■ コンクリートは圧縮力には強いが引張力には弱い。一方、鋼管は引張力には強いが圧縮力には弱い。その相反する特徴を持つ両者を組み合わせることによって互いの短所を補完しあっているのがコンクリート充填鋼管構造だ。
既に何回か書いたことだが、人が考えるものは自然が先回りしてつくっている。では、このコンクリート充填鋼管構造に相当する自然のものとは一体何か・・・。
『図解 橋の科学 なぜその形なのか?どう架けるのか?』土木学会関西支部編/講談社ブルーバックス
この本では橋がどのような設計をもとに、どのような技術によって架けられているのかを、中学生くらいから理解できるように平易に解説している。そのセクション4の「橋と力学」に次のくだりが出てくる。
**圧縮や引っ張りに対する強さは、材料によって違います。石の場合、圧縮に強くて引っ張りには弱いことが分かっています。写真5―5は、皮をむいたバナナと、皮のついたバナナをそれぞれ曲げたものです。この写真からバナナのどんな性質がわかるでしょうか。
曲げの力がはたらくと内側が圧縮、外側が引っ張りの力を受けるのでした。皮のないバナナは外側で切れているので、引っ張りの力に弱いことがわかります。ところが皮は引っ張りに強く圧縮に弱いので、皮のついているバナナでは、逆に内側がつぶれているのです。**(60頁)
ここを読んでいて、そうか、コンクリート充填鋼管構造ってバナナと同じなんだ!と気がついた。
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技術者の設計の最適解は自然が既に用意してあるということについて、思い浮かぶのは竹だ。
鉄骨構造の柱と梁のジョイント部分にはダイアフラムを設けるが、竹は節という名前のダイアフラムのところから枝(持ち出し梁)を出している!自然は優秀な構造設計者だ。