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tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

なら食と農の魅力創造シンポジウムに行ってきました!

2015年06月28日 | 観光にまつわるエトセトラ
昨日(6/27)、奈良春日野国際フォーラム甍(旧 奈良県新公会堂)で、「なら食(しょく)と農(のう)の魅力創造シンポジウム」が開催され、400人以上が参加した。もちろん私も聞きに行ってきた。読売新聞奈良版(6/28付)「食と農創造大学校PR」によると

奈良でシンポ 県産食材料理を披露
県が来春開校する「なら食と農の魅力創造国際大学校」(桜井市)をPRするシンポジウが27日、奈良市の奈良春日野国際フォーラムで開かれた。同校は県農業大学校を改編。農業の知識を持った料理人を育成するフードクリエイティブ学科(定員20人)などを設ける。同学科の実習棟として今年9月、宿泊もできるレストラン「オーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井」が一足先に開店する。

シンポジウムでは、指定管理者として同レストランを運営する「ひらまつ」の平松博利社長が荒井知事と対談。平松社長は「文化や人間力、経営判断力を供えた人材を育てていきたい」と述べた。この日は、実習を担当するひらまつの小林達也シェフが、吉野町のアユに三輪そうめんを巻いて揚げた「吉野鮎のフリット」、マスカルポーネチーズに甘みの強いトマトを乗せた「トマトのプランター」など、県産食材を使った料理を関係者に披露した。



荒井知事の開会挨拶

記事の最後に出ている小林達也シェフの料理は、シンポジウムには登場しない。その前の関係者の昼食会に出てきたのだろう。次に昨日のプログラム(13:30~17:00)を紹介すると、

1.開会挨拶(荒井知事)と大学校の概要説明(県農林部 角山次長)
2.対談「なら食と農の魅力創造国際大学校が拓く『食』と『農』の未来」
  株式会社ひらまつ 代表取締役社長 平松 博利氏/荒井知事
3.基調講演「地域の宝物 在来野菜で地域を元気に!~山形県の事例から~」
  山形大学農学部食料生命環境学科 教授 江頭 宏昌氏
4.パネルディスカッション「Farm to Tableからはじまる 『食』と『農』の魅力づくり」
  ・パネリスト(五十音順)
   山形大学農学部食料生命環境学科 教授 江頭 宏昌氏
   一般社団法人国際観光日本レストラン協会 会長 尾川 欣司氏
    なら起業ネットワーク 和母(わはは)代表 竹西 多香子氏
   工学院大学建築学部建築デザイン学科 教授 西森 陸雄 氏
  ・コーディネーター 
   なら食と農の魅力創造国際大学校開設準備専任アドバイザー 河野 一世氏

印象に残った話を手元のメモから拾ってみる。


角山(かくやま)次長による「大学校の概要説明」

荒井知事
・食と農が結びつくと、地域創生へのパンチの効く武器になる。

平松 博利 氏
・料理人は「料理バカ」ではダメ。経営感覚や文化を理解しないといけないし、食材と話ができなければいけない。経営者としての力を身につけさせるのが「なら食と農の魅力創造国際大学校」の特徴の1つ。
・(なら食と農の魅力創造国際大学校の周囲が)自然しかないというのが素晴らしい。今の時代、1番のぜいたく。
・9月の開業までに、奈良の食材を発掘して、魅力を引き出したい。
・私の師匠格のポール・ポキューズは、料理で大切なのは「素材」「味付け」「火の通し方」だと言っている。
・こんな言葉がある。「若者(若手料理人)よ、故郷に帰れ。地元の市場で食材を仕入れ、地元民のために料理を作れ」
・味で大切なのは「うま味(甘味)+酸味」。酸っぱいトマトとキャビアの組み合わせは絶妙。
・(知事の「ミシュランの三ツ星をめざしますか?」の質問に)I hope.
・大切なのは「いかに地元に愛されているか」「周囲がやさしく迎えてくれるか」ということ。「オーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井」は、桜井市民に期待している。

荒井知事と対談する平松社長

江頭 宏昌 氏
・伝統野菜への関心は、全国で高まっている。京野菜、加賀野菜、なにわ大阪の伝統野菜、江戸東京野菜 など。
・2000年以降、住民に「地域の種子を守ろう」という関心が拡大。
・「在来作物」とは、ある地域で世代を越えて、栽培者自身が自家採種などによって栽培・保存を続けながら、生活に利用してきた作物のこと。在来作物は生きた文化財。
・在来作物は、生産・流通の効率が悪く市場価値が低い、栽培者の高齢化、古くさいイメージ、畑の消失(都市開発、河川改修などにより)、保存食や「かて飯」(野菜や雑穀を炊き込んだご飯)の材料としての需要の減少 などにより、消滅してきた。
・在来作物を継承してきた人たちは「美味しいから」「子供の頃から親しんできたから」「先祖代々伝わってきた種子を自分の代でなくすのは申し訳ないから」。
・在来作物の魅力は「つながり」(時間・空間を超えたつながり、地域の中でのつながり)、「地域の個性」(地元民のアイデンティティ)、「多様性」(地域の作物と文化の多様性の維持・継承)。
・山形県鶴岡市の代表的な在来作物は「だだちゃ豆」(枝豆)、生産額は20億円以上。
・山形県内には様々な在来カブがある(13種類)。生育期間が短く保存が効くので、救荒作物として作られてきた。「宝谷かぶ主」として出資者を募り、新たなレシピも開発した。
・山形市では「食の甲子園」も開催。在来作物などを使った料理のコンテスト。
・ドキュメンタリー映画「よみがえりのレシピ」が作られた。制作意図は、在来作物を生きた文化財として見直そう、ということ。この映画がキッカケとなって、秋田、宮城、静岡などで研究会が発足した。  
・すっかり有名になったレストラン「アル・ケッチァーノ」の店名は、イタリア語ではなく庄内弁。美味しいものは足元にある。「あそこに、こんなものあったね」を庄内弁で「ある、けっちぁの~」というから。
・(「奈良県民は、どうしても大阪へ食べに行ってしまう」の質問に)美味しいレストランなどが集まる「ゾーン」を県内に作り、そこに集客しては。

竹西 多香子 氏
・奈良市の田原で無農薬有機栽培のお茶を作っている。訪れた方が「ここは景色の良いところやね~」と言ってくれるので、日本茶カフェ&農家レストラン「竹西農園 遊茶庵」を始めた。

西森 陸雄 氏
・食のイベント「クーカル」を始めた。「食」の分野で、京都と違い奈良は「一枚岩」になっていないので、やりやすかった。しかし「観光」は難しい。なかなか仲間に入ってくれない。

尾川 欣司 氏
・奈良県民の野菜摂取量は少ない。これが問題。

河野 一世 氏
・奈良は「食のPR」が弱いのでは。食と農の両方分かる人を育てよう。

ざっと以上のとおりである。3時間半という長丁場だったが、全く退屈することはなかった。平松社長の話などは、もっと長く聞いていたかった。

この日、シンポジウム参加者を対象に、9月5日にオープンする「オーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井」の料理を、オープン前に特別価格で食べられる「有料モニター」の募集があり、こんなハガキ(見本=PDF)をいただいた。私も申し込むつもりだ。

日本で初の公営料理人養成学校、そして奈良県で唯一のオーベルジュ(宿泊のできるレストラン)の開店。どんな展開になるか、大いに期待している。皆さん、ぜひご注目を!
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