透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

夜のピクニック

2006-09-17 | A 読書日記



■ 北校伝統の鍛錬歩行祭。全校生徒が夜を徹して80キロを歩き通すというイベント。
**みんなで、夜歩く。たったそれだけのことなのにね。どうして、それだけのことが、こんなに特別なんだろうね。**(31頁)

こういう状況で**なんて言うんでしょう、青春の揺らぎというか、煌(きら)めきというか、若さの影、とでも言いましょうか。**(428貢)が描かれた小説。

恩田 陸の『夜のピクニック』のテーマを文中に探すとしたらこんなところだろうか。懐かしい思いに浸りながら読了した。

夜のピクニックというタイトルには少し違和感を覚えた、いくらなんでもピクニック気分ではないだろうと。元気な高校生はあるいはピクニック気分なのかもしれないが・・・。

夜を徹して歩く、この作家の出身校の水戸第一高校の伝統行事らしい。浦和高校でも同様の行事があって、それをモデルにしたとか。「夜行軍」という行事が私の母校にもあった。もっともこの小説のような、全校生徒が参加する大きなイベントではなかったが。

「全国縦断徒歩の旅」はとても無理だと思うけれど、「四国八十八カ所歩きへんろ」には憧れてしまう。 全行程1400キロ、 無理かな~。




伝統的なデザインを引き継ぐ

2006-09-17 | A あれこれ




○ 民家 昔の記録 高知 198003

既に昔訪ねた民家の記録を何回か載せたが、今回は高知県安芸市内の民家。漆喰の外壁には何段も瓦を並べた水切庇が付けられている。雨水が外壁を流れ落ちないようにする工夫。水切庇の付いた白壁がこの辺の民家の特徴だ(岡山辺りにも在るようだが)。

このデザインは現在に継承されていて、外壁に水切庇を付けた住宅を雑誌で見ることがある。但し瓦ではなくて鉄板でつくったものが多いが。モダンな住宅には瓦の庇は似つかわしくない、ということなのだろう。

何も伝統的なデザインをそのまま守ることだけが大切なのではない。デザインの意図、意味をよく理解してそれを継承すればよいのだ。

水切庇は雨水から壁面を保護し汚れを防ぐという点で、この辺でも採用していいと思う。材料はステンレス板や石など、外観のデザインに合わせて工夫できそうだ。


竹風堂の広告 

2006-09-17 | A あれこれ

○ 竹風堂の広告 (060917)

信濃毎日新聞に掲載された広告を対象に、優れた作品を表彰する企画がある。今回が35回目だそうだ。今朝の新聞に入賞作品が載っている。
竹風堂の広告が優秀賞と優秀コピー賞をダブル受賞している。今回は最優秀作品はなかったそうだ。竹風堂の広告については以前うまい文章だとブログに書いた。

講評でも**絶品といっていい文章の冴え。**と評価されている。
「あ、やっぱりな~っ」
他の入賞作品が全てカラーなのにこの作品だけがモノクロというのも、文章勝負というこの広告のねらいがわかる。

竹風堂さん、おめでとうございます。


妻垂れ 

2006-09-17 | A あれこれ


○ 茅野の妻垂れ(0608)



○ 韓国の妻垂れ (0106)

妻垂れは切妻屋根の民家の妻壁を雨から保護するもので、昔は板張りだったが、最近では金属サイディングや樹脂製の小波板でも作られている。

藤森さんの建築について書いた際、茅野市内で見つけた妻垂れの写真を載せた(上の写真)。下の写真はソウル近郊の韓国民俗村で見かけた妻垂れ。「韓国にも妻垂れがある!」と、写真を撮った。もしかしたら日本国内で散見される妻垂れのルーツは韓国かもしれない。中国にも妻垂れがあるかもしれないな。

そういえば日本の茶室もルーツは韓国だと聞いたことがあるし、壁や天井に韓国紙を貼った小さな部屋や、にじり口を思わせる小さな出入口など、韓国の民家を紹介するテレビ番組をみたこともある。建築技術の多くは中国や韓国から伝わってきたものだ。

ところで先日書店で『藤森流自然素材の使い方』彰国社 という本を手にとってパラパラと頁をめくっていた。この本は藤森さんの作品をいくつかとりあげて、自然素材をどんな考えでどの様に使っているか、ということについて書かれたものだが、例の「神長官守矢史料館」の板張りの外壁に関する記述があって私の予想通り(!)、妻垂れを意識した意匠であることが分かった。そう、藤森さんはやはり妻垂れを史料館の外壁にまとわせたかったのだ。

本に掲載されている妻垂れの写真は、私が撮った民家の妻垂れ(上の写真)と同じもののような気がした。史料館のすぐ近くの民家だから、大いにあり得る。