その手、あの手の雰囲気も漂うカバーデザインに、ちょっとためらったが結局購入した。大森望、豊崎由美による直木賞、芥川賞などの選考委員の「選評の批評」や両賞の候補作批評や受賞作予想などを収録した本。
この作品は選考委員の誰それには理解できないだろうとか、この作家は今回「直木賞仕様」で書いたとか何とか、なんともマニアックな文学評。
文学賞の選考経過などは公表されないから僕らには分からないけれど、どうやら、ときとしてバトルが繰り広げられることもあるらしい。この本にはそんな裏情報も出てくる。
たまにはビールでも飲みながらこの手の本を読むのも面白い。
「申し訳ありませんが、家の中の物を全部、家の前に出して写真を撮らせて下さい」という企画。世界30か国のふつうの暮らしが一枚の写真に写しだされている。
表紙の写真はアフリカのマリ、右は日本。
世界のいろんな国の暮らしぶりを比較していると、経済大国日本の、いつ捨てても惜しくないようなたくさんの物に囲まれた生活が疑問に思えてくる。
大量生産、大量消費、大量廃棄という開いた系(システム)を支えた、物が溢れる生活が「豊か」なのかと。
この本で紹介されている例えばブータンやグアテマラなどでは驚くほど物が少ない。そのような素朴で質素な暮らしがかつての日本にもあった。でももうそこには引き返せないだろう・・・。
ごみ焼却場が日本には1,700あるとも1,900あるともいわれている。ドイツにあるのはたったの50!
ごみ焼却場の数の少なさが豊かな暮らしの指標というのは妥当、私はこの本をながめていてそう思った。