高山の蔵 20090723
■ 高山市郊外で見かけた蔵。存在感のある立派な蔵です。山里というロケーションがいいですね。壁の白と黒のコントラストも魅力的。すっきりとした妻壁がそれを強調しています。腰壁は板(樹種は不明です。)の縦張り。このあたりでよく目にする構法です。
高山地方では梁や母屋などの小口を白く塗ることが多いですが、この蔵の登り梁の小口もやはり同様です。赤い破風の下に付けられた白の妻垂(?)は意匠的にどうなんでしょう、あるいは無い方がいいかもしれません。でも、それだと平凡かな・・・。
土蔵は普通の住宅の4倍程度の坪単価で、大工工事と左官工事がほぼ同額になったそうです(「民家をつくった大工たち」吉野正治/学芸出版社 1986)。ピッタリと閉じることができる扉は大工と左官の最高の腕の見せ所。息の合ったコラボでいい蔵をつくってきたんですね。
飛騨の工匠は平安の昔から都の造営でも活躍したそうですが、その優れた技術を継承してきた職人たちが残した建築文化財、このまま後世に残して欲しいと願うばかり、といつもと同じことを書いておきます。
北安曇郡松川村にて路上観察(20090722)
■ 安曇野の屋敷林、しばらく前に載せたときは樹種については触れませんでした。高木には杉、檜、欅、赤松が多いようです。低木の種類はいろいろです。
しばらく前に路上観察したこの屋敷林、樹種は赤松です。樹高は15~20mくらいはありそうです。屋敷林は主に防風のためにあるのかも知れませんが、その他にも枝を焚き木にしたり、建材として売ったりすることも目的としていたようです。
この屋敷林は、立派な屋敷を構えているぞ「ドーダ」の表現かもしれません(ドーダとは ←過去ログを参照してください)。 そう、ステータスシンボルとしての屋敷林です。
今年、私の友人がリーダーとなって安曇野の屋敷林の調査をしています(調査報告書を確か今年中にまとめる予定だったと思います。安曇野の財産の屋敷林も次第に少なくなっているようです。調査が屋敷林の保全に生かせるように、その成果に期待しています)。
調査では屋敷林の所有者にヒアリングもするでしょうが、まさか「ドーダ」のための屋敷林などと答える人はいないと思います。でも案外このドーダな屋敷林が多いのではないか、私はそう思います。
それにしてもこの屋敷林、見事としかいいようがありません。