宇治の本宅に戻ったのに合わせて漁業従事者の縁戚からサザエとヒジキ(鹿尾菜)が送られてきた。
生きているサザエは刺身が美味いと後から聞いたけれど、とにかく壷焼きをやってもらう。
生家での独り暮らしから家族の元に収穫物も持ち帰ったのだからして、据え膳上げ膳。
サザエは、棘有りしか記憶にないけれど、送られてきたのは、今まで見たことのない巨大さでしかも棘無し。
波の荒い海では棘有りで、穏やかな海では棘無しというけれど、そうでもないらしい。
生家ではサザエの殻がなんとなく捨てられずに残っていたり、土中から出てきたりするのだが、棘有りばかりだから棘無しが珍しい。
そのまま焼いてもらったのを取り出そうとすると、蓋がはまり込んでいて、なかなかに難しくて力技が必要だった。
蓋に着いている筋肉質部分を先ずは食べてこりこり感の旨みを味わう。
先っぽのクリーム色はオスの精巣ということで、マダラ(真鱈)の白子よりフグ(河豚)の白子より美味と私は思う。
緑色の場合はメスの卵巣で、これがなかなかに苦味があって美味。
後の残りは、見た目が内臓そのもので、火は通っているはずでも生々しさがあって躊躇うけれど、新鮮だったのだからと一気に頬張る。
砂っぽかったりもするが、ぎろぎろとした食感もあり、苦味は大人の味で、有り難みもある。
後から調べてみると、
・身のついた蓋を外してから、貝柱は指で押し込むようにすると外れる。
・蓋に付いている部分(身)には口があって、そこは硬いので切り取り、食べない。
・貝柱部に付いているびらびらはハカマと言い、そこは苦いので取り外す。
・内臓表面の渦巻き模様の真ん中から下(口方向)は砂があるので切り離して捨てる。
・可食内臓部分は塩揉みして洗う。
・身から切り離した蓋を先に殻に入れ、それから可食部分を盛り込んで、出汁を入れて焼く。
・出汁は、醤油に酒に鰹出汁同量で、アルコール分を飛ばしてから入れる。
とある。
家ではテリトリーを侵さないことをヨシとしているけれど、ここまで調べたら、まだ半分以上残っているサザエを調理するのは私の出番。
山羊のペニスをバナナのように包丁で切って(もちろん生ではなく)お皿に出されて・・・・
おもわず、丹田あたりに力が加わりました。
私はそのような感受性があまりなくて、割り切って、ほぼなんでも口に運べます。
ベトナムで鳩を食べた時に、脳みそがおいしかったです。