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国立国会図書館デジタルコレクションより
■ NHKの朝ドラ「らんまん」についてはしばらく前にも書いた。シナリオが良いことはもちろん、映像が美しいこと、登場人物へのライティングが良いことなどに惹かれる。
十徳長屋が映ると、外壁が押縁下見板張りになっていることや(江戸時代の武家地に建てられた火の見櫓の壁も同じ構法)、目板葺き、大和葺きの庇に目が行く。
今朝(4日)は園子が亡くなってしまい、悲嘆する万太郎と寿恵子や、峰屋が腐造が原因で廃業に追い込まれ、綾と竹雄が峰屋を手放すことを決めるという重苦しいシーンが続いた。
ドラマの前編では万太郎を愛するタキおばあちゃんのことばによく泣いた。松坂慶子さんの演技もなかなか好かった。後編になって、今朝は初めて(じゃないか)泣いた。『本所おけら長屋』畠山健二(PHP文芸文庫)の住人たちの暮らしぶりとは全く違うけれど、十徳長屋の人たちが心を通わせながら暮らす様子にも惹かれる。
綾の目の表情が顔を正面に残して眼だけで横を見るフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」とよく似ているなぁ、と今朝も思った。
「らんまん」のこれからの展開が気になる。失意、悲しみからの再生が描かれるのだろう。