奈良まほろばソムリエ検定公式テキストブック』(山と渓谷社刊)によると《五條市西吉野町の北曽木集落一帯に広がる梅林。月ヶ瀬・広橋とともに奈良県の三大梅林のひとつとも言われる。古くは穴生と呼ばれていたが、後村上天皇によって南朝が正統であるという主張が叶うようにとの願いをこめて「叶名生」と名づけられ、のちに賀名生の字に改められたと伝えられる》《二月下旬から三月下旬にかけて約二万本の梅が咲いて多くの観光客を集める》。
今、「賀名生」という伝統的な地名はないが、これを復活する議案が3月に五條市議会で可決されている。奈良新聞(3/17付)「『賀名生』地名復活へ 五條・西吉野」によると《五條市西吉野町で南朝の歴史を伝える「賀名生(あのう)」の由緒ある名前が、地名としておよそ半世紀ぶりによみがえることになった。これまで「賀名生皇居跡」「賀名生梅林」など一部の名称で残るだけだったが、16日の市議会3月定例会で地名復活案が可決された》。そんな矢先に伝統ある梅林が凶作とは!

南高梅で知られるみなべ町(和歌山県日高郡)は、太平洋に面した県南部にあり、温暖な土地柄である。海のない奈良県の山あいの西吉野町と、気象条件は南国と北国ほどに違う。開花期や幼果期にあたる今年の3~5月は異常な天候だった。それが「3割増」と「4割減」の命運を分けたのではないか。
最近の異常気象について「日刊ゲンダイ」(5/9付)は、このように報じていた(ゲンダイネット 5/12付)。見出しは「太陽の異変がもたらす日本の異常気象」だ。
5月に北海道で雪が降ったり、東京も暑い日と寒い日が交互に訪れるなど、異常な気象が続いている。この異常気象、太陽の“異変”が関係しているらしい。国立天文台と理化学研究所の研究者を中心とした国際研究チームによると、13年秋から太陽の黒点が増える時期に突入するが、過去100年間にはなかったほど、黒点が少ないとみているという。
黒点の数が少ないと、太陽活動は低下するとされている。「面白いほどよくわかる気象のしくみ」の著書がある科学ジャーナリストの大宮信光氏がこう言う。「太陽の活動の異変は2000年代に入った頃から始まっています。黒点の数が減少している。18世紀にも同様の状況が長く続き、プチ氷河期が起きています。ロンドンやパリでは、川でスケートしていたなんていわれています。来年から寒冷化が激しく進むと唱える学者もいます」
この先、日本はプチ氷河期に突入するのか。「異常気象学入門」の著書がある気象評論家の増田善信氏はこう言う。「日本列島は昨年11月の終わりから寒さが続いています。日本付近は気圧の谷になっているからです。しかし、この気圧の谷はずれるため、夏になると逆の現象が起きる。熱波が吹くような状態になります。一昨年の夏からこの現象が起こっています」
寒冷化と同時に、温暖化が起きていることを前出の大宮信光氏は心配する。「太陽の異変は進行中で、寒冷化も起きていますが、もちろん温暖化も深刻です。両者が進行し綱引きしている状態で、気象が激甚化しています。今後は、夏に雪が降ったり、ゲリラ豪雨や竜巻など、いつ何が起きるか分からない状況になる可能性があります」 恐ろしい時代になってきた。

「太陽活動の低下」と「地球温暖化」のダブルパンチで「気象が激甚化」している、という構図である。温室効果ガス排出などに由来する「地球温暖化」は、諸外国では「気候変動」(Climate Change)という。単に平均気温が上昇するだけでなく、それに伴う様々な気象の異常現象が引き起こされるからだ。
ウチの会社も5月1日からクールビズがスタートしたが、私は今も毎日上着を羽織って出社している。昼間は暑くても朝夕に冷え込むことがあるからだが、通勤電車の中を見渡しても、上着を着ている人は多い。異常気象は梅だけではなく、人間の体にもこたえる。皆さんも、異常気象への備えを十分に。
※写真はすべて賀名生梅林で撮影(2006.3.25)
五條市西吉野町の丘陵を覆う賀名生(あのう)梅林は、奈良の梅どころ。南北朝時代に都を追われた公卿(くぎょう 高官の公家)の阿野実為(あの・さねため)も歌に詠み、入り口付近には、南朝の皇居だったとされる賀名生皇居跡(国の重要文化財)がある。今年も、2月下旬~3月下旬に、約2万本が純白や薄紅色の花で埋め尽くされ、ほのかな香りを山里に漂わせた。
ところが、奈良県農業総合センターやJAなどによると、梅の枝に付いている果実の個数「着果数」を基に5月上旬に計算したところ、6月~7月上旬の収穫量は前年(約2570トン)より4割減となる見込みだという。担当者は「原因ははっきり分からないが、耐寒性が弱まる開花期や幼果期にダメージを負ったのでは」と推測する。
県などによると梅は開花が早い年ほど寒さや霜の被害を受ける危険性が高い。氷点下4度になると低温障害、氷点下3度で霜害になる。氷点下2度でも4時間ほど低温状態が続けば寒害の危険が高いとされる。賀名生梅林の今年の開花時期は平年並みだったが、満開期の3月中旬に最低気温が氷点下3・6度を記録した日もあった。この時期は連日、午前1~7時に0度を下回る寒さが続いた。

