透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

明安小学校の豊かな空間

2006-09-08 | A あれこれ



明安小学校(山形県最上郡金山町)のワークスペース

 この小学校は児童数が80人にも満たない小規模校だそうです。写真の左側の壁に5という数字が見えます。5年生の教室です。普通教室(3年生から6年生の教室)、昇降口、保健室などを直線的に配置し、その隣にこのワークスペースを計画しています。独創的な架構の繰り返し、すばらしい空間構成です。

アーチ状の梁は地元産の杉の集成材とのことです。この写真では分かりにくいのですが、アーチ梁の端部を方杖で受ける構造になっています。アーチ梁相互を鋼材で結んでこの写真の奥行き方向の動きを拘束するなど、かなり工夫された架構です。ペンダント(吊り下げ照明)やブラケット(壁付き照明)なども繰り返しの美学を補強しています。

手元の資料によると金山町は美しい街並みづくりで有名なところだそうです。この町のそういう土壌がこのような美しい空間を生んだのでしょう。こんな空間を日常的に体験している子供たちはきっと感性が豊かに育つでしょう。設計者は小沢明さん。木造の得意な方と記憶しています。

ただ単に機能的なダイヤグラムに沿ってプランニングして、はい出来上がりっていう学校が多いのですが、そこから豊かな空間を創るために心血を注ぐ・・・、大事なポイントだと思います。このような作品に接すると尚更そう思います。


 


繰り返しの美学を比較する

2006-09-08 | B 繰り返しの美学

 
京都駅 原広司(021222)

 原さんが「繰り返す」とこうなるんですね。昨日書いたように原さんは同じデザインの繰り返しを好まないようです。「形を同じにするなら色を変えよ」というわけですね(昨日のブログへの追加写真)。

2002年の冬、高校の同期生の親睦会に参加するために京都に出かけました。その際、京都駅の屋上で撮った写真です。



豊田市美術館 谷口吉生(031013)

谷口さんが設計したNYの近代美術館の増改築工事、完成後その美しさがニューヨーカーを魅了して話題になりました。この美術館も、とにかく美しいです。谷口さんは最も美しく建築を設計する建築家のひとりでしょう。特に具体的な機能を負うてはいない壁の繰り返しと水庭は、ただ美しい建築のためにのみあるのでしょう。