山辺の家 Ⅲ 松本市入山辺 2023.08.24
■ 所用で山の辺建築設計事務所に宮坂さんを訪ねた。
事務所兼住宅、この建築の魅力はずばり「すっぴんの美」。外装も内装も素材の表情をストレートに表現していて実に魅力的だ。
シンプルな外観。外壁も屋根も耐久性に優れたドイツ製の防水シートで外皮の防水という基本的な性能を確保している。防水シートの上に外壁は胴縁を組んで、カラマツの板(と言うより桟木)の目透かし張り、屋根は防水シートの上に母屋下地を設置して折板葺きにしている。鞘堂のような屋根と外壁で通気性が確保されているから、湿気がこもらないし、遮熱効果もあるだろう。
一般的な板張りの外壁は防水性も確保するために、このような目透かし張りにすることはない。この構法(工法とは意味が違う)が外壁にオリジナルな表情を与えている。勾配付きの断面は水切り考えているから、ということは分かったが、加えて奥の防水シートに日射を当てないようにする、という意図もあると宮坂さん。使用している防水シートは耐紫外線性も高いそうだが。なるほど、こんな外壁があったか・・・。
招かれた設計室の壁の大半は書架だったが、壁仕上げではカラマツ板のウッドシングル張りが目を引いた。ウッドシングルの内壁を見るのは初めて。内外ともざっくりとした納め方で、多少傷がついても全く気にならないだろう。
久しぶりにデザイン意図が明快な建築と出会った。