透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「利己的な遺伝子」から宇江佐さんへ

2016-07-27 | A 読書日記



 『利己的な遺伝子』リチャード・ドーキンス/紀伊國屋書店 は全13章から成る分厚い科学書。ようやく最終13章まで読み進んだ。この本のことを知ったのは学生のころだったと思う。なぜそのころ読まなかったのか今となっては分からないが、その後ずっといつか読みたいと思っていた。ようやくその願いを果たすことができそうだ。 

生物の諸々の振舞いを遺伝子の生き残りという観点から読み解いたもの。生物ではなく、遺伝子を主人公というか、主体に据えて生物の進化を捉えてみようという試み。この本について、このような括りでよいのかどうか・・・。遺伝子にしてみれば生物の体は単なる乗り物に過ぎなくて、その乗り物が故障して動かなくなる前に次から次へと乗り換えていく、ということになっている。ちなみに著者はまえがきに**自然淘汰に二つの見方があるということだ。遺伝子からの見方と、個体からの見方と。正当に理解するなら、それらは等価である。一つの真実の二つの見方である。**と書いている。(10頁)も
のは捉え方によてその本質は変わらなくてもずいぶん違って見える、ということで、通常とは、常識とは違った見方をした方がうまく説明がつく、ということもあるということを改めて知る。

11章で「ミーム」なる概念が提示される。これをどう評すればすればよいのか、まだ整理がつかない・・・。なるほど!と思う反面、なんだかなぁとも感じている。

隙間時間だけで読み通すことには不向きな本だった。字面を追うだけだったが、読んだということだけで満足。




読了後に再び宇江佐さんに戻ろうと『春風ぞ吹く 代書屋五郎太参る』新潮文庫を買い求めた。

この作品については**「春風ぞ吹く 代書屋五郎太参る」この本、最近読んだのですが、これは「無事、これ名馬」にでてくるたろちゃんの父親のことを書いた本なんです。面白いですよ。機会があったら読んでみてください。**というコメントをしばらく前にいただいている。カバー裏面の紹介文を読むと確かにおもしろそうだ。