透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

魅力的なまちに欠かせない要素とは

2014-08-14 | A あれこれ

 魅力的なまち(*1)に欠かせないのはどんな要素だろうか、と考えている。以前こんな記事も書いた。
過去ログ

魅力的なまちに欠かせない要素として今まで挙げていた①から④に今回⑤を加え、以下のようにまとめる。

①まちが小規模なこと 
②まちの全体像が把握できる「俯瞰場」があること 
③まち中を川が流れていること 
④まちに歴史的な重層性があること 
⑤まちにシンボル、ランドマークがあること

これらはまちの全体像を把握したいという個人的な、マップラバーな願望に因るところ大である。街並みラバーであれば、別の要素を挙げるかもしれない。ただし程度に個人差は当然あるだろうが、人は皆両方を好むだろうから共通するかもしれない。

魅力的なまちに欠かせない要素は理論的に演繹できるものでもないだろうが、まったく恣意的なもの、個人的なものとして帰納されるものでもなく、ある程度共通性があるだろう。それらを抽出しようという試みだ。

先に挙げた要素を地元、松本で考えると以下のようになる。

①松本駅がまちの南西の隅に位置し、駅を起点に東方向に徒歩で約20分のところに旧制松本高校(北杜夫や辻邦生、熊井啓の出身校)の校舎が保存されている「あがたの森」がある。ここがまちの南東の隅となる。北へは松本城まで徒歩で15分くらいか、更に5分くらいで開智学校に至るが、ここが北の隅となる。松本のまちはこの3ヵ所を結んでできるエリアにほぼ収まってしまうような小さなまちだ。

②城山(じょうやま)と呼ばれる「俯瞰場」があり、そこからは松本のまちが一望できる。

③女鳥羽川がまちの中央を流れている。川はまちの構造を理解するのに有効だ。川の上に建物が無いから見通しが効く。また、川や橋には物語性(極めて曖昧な概念だが)がある。

④まちなかに蔵が数多く残り、新しい建物と共存している。古いものだけでもだめで、古いものと新しいものがあることによってまちの歴史の重層性が浮かび上がる。金沢の21世紀美術館が兼六園のすぐ近くにあることもこの一例として挙げられよう。

⑤なんといっても松本城。明治初期、松本城が競売にかけられ、解体されそうになったとき、「城がなくなれば松本は骨抜きになる」として買い戻した市川量造の慧眼と努力に感謝し続けなければならない。それから北アルプスの峻嶺の連なり。

函館、弘前、角館、金沢、郡上八幡、倉敷、萩、長崎、鹿児島・・・。観光地として有名な地方のまちについてこのような条件が当て嵌まるのかどうか。

これらのまちに旅する機会があればこのような視点で観察してみたい。対象が何であれ独自の視点設定ができるかどうか、これがポイント!学術的な研究はもちろん、普段の生活においても。


*1 町でも街でもなくまちと表記することには意味というか理由があるが今のところ上手く説明できない。