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■『みすゞと雅輔』松本侑子(新潮文庫2020年)は500ページを超える長編伝記小説だから、年越し本になるだろうと思っていたが、読み終えてしまった。それで昨日(26日)年越し本を求めて長野道安曇野インター前のスワンガーデンにある平安堂あづみ野店まで出かけた。松本駅近くにある丸善に行きたいところだが、車の場合には不便だ。
平安堂あづみ野店では文庫を出版社別ではなく、作家別に並べている。あ行の作家から順番に見ていき、か行で小松左京の『復活の日』が目に入った。角川文庫とハルキ文庫のどちらにもこの作品があり、どちらを買おうか迷った。
定価は角川文庫が760円+税、ハルキ文庫が800円+税だが、ハルキ文庫を買うことにした。用紙は角川文庫の方は白く、ハルキ文庫は少し黄みを帯びている。読みやすいのはハルキ文庫の方、紙質は大事だ。
ハルキ文庫にした理由はもうひとつ、解説を渡辺 格氏が書いていること。渡辺氏は分子生物学者で、私は『人間の終焉』(朝日出版社1976年)と氏が翻訳を担当した『偶然と必然』J.モノ―(みすず書房1973年第4刷)を昔読んでいる。
『復活の日』は1964年に発表された長編SF小説。カバー裏面には次のような紹介文が載っている。**MM-八八菌(*1) ― 実験では、摂氏五度で異常な増殖をみせ、感染後五時間で九十八%のハツカネズミが死滅! 生物化学兵器として開発されたこの菌を搭載した小型機が冬のアルプス山中に墜落する。やがて春を迎え、爆発的な勢いで世界各地を襲い始めた菌の前に、人類はなすすべもなく滅亡する・・・・南極に一万人たらずの人々を残して。人類滅亡の恐怖と、再生への模索という壮大なテーマを描き切る感動のドラマ。**
類書にマイクル・クライトンの『アンドロメダ病原体』があるが(過去ログ)、『復活の日』の巻末に収録されているインタビュー記事で、小松左京が両作品の関連性について、面白いことを語っている。
この作品は年明けも読み続ける年越し本になるだろう。