初日の出というのを観たことがないような気がする。
私の生まれ育った場所は十日町盆地の端にあり、東側が裏山だった。
裏山の雑木の上から、いきなり上ってくる太陽を拝むという習いはなかったのだろう。
新潟県は佐渡ヶ島などは別にして、海から昇る太陽はたぶん観られない。
海に沈む太陽は何度も観たことがあって、夕焼け日没はいつだって気分が高揚する。
日の出もじつは何度か観たことがあって、初日の出をネパールの山で観たのだけれど景色として記憶に残っていない。
昨日の散歩は、冬らしく澄んだ空気だったので、大阪方面が見える場所を目指した。
黄檗宗萬福寺の裏山斜面を這い上がるように建っている華僑墓地墓石群の頂上から見下ろした。
左に生駒山山頂のテレビ塔が見え、奥には信貴山や金剛山があり、右手前に男山、そして天王山から西山連峰と続き、遠くには六甲山脈が見える。
京都盆地は南だけ開けていても海までは見えない。
南東にあるこの地の地平線に沈む夕日が望める高台に、成功した華僑達の墓が建っているという次第。
いつものテニスコートまで歩いたら夕焼けが濃くなっていた。
夕日に照らされた桜の芽が頼もしく見え、東の空には満ちる前の白い月。