tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

トシを食ってからの苦労/楽以忘憂(楽しみて 以って憂いを忘れる)

2022年12月18日 | 日々是雑感
昨日(2022.12.17)、奈良県文化会館国際ホールで、「演奏会式オペラ 万葉集(二上山挽歌編)」が上演された。主催は一般社団法人「まほろば芸術ラボ」(理事長は声楽家の山本昌代さん)だ。私は、オペラが始まる前の30分の「プレトーク」に出演した。山本昌代さんからご依頼いただいたものだ。6月にこのお話をいただいたときは「まあ、あと6ヵ月もあるから、何とかなるかな」と気楽に承ったが、日が近づいてくるにつれ、プレッシャーを感じていた。

毎年11~12月は多忙だ。コロナ禍がやや落ち着いてきたので、例年以上にあわただしく感じる。講演会の講師、ガイド、「ゆうドキッ!」の取材と生出演、グルメの会の企画と引率、会議への参加、食事会、打合せなどでどんどん時間が過ぎていく。

まずは準備のつもりで、オペラに登場する8首の歌の読み下し文をパワーポイントに書き出し、現代語訳と注釈をつけると(岩波文庫版『万葉集』から引用)、少しイメージができた。里中満智子さんの漫画『天上の虹』に、このあたりのことが詳しく描かれていたので、それも読み直した。


11/30(水)、山本昌代さん、藤村知史さんと

8首のうち4首は、大津皇子の恋の歌(2首)とそれに答える石川女郎(いしからのいらつめ=大名児)の歌(1首)と、草壁皇子の石川女郎に宛てた求愛の歌(1首)。草壁の歌への返歌はないので、おそらく片思いだったと思われる。残る4首は大津皇子の辞世の歌(1首)と、姉・大伯皇女(おおくのひめみこ)の大津への思いを詠んだ歌だった。

プレトークは指揮者の藤村知史さん、明日香村の森川裕一村長、私。司会進行は、福島千佳さん(さくらい読書会「子ども読未知」代表)。藤村さんとは11/30(水)、村長・福島さんとは12/12(月)に打合せを済ませ、これで準備万端が整ったと思っていた。しかし、なんと!村長が12/13に抗原検査でコロナ陽性が判明。急遽、明日香村文化協会会長の境山正甫(きょうやま・まさもと)さんが代わりに登壇されることになった。


12/12(月)福島千佳さんと明日香村役場で

私の予定が立て込んでいたので、境山さんとの打合せは当日の本番前になった。気心が知れていて、どんな発言をされるかおおよその見当がついていた村長と違い、境山さんとは初対面。しかも村長は私より3歳ほど年下だったが、境山さんは一回りほどお年上。楽屋で雑談しながら二上山への思いなどをうかがって、本番に備えた。


プレトークのリハーサル、本番ではマスクを外した

30分のうち最初の10分は藤村さんのオペラ紹介(約5分)と境山さんの自己紹介(約3分)。残る20分は私が仕切る。万葉集のことを紹介したり、8首の歌の概要を説明。あとはメインの2首を抜き出してフリートーク。打合せで、これら2首についた曲(千住明作曲)が短調ではなく長調であることをうかがい、そのあたりを藤村さんに質問した。

何とかトークもオペラも無事お開きとなり、会場で販売していただいていた『奈良万葉の旅百首』(京阪奈情報教育出版)も、持参した24冊すべてが完売となった。



壇上でトークなど、初めての経験だったが、台本もないのに何とか落ち着いてこなせたのは、奈良テレビ放送「ゆうドキッ!」の経験が大きい。「ゆうドキッ!」には台本があるが、MCや吉本のタレントさんは、平気でアドリブを連発される。すぐにリアクションしないといけないので、全く油断が出来ないのである。



奈良新聞(12/20付)でも紹介された(12/21追記)

「若いときの苦労は買(こ)うてでもせよ」とは、よく大人から言われたものだ。しかし私は「トシを食ってからの苦労も、買うてでもせよ」と申し上げたい。普段からの講演活動や「ゆうドキッ!」の出演は、私の脳への良い刺激になり、ボケ防止にも役立っている。少し早いが、来年のモットーは、これで行くぞ!

最後になりましたがUさんご夫妻、Oさん、Kさん。登壇のお祝いや楽屋へのお見舞いとして、たくさんのお花やお菓子を頂戴いたしました、ここに篤く御礼申し上げます。またMさん、天平衣装姿で『奈良万葉の旅百首』を完売していただき、ありがとうございました!

※12/19追記 このブログ記事を見て、奈良まほろばソムリエの会会員の池内力さんが「境山会長が、『明日香村文化協会会誌』の最新号・第44号の巻頭言に書いておられた“楽以忘憂”の実例ですね」として、こんな画像を送ってくださった。「楽以忘憂」、いい言葉です!

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