透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

本のことも書かないと

2009-07-19 | A 読書日記
 すでに梅雨は明けたとのことだが(関東甲信は明けた、「越」も明けたのかな)、このところ毎日のように雨が降る。それもかなり激しく。まあ、天候はデジタルに変化するわけではないから、梅雨明けの日を明確に示せるわけではないだろう。あとでまだ梅雨は明けていなかった、と訂正されるかもしれない。

さて、このところ蔵モードにどっぷり。本のことも少し書いておかないと。今積読中の本はこの2冊。



『旅はゲストルーム』浦 一也/光文社知恵の森文庫 

「TOTO通信」という企業誌に連載中の「旅のバスルーム」というシリーズをまとめた文庫。先日東京は乃木坂のギャラリー間で購入。積読中。読了後、備忘録しよう。

『屋根の日本史』原田多加司/中公新書

日本の建築の屋根の通史。建築に関する基礎的な知識として押えておきたい内容。紀伊國屋書店 新宿南店で購入。やはり積読中。

『胎児の世界 人類の生命記憶』三木成夫/中公新書

現在読書中。この本に関しては**解剖学という自然科学の知識を背景にしながらも、晩年は一種の自然哲学としか言いようのない独自の世界を切り開いていた三木。この本は、その三木の世界の真髄を易しく一般向けに書き直したもの。**という金森 修氏の紹介文が『中公新書の森』に載っている。

最近は福岡伸一さんの生物に関する本が、分かりやすくて面白いと評判だが、この本も負けず劣らず面白い。

蔵の動物たち

2009-07-19 | F 建築に棲む生き物たち

 
鶴はよく見かける飾り 塩尻市内? 撮影日200606


鶴と亀 長野県朝日村にて 撮影日200907 


ねずみが遊んでいる。 同上 撮影日200606

 蔵の妻壁の開口部廻りの意匠に最近注目している。過去ログに加筆し再掲する。

縁起がよいとされる鶴や亀などの動物が飾られているのを見かけることがある。下の蔵にはねずみがついている。富める蔵には米俵がたくさん収蔵されている。米俵のたくさん収蔵されている蔵にはねずみが集まる。だからねずみは富の象徴、縁起がいい。

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ねずみの嫁入りという昔ばなしがある。娘ねずみをいちばん偉い者に嫁にやろうとまず太陽を訪ねるが、太陽は雲だといい、雲は風だという。風は壁だといい、壁はねずみだという。で、ねずみの娘は結局ねずみのところに嫁いで幸せに暮らした。 この昔ばなしの挿絵には蔵が描かれている。ねずみが穴をあけるのは蔵の壁だ。

どうやら中国にも同じような話があるらしいが、ねずみより猫ということになって、猫のところを訪ねた父親と娘ねずみは食べられてしまった、と悲劇的な結末らしい。 現実的というかシビアな話だ。

外国から伝わった童話の悲劇的な結末をハッピーエンドに変えることが日本では多かったようだ。このような昔ばなしにイソップ物語のような寓意が込められているのかどうかは分からない。結末の違いは何によるのだろう・・・。