カワラタケは倒木に生えるものなのに、まだ立っているサクラにも生えていた。
この幹はもう瀕死状態なのかも知れない。
苔も茸も蔓もこの幹を頼りに、などという情緒的とらえ方はすべきではない。
幹を伝う雨のしずくと、方角と、日当たりの良し悪しと、風の受け具合で生き続けるか枯れるか決まるだけ。
子どもの頃、顔にシラクモというカビの痣ができている子がたくさんいた。
これはサクラの木にアバタを作るシラクモだ。
追記;田舎で私たちがシラクモと言い慣わしていた症状は、調べてみると『ハタケ』のようだ。ハタケはカビではないそうだ。比喩として、木肌にハタケとした方が正確かも知れない。アバタも書きようによっては、差別的意味合いになることもありそうだ。凹みができているわけではないから、アバタを作るとしたのは事実に反する、気分的誤表現ということになる。その場かぎりで消えていく会話ではないのだから、心したいと自戒。