透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「劔岳 点の記」を観た

2009-07-13 | E 週末には映画を観よう

明治40年7月13日 

そう、いまから102年前の今日、陸軍参謀本部陸地測量隊が剣岳登頂に成功した(登頂日についてはいくつか説があるようだが)。

日露戦争後、国防のために日本地図の完成を急ぐ陸軍。地図に残された空白域を埋めるために剣岳登頂と測量に挑んだ男たちの記録。

創設間もない日本山岳会も海外から取り寄せた最新の装備で剣岳初登頂をめざしていた・・・。

「陸軍の威信にかけて剣岳の初登頂を果たせ」「山岳会に負けてはならぬ」という厳命。

木村大作監督は「これは撮影ではない。〝行〟である」とスタッフに告げたという。陸軍の陸地測量隊の剣岳登頂を100年ぶりに再現するというプロジェクト、その登山隊のメンバーがたまたま俳優だった、と言っていいかもしれない。実際登頂シーンの撮影は7月13日に試みられたというから、徹底している。ただしこの日は頂上付近がガスって数日後に撮影されたそうだ。

映画では深い人間ドラマが展開されるわけではない。主役は測量手たちや案内人ではなく立山連峰だ、と思った。映像の全てが実写、CG無しだという。空撮も無し。

エンド・クレジットが印象的だった。ただ<仲間たち>とだけ紹介されて、立山連峰の美しい映像をバックにゆっくり流れるのは氏名のみだった。監督、照明、録音、ヘアメイクといった職種の紹介は一切無し。唯一例外は新田次郎で原作者と紹介された。

広大な自然の中では人間なんてちっぽけな存在だ。でも使命を果たすべく懸命に奮闘する・・・。

原作も読まなくては。