南高梅などの産地として知られる和歌山県では、収穫量は前年より3割増の豊作を見込んでいる。奈良の関係者は「傾斜畑や影になる場所など植えられた場所などにもよるが、他県に比べてもあまりにも出来が悪い」と首をかしげる。奈良地方気象台によると、今年は5月上旬まで寒気が残った異例の年。北極圏から南下した寒気が日本列島上空で居座ったのが原因とみられ、日中に晴れた反動で夜間の放射冷却も強まった。
同気象台は「山間部など地理的な条件から、奈良が近畿で夜間の冷え込みが最も厳しかったのでは」と推測している。思わぬ凶作に、地元の生産農家はため息をつく。男性生産者は「例年ならたわわに実る時期なのに、今年は小ぶりで数も極端に少ない。南朝ゆかりの果実なのに、残念で仕方がない」と悔しそうに話した。

賀名生梅林は、県下3大梅林の1つである。『奈良まほろばソムリエ検定公式テキストブック』(山と渓谷社刊)によると《五條市西吉野町の北曽木集落一帯に広がる梅林。月ヶ瀬・広橋とともに奈良県の三大梅林のひとつとも言われる。古くは穴生と呼ばれていたが、後村上天皇によって南朝が正統であるという主張が叶うようにとの願いをこめて「叶名生」と名づけられ、のちに賀名生の字に改められたと伝えられる》《二月下旬から三月下旬にかけて約二万本の梅が咲いて多くの観光客を集める》。
今、「賀名生」という伝統的な地名はないが、これを復活する議案が3月に五條市議会で可決されている。奈良新聞(3/17付)「『賀名生』地名復活へ 五條・西吉野」によると《五條市西吉野町で南朝の歴史を伝える「賀名生(あのう)」の由緒ある名前が、地名としておよそ半世紀ぶりによみがえることになった。これまで「賀名生皇居跡」「賀名生梅林」など一部の名称で残るだけだったが、16日の市議会3月定例会で地名復活案が可決された》。そんな矢先に伝統ある梅林が凶作とは!

南高梅で知られるみなべ町(和歌山県日高郡)は、太平洋に面した県南部にあり、温暖な土地柄である。海のない奈良県の山あいの西吉野町と、気象条件は南国と北国ほどに違う。開花期や幼果期にあたる今年の3~5月は異常な天候だった。それが「3割増」と「4割減」の命運を分けたのではないか。
最近の異常気象について「日刊ゲンダイ」(5/9付)は、このように報じていた(ゲンダイネット 5/12付)。見出しは「太陽の異変がもたらす日本の異常気象」だ。
5月に北海道で雪が降ったり、東京も暑い日と寒い日が交互に訪れるなど、異常な気象が続いている。この異常気象、太陽の“異変”が関係しているらしい。国立天文台と理化学研究所の研究者を中心とした国際研究チームによると、13年秋から太陽の黒点が増える時期に突入するが、過去100年間にはなかったほど、黒点が少ないとみているという。
黒点の数が少ないと、太陽活動は低下するとされている。「面白いほどよくわかる気象のしくみ」の著書がある科学ジャーナリストの大宮信光氏がこう言う。「太陽の活動の異変は2000年代に入った頃から始まっています。黒点の数が減少している。18世紀にも同様の状況が長く続き、プチ氷河期が起きています。ロンドンやパリでは、川でスケートしていたなんていわれています。来年から寒冷化が激しく進むと唱える学者もいます」
この先、日本はプチ氷河期に突入するのか。「異常気象学入門」の著書がある気象評論家の増田善信氏はこう言う。「日本列島は昨年11月の終わりから寒さが続いています。日本付近は気圧の谷になっているからです。しかし、この気圧の谷はずれるため、夏になると逆の現象が起きる。熱波が吹くような状態になります。一昨年の夏からこの現象が起こっています」
寒冷化と同時に、温暖化が起きていることを前出の大宮信光氏は心配する。「太陽の異変は進行中で、寒冷化も起きていますが、もちろん温暖化も深刻です。両者が進行し綱引きしている状態で、気象が激甚化しています。今後は、夏に雪が降ったり、ゲリラ豪雨や竜巻など、いつ何が起きるか分からない状況になる可能性があります」 恐ろしい時代になってきた。

「太陽活動の低下」と「地球温暖化」のダブルパンチで「気象が激甚化」している、という構図である。温室効果ガス排出などに由来する「地球温暖化」は、諸外国では「気候変動」(Climate Change)という。単に平均気温が上昇するだけでなく、それに伴う様々な気象の異常現象が引き起こされるからだ。
ウチの会社も5月1日からクールビズがスタートしたが、私は今も毎日上着を羽織って出社している。昼間は暑くても朝夕に冷え込むことがあるからだが、通勤電車の中を見渡しても、上着を着ている人は多い。異常気象は梅だけではなく、人間の体にもこたえる。皆さんも、異常気象への備えを十分に。