講習の部屋では、座った机に更新の度に渡される冊子が置いてあった。
首から掛ける番号札を渡されて、動画の途中で実技講習に呼ばれたり、隣の目の検査室に移動したりして、また初めの席に戻るよう指示がある。
その間に、係り官が『○○さんは車関連のお仕事ですか』と愛想を言ってきた。
なんの用意もない問いかけだったので、とっさに『違いますが、なんでですか』と問い返したら、『そういう上着着てはるから』と言う。
私の外出用ジャンパーは、背中に或る会社のロゴが染めつけられており、小さくcar shopという文字もある。
つい『もらいものです』と答えてしまったが、『はい』と答えて、どんな事を言い出すか聞いたらよかったのに残念。
咄嗟の判断が鈍っているのもあるけれど、じつは私、根は正直者であった。
最後に高齢者講習修了証明書をもらって終わりなのだが、皆が立ち上がったところで、係り官が『置いてある本はお持ち帰りくださいね』と言う。
『この本は6450円もしますけど、ベストセラーですゎ』と付け加えるのであった。
高齢者講習の仕組みも、【いつまでも安全運転を続けるために】という本も、天下り元警察官を養うための財源と踏まえた上での発言とみてとれた。