左:金沢21世紀美術館の案内図(昨年撮った写真)
右:まち」的建築(月刊誌「新建築」06年9月号より)
■ 案内図は普通、簡略化されてグラフィックな表現がされるが、金沢21世紀美術館の場合は全くこのようなプランだ。さまざまな大きさの白い箱状の展示室が独立して配置されている。たまたま出来た展示室の間の空間が通路や休憩スペースなどになっている。コンセプトがそのまま抽象的に空間化された作品だ。
右のプランは小さな箱状の建築がいくつも配置されている。「まち」のように見えるが、実は全体が外皮に包まれた「ひとつの建築」だ。
金沢のレイアウトには設計者の意図が感じられるが、右の施設は四角い建築を恣意的にばらまいたようだ。その違いはあるものの二つの建築のプランニングには共通性がある。この頃よく見かける平面形(プラン)だ。いったいこのような、建築とまちのヒエラルキーが曖昧になるようなプランはいつ頃から採られるようになったのだろうか。
塩尻市の「市民交流センター」のプロポーザル、1次審査を通過した5作品が公開されたが、その内、4作品がこのようなプランだった。その特徴はずばり「まち」のような建築 なんだかみんな既に見たことがあるような印象の計画だ。
「市民が自由にアクセスできること」という私の想定した条件をクリアできそうな作品が選出された。最終的にどの作品が選ばれるのか興味深い。似たような作品だが、どういうことが決め手になるんだろう。審査員と提案者との間にはどんな質疑応答があるんだろう・・・。いまから公開審査が楽しみだ。